なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……ええと、対ビースト戦闘、対処を開始します……?」
「あ、ダメだよマシュ。さっきも言ったけどこれに関しては銀ちゃんが一人で頑張るしかないんだから」
「なに無茶苦茶なこと言ってんのっ!!?」
ついいつのも癖で、対ビースト戦闘を始めようとするマシュを嗜める私。
今回のシュガーティアさん戦に関しては横槍厳禁、基本的に私たちは事の成り行きを近くで見守るしか許されてないんだから……ってことで、彼女を引っ張って部屋の隅っこに避難するのであった。気分はすみっこぐらしかな?*1
なお、当然のように前線に放っておかれる形となった銀ちゃんからは抗議の言葉が飛んできたが……いや、理由に関しては今さっきからずっと言ってるじゃん私。
「はぁ?!」
「シュガーティアさんは情報生命体。なんなら今も成長途中だから、下手に外界から刺激なんて与えた日にはとんでもない進化を果たすかもよ?」
「なにぃっ!?」
「我らとしては願ったり叶ったりだがな」
くっくっくっ、と笑う
……先ほども少し触れたが、シュガーティアさんは極論──言い方は悪いがゲーティアのなりそこない、みたいなものである。
あやふやな世界ゆえの確率論の無意味化による、荒唐無稽な現状の肯定によってその発生起因を得た彼らは、しかしてあやふやであるがゆえに確たる『個』を求めている。
その起点として選ばれたのが坂田銀時という『個』であり、それにまつわる様々な要素だったのだ。
「ゆえに、坂田銀時というキャラクターから辿れる要素ならなんでも網羅している。声繋がり、という形で色んなキャラクターを御柱として確保しているのも、ある意味ではその繋がりの延長線上だね」
「わけわかんねぇ……」
言い換えると、どこまで行っても『坂田銀時』というフィルターを通す必要性がある、みたいなことになるのだろうか?
単に声繋がりでキャラを引っ張ってくるなら、それこそレフ・ライノールにアクセスすればそれで事足りるのにそうなってない、という辺りにその事情が滲み出ているというか。
「……そういやそうだな。素直にあの天然パーマを使えばこんな小難しいことせずに、ゲーティアとかいう奴になれたんじゃねーのか?」
「だから、それが銀ちゃんのせいであり銀ちゃんのおかげ、ってこと。今の貴方、言ってしまえばソロモンと同じようなものだからね」
「それ俺やることやって消えるって言われてるようなもんじゃねー!!?」
そうならなかった理由は、ひとえにシュガーティアという存在自体が『坂田銀時』という存在ありきのものであったがため。
わかりやすく言えば『坂田銀時という存在が辿り得る未来』しか再現できない、ということになるだろうか?
……え?そのノリだと普通の銀ちゃんにも
思わず『ゑ?』みたいな顔をしている
シュガーティアの元となった情報は、それ単体では世界に影響を及ぼせないほど弱いもの。
必然、その干渉力を高めようとするのであれば、同時に自己を拡大していくしかない、ということになる。
その雛形として選んだのが『坂田銀時』である以上、
「……ここまで言えばわかると思うけど。ここに至るまでに銀ちゃんに降り掛かった困難と言うのは、言い換えると
「それ滅茶苦茶危ねーやつぅぅぅぅっ!!!?」
だから、彼らは『坂田銀時』から離れようとしていた。
様々な事象を引き起こし、彼らと『坂田銀時』との繋がりを可能な限り薄めようとしていた。
その結果として、ゲーティアの
すなわち、
「もっと雑に言うと『やっぱ坂田銀時はダメだな!こいつに変わって俺らがやらないと!』って言う言葉が成り立つように誘導してた、みたいな?例えばデザートプールに突撃してたらマダオ認定されてただろうし、私からの抱擁とそれによる周囲の嫉妬に気付かなかったら、見事鈍感・難聴系主人公の烙印を押されてただろうし」
「無茶苦茶やってやがるぅぅぅぅっ???!!!」
そのために必要だったのが、銀ちゃんをとにかく貶めることだった、と。
実のところ、『坂田銀時』というキャラクターとして見た時にここの銀ちゃんは
よくよく思い出して欲しいのだが、原作における『坂田銀時』というのは昼行灯系*2の──言ってしまえば平時はまるでダメなおっさん以外の何者でもない人物である。
それに対して、ここにいる銀ちゃんはどうだろうか?
新八ポジションの桃香さんこそ存在するものの、彼女も新八ほどツッコミ
それは見方を変えると、彼女がツッコミに終始しなくてもいいくらい、彼が昼行灯でないということの証左でもあるわけだ。
「まぁ、他人からしてみれば本当に?……って気持ちになるかもしれないけど。基本的には坂田銀時そのものだからね、銀ちゃんって」
「……あーでも、言いたいことはなんとなくわかるかも。もし仮にこの場に坂田銀時本人が──もとい、彼を取り巻く環境がそのまま再現されてたとすれば、さっきのプールなんて止める間すら貰えないのが当たり前、デザートを貪っている彼に対して
その理由として、彼が単なるボケだけの存在ではないから、というのが挙げられる。
……いや、原作の『坂田銀時』もツッコミくらいするだろう、と思われるかもしれないが。
ここの銀ちゃんの場合、本来の坂田銀時におけるボケとツッコミの比率が(仮に)半々だったとする場合、三対七とか四対六とか、ともかくツッコミの方が僅かに上回る形になっているのである。
その理由自体は、新八というツッコミ役がいないからそのお鉢が彼に回ってきている、という単純な話なのだが……見方を変えればその分人間として頼れる割合が高くなっている、という風にも考えられるわけで。
特に、さっきのデザートの話。
本来の坂田銀時ならば我慢するしないの話ではなく、その存在に気付いた次の
それに新八がツッコミを入れてギャグの完成、みたいな流れになるはずだ。
どっこい、ここの銀ちゃんは(色々前提があってこそだが)デザートに突っ込むことを我慢できていた。
無論、それに対するストレスが無いわけでもなかったし、そのストレスをシュガーティアが吸収してパワーアップするきっかけにもなったりしているものの……。
「言い換えると、銀ちゃんを見限るきっかけにはなってない、なんなら銀ちゃんのストレスを吸ってるから寧ろ繋がりが補強されてる形になってる、というか?」
「言われてみれば確かに……」
とまぁ、シュガーティアの思惑的にはまったく嬉しくない方向に進んでいた、言い換えると彼の野望を阻止できていた、ということになるわけである。
……そしてこれにはもう一つ、とても重要な意味合いが含まれており──、
「大雑把に言うと、現状シュガーティアは銀ちゃんにしか倒せない……言い方を変えると
「それやっぱり俺天に色々返して消える役回りじゃねー!!?」
「違う違う、そっちは『銀ちゃんが倒すきっかけになる』で今のは『銀ちゃんが倒せる』、意味合いが全然違うよ」
「正直よくわかんねーんだけどぉぉぉぉ!?」
むう、わがままな。
仕方がないので説明延長である。
律儀に待ってくれてるシュガーティアさんに感謝するように、と告げつつ伝えるべきことを脳内で纏めだした私なのであった……。