なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……なんか今大前提を崩された気がするんだけど」
「唐突になに言ってるの?……そういう話題逸らしはいいから、いい加減こっちの相談に乗ってほしいんだけど?」
まったく、どこからか電波を受信してる場合じゃないわよ?()
……それはともかく、話を戻すと。
非・人間型の同居人も増えてきた今日この頃、CP君の交遊関係をもう少し広げてもええんじゃなかろうか?
という、半ばお節介に片足突っ込んだ感じの相談を銀ちゃんのところに持ち込んだわけだけど。
「……お節介だと思ってるんなら止めときゃいいじゃねーか」
「とは言われてもねー。今でこそあんな感じだけど、元を正すとああして引きこもることを推奨したっていうか強制したのは私とかゆかりんみたいな『偉い人』なわけでして……」
「なるほど、本来もっと自由であったはずのものを、自身達の都合で制限したことへの後悔を含んだものである、ということか」
「まぁ、固い言い方をするとそうなるねー」
……当初、CP君の存在と言うのは貴重かつ危険物のようなものであった。
なにせ、彼女は現在でもまだ珍しい【複合憑依】、かつ当時はこちらで確保できた唯一の例。
となれば、必然その行動には様々な制約が振り掛かることとなったのである。
……まぁ、当時の彼女がわりと愉快犯というか、どちらかと言えばトラブルメイカーの類いであったことも制約が強まった理由ではあるものの。
「だからってそこから彼女に課せられた生活が正当なものだったか、って言われるとちょっと困るのよ。思うだけなら原則罰せないのが基本でしょ?」
「明らかにヤバイやつなら他の案件でしょっぴかれるのが常だけどな。……けどまぁ、言いたいことはわかる。ある意味軽い軟禁みたいなもんで、その生活に慣れるうちに他者との関わりを必然的に諦めたんじゃなかろうか、って心配してるってところだろ?」
「……まぁ、そうね」
警察でこそないものの、実際なりきり郷内において強権を持つ、と考えてもおかしくないのがゆかりんや私である。
となれば、それらの決めたことに逆らってなにかをしようとする、というのはある種国家権力に逆らうようなもの、という風に解釈することもできる。
となれば、例え自由を侵害されていたとしても、それに文句を言うのは中々に難しくなるだろう。
なりきり郷は半ば治外法権のようなものだからなおのこと。
……ゆえに、制限された状況に諦めと慣れを得て、新たな繋がりを持とうという思考すら失ってしまったなんてパターンもなくもないわけで……。
……え?それにしてはCP君密かに好き勝手やってないかって?
「そうそう、だからいまいちそっちの言葉に共感できねーのよ。いや、真面目に必要ないからいらない、って言ってるだけなんじゃねーの、って感じと言うか」
「仮にそうだとしても、私としてはCP君に交遊関係を増やして欲しいんだよ……!」
「そりゃまた、なんで?」
「私以外も弄れ!」
「唐突に本音が出たぞ」
いやまぁうん、この辺はもっともらしいことを言ってるだけ、というのは本当の話。
この話題の真の目的は、
だってほら、思い出してみるだけでも『マジカル聖裁キリアちゃん』だのたまにドアの前にそっ……と置いてあるコスプレ衣装とか、こっちが申し訳なく思っていることを逆手に取ってかなり好き勝手しているというか……!
「いやまぁ、悪いの最初に無理矢理捕まえた私だけどね?!けどそっから暫くして制限を解除したのにも関わらずまだ自分は制限を受けてますー、みたいな動きをするのはちょっと問題でしかないというか!いやまぁ本気で全部制限解除、ってのはできないのも本当の話だけどさぁ!!!」
「あーなるほど……常識の範囲内での自由は認めたけど、常識の範囲外の自由が制限されたままなのを誇張して喧伝してるってわけか……」
「中々に強かな相手だな……」
物は言い様、というのか。
制限が百パーセント解除されていないことを指して『わかってるわかってる、ボクは自由に動くべきじゃないんだよね?』みたいな顔して、殊勝そうな顔で部屋に戻っていかれるとこっちがなに言っても周囲には伝わらないじゃんというか。
実際百パーセントの自由ではないわけだし。
けどそれって、要するに『本来法律や道徳の面からやっちゃダメです』ってなってることを『自由じゃない』と言っているようなもので、その実そこが自由でないことはまったく問題じゃないはずのものなのだ。
にも関わらず、制限している側がそこを否定しようとすると変なことになるというのだから、権力なんて本当の意味ではパワーがないのだと項垂れたくなっても来るというか……。
……ともかく、である。
常識の範囲では自由を認めているのだから、それをちゃんと享受してくださいというのが私の主張。
そのついでに他の人とも交流をして『可哀想な囚われ人』じゃなくて『ほっとくとなにしでかすかわからないヤバイやつ』って風に周囲の認識を変えて貰いたい、切に。
「健全じゃないじゃんこの関係!この件に関してはマシュはあてにならんしさぁ!」
「む、何故あの娘が役に立たんのだ?基本的には頼りになる相手、というイメージしかないのだが」
「ほら、あの嬢ちゃん尊敬する先輩についてのことだとわりと暴走すんだろ?ここのも同じでCPのやつから買収されてんの」
「……そんな色彩でいいのか」
そのツッコミは色々とアレでは?
……まぁともかく。被害者を気取る加害者以外の何者でもないCP君を成敗するために力を貸して欲しい、と当初の話とは百八十度ひっくり返った形の依頼を改めて出し直した私なのであったとさ。
「言いたいことはわかったんだけどよぉ、正直難しくねーか?他人と関わるか否かとか、結局は本人の気持ち次第じゃねーか」
「そうだよ、だから基本的には私をいじめること以外に目を向けてくれればいいんだよ」
「随分と情けない話になってきたな……」
やかましいわ(真顔)
お前に私の気持ちはわかるまい、暫く静かにしてたなーと思ったら、いつの間にか『キリアちゃん』の二次創作染みた話が進行中だったのを知った時の絶望感は……!
「え、なにそれは」
「キリアちゃん自体が二次創作みたいなもんだけど、進行中の方はもっとヤバかったんだよ……」
はぁ、とため息を吐く私である。
……うん、あくまで主役だけど脇役・引き立て役を貫くキリアちゃんに対し、進行中のそれ──『次元救世主キリア』の方は、なんというかこう出来の悪い二次創作を思い出して寝込みそうになる類いのものだったのである。
「出来の悪い二次創作?」
「……一昔前のやつ、って言えばいいのかな。例えば魔力ランクがSSSでレアスキル持ってて戦闘力が高くて美形の銀髪で」
「あ゛ー!あ゛ー!!止めてくれ聞いてるだけでサブイボが!!?」
……なんでああいうのって、銀髪大好きなんだろうね……(白目)*1
思い出して貰えれば助かるのだが、私の髪色って昔桃色今銀髪なんですよね。
ついでに言うと、わりと蹂躙系の要素とかも見出だせなくもないんですよね。
……その結果なにを思ったのか、キリアちゃんポジションに蹂躙系オリ主突っ込んだ悪ふざけが企画されていたのである。
流石に地上波に流すようなことはせずにネット限定っぽかったけど……それでもんなもん企画自体すんなし、と言いたくなるのは間違いあるまい。
CP君的には『なにごとも試してみるものだよ』と軽い感じだったけど……いや、モデルにされてる人のこと考えてくれないですかね???
そんな感じであれこれ言って止めさせたんだけど……その時にすら『仕方がないねボクには自由がないからね……よよよ』みたいなノリでこっちの罪悪感を刺激してきたものだから、結局別方向に譲歩する羽目になったし……。
「なのはちゃんがすっごい引きつった顔してたよ」
「oh……」
え、譲歩ってなにしたのかって?
改造管理局制服みたいなの着せられて写真撮られましたがなにか?*2
基本的にインスピレーションを得るためのうんたらかんたらって話だから、こうして実物を拝めるのが一番とかなんとか言われたっけ……(遠い目)
なお、その写真はマシュに流れてごく一部に流出したそうで、ある日たまたま出会ったなのはちゃんに『心中お察しするの……』と肩ポンをされたんですけど泣いていいですか()
「実害出てるじゃねーかと言いたいところだけど……マシュが向こうの味方ならなんとでも言いくるめられてそうだな……」
「怖い」
「
わりと尊厳破壊なんじゃねーかなこれ?
……とまぁ、マシュに関わる話はとりあえず横に置いておくとして。
「とにかく、あの傍若無人の存在をなんとか、なんとかギャフンと言わせたいんだよ私は!なにか知恵を頼む!」
「もう最初の話完全にどっか行っちまったなー」
ははは、と遠い目をしながら空笑いする銀ちゃんにすがりついて、私は必死に助けを求めるのだった。
命には関わらないけど尊厳には関わるんだよぉ!!