なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はい、そんなわけでおぜうさまの囮によってクジラを無害なものに変化させられたわけなのですが……」
「あれでいいんならもっと早い方法あったんじゃないの、って気もするけど……」
「ああして赤ちゃんになるのが必要、なんだったか?」
「予め知ってたら忌避感が増すかもだからねー」
はてさて、なぁなぁの内(?)にクジラを処理し、無害なものに変化させたわけなのですが。
結局のところあくまでクジラが悪影響だっただけで、アクアはすっかり元通り。
今もこうしてオルタを妹可愛がりして……え?そこは元通りじゃなくてよかったのに?
……まぁ、その辺は置いとくとして。
ともかく、クジラの処理に成功したんだから、それがどうなったのかというのは気になるはず。
初手がバブルスライム、次がコブロンとなれば、(多分)最後の三匹目は──、
「はい、ゴマちゃんです」<キュー
「色しかあってねぇ……」
ゴマフアザラシの赤ちゃん、永遠の白い天使ことゴマちゃんである。
……最近の人わかるのかな?いやでも二回目アニメしてたしどこかの港に迷い込んだアザラシになぞらえたりもされてたからいけるか……?……え、いけない?そんなー。*1
……まぁともかく。
大きな白いクジラは小さな白いアザラシへと変化、脅威度も劇的に下降、というわけである。
これには前二匹もにっこり、お仲間の参入を跳んで喜ぶ次第である。
「ぐにょーん」
「わーい」<キュー
「ま、纏まりが欠片もねぇ……」
「変に纏まりがあると三匹で一つ扱いされる可能性大だけど?」
「多様性万歳だな!うん!!」
なお、あまりに異色のトリオだったために銀ちゃんが微妙な顔をしていたが……下手に類似性があると【
……と言えば、あっさり手の平を返していたのだった。
いやまぁ、こうして個体として成立してるところから【複合憑依】になる事例なんて、今まで一つも確認されてないから大丈夫だとは思うけどね?
……え?お前が言及するとフラグになるから止めろ?いや私をなんだと思っとるのかね君達?
などと暫く騒いだのち、改めて彼らと向き合う私達。
このバグ世界で出会うだろう大バグのうち、
「……いや待った、今なんかスッゴい気になるワードを口走らなかったかおまっ」
「そういうわけなので!ここからは彼らを主軸に攻略して行くよー!なにせ大ボス素材が足りてないからねー!!」
「聞き間違いとごまかすことすらしねぇ!?」
はい、銀ちゃんが今しがた騒いだことからもわかると思いますが、大バグそのものとの戦闘は実のところこれで終わり、というわけではなかったりします。
ここで私の発言を思い返して欲しいのだけれど、そもそも急いで他の面々のところに向かったのは、彼らが大バグ達を勢い余って倒してしまいかねないからである。
仮に倒してしまった場合、ドロップするのがウイルスコアじゃなくて『無』に変わり、結果として余計なものを口寄せ*2してしまう……というのが、今回の主要な問題だった。
……うん、上手く使えば便利なんだけどね、『無』。
でもこれを上手く使える人となると、RTAさんとかTASさんとかの限られた人物になるから、正直ハードルが高すぎるというか。
「そういう意味では銀ちゃんが使えそうではあるんだけどねー」
「ああ、TASさん直々に指導を受けてたものね」
「おいバカ止めろ、早くもこの話は終了だぞ」
「呼んだ?」<ニュッ
「呼んでねぇから帰れー!!」
残念、と言いながら謎の穴に消えていったTASさんはともかく。
まぁ実際、上手く使えば今のTASさんみたいにワープゲートとして使うことも可能、というのが『無』。
そして物事と言うのは基本便利なだけじゃないというのも道理であり、使い方を間違えた際に起こるのは※いしのなかにいる※とか、最悪世界そのものの滅びとかになるわけでして。
「こっわ」
「ゲームで『無』を使う際は変数が重要になるけど、その辺はここにある『無』も似たようなものでね。周囲の環境やらなにやらで起こる結果がすぐに変わっちゃうんだよ」
極論、『無』というのは
そしてこの『なにか』というのは、周囲の状態を無理矢理式に当てはめて発生するもの。
TASやRTAで言うなら範囲内のオブジェクトの数とか、そこに至るまでに何分何秒掛かったかとか、そういう細かいところすら(それが変数として管理されているのなら)計算に必要とするわけで。
……うん、そりゃ一般人に上手く扱えるわけないというか。
そもそもTASさん達にしたって用途を限定して使ってることがほとんどで、一発勝負で未知かつ求める効果を『無』に発揮させるのは不可能に近いんだから、今ここにいるみんなならなおのこと……みたいな?
まぁ一応、先ほどまでTASさんの薫陶を受けていた銀ちゃんなら、ある程度上手く扱える可能性がなくもないけど……。
うん、本人がご覧の様子なのでまぁ無理でしょうね、というか?
「そういうわけなので、極力『無』を発生させるような状況は避けましょう、ってことになるわけ」
「だからうっかり倒してしまいそうな人達のところに至急向かう必要があった、っていうことね」
「そうそう。で、こうしてメンバーが揃った以上、いきなりどこからか迷い込んで来た人でもいない限り、意図せず『無』が発生する可能性はほぼゼロになった、ってことにもなるわけでー……」
「なるわけで?」
「安心して他の大バグのところに行けるね♡」
「行けるね♡……じゃねーよそこは三体で終わっとけよ流れとしてぇ!!」
「いやだって、さっきも言ったじゃん。バグ達の間に融合の概念が浸透しちゃったから、こっから先キングスライムの如く合体するバグが増えるだろうって」
「ああそうでしたねちくしょーめ!!」
で、話を続けた結果キレ出す銀ちゃんである。
やだなーこわいなーとずまりすとこ。
……冗談はともかく、ここから先ウイルス達が多彩な行動を取ってくる可能性は大。
となれば、私も『なにもできない・しない』とか言ってる場合じゃないわけで。
「……あん?」
「まぁ見てて頂戴、私もやれるってことを教えてあげるわ」
「え?いやだって、直接戦うのはダメだって……」
「間接的ならいいのよ」
「ひょっ?」
「バブくんみんなにスクルト、それにピオリム!」
「ぐにょーん」
「コブちゃんは生成したタンコブでみんなの回復!」
「いたいけどがんばるよー」
「最後にゴマちゃん!応援!!」<キュー
「なぁにこれ」*3
なにって……トレーナー的な?
はい、そんなわけで他のバグのところに向かったところ、案の定融合して巨大化してたため、他のみんなに適当にボコらせつつさっきの三匹を指揮する私である。
そう、トレーナー。
自身は直接戦わず、仲間となるモンスター達を戦わせるという方式となるこれは、実のところ
本来なら教唆とかなんとかでお前も共犯だろとか言われるのが関の山なのだが、ことこのバグ世界においては別。
私が戦闘をするというのは、言い換えると私の変数を変えるということ。
なので、極論変数さえ変わらなきゃなにやっても問題ないのである。……さっきの隠れてタッチとかがそれだ。
「まぁ、逆に言うと変数に関わる行動は相変わらず禁止されているようなものなんだけどね!」
「まさかとは思いますが、この状態に持っていくために暗躍してたってことですか?」
「暗躍とは人聞きが悪いねXちゃん、私はみんなのためを思って行動してるだけだよ?」
「わぁ綺麗な悪人スマイル」
で、そうして集めた手駒……もとい仲間達を指揮して戦えば、ご覧の通り私の変数には触れずに戦闘に関われる、と。
ダメージ調整に関しても細かい数値はこの三匹が行えるし、なんならバブくんにバフ掛けて貰ってもいい。
つまりこの状況がみんなにとってもベスト、ということ。
なのでほら、道中ちょっと酷い目に合っても最終的には帳尻は合うってね?
……そう告げたところ、Xちゃんからは悪人面過ぎますと呆れられてしまったのだった。
いやほら、ここで悪人面しとくとみんなのヘイトが調整しやすい……え?その辺はもうバレてるから対して変わらない?
なんでだ魔王だぞ怖がれよ?!