なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「わかりやすくジェラシー、って感じで私にどう反応して欲しいのかしらこの子達……って気分になっちゃったわよ私」
「なるほど……?」
真っ白に燃え尽きた銀ちゃんが復帰するのを待つ間、虚空から取り出した椅子に座って話を始めた私たち。
さっきのマシュは
そういう疑問を込めて彼女に視線を向けたものの、マシュから返ってきたのは「ぷいっ」という単語と顔を背ける態度なのであった。……ヤマタケかな?*1
まぁともかく。
そうして駄弁っているうちに、燃え尽きていた銀ちゃんが復帰。
……さっきの話を蒸し返すとまた燃え尽きかねないので封印し、改めてモンスター退治へと向かったわけなのですが。
「……そういや、さっきバグモンスターは合体することもあるだのなんだの言ってたな?」
「……」
「ついでに言うと……基本的には非生物、通常の生き物と違って命があるわけじゃない、とも言ってたわね」
「……」
「そしてその生態は『ウイルスコア』の名前の通り、ウイルスの挙動に近い──それも現実のそれではなく、デジタルな世界のそれに等しい。……つまり、彼らが今こうして
「……あーもうっ!ごめんってば!!私が悪かったってばっ!!」
これで満足か貴様らー!!
……そんな思いを込めて放った叫びに、三人は何故かハイタッチを交わしていたのだった。いや仲良しか?
はてさて一見意味不明なこの状況、されどその理由は単純明快。
今しがた彼らが触れたように、再度倒しに向かったウイルス達が融合しようとしている姿を見付けたから、というのがその理由になる。
……うん、これまた彼らが触れてたように、この融合を引き起こしたのは多分さっきの私の発言なんだよね。
なんでそうなるのかと言うと、彼らがどういう経緯で発生したのか、というのがその答えとなる。
ええそうですね、間接的にだけど私(の使った微量な【虚無】)のせいですね!!
「つまるところ、彼らにとって私は産みの親ってこと。言い換えるとプログラムの作成者が私ってことで、ゆえに彼らには私の言葉が届きやすいってこと。……結果、さっきまでその兆候すら見せていなかった『バグ同士の融合』が要素として解禁された、って結論になるわけですね……」
「そう、つまりはキーアちゃんが悪い!」
「「悪ーい!」」
「ゆえにこの場はキーアちゃんが収めるべき、オーケー?」
「「オーケー!!」」
「ええい、勝手に返事をするでないわ!ってかなんなのその息の合った動き!?」
さっきまでジェラってたじゃん!なんか仲悪そうだったじゃん!!
……え?あくまでマシュ側が勝手に隔意*2を抱いていただけで、別にその辺の
いや、そんなに簡単に呉越同舟しないでもろて()*3
とはいえ、囃し立てるのはともかく彼らの主張が間違っているかと言われると、必ずしもそうだとは言えない。
確かにこの状況は私が招いたモノであり、可能ならば私が収めるべき、というのは間違いないのだ。
……ないんだけど、この状況下で私ができることってなると、更なる混迷を引き起こすモノしかないというか……。
「ゑ?」
「でもまぁ、仕方ないわよね。だって解決しろって急かされたんだもの、責任を取れって言われたんだもの。──じゃあ仕方ないわよね?なにが起こっても自己責任だもんね?」
「おっと風向きが変わってきたな()」
「確実に吹いているわね……私たちへの(向かい)風が」
「お二方!?幾らなんでも諦めが早すぎませんか!?いえこの状態のせんぱいを止めろと言われても、正直私もどうしていいのか見当も付きませんけど!!」
反転攻勢かな?*4
まぁ三人が隙を見せたのは事実、仕方ない()のでこのまま進めさせて貰おう。
さて、今しがた私が対処するのは宜しくない、と述べたがそれは何度も言っているように私がなにかをすると本来の黒幕に色々気付かれる……という、その話とはまた別件である。
「え、別件なんですか?」
「うむ、別件。……とは言っても、こっちもこっちで既に明言はしてるんだけどね」
「え?」
「……いや待ちなさい、まさか」
「おっとゆかりんは気付いたようだけど、そろそろバグ達の合体が終わるから後にしてねー」
とはいえ、それを説明するのは対処が終わってから。
なにやら融合した結果、色んなものを溶かして吸収しそうな感じに変化したバグモンスター。
恐らくは元義的な意味での『スライム』に変化した、ということなのだろうが……どうせだし、それを活かした対処にすることにしよう。
「活かした?……はっ、まさかテメェ?!」
「そのまさかー!!私が対処しちゃいけないのはごく単純!それでは皆様ご唱和下さい!──祝え!意外となりきり郷に数の少ない作品出身のキャラクター、その新たな生誕を!」*5
そう私が呟くと同時、融合を終えた
とは言ってもソーラレイとかセレスティアルスターとか、そういう攻撃の意思を込めたものではない。*6
どちらかと言えば祝福の光──いや、もっと端的に言い表そう。
これは、
「て、転職??って、うわっ!?」
「何の光!?」
瞬間、七色の光を受けたスライムそのものが発光。
光の中、彼はその姿を徐々に変えていく。……え?なんか変な音流れてないかって?
気のせいじゃないかな、あと間違ってもBボタン連打しないように。*7
やがて、光は弾け変化したスライムの姿が露になる。
緑色の体色を持ち、まるでメロンソーダのようにぱちぱちと弾ける体。
顔に当たる部分はどこか惚けたような表情で、こちらに視線を向けながらほわっとした笑みを浮かべている。
……うん、見る人が見ればすぐにわかる、そんな特徴的な姿をした彼の正体は。
「こんにちわ!ぼくバブルスライム!よろしくね!」
「おめでとう! スライムは バブルスライムに しんかした!」<テーレーレー,テレレレレレレー♪
「どういうことなの……」
そう、日本三大RPG*8の一角・ドラゴンクエストシリーズに登場する特徴的なモンスターの一体。
日本における同名のモンスターのイメージを大きく変えた*9とされる(ある意味)立役者。
──ドラクエのスライム、その中でも特に溶けた姿が特徴的な──ある意味では原点回帰をしたとも言えるのかもしれない個体、バブルスライム。*10
それこそが、今この場に現れたモンスターの正体であり、かつ私が事態の解決に動いた際に起きることの象徴!
「すなわち、【顕象】として新生したスライム、というわけだよ!」
「どういうことなのなの……」
壊れたように「どういうことなの……」と呟くゆかりんに対し、どうにでもなれとばかりに大笑いする私なのでありましたとさ。