なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、前回詳しく語らずに説明を放棄したエー君についてだが、実は別方向から考えてもこのゲームにとっての危険物である……としか言いようがなかったりする。
なぜかって?エー君に積まれたシステムが問題なんだよ、具体的には月光蝶……もとい、それを動かす(?)ナノマシン。
これがまぁ、もしもボックスとの相性抜群なんだわ。
言い換えると『もしも』を成立させる物体なのである。
だってねぇ、月光蝶が文明を滅ぼすとか、装甲そのものが自己修復を行うだとか……正直、ナノマシンが万能のアイテムである、と仮定してないと出てこない設定なんだもの。
あるいは、当時の夢の技術に対する期待の現れ、とでもいうか……ともかく、実現できるであろうナノマシンに対して、彼らのそれは性能が高すぎるどころか異次元なのである。*1
別にナノマシンという技術そのものを否定するつもりはないけど……アニメや漫画に出てくるそれらがほぼほぼ
……で、そうなると問題になってくるのが、エー君の持つそれは
言い換えるとこの世界においての彼はひみつ道具みたいなもの、ということになり……うん、その存在がこのゲームにもたらす影響は如何ばかりか、という話になってしまうわけだ。
例えば、もしもボックス側がエー君に干渉してくる……みたいなパターンはマシな方だろう。
あくまで干渉という形に収まるのであれば、その干渉を断ってやればなんとでもなるからだ。
どっこい、もし向こうが
ついでにゲーム世界……もとい電脳世界は『逆憑依』の系統と相性が良すぎる、みたいな話も横に添えるとどうだろう。……やべぇ、って気分になってこないだろうか?
(いやまぁ、相性が良すぎる云々の話はここにいるエー君にも当てはまる話なんだけどね?今ここでエー君が戦闘行動とか始めたらそれこそゲーム内の環境が無茶苦茶になる可能性大なんだけどね???)
まぁその辺は他の人も気付いてることだからいいとして。いやよくないけども。
ともかく、一難去ってまた一難どころの話じゃなくなる可能性大、なので可能であればエー君にはこのままなにもせずにお帰り頂く、というのが一番簡単ということになるのでありましたとさ。
で、問題があるとすれば一つ。
「……もしかして、ボクはこのゲームで遊んじゃダメなのかしら?」
「そんなことはないよー遊んでいいよー(震え声)」
「うわぁ……」
エー君にこのまま帰れ、なんてある意味鬼畜なことを言えるやつがどこにいるんだ、という話である。
……いやまぁ、デルセン辺りは言えそうだけどね?言うだけならやれそうだけどね?
でも仮にそれをやった場合、まず間違いなく『そっかぁ……ごめんねみんな、ボクは君達にとんでもない迷惑をかけたみたいだ』ってしゅんとなるエー君が出来上がるわけでね?
そうなった場合罪悪感で死ぬというか、そんなことにしたやつがタコ殴りに合うのが目に見えるというか。
……流石に自分から進んでタコ殴りに行くやつはいないので、誰もそんなことは言い出さないというオチである()
この話の一番の難点は、ひみつ道具云々の話が他の面々からはすっぽり抜け落ちるということ。
……いやまぁ、正確にはひみつ道具の話自体はしっかり頭に残っているけど、ここでエー君が遊ぶことを否定しないと酷い目にあう、って展開に結び付かないってことの方というか。
彼らはあくまでもこのゲームに搭載されているのが『絵本入り込みぐつ』だと思っているので、この場でエー君が遊ぶことによる影響なんて想像もできない、というのが正しいだろうか。
言い換えると、今の場面でエー君を拒否できたのは(詳しい事情を唯一悟っている)私だけだった、ってことになるわけで。
そりゃまぁ、余計のこと周囲はエー君を止めようだなんて思わないし、私にしたって良心やら後々ボコられたくないやらで止める気にはなれない、っで結論に至るのが当たり前なわけでして。
……うん、考えれば考えるだけ詰んでんなこの状況?
いやまぁ、私が泥を被る気があるならそれはそれでなんとかなる気もするんだけど、それはそれで後々マシュ辺りが事情に気付かず私をボコった、ってことを気に病む可能性が高いわけでして……。
素直に他の面々にも伝えれれば丸いんだけどね、相手が『もしもボックス』な時点で改変耐性ないと話にならないので仕方ないというか。
「……いっそエー君に本気出して貰う方向で進めるか……?」
「なんか今危ないこと口走らなかった貴方?」
「いんやなんにも?」
……どうせなら本当にエー君の月光蝶でなにもかも無かったことにして貰おうかしら、と一瞬考えてしまった私を誰が責められようか、いいや責められまい。
まぁ、みんなは事情を知らんので普通に責められたんですけどね、ままならんねぇ……。
はい、てなわけで地獄の三連戦はっじまっるよー(死んだ目)
挑んでくる順番は先ほどの危険度云々を参考にしたもの、具体的には悟空さ→シュウさん→エー君の順番である。
嫌なものを最後にするか最初にするか、の違いしかないような気もするけど、結局のところ全員別ベクトルに相手したくないのであんまり変わらないというか。
「まぁ、普通に肉弾戦になる悟空さが一番マシ、ってのは間違いじゃないんだけども」
「なんかオラ、嘗められてたりするのか?」
「逆に聞くんだけど生身で巨大ロボと戦いたがる人は普通いないんだわ」(真顔)
「お、おう……オラが悪かったからそんな怖い顔しねーでくれって……」
ははは、君は戦闘民族サイヤ人だからそんなことないのかもしれないけどね、普通の人は明らかにサイズ感の違う相手との戦いなんてしたいとは思わんのですよ()
機動兵器と人間のサイズ差とかほぼほぼ蟻と象のそれなんだから、それでやる気出せとか言われても困るんですよ()
……悲しいことに、意外とそういうことしてた覚えが私にもあるんだけども。
とはいえそれはキーアとしての話、海里としてはまったく関係のない話なので、そこら辺から断れたりしないかなーとか思わないでもない私である。……いやまぁ、断れなかったんですけどね?
やれやれと首を振ったのち、改めて両手の刀を構え直す。
それを見て相手の悟空さもいつもの──特徴的な構えを取るのであった。
「──よもや武器が卑怯とは言うまいな?」
「まさか、オラのとこではあんま使われないけど、オラだって昔は如意棒とか使ってたしな」
軽い会話を交わしたのち、相手の動きを見るために集中して、
「──シッ!!」
「おおっとぉ!?」
一瞬で接近していた悟空さがそれを避けるように頭を下げ、その動きを利用するように足払いが飛んでくるのでそれを跳んで避ける。
無論単に跳んだだけだと打ち落とされるので、寧ろこちらから刀を振り下ろして強引に下に降りに掛かるが……、
「そぉれっとぉ!!」
「うわぁ!?」
真剣白羽取りからの投げ、及びそうして宙に浮いた私への蹴りによってその目論みは儚く瓦解するのであった。
吹っ飛ばされながら体勢を整え、地面に着地しながら悟空さの方を見れば。
「かー、めー、」
「いやマジで!?ええいっ!!」
青白く輝く彼の手元と、そこに集う巨大な気の塊。
彼の十八番であるかめはめ波の発動モーションに思わず驚愕しつつ、それの対処のために私が構えれば、
「そこだぁ!」
「ぬわーっ!!?」
それすらブラフ、とばかりに横から飛んできた衝撃により、私は地面に叩き付けられることになってしまったのだった。
途端、周囲に広がる砂煙。
「せ、せんぱいー!?」
「いや早っ」
「はっはっはっ、なんにも見えませんでしたねぇ」
「あれでそんなに強くないとか本当かよ……」
好き勝手言ってる面々。
それらの言葉を聞いていた悟空さはというと。
「……うん!まいった!」
「「「えっ!!?」」」
「いやー、まさかこんなに簡単に負けるとは思ってなかったぞー」
「えっ、いや今、えっ?」
両手を上げて、降参の意を示していたのだった。
明らかに勝ってたのは悟空さの方では、と観戦していた者達が口々に告げるも。
土煙が晴れた時、そこにあったのは。
「──オラがかめはめ波をブラフに使ったように、そっちも自分自身をブラフに使ってたとはなぁ」
「それに気付ける辺りは流石悟空さ、って感じだね。──超高度から狙われてるのにその殺気に気付けるとは、って意味だけど」
ケイローンの宝具と同じく、遥か上空から相手に狙いを定める攻撃。
……『神断流』の技の一つであるそれを察知し降参した彼の姿に、勝負に勝ったけど負けた気分になる私なのでありましたとさ。
これ、気付かれないことが一番の利点なんだけどねぇ?*2