なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……姉で母?なにを言っているのあの子……?」
「さ、さぁ……?」
はい、衝撃的な光景に思わず現実逃避してしまいましたが、正直このまま逃げ帰りたい私です。
……いや、なにがどうなりゃ姉を標榜するアクアが母まで標榜し始めるねん、というか?
というか明らかにビーム発射してるやんけ、それも単なるビームじゃなくて
……
「少なくとも私達と別れる前までは普通だった、ということは……」
「さっき居なかったものが原因、ってことだよねぇ」
隣のゆかりんとそう言いあいながら、改めてアクアの足元を見直す。
……地面をまるで海のように──敢えて言うのなら
ジャンヌダルクの水着姿、という意味では別にそこにいてもおかしくはないが……よくよく考えると白いのはおかしいだろう、となるその存在。*1
「……まさかとは思うけど、
「まぁ、それを下敷きにしたバグである、って可能性は高いよね……」
──
とある小説にて語られる巨大な白鯨であるそれは、作中においては神であるとも悪魔であるとも、はたまた自然の象徴であるとも運命の具現であるとも例えられる超越的な存在である。
それゆえ創作者達にも絶対的な巨獣の象徴として扱われており、様々な作品に登場しているため名前くらいは知っている、という人も多いはずだ。
──ここで問題なのは、この鯨が多種多様な『見立て』をされている、ということ。
このなりきり郷(というよりは【兆し】)において、『見立て』とはすなわち【継ぎ接ぎ】の種である。
ということは、だ。
白鯨という存在はそもそも多種多様な見立てをされた存在であるがために、この場においてもその性質を保ったままである可能性が高い、ということになるわけで。
「つまり?」
「自然の象徴、すなわち
「かもしれないってかまず間違いなくそうだよなこれ?海属性はまだしも母属性なんてなかったんだからまず間違いなくあの鯨の悪影響だよなこれ???」
「まぁ、逆にいうと大本の鯨とは別物ってことだから……」
あれだ、要素の複合の結果白鯨の姿をしているだけで、本質は別にあれとは違うんだろう、みたいな?
……それがなにか意味を持つのかとか言われそうだが、仮に白鯨そのものだったら人間とは殺しあうしかねぇ、とかなりかねないので被害拡大の可能性大というか。
いや、原作を元にしたアニメとかなら和解の道もあったりするんだけどね?*3
でもこう、下手に食い千切りに来る原作仕様より、ああして母ビームの元になってる方が……なってる方が……。
「……いや、どっちもどっちでしょ」
「なんなら非殺傷利く分、普通に噛み付いて来る方がマシなんじゃねーのか?」
「個人的にはあれに噛まれるとか呑み込まれるとかの方がイヤなんだけど……まぁ、かといって今が良いとも言いきれないわね」
「人が折角やる気を出そうとしてる時に君らはさぁ(激おこ)」
いやまぁね?私だって断言するのは無理かなーって思うけど。
でもそれで状況が変わるかと言ったら別、寧ろやる気が削れる分マイナスまであるんだから、そこら辺考慮して喋って欲しいなーというか?
痛いくらい気持ちはわかるけど。わかりすぎるくらいわかるけども。
……勘の良い人は既に気付いているかもしれないが、現状のアクアは非常に不味い状態である。
まず始めに、彼女が『水着ジャンヌを元にした存在である』というのがよろしくない。
それだけで海の巨大生物との相性がよくなるんだから、できることなら今すぐアクアの水着を剥いでやりたいくらいの気分なのである。
……いやまぁ、実際にやったらまず間違いなく隣のゆかりんにスキマ送りにされるんでやらんけど。
第二に、彼女の原作がよろしくない。
これは二重の意味であり、型月系統としては白鯨に『海に関係性のある神性』へのアクセス権を渡すようなもの、って点でよろしくない。
ただでさえ『母なる海』としての属性が強いんだから、普通にティアマトさんとかこんにちはしかねないのだ。
で、【星の欠片】としてなんだけど。
……これが面倒くさいのは、持っている【星の欠片】が『レーヴァティン』であること。
属性として『巨人が振るう物』というカテゴリーを持ち合わせているため、そこが変な反応を起こすと
「……は!?初めて聞いたんだけどその設定?!」
「だって言ってないし……いや違う!隠し立てしてたわけでも忘れてたわけでもないから!!」
毎度毎度私ばかりが悪いと思うなよ?
……その言い種自体がすでにアレ?うっせーほっとけ。
それはともかく、改めて説明すると。
そもそも『レーヴァティン』というのは、北欧の巨神・スルトが持つとされる世界を滅ぼす炎剣である。
……正確には杖であるとか、フレイの持つ剣と逸話が混じってるらしいとか、まぁ色々あるけどそれはあくまで神話の解釈の話。
ここで重要なのは、【星の欠片】の名付けはその能力を視て『星女神』様が付けた
「……ええと?」
「つまり、
「……やっぱり悪いのキーアちゃんじゃない?」
「わかんないからって私のせいにすなー!!要するに【継ぎ接ぎ】ってこと!無辜の怪物でもいいわよっ」
「……あ、なるほど。最初からあった機能じゃなくて、後から加わった機能ってことね」
大雑把に言えば、そういうこと。
まぁ小さい方が偉い、みたいなノリの【星の欠片】において、巨大化機能がどれほど意味があるのか?……と言われると、正直無いとしか言えないわけだが。
「……なるほど、そーいう意味でもまっとうな経路じゃねぇってことか」
「そうだね、基本的にはいらない機能だから、滅多なことじゃ機能しないように封印されてるくらいだし」
「で、今回その封印が解かれそうだと」
「…………」
「おいこら目を逸らすな逸らすな」
……ただ、【星の欠片】としては無意味であっても、『逆憑依』として無意味かと言われれば話は別。
何度か触れたこともあるように、『逆憑依』にとって大きさとはパワー、キャラクターがデカければデカいほど百分率と実際の数値との感覚のズレは大きくなっていく。
そうして引き起こされるのが、再びの融合──もとい、再度の【星融】である。
「……ゑ?」
「単純に要点だけ言うわよ。【星の欠片】はレーヴァティン、『逆憑依』はジャンヌ、型月作品。──巨人化のスイッチが入ってる場合、ジャンヌは定義上誰と間違われる?」
「……あ゛っ」
「そ、スルトよね。もろにそれなんだし。……まぁ、そうなる可能性は低いけど」
そう、今の状態で放置した場合、最悪アクアが巨人になる可能性が高い。
そしてその場合、持っているのが『レーヴァティン』なのでスルトになる可能性が高い……のだが、それに関してはあまり気にしなくてもよい。
今しがた必死に逃げ回っているオルタが捕まったら危ないけど、逆にいうとオルタが捕まらない限りは
属性的にもっと適任者がいるため、アクアが変貌する先にはなりにくいのである。
「じゃあ安心か、っていうとそうでもなくて──さっきの連想の続きをしましょう。型月で巨人、かつ母なる海を条件に加えると──」
「ティアマト、ですね」
「──そうなんだけど、そこからもう少し捻ってみよう。あの白鯨、
「あん?……いや、そんなのバグに決まって……
「……海は海でも、今のこの場所は
「「「キングプロテア!?」」」
「大正解!このままだとキングプロテア爆誕です!!」(白目)
あとほら、サクラファイブって名目上『姉妹』じゃん?
……姉属性と母属性が両立しそうな感じ、してきたね?
いやまぁ、プロテアは末っ子のような気もするけども、なんて言葉は虚しく響くだけなのでした……。