なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「なんとか無事に降りられたかな……」
「まぁ、思い切り砂埃とか巻き上げてたので、普通に相手に見つかった可能性大ですけどね」
うるさいですね……。
思わずジト目を向けた先にいるのは、喋り方からして恐らくジェイドさんが中身なのだろうな、と解釈できる相手──妖艶な美女の姿の人物。
なんとなくだが『ゴブリンスレイヤー』の魔女を思わせるその人物*1は、こちらに視線を向けつつ小さく首を傾げていた。
「……ところで、貴方はどちら様で?」
「私は──」
「おっと、挨拶なら後にした方がいい。早速敵襲だぞ」
「おおぅ?」
どうやら、見た目だけだと私が誰なのかを認識できなかったらしい。
こっちは喋り方から相手を把握できているのだし、向こうもそうだろうと思ったのだが……ふむ?
まぁ、別に隠し立てするような話でもなし。
だったら軽く自己紹介でもしようかと口を開きかけたその時、別方向から敵襲を知らせる声が。
視線をそちらに向ければ確かに、私たちが降りたった場所より北西──見た目だけでいうなら右斜めの方*2に見える丘の向こうから、小さな点が徐々にこちらへと近付いて来るのが──ぴょんぴょん跳ねながら飛んでくるのが見えるのであった。
……うん、TPSだし立体的な挙動ができるのがデフォだろうとは思ってたけど、まんまフォートナイトみたいな動きして来るのね……。*3
「落ちてるアイテムの中には、自由に空を飛べるようになるアイテムも存在するの」
「なるほど、自由に。……私の気のせいだったらいいんだけど、それってもしかしてタケコプターだったりしない?」
「そんなことはない……とは言いきれないわね、このゲームの詳しい情報を並べると」
私の言葉に、外で試合を眺めているのだろう面々の唸るような声が返ってくる。
メインシステムにひみつ道具が噛んでいる以上、ゲーム内に出てくるアイテムにもその影響がないとは言いきれないだろう……みたいな?
仮にそれが正解だとすると、このゲーム内で空を飛び続けられる利点はあまりないのかもしれない。
……タケコプターの移動速度って思ったより遅くはないけど、かといって滅茶苦茶に速いってわけでもないからね。*4
普通に下から狙い撃ちされると、キツいって話で済まないというか。
まぁ、元ネタに魔導師達が飛び回って戦う(ようなもの)である『ブレイブデュエル』が含まれているので、その辺もなんとかなっている可能性はなくもないが。
……まぁともかく、である。
現状、敵対チームがノミのように飛び跳ねながら近付いていることは事実。
であるならば、こちらがするべきことはただ一つ、相手を迎え撃つために準備をする……ということになるんだけど。
「……運営ー?」
「どうしたの?」
「フォートナイト形式だって言うなら、落ちてる武器は?」
「ないの」
「……拠点建築用の資材は?」
「ないの」
「なにもないんだけどなにこれ???」
足元を眺めるが、なにか目ぼしいものが落ちていたりはしない。
……いやまぁ、これで銃器がそこらに転がってたら、もはや言い逃れようのないレベルでフォートナイトでしかないわけだから、言葉とは裏腹にそこまで驚いてはいないのだけど……。
そうなると問題になるのが、どうやって相手と戦うのかという問題。
アイテムが拾えることを示唆していたので、なにかしら戦えるモノを拾わなければならないのだろうか?
……私としては、多分それは違うな、と考えていた。
「まさかとは思うけど──」
「おっ?」
先ほど彼女達は
推定モモイらしき少年がその言葉に調子に乗って飛行していたが、バトルフィールドらしき場所に突入した途端浮力を失ったように地面に激突。
あわやそのままなにもせずに撤退……みたいなことになったため、あくまで自由に飛べるのはフィールド外だけなのかと思っていたが。
「例えば、アイテムの入手とフィールド内の自由飛行が紐付いているとすれば──」
例えば、
……すなわち、願えば魔法のような技術が使えることは変わってないのだとすれば。
「……いやはやまさか、こうして
「──最初は気のせいかと思っていましたが、どうにもそうではない様子。見たことのないキャラクターに、見たことのない武器の見た目。──
「別に勿体ぶらなくていいよ。──でもまぁ、この姿の時は
「……ふむ?」
左右の手に収まる二刀一対の日本刀に、思わず苦笑する私。
……『tri-qualia』をリバースエンジニアリングしたとの話だが、恐らくこのゲームもまた厄からは逃れられてなさそうだ。
いやまぁ、電子の世界と『星の欠片』の親和性あってこその話ではあるのだろうけど。
ともかく、私は苦笑そのままに二つの日本刀を──
「殲滅戦じゃー!!」
「……あれ?!さっきまでとキャラが違う!?」
こうなりゃやれるところまでやったるぞー、と。
ふふはははチームファイブディーズよここからが本当の勝負☆(混乱)
「とりあえず──見せて貰おうか、『ブレイジング・デュエル』とやらの再現度とやらを!神断流、」
「え、あ、せんぱい!?せんぱいだったんですこの人?!」
「なんか知らないけどすっごいいやな予感がするんだけどー!?」
「はっはっはっ。……願えばバリアとか出ますかね?」
「出ると思うの。強く願えばなんとかなるの。でも正直バリアブレイク*6とか仕込まれてそうな予感がびんびんするから、無駄な努力のような気がするの」
「はっはっはっゲームだから死にませんよねこれ???」
「ごめんその辺ちょっと断言できなくなった!ちょっとキーア!?話聞いてるアンタ?!」
「知りませんねーキーアなんて人はー私海里ですのでー!」
「なにそのこだわり!?」
いやーいかんねまったく。
……調子に乗って『月の君』様の若い頃なんて再現したもんだから、色々試したくなって仕方がねぇでやんの()
でも仕方ないよね、『月の君』様の若い頃って言うほどチートでもないから全力振るっても特に問題にならないし、そのわりに派手な技とかいっぱいあるからこういう時楽しいし!
ついでに言うといつもの自分じゃない、って高揚感が意外とブレーキをかけ辛くしてる!
その辺は多分他の人たちもそうなんだろうけど、ことここに至って私も色々ストレス溜まってたんだなーって自覚したよ!他の自分サイコー!!()
……そんなわけで、後で後悔することは目に見えてるものの、おもいっきりはっちゃける以外の選択肢が残されていなかった私なのでした。