なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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その肩にちっちゃな世界乗っけてんのかい!

 薄氷の上のトランプタワーみたいなもの、とでも言うべきか。

 

 崩れないように注意すべきものが多すぎるので、そのタイミング確認やらなにやらで唸っていたのがさっきまでの私だった、というのが前回のお話。

 これのポイントは、別に内容を聞いたからといって聞いた相手が手伝えることがなにもない、すなわち私に任せるしかないというところにある。

 

 

「結果、お互いに余計な心労を背負う羽目になるってわけ。相手は自分がなにもできないことに胃を痛めるし、こっちはそうして『成功させてよなにがなんでも』って念を受けることで胃を痛める……ほら、双方に良いことがなにもない(白目)」

「そうだけど……そうだけど……っ!!」

「やっぱり知らないよりは知っとくべきだと銀ちゃん思うわけ」

「えー」

 

 

 それで無知でいいんだ、ってならない辺りがあれだなぁ、と思う私ことキーアでございます。

 何故自分から苦労を背負(しょ)いこもうとするのか、コレガワカラナイ。*1

 ……え?苦労を背負いこもった上で隠してるお前の方が質が悪い?知らんな()

 

 ともかく、である。

 個人的には知は不可逆・知ってしまったということは知らなかったことに戻せないがゆえに、知らなくていいことは知らなくていい派の私としてはなんとも言いがたい気分であることは間違いない。

 

 

「その辺は、ある意味似たような立場であるゆかりんには分かって貰えるはずなんだよね」

「その結果がこの反応ってことか……」

 

 

 黒幕ムーブするような人は裏事情に詳しくなる理由がある、みたいな?

 私だったら【星の欠片】、ゆかりんだったら『境界を操る程度の能力』の効果によって、というか。

 ……まぁこの辺は纏まる話じゃないのでいい加減打ち切っておこう。

 

 そんなわけで話題を目の前のことに戻すと。

 現状、私が自前のスキマ的なものでやっているのはゲートとして使用するための調整であり、その目的は三つ。

 一つ目が表と裏を繋ぐこと、二つ目が通る時にバグの影響を洗い流すこと。

 それから最後に、通る際にタイムスタンプを正規のモノに変換し、変な同期を発生させないことである。

 

 

「裏から表に出るのが大変、ねぇ。あれか、なぞのばしょ的な?」

「ある意味的確な例えねそれ……」

「お、マジか」

 

 

 いつの間にか集まってきていた面々に、最低限必要なことを話しているわけだが……別に情報を再度確認してるとかではなく、単に調整が終わるまで暇なのでその時間潰しだったりする()

 ってなわけで、銀ちゃんが出したなぞのばしょの例えになるほど、となったのもわりと素である。

 

 なぞのばしょと表記されるそれは、ポケットモンスターのダイヤモンド・パール系列に登場する特殊な場所を指す言葉である。

 特定の操作などを行うことで向かえるそこは、プレイヤー以外が真っ暗闇で表示されるなにもない場所である。

 ……実際は一種のバグ空間であり、適切に扱えば本来行くことのできない場所にたどり着くことも可能なのだが。

 

 

「そっから元の世界に戻る場合、レポートを書いて一度電源を切る必要があるんだけど、それが今回の状況によく似てるのよね」

「なるほど、その心は?」

 

 

 そのバグが現在の私達の状況に似ているため、思わず感心してしまったわけである。

 ……で、その内容について聞かれたのでそっちの説明に移ると。

 

 

「まずレポートを書いて電源を切る、って部分。これは要するに裏から表に出るために必要なことなわけだけど、レポートを書くっていう取り返しの付かないことを挟まないといけないのが今回の話に重なるわけよ」

「あー……確か何処にでも行けるってのが文字通りなもんだから、レポートを書いた結果※かべのなかにいる※状態になって詰むことがあるんだっけか?」

「そうそう」

 

 

 ポケモンにおける『レポートを書く』とは、いわゆるセーブをすること。

 必然、それを行う前の状態に戻ることはできなくなるわけだが……なぞのばしょは前述通り、周囲になにがあるのかは判別できない場所。

 このバグを使う際は特定の場所に無理矢理突入するためであることが多いが、その場所を暗記してないと元に戻った際に動けない状況に追い込まれる可能性がある、というわけである。

 

 今回繋げようとしているゲートも、繋いだ時点でもう後戻りはできない。

 調整が長引いているのは時間のずれが起きない乱数までの待機時間が長いからなのだが……その辺は割愛。

 ともかく、下手なことをするとそこからの現状回帰手段がない、という点では似たようなものである。

 

 

「あと、好きな場所に行けるって点も近いわよね。このバグ世界も目的の場所に行くのにある程度移動する必要があったわけだし」

「言われてみれば……直接繋がっていなくとも、ここまでの移動に意味はあったのですね」

 

 

 それから、好きな場所に出られるというのも(結果的に)似ている、と言えるのかもしれない。

 あっちは目的となる場所の座標を暗記ないしメモっておかないといけないが、こっちは変数とか色々見た結果最適となる場所を探す、という形になってるけど。

 

 まぁそんな感じで、今現在私たちがやろうとしていることは『なぞのばしょ』バグみたいなもの、というのが大体あっているという話になるのであった。*2

 はい、時間潰ししたけどまだ目的の乱数まで時間がありますね!クソだな!

 

 

「代わりに乱数回してあげようか?」<ニュッ

「うわぁっ!?ゲーム系の話してたからって出てこなくていいよ!?」

 

 

 あと、乱数だ変数だなぞのばしょだと話題に出してたせいで、再びTASさんが顔を出してくることになったけど丁寧丁寧にお帰り頂きました。

 君がいると話がややこしくなるんだわ……()

 

 

 

 

 

 

 はてさて、相変わらず調整が長引いてる私です。

 ……いやまぁ、予想だとあと数時間掛かるから仕方ないんだがね?

 

 

「マジかよ、全然まだまだじゃねぇか」

「おっと、だからって暇潰しとか時間潰しに他所に行かないでよ?乱数とか変数とか言ってることからわかると思うけど、この状況で余計な行動するとその辺ずれて調整し直しになるからね」

「マジかよ……」

 

 

 なお、これでも大分調整した結果必要時間は大分短くなっており、もし仮にここから他のウイルスを倒すとか、はたまた下手に動き回ったりすると折角調整した乱数がずれて計算し直しになり、結果あと数日~数ヶ月待つ羽目になるので止めるように、と釘を刺す私である。

 ……どうでもいいけど、本当ならそういう調整もいらなかったんだけどね?

 

 

「ん、どういうことよ?」

「どうもこうも、これも君らが知りたがった結果だよってこと。意識して行動するのと無意識に行動するのでは回す乱数が違うんだよ」

「ええ……なにその仕様……」

 

 

 それもこれも、裏で調整してたのが全部パーになったからである。

 ……この世界における乱数相当のものの特徴として、無意識に動くのと意識して動くのとでは変化する数値が違う、というものがある。

 例えば気付かぬうちに行動している場合、変化する乱数が『A』というモノであった場合、乱数があると知っている状態の人間が変化させるのは『B』という別のモノに変化しているのだ。

 

 なんでそんなことになっているのか、というのはわからないが……恐らく、知っている時でも知らない時でも行動の結果を変化させないためなのではないか、と思われる。

 

 

「と、言いますと?」

「例えば何気なくコイントスをするとして、三秒待ってからやると必ず表になるとするでしょ?この場合、表を出したい人は必ず三秒待つようになるよね?」

「その場合、コイントスの結果は全体として片寄ることになりますね……」

「でしょ?だからその設定を知ってる人だけ、待つ時間が()()になったりするわけ。あと、これはあくまで『必ずそうなるタイミングがある』ってだけで、それ以外のタイミングでは変わらずランダムのままだから……」

「なるほど、表と裏の出る確率は総計して半々に落ち着くと」

「そういうことー」

 

 

 必ずそうなるというような事象があり、かつそれを利用することで有利になる状況がある場合、それを知っている人と知らない人の間では明らかな格差が生まれることになる。

 その格差を是正するため、知っている人用に別の乱数が存在するわけだ。

 

 ……まぁ、それ自体は別に悪いことではあるまい。

 運による要素を確定させてしまうようなモノがある、ということ自体に思うことがないでもないが、とはいえそれを無くすのが難しいというのもわからないでもない。

 なので、別に乱数が切り替わること自体に文句はないのだ、ないのだけれど……。

 

 

「その結果こうして余計な手間を掛けさせられてるとすると、ちょっと鬱屈とした思いが重なってくるのは仕方がないというかね?」

「な、なるほど?」

 

 

 なお、この辺は世界の裏側を見られること前提の話であるため、いまいち共感をえられず変な目で見られることとなった私なのであったとさ。

 ……いや、別にいいけどね?

 

 

*1
『ロマンシングサガ ミンストレルソング』の人気キャラクター(?)、カール・アウグスト・ナイトハルトの名台詞。特徴的な棒読み具合

*2
上記の通り、ダイヤモンド・パール系列において使えるバグのこと。特定の手順を踏むことで侵入でき、そこから実際の座標と同じ位置にまで進んでレポートを書くことで、目的の場所に無理矢理侵入することができる。このバグがあった為、ダイヤモンド・パールではゲーム内イベントの幾つかが(結果的に)ボツになった、なんて噂もあるほど。なお、フィールドの作り方が初代ポケモンと同じであると仮定する場合、フィールドにはプレイヤーが通常入れない箇所に『進入禁止エリア』があり、そこにプレイヤーが触れるとフリーズ・ないしデータが破損するようになっている。なぞのばしょバグではそれと同じくフリーズ・ないしデータの破損を引き起こすことがある為、基本的に使う場合は先人の知恵を頼る方が無難(恐らく進入禁止エリアを迂回するように進むため、細かい歩数指定がなされている)

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