なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「語るも無惨な冒険により、俺はすっかり配管工の兄としての生を謳歌していたのであった」
「そして私は出来の悪い弟の方。ニイサーン、ガンバッテー」
「おう、大船に乗ったつもりで任せておけ!」
「しっかりいたせー!!」
「げふぅっ!?……はっ!?俺は一体なにを」
TAS式ブートキャンプを終えた銀ちゃんが、すっかり配管工ブラザーズの兄みたいになってた件について()
確かにスーパーマダオブラザーズ*1とかやってたけど、TASさんが隣にいると洒落にならんので止めよう、本当に止めよう()
……ってなわけで、正気を取り戻した銀ちゃん。
しかして鍛練の成果まで消えるわけではなく、すっかり超人的な身体能力を発揮するようになっていたのでした。
「やべーなこれ、白夜叉つったら銀さんのスーパーモードみたいなもんだけど、もしかしたらこれその時より動き回れてるかもしんねー」
「それはよかった。私も指導した甲斐があった」
「その件については感謝と怨み言を半々くらいでぶつけたいんだが???」
「どうどう、銀ちゃんどうどう」
「うおー!!離せー!俺はこの邪智暴虐の徒を成敗せねばならんのだー!!」
えっへん、と胸を張るTASさんに滅茶苦茶キレ散らかした銀ちゃんが殴り掛かろうとしているが、流石にあれなので止める私である。
なお、その理由は小さい子に殴り掛かる銀ちゃんの絵面が不味すぎる……からではなく、単に銀ちゃんじゃあ勝てないからでしかなかったり。
「なにおー!?俺だって強くなったんだぜー!?」
「そもそも銀ちゃんをそこまで鍛えてくれた相手が目の前のTASさんその人だってことわかって言ってる?」
「うおー!!弟子は師匠を越えねばならんのだー!!」
「絶対わかってねぇ!?って言うかマジで止めなって!!そうやって挑んでくるのめっちゃ楽しみに待ってるタイプの人だからどう足掻いても酷いことにしかならないって!!」
「ゑ?」
ああもうすっかり煽られてるよこの人……。
とはいえ流石にこっから墜落したかの如くぼっこぼこにされるのは忍びないので、体を張って止める私であ……今TASさん舌打ちしなかった???
……気を取り直して説明すると。
このTASさん、確かにTASさんではあるのだが、見た目からわかる通り世間一般?的に知られているそれとはちょっと違う系統のTASさんなのである。
「TASのできることをできるからTASって名乗ってるだけで、言い換えると『逆憑依』的な再現タイプじゃないのよ」
「はぁ、それで?」
「だから、再現度が関係ないってことになるわけだから……見た目で戦力がまったく判別できないってこと。言っておくけどこの子『神断流』とか私より扱うの上手いわよ?」
「へぇあ?」
「だーかーらー、単純な攻撃力なら多分私より高いってこと。……まぁ、『神断流』は人に向けて使うと火力落ちるから、この場合はそこまで差はないかもだけど……どっちにしろ空中コンボバチクソに決められて宙を舞う銀ちゃん、みたいな今時アクション漫画でもそう見ないようなボコられシーンに繋がるわよ?」
「……えーと」
「さっきの師匠を越えるという意気込み、とても感動した。だから加減せず一斉に襲い掛かる準備はできてるから頑張って受け止めて欲しい」<ワクワク
「ひぃっ!?多重影分身?!」
なんなら未来視混じりなので先読みしつつクリティカルヒットを当たり前のように叩き込んで来るようになるというか。
あれだ、最近の呪術で虎杖君がポンポン黒閃出してたのと似たようなことを普通にし始めるというか?
……人にできること、というのが個人の素質に依るものでも問題ない、というのが何気に恐ろしいところである。
皇帝特権ならぬTAS特権みたいなことしてくるんだからどうしようもない()*2
それでいて、
例えば『逆憑依』の場合、自身が再現しているキャラクターから遠く離れた性質を発露させるのは難しい・やるのならば【継ぎ接ぎ】などの後付けかつ負担を強いるものを導入するしかない、みたいな部分があるのだけど。
彼女は厳密に言えばTASではないので、
……要するに、スピードランに拘る必要がないのだ。
なんならスーパープレイである必要もない。見た目地味で特に意味のない行動をしたって、その能力の冴えはまったく衰えない。
一般的な『逆憑依』からしてみれば「ずるい!」としか言いようがないだろう。
その上で、彼女は自身の能力を高めることに貪欲過ぎるきらいがある。
……結果、チートとしか言いようがないスペックを普通に雑魚狩りにも押し付けてくるヤベー人物と化しているのだった。
「……傍迷惑!」
「そう傍迷惑。だから邪魔だよね、排除したいよね?さぁレッツ挑戦」<グッ!
「ぐっ、じゃないんだが?!挑まねーよ流石にもう!」
「えー」
ここまで言われれば、流石に自分が自殺めいたことをしていたのだと理解したようで。
私の後ろに隠れるようにしてTASさんから距離を取る銀ちゃんの姿に、思わず苦笑してしまう私なのでありましたとさ。
なお、こうして趣味()を邪魔された形になったTASさんはと言うと。
「むー」
「……今度付き合うから」
「ん、わかった。それで手を打つ」
無言の抗議をこちらにぶつけ続けていたため、今度相手してあげることを約束してお帰りを願ったのでありました。
……安請け合いしたつもりはないけど、なんというか早まった感もなくはないなぁ。
「はぁ、私が居ない間にそんなことが……よかった」
「おいこら???」
はてさて、TASさんが帰ったのと入れ代わるようにして、おぜうさま達が狩りから戻ってきた様子。
なんなら周囲を調べに行った私もといキリア達も戻ってきたので、そのままお昼ご飯の準備である。
バグ空間とはなんでもありの空間、ゆえに色んなモノを適当に用意することができるのでー、機能満載システムキッチンなんてものを突然ドーン、と出現させることも勿論可能。
そんなわけで、おぜうさま達の持ってきたウイルスコアを変換しつつ、ゆかりん達の方の話を聞くことにしたのであった。
……まぁ、その前の段階でいつの間にか合流していた銀ちゃん達の話になったんだけども。
「でも……正直、彼女と四六時中一緒にいるのは疲れるだろうな、なんて風に思ってしまいました……」
「マシュちゃんからもそう言われるなんて、流石はTASさんということね……」
「カルデアのトラブルメイカーな方達を足して割らない、みたいなノリでしたので……」
「うん、寧ろマシュちゃんはいつも通りだったわね」
そのレベルなら普通の人は苦言で埋まるわよ、ログが。
……なんてことを言いながら玉ねぎを剥いているゆかりんである。
どうでもいいけどその辺あんまり触れるとTASさんまた出現するから控えてもろて()
「え、どどどういうこと?」
「人のできることならなんでもできる。……だから、遠く離れたところの音も普通に聞こえてるのよ」
「スーパー地獄耳!?」
「地獄の沙汰だって聞き逃さないでしょうね……」
まぁ、別に悪口を言われていても気にしない、って辺りは問題ないと言えなくもないのだが……それが一転『喧嘩を売っている』と判断されると喜んで買いにくる可能性大なので……。
存在を知らないのならともかく、知っているのならあんまり話題に出さない方が無難、とだけ告げておく私である。
……こうして繋がりができている以上、些細なことで彼女を呼べるという利点とも言えなくはないわけだが。
「その場合はまんまデウス・エクス・マキナ的な運用になる、ってことは頭の片隅に置いておいて欲しいところね。頼りすぎると物語や世界観が崩れる、って点では『星女神』様と大差ないから」
「……人間なのよね?あの子」
「(一応は)人間だねぇ」
その辺はここで語ることでもないので、いい加減切り上げるとして。
さっきからゆかりんの手元を見ているのだけれど、この人いつまで玉ねぎ剥いているのだろうか?
「え?……ぎゃあ!?もうほとんどない!?」
「手癖で剥くからそうなるのよ……まぁ幸いこのキッチン新品(?)だから、別に流しに落とした玉ねぎを使ってもなにも問題はないけど」
「ぐぬぬ……なんだか負けた気分……」
「なにに?」
なにを言うとるんだこの人?
……まぁそんな感じで和気藹々と会話しつつ作ったカレーライスはおいしかったです、とだけ付け加えておく。