なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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三十四章 物事は大抵思い通りにはいかない
本格的な夏だけど蚊は見ない


 はてさて、日付は八月に入って本格的な夏……なのはいいんだけど。

 

 

「外の空気が死にそうです」

「その言い方で誰かが喧嘩してる、ってわけじゃないのがある意味地獄を加速させているわね……」

 

 

 なんやねん最高気温四十度越えって。

 室外機とか場合によっては四十三度とかしか耐えられんから普通に壊れるぞこれ?*1

 海外の熱帯の方じゃないんだから、と思わず溢してしまう気温の高さに、思わず唖然としてしまう私たちである。

 いやまぁ、なりきり郷は一昔前の気温だから普通に外出れるけどね?

 

 

「昔は二十六度が暑い日だった、とか言われても今の子信じられなさそう」*2

「夏は朝の涼しい内に、という言葉が実質死語になってしまったとも聞きますからね……」*3

 

 

 まぁ、流石に昼間二十六度で済むような気温にはなってないけども。大体三十度前後くらい?

 

 ……ともかく、見てるだけで暑くなってくる気温の高さに呆れ顔になる今日この頃。

 そんな中、クーラーの効いた我が家にしれっといらっしゃるゆかりんの姿は、半ば風物詩のように溶け込んで……いや溶け込んでねぇわ。

 

 

「はい、今日はどういったご用でゆかりん?」

「毎度毎度私がトラブルだけ持ってくると思ったら大間違いよキーアちゃん」

「ほうなるほど。じゃあ今日の用件は?」

「トラブルね」

「おいこら」

「あだだだだだ」

 

 

 舌の根が乾かぬどころか思いっきり湿っとるやろがい!*4

 ってなわけで、ふざけたことを抜かすゆかりんのこめかみを思いっきりグリグリと押し込む私なのでありました。

 ……っていうか、間違ってないんなら否定する必要まったくなかったと思うんだけど???

 

 

「仕方がないでしょう、見方によってはトラブルって感じだったんだもの……」

「見方によってはぁ?」

 

 

 あいたた、と言いながら元座っていた位置に座り直すゆかりんに胡乱な視線を向けつつ、続きを話せと促すと。

 彼女は一つ咳払いをして気を取り直し、改めて今回やって来た用件を告げたのだった。それによると、だ。

 

 

「……はぁ、新しく増えた人達向けの夏祭りねぇ」

「いやまぁ、別に新人さんだけってわけでもないんだけどね?でもほら、この時期ってもう少し経ったら()()()()あるでしょ?」

「設立祭、ですね。十月の一月分まるまるお祝いで染まるいつものやつ、というべきでしょうか」

「本格的に騒ぐのはそっちに回すべき、ってことね。で、あくまでも小規模な感じで、最近入った人達の歓迎会をしよう……と?」

「まぁそういうこと。別に古参も参加していいけど、できるなら新人さん主体の方がいいというか」

 

 

 最近……と言っても春の終わりからつい最近までに掛けてだが、その間になりきり郷所属になった面々の歓迎会のようなものを行いたい、というものなのであった。

 まぁ、僅か二ヶ月後にもっと盛大に大騒ぎする祭りが控えてるので、本格的に祝うのはそっちの方になるだろう……みたいなところもあるのだが。

 

 

「なるほど、参加する人を限ると準備やらなにやらも少人数で行うことになるから……」

「必然、せんぱいのようになんでもできる方を誘っておく必要がある、ということですね」

「……いやまぁそれであってるけど、なんだかマシュちゃんの言い方が冷たくない……?」

「いいえ、そんなことはありませんよ?折角せんぱいのお世話を焼けると思ってたのにー、みたいなことを考えてるなんてことはとてもとても」

「……主張の仕方がなんだか汚くなって来た気がするわねこの子……」

 

 

 なにか言いましたか?……とにこやかな()笑みを浮かべるマシュに、いいえなんでも?……と返すゆかりんである。ふふふ、友達と後輩の空気が最悪です(白目)

 

 ……冗談はともかく、最近加わったとなるとジェイドさんとかシュガーティアさんとか、あの辺りが中心になるのだろうか?

 

「せんぱいせんぱい、恐らくささらさん等もカウントされるのではないかと」

「え?……あー、よくよく思い出すとあの辺りも春頃だったんだっけ……」

 

 

 なんかもう大分昔の話のような気がしてくるよ……。

 ともかく、マシュの指摘を受けて改めて該当しそうな相手をカウントすると。

 

 

「えーと、ささらさんでしょ?ジーク君、それからジェイドさんにデルセン、おぜうさまにパッチェにゲンガー君に……」

「せんぱい、バグの方はお帰りになられたのでしょうか?」

「ああ、あれに関してはTASさんが責任を以て送り返してくれたよ」

「あの子しれっと関わってるわね……」

 

 

 なので、増えた【星の欠片】はあくまでささらさんとジーク君くらいのもの、ということになる。

 

 ……で、話を戻してカウントを続けると、さっきまでのメンバーにさらに瓶スラ君・コブロン・ゴマちゃんなんかも加わるわけで。

 

 

「それとシュガーティアさん、さらにデスモモイさんを加えた総計十二名ということになるのでしょうか?」

「うんうん総計十二名……ちょっと待って???

 

 

 合わせて十二名、今回の新人歓迎会にお呼ばれするのはその面々ということに……と納得しそうになったが、よくよく思い出すとなんか混じってなかった今?

 

 

「なに言ってるのよ、デスモモイちゃんを忘れるなんてあり得ないでしょ?」

「あれこれ私が悪いパターン?もしかしてどっか見落としてたりするパターンだったりする?」

 

 

 いやまぁ私が微妙に抜けてたりするのは間違いないけどさぁ?

 でも流石に、その名前を覚えてないとか忘れたとかにはならないと思うんだよね。だって()()だよ、()()

 よくは知らんけどあからさまにアカンやつだと思うんだけどその辺どうなん???

 

 

「え、本当に覚えてなかったり?ほら○○が○○で○○した時に見つけた子だけど」

「あっ(察し)もういいです」

「????」

 

 

 はっはっはっ、これ今回のトラブルの根幹とかそういうやつだな?()

 明らかになに言ってるのか(至近距離なのに)聞き取れなかったので、恐らくその『デスモモイ』とやらが今回のトラブルの発端だろう、と認識。

 もしくはこれからトラブルを巻き起こす方なのかもしれないが……なんにせよ警戒するに越したことはない。

 

 そんなことを脳裏に刻みつつ、どうせだし呼んでくる?……とか言ってスキマに消えたゆかりんを待つこと数分。

 再び戻ってきたゆかりんが引き連れていたのは……、

 

 

「……パンジャンドラム?」

「せめて輪入道と呼んであげてください……あれと一緒にされるのは堪えるとよく仰っていますので……」

「FATALITY……」

「ほら、ものすごく悲しんでるじゃないの!」

「私には『コロシテヤルゾトコロテンノスケ』の前フリにしか聞こえんのだけど?」

 

 

 いや今思いっきり『ぶち○す(fatality)』っつったよこの子?いやまぁ声色は悲しそうだったけど。

 

 ……そんなわけで、ゆかりんが私の前に連れてきたのは、顔を中心にして包丁を持った手が四方に伸びた珍妙な生き物……生き物?

 どうやらこれがデスモモイと呼ばれるものであるらしいのだが、迫真のキレ顔をこちらへと向けているので反応に困る私であった。

 いや冗談じゃなく。明らかに人型じゃないし化物の類いだし、なんなのこれ?*5

 

 

「デスモモイさんの元ネタはシロコさんと同じくブルーアーカイブですね。そこに登場するキャラクターである才羽モモイさんに酷似した容姿を持っていますが、彼女とは同一人物であるとも別人であるとも言われています」

「ああなるほどトンチキ生物(レベル1)……」

 

 

 困惑する私にマシュが説明してくれたところによると、以前(※正月)に出会った砂狼シロコちゃんの出身である『ブルーアーカイブ』から生まれたネットミームの一つ、ということになるらしい。

 ミームということである意味ルドルフなんかと同系統ということになるわけだが……あちらと違い姿が安定しないそうで、そこから現状レベル1・特定の言動しか繰り返せないタイプの『逆憑依』としてカウントされているのだとか。

 

 

「Fatality……!」

「今しがた本人が仰ったように、そのままでは終われないと日々精進を続けていらっしゃるのです」

「ははぁなるほど、これあれだな?下手にSAN値残ってると面倒臭いやつだな?」

「はい?」

「fatality?」

 

 

 いや二人して『なに言ってるのこの人』みたいに首を傾げるんじゃねーや。

 いやまぁそういう反応が返ってくる辺り、見た目に反して意外と大人しい?性質なんだろうなー、ってのは伝わってくるけども。

 

 ともかく、今回はこの謎生物と一緒に動くことになる、というのは間違いなさそうである。

 

 

「あー、今日はよろしくね……?」

「Fatality!」<ドヤッ

「大船に乗ったつもりで、とは大きく出ましたねモモイさん」

 

 

 ……これ、会話のズレに私が耐えられるかどうかの耐久試験とかだったりしないよね?

 

 

*1
地球温暖化の影響をもろに受けていると思われるものの一つ。一昔前は三十度を越えることすら稀だったので、室外機の設計上の耐熱温度が四十三度前後に設定されていることが多かった。その為、近年の急激な温度上昇によりエアコンは大丈夫でも室外機がダメになる、なんてことが最近多発してるとかなんとか。夜は冷気が出るけど昼間はダメ、みたいなことがあれば室外機の性能について調べるべきである

*2
なので、エアコンの温度は二十八度に、というのは主張としておかしいということになる(昔は二十六度を越えていたら暑い扱いだったわけだから)

*3
とあるユーザーのバズった発言。昔はお決まりのように母親が言っていた言葉だが、現在だと普通に起きた時点で三十度を越えていることも多い()

*4
『舌の根の乾かぬうちに』とは、本来は話が終わる前、ないし終わってすぐを指す言葉。話題転換のタイミングとも捉えられる為か、そこから『前と言ってることが違う』と非難する時に使うこともあるようだ

*5
とあるプレイヤーが作り出したキャラクター。元々はエッチな絵を描いた際に大事な部分を隠すために書かれたもの。そこから派生して行き結果今のような怪生物と化した。元々は『あなたたちを殺すよーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!』と鳴いていたが、いつの間にか『Fatality…』が鳴き声になっていたのだとか(元々は描いた人の呟き)

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