なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、シュガーティアさんを放置するのは(銀ちゃんの風評的にも)よくない、というお話をしたわけだけど。
無論、話はそれだけでは終わらない。
彼にしか打倒できない、というのがどういうことなのか、もう少し理解して貰う必要があるのだ。
「……もう既にキャパオーバーなんだが、これ以外にまだなにかあんのか……?」
「あるよー、一番大事なのが。──これから始まるのは己対己、本来ならば決して決着の付かないものである、って言うのがね」
「……ゑ?」
それが、本来ならばこの戦い、
なぜならば、相手が違うものになろうとして暗躍していた存在であるがゆえ、基本的に決着が付く時というのは互いに倒れるか、はたまた戦いが続行するかしかないのである。
「わかりやすく言うと、ステータスがまったく同じだから相討ち以外ない……みたいな?まぁそれだと『決着が付かない』とはならないから、より正確にいうと互いの攻撃が打ち消しあう・相殺するからって感じになるんだけど」
「……詰みじゃねぇか!?」
周囲の人間からはダメージを与えられない・もしくは仮に与えられても両方に均等にダメージが入る形になるので実質殴れない。
かといって、本人達に殴らせると攻撃が相殺しあって決着が付かない……。
まさに八方塞がり、両方共殴り倒すが正解なんじゃね、と短絡的な答えを出してしまいそうになるレベルな話である。
「いや止めろよ?絶対に止めろよフリじゃねぇからな?」
「いやそんなに止めなくてもやらないわよ。っていうかまだ話の途中だってば」
「あん?」
「言ったでしょ。
「……確かに」
とはいえこれは、あくまでも前提のお話。
シュガーティアさんの野望をただ止めただけだと、実質的な詰みセーブに陥るので回避しなくちゃいけなかった、という単なる説明である。
「シュガーティアさんの目的を達成させないための行動以外にも、この状況になった時に勝ちの目を作るための情況があった、ってこと。……じゃあそれを踏まえて、それに該当しそうなものはなんだと思う?」
「え?えーと……」
デザートプールは違う。
これはもろにシュガーティアさんの目的のための過程であるため、これは回避することが推奨されるものだ。
じゃあ私に抱擁されたことは?
これもまた違う、シュガーティアさんの誘導をそこはかとなく無視・ないし軌道修正するためのものなので、これによって銀ちゃんに有利な効果が得られるわけではない。
……が、実のところこの行動を
「……んん?」
「抱擁の結果が誘導の回避なら、そもそも
「そんなん、裏世界から出る時に変な乱数引かないようにするため……あ」
そう、あれをする必要性ができたのは、【虚無】無しで細かく変動する様々な数値を視ることが、私には不可能に近いものだったため。
いわば彼に
「シュガーティアの発生タイミングが『アクアがプールを増やした時』ということは、必然彼の構成要素は
「ま、まさか……?!」
「まさかもまさか、よ。そもそもの話、
「た、TASさーん!!?」
そう、今現在
乱数を視る目だったり、はたまた明らかに切れのいい動きだったりを彼にさせられるようにしてくれた立役者。
「なるほど、一番キツいし必要なさげに見えてたけど、その実一番必要だったのはあの女の修行だったってわけねー」
「あれないと本当に詰みだったろうからね。……いやまぁ、他のも全部必要ではあったんだけどさ?必要性の方向が違うというか」
表でのあれこれがシュガーティアさんの目的阻害のためのものであるならば、裏のあれこれは単独の意味に限らない様々な目的のためのイベントだった、というか。
抱擁については触れたから他のに触れると、例えば三匹のお供はバグ世界そのものの攻略のために必要なもので、そこで出会うことになったバグの【星の欠片】はこの世界からの脱出のために必要だった、というか。
「あれ?あの世界の作成者ではない、って話じゃなかったあの人?」
「制作者ではないけど、
「……どういうこと?」
「乱数乱数ってうるさくいってたでしょ?あの人の所在をちゃんとしとかないと、見えないところでなんか変な乱数がずっと回り続ける、みたいなことになりかねないのよ」
「ええ……?」
あれだ、スイッチが入っている間は止まってるけど、そうじゃない場合はずっと定まらない数値を回し続けている装置……みたいな扱いというか。
なので、彼女を見付けられてないと仮にバグお供三匹を見付けて最奥に向かったとしても、乱数調整のタイミングで永遠にやってこないタイミングを待ち続けることになる、みたいな?
「怖っ!?」
「そうそう、怖いのよあーいうの。……ウイルスさんもそうだけど、居るのに見付けられてないと知らない間に【星の欠片】の影響が出てる、なんてことになりかねないから」
ただでさえ、バグ世界ではその辺の相手に対する感知能力が(迂闊に【虚無】を使えないので)落ちている私である。
気付ける時にしっかり気付いておかないと、後で痛い目を見るのであれもまた必要なことだった、という話になるのであった。
「あと、見つけることでこっちから行動を左右できる、ってのもポイントだったり」
「……そういえば、あの子こっちに来てないけどどこ行ったの?」
「『星女神』様のとこに行って貰いましたがなにか?……いや、バグの【星の欠片】でしょあの人。──ゲーティアってバグじゃん?」
「あっ」
……まぁ、うん。
あの人が居ない、すなわち関わらないことによりバグの発生確率が落ちる、みたいな効果があるという風に解釈してもいいかも、みたいな?
アクアがプールを増やした結果銀ちゃん達が増えたのも、極論彼女のせい──正確には
……じゃあもっと早いうちに帰って貰えばよかったんじゃないのか、って?
「その場合こっちに有利なバグも使えなくなるので……」
「ああなるほど、バグ世界から戻ってこれないとかならまだいい方で、そもそもバグ世界を使えないからゲーティアないしシュガーティアさんのところにたどり着けない、なんてことになりかねないのね……」
「そういうことですね……」
その場合、バグり辛くなるのでゲーティアがほぼ成立しなくなるものの、今度はこっちもバグが使い辛くなるので結果としてシュガーティアさんのところにも行けなくなる、みたいなことになりかねなかったりする。
無論、私が【虚無】れば行けるけど、その場合は乱数が……ってやつである。
あとついでに言うと、TASさんが出てこれたのも元はと言えばバグのお陰なので、今しがたシュガーティアのラッシュを冷静に捌きながらカウンターを入れた銀ちゃん、みたいな勝ち筋の確保が難しくなるという面もあったり。
「……うん、改めて見てもバグに始まりバグに終わった話だった、って感じだね今回の話」
「きっかけ自体がこの聖女様が
「俺の、勝ちだ!」
「ああ、そして私の、敗北だ」
総括、バグなんてもうこりごりです。
背後で自分(?)との戦いを制した銀ちゃんと、それを受けてなにやらエモいっぽいやり取りをしているらしいシュガーティアさんと桃香さんになんとも言えない思いを抱きつつ、割れていく