なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……そんなわけで暫く会議を続けたところ、CP君が思わず声掛けを我慢できなくなるような相手を用意するのが一番早い、ということになりましたー」
「いや字面の犯罪臭よ……」
「児童誘拐系の笑えない話に聞こえて来ましたね……」
そこら辺深く突っ込むとそもそも私の見た目が児童だ、ってことに触れなきゃならなくなるから止めよう(真顔)
……ってわけで、彼女が好む魔女っ子系の服装が似合いそうな相手を見繕って引き合わせる、というのが現状一番成功率が高い話なんじゃないかなー、ということになったのでした。
なったんだけども、うん。
「……それってCP君の好みを完全に把握する必要があるとか、そういう感じの方向の話だよね?」
「そう……なりますね?」
「わかんなくね!?」
「そうなりますね」
「言葉は同じなのに反応が明らかに違う!?」
それ、結局やることがわからん、って言ってるのと同じなのではなかろうか、ってキーアん思うわけ。
いやだってねぇ?
この話って結局のところ、CP君の隙を付いてクリティカルヒットな相手をぶつけることにより、彼女の余裕を奪い反応をおかしくさせる……みたいな方向性のものになるわけで。
ってことはだ、相手の好みすぎて思わず衝動的にならざるを得ない相手、なんて極論相手に聞いた方が早い……もとい、相手に聞かないとわからないものでしかないというか。
「いやまぁね?本人の気付かぬ熱い思いが胸の奥底に眠ってて、それを刺激しなきゃいけない……みたいな話だと相手に確認しても無意味だったりするけどさ?」
「今回の場合はそっちのような気が強くしますしね」
「だよねぇ!?どっちにしろ相手のことを深く知ってないと成功しないタイプの作戦だよねこれ!?」
そもそも衝動的に行動をさせようとなると、日頃から狂信的に熱狂しているとかでもない限り、基本的には胸の奥底に眠る隠れた嗜好を掘り返す……とかでもしないと不可能だろう。
今までのCP君を思い出せばわかるかと思うが、魔法少女に熱を上げている……ように見えて、どことなく冷めてもいるのが彼女である。
言い換えると、衝動的に行動するようには(とてもじゃないが)見えないのだ。……え?衝動的じゃないだけの問題児だろうって?それは……そうね。
ともかく。
今回の話が大雑把に言うと『私だけではなくお前も罪悪感を覚えろ!(超意訳)』的なモノである以上、強い衝動に動かされるというよりは弱い衝動を我慢しない・溜め込まないので爆発しないCP君相手だと、どうしても話の難易度が上がってしまうわけで。
そりゃもう、どうしたものかと頭を抱えるのも無理のない話なのであります。
「……いや、ブリッジしながら頭を抱えるのは止めろや!怖いわ!?」
「脳が震えるというか、真剣に苦悶してるのがわかりやすくていいでしょ?」*1
「わかりやすすぎて怖いって感想しか出てこねぇんだよ!?」
んもー、人が悩んでるのにああだこうだとうるさいなー。
仕方がないので苦悶のポーズを止め、素直に席に戻る私である。
……そうやって騒いだことで一つ解決策が思い付いたのは良いことかな?
「……あ?解決策?」
「そう、解決策。……まぁ、個人的にはすっっっっっっっ…………っごくやりたくないんだけど」
(溜めた……)
(滅茶苦茶溜めましたね今……)
ただまぁ……うん。
正直なところ、確かに解決策ではあるんだけど極力選びたくないというか、可能ならこんな解決策を思い付きたくなかったというか……。
とにかく、色んな意味で使いたくない類いの手段だったので、思わず顔がしわしわピカチュウみたいになる私である。今ならしょぼしょぼフリーレンでも可。*2
「ただねー、正直現状だとそれくらいしか解決策が思い付かないのも本当の話でねー。いやーなんというか『星女神』様の陰謀を感じるわー」
「……なんか最近都合の悪いこと全部『星女神』とやらのせいにしてねぇかお前?」
ソンナコトナイヨー?
……冗談だと否定しきれないのが面倒なところ。
いやだってねぇ、この状況の解決策なんてそう多くなく、かつその解決策に彼女が関わっているとなれば、そりゃ思わず彼女の誘導を疑わずにはいられないというか……。
「あなたがそう言うということは……あれです?『星解』とか言うやつ」
「それって確か、現在世界に溢れる因果を一度解きほぐす……とかいう意味のわからない類いのやつですよね?」
「言い方ぁ」
「ついでに言うと単にほぐすだけだからほっとくと元に戻るのだ。結果だけ見ると意味のない行動にしか見えないのだ」
「言い方ぁ」
うん、流石に最近頻発しすぎたせいか、どういう効果なのかみんなに知れ渡ってやんの(遠い目)
「その上で言わせて貰うけど、今回使おうとしているのは『星解』ではありません」
「ありゃ?」
「理由は今しがたゴジハム君が言った通り、それだけだと結果なにも変わらないからです」
「なのだ?」
……ただまぁ、その頻発に今回が加えられるのか?
と言われるとノーと答えるしかない私である。
理由は単純、今回の場合本気で意味がないからである。
「『星解』がやることは因果を一度離れた、という状態にすること。わかりやすく言うと因果を対象とした無重力空間化みたいな感じ?それそのものには因果を操作する効果はないから、仮にそのまま解除すると重力が復活して元いた場所に物は落ちていく、というか」
「あーなるほど。CPのやつの衝動を探るって話だと真面目になんの意味もねぇのか」
「一応、その時抱いている興味とかを一時的に消すのには使えるけどね、そういうのも因果ではあるし」
無論、元を断たねば元に戻るだけなので意味はないのだが。
今回の場合、例えば『星解』で私に対してCP君が無茶振りしようとする気持ちを霧消させたとしても、その原因となる部分が解消されてないので結局また同じ事を繰り返す羽目になる……みたいな。
無論、因果が宙ぶらりんになっている時に別のところに繋ぎ直すことで矛先を変える、という手段も使えなくはないが……。
「その場合、本当の意味で単なる身代わりにしかならないから却下というか」
「……なるほど?」
関係性の変化ではなくスライドになるため、その場合私とCP君の繋がりがそのまま別の誰かのモノになるというか。
実態としては別、と前置きしてわかりやすく説明すると、『CP君を捕まえたのが新しく因果を繋ぎ直した相手ということになる』みたいな感じだろうか?
いやまぁ、わかりやすさ優先の説明なので実態とはかけ離れているのだけれど。流石の『星解』でも過去改変まではできんし。
「記憶の書き換えだと意味が変わるから……記憶の増設・上塗りって感じ?元々の因果はあるけど、それより見えやすくわかりやすい位置に新しい因果が継ぎ足されてるというか」
「……とりあえず、すさまじくエグい話をしてるってことだけはわかった」
「まぁ……はい」
肉の芽突っ込んで友達になろうとしているのと、方向性的には近いと言うか。*3
そんなわけなので、私としても【星の欠片】の一人としても、そういう方法は端から却下。
思考に入れることすらあり得ない類いの選択肢、ということになるのであった。
「……あれ?じゃあ思い付いた対策というのは?」
「それはねー、とりあえず見せた方が早いから実践するね」
「はい?」
そもそもそれ以外選択肢無さそうだし。
……ってなわけで、やりたくないけど準備をする私である。
と言っても別に特別なことをするわけじゃなく、
「よっと」
「!?」
こうして、
コツしては開き窓を開く時のように躊躇をしないこと、である。
「ちょちちちょちょちちちょちょちょ、いやまてまてまてなにしてんだお前いきなり死ぬの死ぬのか死ぬ気なのかあまりの屈辱についに死を選ぶ気になったのか!?」
「あわ、あわわわわわわわわわきゅきゅきゅ救急車!救急車を至急用意しててて」
「ええぃ、落ち着かんか貴様ら!血も出てないんだからなんか変なことしてるなー、ってことくらいわかるだろうが!?」
なお、流石に行動が突飛すぎたのか、一部の人間が恐慌し始めたのは流石に反省ポイントである。
……でもまぁ確かに、見た目的にはスプラッタになりそうなあれなのでビックリする、ってのはわからんでもない。
内側からか外側からかの違いだけで、結果だけ見るとチェストバスターされてるようなもんにしか見えんからね、これ。*4
とはいえやろうとしていたことを予め
ともかく、胸を開いたことで露になったのは、その奥に続く底無しに思える黒い穴。
そして、その穴から出てきたのは、
「……おや?もしかしてお呼ばれした感じかな?」
「はい?」
不思議そうに彼らを見つめる、CP君その人なのであった。