なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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座標を獲得したらすることは一つ

 補足説明も終え、改めて最後の目的地に向かうための準備をしている私である。

 

 

「……とてもそうとは思えないんだけど、これ一体なにやってるの?」

「んー?ゲートハッキング」

ゲートハッキング!?

 

 

 ……え?具体的になにやってるのかって?

 そんなの開いた穴にウイルスコアをぽいぽい放り投げているんですが?

 

 必要なウイルスコアを自身の隣に分け、他は全部食糧品に変えた私は、それらの調理を他の人に任せ、現在目の前の穴とにらめっこしながらコアを中に放り込んでいる最中。

 こう見えてとても忙しいのだが、生憎ゆかりんには理解できなかった模様である。

 

 

「仕方がないなぁ、その辺を理解するにはまずこの銀河の状況を知る必要がある、長くなるわよ?」

「いや短く纏めて頂戴」

「もー、ゆかりんはわがままだなぁ。……このままだと 銀河がヤバイ」

「まっったく説明になってないけど!?」

 

 

 これだよ()

 折角短く纏めたのにわからんとか言われたら、もう他にできることないじゃんね?

 ……え?短くというのは間をはしょることではない?ちゃんとその辺りも説明しろ?

 

 

「えー、折角知らない方が幸せに生きられることを知らせずにいたのに、その辺わざわざ突っ込んじゃうわけー?」

「……なんか今回の貴方、ところどころキレ気味じゃない?」

「はっはっはっそこに触れるのは本当に止めてくれたまえ」

 

 

 好きで秘密主義してるんとちゃうんやぞこっちは(真顔)

 

 とはいえまぁ、ここまで触れたのだから触れた部分くらいは喋っておくことにする私である。

 ……今触れてないところ?それを貴方が知る必要はないわ。

 

 

「なんでほむらちゃん……」*1

「その辺はまんまその言葉通りなので……」

「早くも聞かなきゃよかったって気分になってきたんだけど」

「その辺はもう諦めなされー。……んでまぁ話を戻すと、ゲートハッキングがウイルスコアを使ってできること、って言うのはわかるよね」

「まぁ、さっきも使用例に挙げてたものね、本来のって付くけど」

 

 

 はてさて、話を戻して。

 現在私がしていることはゲートハッキング……の、準備段階である。

 ウイルスコアを使ってできることは主に(本来)二つ、閉ざされたゲートを無理やり開く『ゲートハッキング』と、ハセヲ君達の持つ八相の力を宿した武器『ロストウェポン』の強化(と、それが終わった後のアイテムとの交換)。

 

 その二つのうち、今回私がやろうとしているのは前者であるわけだが……。

 

 

「このバグ世界に来る前のこと覚えてる?」

「……そういえば実感的には結構な時間が経過してるはずだけど、これ向こうに戻ったらどうなるの?」

「え、そこ気にするの?……バグ世界だからその辺は脱出したタイミングによるね」

 

 

 いやまぁ、なんやかんやこのバグ世界にも結構いるわけだから、その辺気になるのもわからんでもないけども。

 実際、描写として飛ばされてるだけで一週間くらいはここで過ごしていたような気もするし。

 ……まぁ、冷静に考えて一週間も表の下手人を放置してたら、相手の思惑ほぼ完遂手前だろう……って話でもあるので、そこら辺どうにかできるからこそ悠長にしてたんだ、とすぐ気付くのが普通のような気もするのだが。

 

 話を戻して。

 このバグ世界にたどり着いたのはほぼ偶然であったが、しかして今回のトラブルを解決するためにはここに来るのは必須、言い換えると必然だったということになる。

 

 

「それは何故かって言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってことになるわけだよね」

「……そういえばそんな話だったわね。でもそれだとハッキングがいるって話と繋がらなくない?」

「最初にも言ったけど、バグの影響を洗い落とす必要もあるからね」

「あ、そういえば」

 

 

 今回の事件の黒幕は、自身の周りを無限ループ空間で囲むことで、実質的に到達不可能になった空間に引きこもった存在であった。

 ……確か型月のキャラに似たようなことをしている吸血鬼(死徒)がいた*2が、そういう空間の中心にいる相手に会いに行くというのは並大抵の苦労ではない。

 

 じゃあどうするかというと、相手にたどり着くまでの道程を全てショートカットするのが一番早い、ということになるわけで。

 

 

「だからゲートハッキングってこと?……いやでも、このバグ通路直通みたいなこと言ってたような?ああいやバグの影響を落とすのに必要なゲートを構築してる……?」

「どっちも正解だよ、バグ世界は相手の喉元まで繋がってる」

「じゃあ、」

「けど、繋がってるのは喉元まで。逆に言うと、相手に触れることは叶わないんだよ。世界としての位相が違うからね」

「……あー」

 

 

 バグ世界と呼んでいるからややこしいが、そもそもこの世界の本質は表に対する裏……いわゆる裏世界なのである。

 そして往々にして、裏から表に干渉するというのは難しいもの。

 なので裏から表に出てくる必要がある、ということになるのであった。

 まぁ、表から裏に干渉する手段も早々ないので、そういう意味では安全性が担保されているとも言えるわけだが。

 

 

「なんで、まずは()()()()()()()()()()()()が必要ってことになる。これが一つ目ね」

「一つ目ってことは、二つ目以降があるってことよね?」

「その通りー。まぁ、それも既にここまでの話で触れてるからすぐわかるだろうけど」

「ええと……バグの影響を落とすため、よね?」

「そうそう。通るだけでバグをこ削ぎ落とすような仕組みがいるってわけね」

 

 

 なので、今私がやっていることは主に三つ。

 まずは表に出るための仕組みで、これは単純に裏と表を一時的につなげるためのもの、ということになる。

 ……無論、なにも考えずに単純に繋ぐと表の世界に裏の世界の影響が出る──表世界がバグるため、その辺の影響を与えないようにするための仕組みも一緒に組み込む形になるが。

 

 で、二つ目が今ゆかりんも触れたバグの影響の洗浄。

 ヘッダに間違いがなければデータは読み込めるものの、中身のおかしさ(バグ)は残ったまま……。

 分かりやすく言えば表面上病気になっているように見えずとも、体内にウイルスが潜伏していればそのうち発症する可能性がある……みたいな感じだろうか?

 それゆえ、表に出る前にバグの影響を一つ残らず消費し尽くす必要があるわけである。

 

 なお、それだとウイルスコアを原料にした食事はよくないんじゃないか、みたいな話になりそうだが……。

 それに関しては食事に変える過程、及び食べて血肉になる過程の計二回の分解行程が挟まれているため、結果としてバグとしての性質が残ってないので問題なかったりする。

 

 

「それを応用して、現在発生しているバグによる影響を何度か変換して正規のバフ効果にしようとしている、ってのが今やってることの一つね」

「なるほど……それで終わり?」

「あともう一つあるよー、表に出た時に裏でどんだけ時間が経過していたか、って部分の変更っていう先の二つより重要なことが」

「……あれ?そっちの方が重要なの?私はてっきり二番目が一番必要なのかと……」

 

 

 そして最後の三つ目、一番重要な調整である経過時間の改竄。

 これに関しては今回の話の中で、首謀者とされる人物が無限ループを設置した理由を思い出せば自ずと答えは出るだろう。

 

 

「……あー、そういえば時間稼ぎだったんだっけ?なんかこう、こっちの世界に来てからすっかり忘れてたけど」

「こっちはタイマー動いていないし太陽代わりの光源もずっと頭上だし、時間感覚が狂っても仕方ないね……」

 

 

 そう、時間。

 首謀者に時間を与えすぎると、相手が企んでいることが成就してしまう危険性がある。

 そのため、可能であれば拙速に相手の元へたどり着く必要があったのだが……はい、さっきゆかりんが言ってたように、私達ってばこの裏世界で一週間くらいは過ごしてるんだよね。

 普通に考えて、一週間も相手に猶予を与えてしまったのなら、余程相手が悠長に構えてない限りは目的達成してるよね?

 

 じゃあもう今の段階でおしまいじゃん、とならないのが裏世界の特徴。

 この世界ではタイムカウントもバグっているため、脱出するタイミングを調整することで表の世界から見た時の経過時間を自由に変更することができるのである。

 なんなら、タイミングさえわかっていれば表世界の過去に行くことも可能だったり。

 

 

「あら便利。……でも便利だけじゃ済まないのよねきっと」

 

 

 だってさっきの銀河云々の話と繋がらないもの、とはゆかりんの言。

 ……流石に鋭いと言うべきか、まさに彼女の言う通りで今回の問題にはまさにそのタイムカウントの乱れにこそその理由が詰まっているといえた。

 

 

「基本的には表から裏へと移動する際の時間の動きっていうのは特に同期しないんだけど、たまに同期するタイミングがあるのよね。その同期にも種類があって、表の時間に同期するパターンは問題ないんだけど……」

「ささらちゃんのとこみたいに、裏の世界に表の世界が同期するパターンがあるってこと?」

「そういうこと。んで、仮にそのタイミングが過去に戻るタイミングだったとしたら……」

「……世界全体が巻き戻る、と?」

「その通りですね……」

「  」(白目)

 

 

 そりゃまぁ、話も銀河規模になるというもの。

 というか、表に影響を残さず戻れるタイミング、というのが現状のゲートの乱数だと一秒に満たないうえに限られていたりするわけで。

 ……サイコロ降って一以外が出たらそこで死亡、みたいな話をしているとなれば、そりゃゆかりんだって白目を剥くに決まっているのだった。

 

 

*1
『魔法少女まどか☆マギカ』における暁美ほむらの(半ば)口ぐせのようなものである『その必要はないわ』から。心優しい鹿目まどかは事情を知れば必ず首を突っ込んでしまう、彼女の無事を優先したいほむらは関わらないで欲しい……そんなすれ違いが垣間見えるものでもある

*2
死徒二十七祖第二十七位、魔法使い一歩手前の大魔術師であり現在は南京錠の姿をしているという人物、『コーバック・アルカトラス』のこと。黒電話や携帯電話の形をした通信端末で他の人と会話しているシーンしかないが、ファンには意外と知られている人物。基本的には黒電話での出演である『fate/strange_fake』が有名だろうが、最近『FGO』で実装されたひびちかの原作である『まほうつかいの箱』での登場が本来の出番。なお、元々の二十七祖達が設定された旧作月姫の時点では今ほどお労しい設定じゃなかった、なんて噂がある()

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