なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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変な技を使う際は影響について考えましょう

 唐突な我慢比べは私の勝ちで終わりました。

 え、その過程?んな地味なものないよ()

 

 

「まぁ、確かに地味でしたねぇ。私が貴方の前でニヤニヤ笑ってるだけでしたから」

「勝ったけど負けた気分なんだけど?」

「それはもう勝負のスタイルの時点で仕方のないことではないかと……」

 

 

 雷斬閃をひたすら維持するだけの戦いになんの見所があろうものか。

 そりゃまぁ全面カットの憂き目にあってもおかしくはないよ。

 やってる本人からしてみればカットすんなや全編映像ちゃんと見ろや、としか言いようがないんだけども()

 

 ともかく、である。

 雷斬閃によるグランゾン召喚妨害は私の粘り勝ち……勝ち?となり、シュウさんは肩を竦めながら元いた位置に戻っていったのでした。

 正直余計な消耗を避けたかった私としては勝ちなような負けなような、なんとも言えない状況でございます。

 ……体力的にはそうでもなくとも、精神的には普通に消耗しまくってる感じだし。

 

 

「そもそもの話として……あの雷斬閃とやらは維持のためになにを使うんだ?」

「……電気?」

「なんで疑問系……?」

 

 

 いやほら、現実世界ならともかくここって電脳空間じゃん?

 にも関わらず『神断流』が使えてる時点であれというか。

 ……いやまぁ、【星の欠片】の原理的には使える方が正常なんだけど、それでも雷斬閃に関しては処理がよく分からんというか。

 

 軽く説明した通り、雷斬閃は形のないものを斬るための技。

 その原理をフィールド効果に昇華したものが陥穽であり、分かりやすく言うと『常道ではないものを範囲内から弾く』効果を持っている、ということになる。

 

 この『常道ではないもの』というのが曲者で、本来ならば電脳世界に深刻なバグを引き起こしかねないのである。

 

 

「はい?!」

「雷を斬る逸話が前提にあることからわかる通り、これが斬るモノって言うのは別に非現実的なものに限られてないわけよ。普通に存在しているモノだけど、その時そこにあるのはおかしい……という認識を押し付けて相手を押し退ける、っていう風に解釈することもできるわけ」

「なる、ほど?」

 

 

 ある意味では幻想殺し(イマジンブレイカー)に近い、というか?

 まぁ、あっちとは違って明確に幻想ってわけじゃなくても対象にできるんだけども。

 

 それだけだと単なる上位互換に聞こえるかもしれないけど、実際はそこまで甘くはない。

 まず単純な雷斬閃の場合、明確に斬りたいものを指定してからでないと単なる斬撃になってしまう、という問題点が存在する。

 雷を斬りたいと思って雷に向かって使えば確かに雷を切り落とすけど、そこら辺漠然とした感じに斬ろうとしても寧ろ感電するだけに終わる、というか。

 

 これが幻想殺しであれば、異能の攻撃相手ならなんでも消せるわけだから、扱いの難しさが滲み出ていると言えなくもないだろう。

 ……いやまぁ、向こうは向こうでなんでも消しちゃう、って問題点はあるけどね?

 

 それを踏まえての陥穽の方の話なんだけども。

 ……実のところ、こっちはさっきまでと微妙に話が変わってくる。

 

 

「と、言いますと?」

「ほぼほぼ幻想殺しになる」

「!?」

 

 

 面倒臭いことに、陥穽の場合は通常の雷斬閃と微妙に効果範囲が異なるのである。

 具体的には、陥穽の方は通常と違ってわざわざ対象の宣言を行う必要性が(ほぼ)ない、という点。

 

 いやまぁ、一応まったく無いわけではないのだ。大雑把な指定は必要としているというか?

 ただこれ、逆に言うと()()()()()()()()()()のである。

 

 

「例えば通常の雷斬閃なら向かってきた雷だけを斬る、みたいなこともできるけど。陥穽の場合は特定空間内に発生する特定事象、その全ての発生に阻害をしかける形になるというか。……分かりやすく言うと、陥穽の範囲内では雷は発生しないし電気の伝達も起こらないしなんなら空気も停滞する……みたいな?」

「それは……随分と効果が違いすぎませんか?いえ、効果というか範囲というか……」

「しゃーないんよ、線を面にするには色々と問題があったんや……」

 

 

 なんでそんなややこしいことになっているのかというと、それは雷斬閃の原理に問題があった。

 

 つまるところ、雷斬閃というのは物事に対し『嫌』を突きつけるものなのである。

 ()()がそこにあるのは嫌、それがこっちに向かってくるのは『嫌』、みたいな。

 雷斬閃を人間がいる場所で使っても特にペナルティがないのもそれが理由。

 斬ったと言いつつ、その本質は『相手にその場所にいないで欲しい』と願うものなのである。

 

 なので、通常の雷斬閃が相手の指定を明確にしないと単なる斬撃になるのも『嫌とお願いしたら相手が退けてくれるが、なにも言ってないのでぶつかりに行く形になる』ため、ということになるわけだ。

 ……で、これを陥穽の方にも当てはめると、少々変なことになってしまう。

 

 

「大雑把に言うと、『嫌と言って退けてくれる許容量を越えてる』んだよね。言い換えると半ば差別みたいになっちゃうから細かい設定ができない、みたいな」

「さ、差別???」

 

 

 ほんの一瞬退けてくれと言うのならまだ通るが、暫くの間退けてくれ、なんて言われて気分を害さない相手がどれほどいようか。

 陥穽の問題とは正にそんな感じで、ちょっと場所を貸してくれなのではなく、良いと言うまで退けてくれという主張に近いのである。

 で、これを特定個人にだけ述べた場合どうなるか、というとだ。……後で滅茶苦茶反発されるわけである。

 

 

「例えば陥穽で細かく指定して『水』を退かすとしましょうか。すると、陥穽を解いたあとに水が大挙してそこに集まってくる、なんてことになっちゃうわけ。例え周囲に水辺がなくても、大雨が唐突に降りしきる……みたいなことになるのよ」

「それは……なんとも……」

 

 

 陥穽においてはそういうことが起きてしまう懸念があるわけだ。

 ゆえに、陥穽を使う際の対象指定はかなり大雑把なものになってしまう。

 さっきの例で言うと、『この範囲に割り込んでくるもの全部弾く』みたいなノリになっていた、というか。

 

 

「やってくる対象を指定するんじゃなく、特定の範囲には全部入らないようにしてる、ってわけね。みんな平等に入れないんだからそこを文句言う意味はないでしょ、みたいな話でもあるわね」

「なるほど、特定個人からの不満を解消するためにみんなで不便になろう、みたいな感じと」

「……なんか言い方にトゲがあるけど、まぁそれで合ってるわ」

 

 

 実際そうとしか言えないわけだし?

 ……で、陥穽が対象指定できないということを前提においた上で、もう一つのデメリットについて触れると。

 

 

「これはあくまで相手からの報復についての問題だけど、それとは別に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、って別方向の問題も立ち上がってくるのよね」

「ええ……?」

 

 

 まぁ、こっちはあくまで術者の負担増ってだけで、さっきまでの問題と比べるとまだ軽い方なんだけども。

 ……軽いからといって無視できるわけでもなく、さっきみたいに陥穽を維持すると普通にリソースが削れていく、という問題に直面して行くわけなのだが。

 

 

「んで、そこに掛かる問題がもう一つあって、それがさっき少し触れてた『ほぼ幻想殺しになる』って部分。大雑把にしか対象を選べないから、結果として弾かない方がいいものまで弾いてしまう結果に落ち着く、って部分。今回だと、例えばあの範囲内に人が(ゲームの機能とかで)ワープしようとしていた場合、普通にそれも弾かれちゃうんだよね」

「ええ……」

 

 

 それだけではない。

 例えばメールもあの状況だと『範囲内に侵入してくるもの』になるし、空気とかも対象に入るのだ。

 その上で、もっともヤバいことになるのが……、

 

 

「ゲーム的なデータ処理とかも範囲に含まれる、って部分。わかりやすく言うと、あそこで陥穽を維持し続ければ維持し続けるだけ、ゲームが処理落ちしたりだとか最悪データがロストするとかの問題が発生する可能性大だった、ってわけ」

「ひぇっ」

 

 

 陥穽の仕様上、本来ならばゲームに重篤な問題を発生させかねなかった、という部分である。

 ……空気が侵入できないとかはまぁ、電脳空間なんだからなんとでもなるんだけど。

 扱いとしてはデータも侵入できない、みたいなことになってもおかしくないので、そう考えるとなんで大丈夫だったんだろうなーと不思議に思ってしまうくらいだというか。

 

 いや、真面目になんで大丈夫だったんだろうね?

 あれかな、あくまでもしもボックスがシステムとして再現しただけで、本質的には雷斬閃じゃなかったとか?

 まぁ、もしもボックス云々については他の面々に言うわけにもいかないので、私個人の感想としては『なんでか大丈夫だった』としか言えないわけなのですが。

 

 

「ふざけるなー!!」

「まぁこうなるよね()」

 

 

 無論、滅茶苦茶怒られたのは言うまでもない。

 ……もしもボックスの効果範囲でグランゾン出現するよりはマシなんだけど、その辺は言い出せないジレンマである。

 

 

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