なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……え、なにバカなのお前?さっき自分で言ってたことも忘れた感じだったりするの?」
「──ふんっ!」
「首がっ!?」
「なんで一言発する前に止まれなかったんですか銀時君……」
はてさて、唐突に私の胸からCP君が出てきたせいで、さっきのチェストバスター云々の例えが若干笑えなくなってきた今日この頃。
その一連の流れを見た銀ちゃんはというと、冷静にこっちを罵倒して来たので遠慮なく制裁しておきましたとさ、めでたしめでたし。
……冗談はともかく。
まぁ確かに、状況だけを見れば『なにしてんの君』という感想が出てくるのは仕方がないと思う。
だって今の状況、『対策を練っている相手を何故か対策会議に呼んできた』みたいなものとしか言い様がないんだもの。
「なので、自ずと答えもわかると言うもの。はい銀ちゃん、この状況の真なる概要は?」
「え?状況が絶望的過ぎるから諦めて本人にお願いする気になったとか?」
「ふんっ!」
「三百六十度っ!?」
「なんで銀さんは発言する前に一度推敲するってことができないんですか……」
天丼は止めたまえ(真顔)。*1
あと一応注釈を入れておくけど、いくらギャグ世界の住人とはいえ首が完全に一回転したら普通に死ぬので、この辺は無駄に【虚無】を使ったお仕置き用の見た目だけエグいやつである。
普通の人がやったら普通に死ぬので真似しないように。
「いやここまでされる謂れはないと思うんですけどぉぉぉっ!?明らかな過剰ツッコミの類いだと思うんですけどぉぉぉっ!?!?」
「いいや順当な結果だね。今のは二回ともまともに答える気がないの丸わかりだったからね(ジト目)」
「……ど、どうやってまともじゃないって証拠だよ」
「ブロント語っぽくなってる時点で語るに落ちてるんだよなぁ……」
なお、ここまで(見た目)過激なツッコミを多用したのは、ひとえに彼がまったくこれっぽっちもまともに答える気がないのがひしひしと伝わってきたから、という部分もなくはなかったりする。
……いやだってねぇ?彼の顔見ればわかるんだけど、真面目な顔じゃなくて銀魂でふざけたこと抜かす時のギャグ笑顔だったんですもの。
端からツッコミを受けること前提の言葉しか吐く気がなかったんですもの。……そりゃお望み通りツッコミますよ、ってね?
なので、お望み通りのツッコミが飛んでいったことに感謝されることはあっても、こうしてキレられるのは正直そっちのが不義理でしょうという感じになるというか。
ってか見た目が痛いだけで、本人的にはまったく痛くないようにしてあるから、仮に返ってくるにしてもリアクション芸人の
そんなわけで、本題に入る前に「どうなってんの?」と銀ちゃんを詰める必要が出てきてしまった、というわけなのである。
「……そもそもキーアの方も銀ちゃんに暴力ヒロインムーブ仕掛けるの楽しんでる節があるのだ?」
「……止めよっかこの話!」
「そうだな!」
おっとゴジハム君からツッコミが。
このままだと男友達同士が変な遊びしてただけってことがバレてしまうのでこの話はなかったことにしようそうしよう()*2
ってなわけで、ここまでの流れは一度無かったことにして、改めて銀ちゃんに尋ね直す私。
「この状況の真の概要は?」
「大方【星の欠片】云々で作り出した本人のコピーとかだろ?本人から聞くっつーか、本人の反応を見ないとわからねぇような部分に話が及んだから、その辺上手く解決するにはそれしかねーってなった……みたいな」
「うーん、概ね正解だけど一部間違ってるなー」
「あれー!?」
なお真面目に答えた結果、微妙に間違う銀ちゃんである。
……とはいえこれに関してはある意味仕方のない部分もあるというか。
よくよく【星の欠片】を知らない人間が答えとして出すのならこうなるしかないだろう、みたいな答えだったので寧ろ及第点ではあるというか。
そんなわけなので点数としては繰り上げ合格、その上で間違った部分だけ今後のために添削する、という形で進めさせて貰うと。
「コピーじゃなくて正真正銘本人だよ。……まぁ、
「……はい?」
コピーじゃなくて本物、というのがここでの答えになるのであった。
並行世界、という概念がある。
ここではない、しかし確実に存在する『
その世界はこの世界とのなにかしらの差異を持つものの、それ以外は変わらぬ要素を持っているとされているわけだが……。
「並行世界をコピーとは言わないでしょ?どっちかが本物でどっちかが偽物、ってことになると『あり得た世界』にはならないというか」
「……いや、『あり得た』ならそっちの方が偽物なんじゃねーの?」
「別れた枝はどっちか偽物だったりする?もっと言えば、剪定された枝はその場で消えたりする?」
「……しねぇな」
「並行世界ってのはそれと同じなのよ。枝分かれする前の根元部分は確かにあるけど、そこから他の枝を取ったからといってそれはそっちの枝が偽物、ということにはならない。
本流の世界からすると『選ぶ価値がなかった』とか単に『選ばれなかった』とはなるけど、それがイコール相手が自身のコピーであり、コピーだから無価値だった……とはならないというか。
価値を判断する際の基準が別物なので、結果として似てるからといって過程までも同じではないという好例になる……みたいな感じだろうか?
……まぁともかく、今ある世界とよく似た別の世界という考え方が並行世界の基本である、とだけ把握しておけばとりあえずはいいんじゃないかなー。
「それを前提においた上で。私達【星の欠片】は微細数──少なすぎるがゆえに色々とおかしなことを起こすようになった不可思議存在だけど、そのおかしなことの一つに
「……ふむ?」
その上で話を戻すと。
私達【星の欠片】は、原則的に各々が世界を内包している存在である。
……個人の精神内を擬似的な世界と捉えるとかそういう話ではなく、誤解を恐れずに言えば
「例えば私達は無限数、多くのものが集まって一つの個を──個というラベルの貼られた群をなすものだけど。これをさっきの話と合わせると私達は無数の世界を抱えている、ってことになるのよね」
「……なんて?」
「無数の世界を抱えてる、よ。まぁ全は一で一は全なんだから、大きな個も小さな個も各々が世界を内包してるってのはある種当たり前の話なんだけど」
フラクタル構造にも引っ掛かる話というか。
大きなものを拡大すると、小さな部分の見た目というか構造が大きな状態のそれに近似する……みたいな話のそれは、よく人体構造が宇宙のそれに似ている、みたいなものとして挙げられる概念である。
私達【星の欠片】の場合、その人体と宇宙の類似性が
結果、概念的にも
「それを【偽界包括】って言うんだけど……これ、それだけだと特別意味のないものなんだよね」
「ここまで語っておいて?!」
「ん、ここまで語っておいて。さっきの個人の世界云々の話に戻すと、形は類似していてもそこに干渉した時にどういう結果が出るのか、って部分はまったく違うからね」
それこそ『セカイ系』みたいな、個人の干渉が世界に波及する特殊な状態でもない限り、個人の中の世界は個人で解決するもの、というか。
ゆえに、一般的?な【星の欠片】の持つ【偽界包括】は、そのままではなんの意味も持たないただの付随物、ということにしかならない。
「どっこい、ある程度の──具体的にはキリアとか『星女神』様みたいな、いわゆるトップ層の場合は話が違ってくる。文字通りに世界を──この場合はミニチュアの、中で実際に色んな人が暮らしている世界を内側に持つ、なんて話になってくるわけ」
「……???」
ところが、である。
ある程度の──わかりやすく言うと実際の【偽界包括】より小さな存在である場合*3、その【星の欠片】が
「わかりやすくいうと、このCP君は私という世界の中で暮らしているCP君本人、ってこと。……わかりにくかったら私がCP君をエミュレートしたもの、みたいな認識でもいいよ」
「な、なるほど?」
「そういうわけだから、よろしくね」
長々と語ったが、つまりはそういうこと。
本人とほぼ同一の存在である彼女から話を聞いて、本人への対策を練ろうというのが私の出した答え、という形になるのであったとさ。