なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、楽な解決法はないよ、という話が前回の結論なわけだけど。
それを受けて私達が今後どうするのか、という話が今回のポイントである。
「まぁつっても?とりあえずモモイと一緒に筐体に入ってみないことにはなんもわからんのですがね?」
「というかですね、それって私達も一緒じゃないとダメなんでしょうか?お二方だけで解決とか、そういう方向はダメなので?」
「ナチュラルにジェイドさんに投げ捨てられた気がするよ!?」
「はっはっはっダメでーす、さっきもちょっと触れましたが因と果は本来切っても切り離せぬもの、すなわち一度因と判定されるとそれを捨てることは不可能に近いのでーす」
「つまり?」
「ここで巻き込まれないのなら他の面倒に巻き込まれるだけでーす」
「はっ、とんだクソゲーというやつだな!」
はっはっはっ、なりきり郷で暮らすんならクソゲー展開なんぞ幾らでも襲ってくるぞがっかりしろ()
……冗談のようでそうでもない話はともかく、現状の私達にこの『ブレイジング・デュエル』に関わらない、という選択肢はない。
なので、色々覚悟を決めつつこのゲームに挑戦するしかない、ということになるんだけど……。
「どうしたの?やるんなら早くやろーよ!」
「そうは行かんのだよモモイ」
「えー!?なんでさ!」
「ほい」
「って、ん?」
そうも行かないのが人生。
こちらを急かすモモイに対し、私は一枚の紙切れを彼女に渡したのだった。
そこに書いてあるのは──、
「……えーと、『ブレイジング・デュエル、大好評に付きただいま二十四時間待ち』……。……ん?あれ?」
「そう、人気筐体にしろ人気アトラクションにしろ、待ち時間が発生するのは道理ってわけよ」
「いやあの、二十四時間……二時間とかじゃなくて?」
「その辺どうなんなのはちゃん?」
「はいなの。このお店は二十四時間営業店舗だから気のせいでも見間違いでもないの」
「うっそだぁ!?」
横入りをしない限り、私達が『ブレイジング・デュエル』に触れられるのは一日後の話である、という旨の言葉だったのであった。
ここで一日お預けとかそんなのあり!?
……と叫ぶモモイはともかく、これは中々に由々しき事態である。
「と、言いますと?」
「さっきも言ったけど、因と果というのは一度結ばれるとそう簡単には切れないもの。……この場合、丸一日ここで時間を潰さなければいけないってことが確定した、ってことでもあるんだよね」
「なんと!?」
私の言葉に疑問を呈するマシュに、すかさず返答していくのだが……。
今回みたいな話の場合、まず問題となるのが場所。
さっきの因と果の話で言うなら、場所というのはとても重要な要素になるわけで……。
「水がないのに沸騰はしないでしょ、って話を置き換えてみればわかりやすいかな?水の置いてある場所にまで赴かないと水を沸騰させることはできない、みたいな感じで」
「なるほど、場所を移動するということは因と果を積極的に切り離すことに近い、というわけですか」
「なら、普通に離れてしまえばいいんじゃないのか?」
「その場合、結果も原因も解消してないって扱いになるけど?」
「……単に移動しただけだと他の人に問題を押し付ける形になる、と?」
「こっちが他の問題を押し付けられる形になる可能性も高いけどね」
言葉遊びをしているようなもの、とでも言うべきだろうか。
例えば今現在私達は『トラブルに巻き込まれ』『ゲームセンターで』『ゲームに潜む謎を解決することになった』……というような言葉が書かれたカードを所持しているとする。
その上で、場所を移動するということをカードで例えると、二枚目のカードを捨てて新しいカードを引こうとしている、ということになるか。
この場合、ゲームセンター以外のゲームがある場所を引かない限り、三枚目が自動的に果たせない目的になってしまう。
そうなったら失敗というわけではなく、三枚目も捨てて新しく引く、ということができるわけだが……例えそうなっても一枚目を──『トラブルに巻き込まれ』という原因の部分を捨てることはできない。
つまり、引き直した二枚目・三枚目の内容が例え穏当なものであったとしても、それを覆す一枚目の存在がある限りやることの大枠は変わらない、となってしまうのである。
なんなら、引き直したカードとの相性如何によってはもっと酷いことになる可能性がある、なんてことにもなりかねない。
「そうなるとカードの引き直しは避けたい、って感じになるんだけど……それもちょっと厳しい。その理由は、時間が掛かりすぎるってこと」
「……長時間拘束そのものの問題は言うに及ばず、長い時間というものそれ自体がよくないということか?」
「そうだね、期間が伸びれば伸びるだけよろしくない感じになるよ」
次いで出てくるのが拘束時間の問題。
……とはいえこれは時間が問題と言うよりは、長時間
どういうことかをさっきのカード云々の話で例えると、カードの交換は基本本人の意思によって行われるが、ディーラー側から変えることを要求されるパターンもある、という形になるだろうか?
「無論、なんのきっかけもなく交換を求められるわけじゃあないよ、それだと理不尽以外の何物でもないし。……そのきっかけっていうのは、要するに他のカードを引く必要性のある
「他のイベント、ですか?」
わかりやすく言うと、一枚目のカードを交換する必要が出てきた場合、ということになるか。
一枚目のカードとはすなわち原因の部分に当たるものだが、その実
それは何故かと言えば、
じゃあそれがさっきの話とどう関係するのかと言うと、
言い換えると、一枚目のカードはわりと簡単に交換の要項を満たしてしまう、ということになるだろうか?
「さっきは『トラブルに巻き込まれ』ってカードを提示したけど、その他にも『トラブルを起こし』みたいに自分が積極的に関わりにいくパターンだとか、はたまた『トラブルを発見し』みたいな誰かがなにかを起こしたことを前提とするパターンになったり、とにかくコロコロ変わりやすいわけよ」
「原因からなにが起こるのかまで固まっていないからこその自由度の高さ、というわけですね」
「まったく嬉しさの欠片もない自由度だがな」
まぁこの話、実のところ『トラブル』に相当する部分と『巻き込まれ』『巻き込み』みたいな前者に対してどう働きかけるのか、って部分が別れているからこその話なのだが……その辺は長くなるので割愛。
ここで必要なのは、長期間同じ場所でうろうろするというのは、そこに他の問題が発生する要素がなにもない、とかでもない限り他のトラブルを拾うきっかけを増やすことに繋がる、という事実の方だろう。
その結果、当初の問題を解決するつもりがあっても他の人間にそれを擦り付ける形になってしまうことがある、というのがここでの問題点なのだから。
「……あーなるほど、他の人もいっぱい居るから余計に、ってことだね?」
「そういうこと。こうして問題解決の気概を見せている内は──もっと言うとこの筐体から離れない内はいいけど、そうじゃなくなったら必然的に他の一般客に問題を丸投げする形になる──そうなることを
そう、この話の面倒臭いところは、問題そのものの解決というのは別に
実際に解決できるかはともかく、それに挑戦する権利は誰にでもある……とかいう、聞き心地だけはいい条件にある。
挑戦しても失敗するのが決まっている相手には挑戦権を与えなければいいのに、その辺を定めるものがなにもないわけだ。
そりゃまぁ、ここには大抵の問題なら解決できそうなのが何万と居るけど……それでも、逆立ちしたってどうしようもないもの、というのは誰にでもある。
その辺を運命とやらはまったく考慮してくれないわけで、そりゃまぁクソゲーだのなんだの言われるのは半ば必然である、としか言えないというか。
ともかく、二十四時間という長期間が提示されたことによる私達への影響、というのがとても重いのは確かな話。
一日近くも待ってられるか……と離れることはできないし、かといって順番を譲ってもらう、というのもあまりおすすめはしない。
それはそれで新たなトラブルの起因になるし、その結果元々関わろうとしていたトラブルを他人に投げた形になってしまったら目も当てられない。
「え゛、ってことはもしかして……」
「その通り!今から私たちは余計なことをせず、丸一日ただじっ……と待ち続けるしかないんだよ!」
「ぎゃー!?」
そう、この話の最大の問題とは!
なにもせずにただボーッと待っていないといけない、というそのロケーションにモモイが耐えられるか、という話になるのだ!
……いやまぁ、別にモモイだけに限った話じゃないけど、他より特に止まってるの嫌そうだな、って感じたというか?