なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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遊びも仕事、仕事も遊び

「あ、えと。初めまして。アンリエッタ・ド・トリステインと申します」

「私はオグリキャップだ、よろしく」

「あら、かわいいお嬢さん達」

「歓迎するわ、盛大にね」*1

 

 

 数分後、ようやく気を取り直した二人が、マカオとジョマに挨拶を返す。

 ……一時はどうなることかと思ったが、別に問題はなさそうだ、良かった良かった。

 

 ……え?一体なにを気にしていたのか、ですって?

 そりゃもちろん、相手方が()()()()()()()()、二人の反応がどうなるかわからない……ってところを、だよ。

 

 昨今の様々なあれこれによって、LGBT*2を取り囲む環境ってのは、結構整ってきた感じがあるけれど。

 今私達の目の前にいる二人は、そういう配慮やら遠慮やらがない時期に生まれたキャラクター……言ってしまえば古いステレオタイプの塊みたいな人物達なわけで。*3

 

 ……間違ったイメージや正しいイメージ、誇張したものや省かれたもの。

 そういったモノを創作として落とし込む中で、現実の彼らとは実態を(こと)にするものとして生まれた彼女達。

 ……全く違う文化圏の人間(アンリエッタ)古い価値観を知らない人間(オグリキャップ)である二人が、相手に対してどういう反応を示すのかが未知数だった……というのが正直なところだったのだ。*4

 

 ……まぁ、他者を愛することが()()()()()()()と標榜する以上、同性愛であれ異性愛であれ、殊更に保護されるべきではない……とも思わなくもないんだけど。

 難しい話になるので、今回は触れないけどね。

 まぁ、変に話が拗れたりしなかったので良かった、と胸を撫で下ろしたのが、さっきの私の反応の意味というわけだ。

 

 ともあれ、経営陣の二人との面通しも済んだことだし、張り切って遊ぼうじゃありませんか!

 時刻的にはまだ朝だけど、ぐずぐずしてるとすぐに夜になってしまうんだぜ!

 

 

「ゆうえんち?というものがどういうものなのか、私はよく知らないのですが。ここは一体、なにをするところなのですか?」

「あら、この子見た目通りの箱入りお姫様なのね」

「じゃあ、こちらからガイドを一人付けてあげようかしら?」

 

 

 ……というこちらの先導/煽動は、()()をされる側のアルトリアの言葉によって、無惨にも制止される。

 

 ああうん、確かに。

 遊園地っていう施設自体が、他所の世界からすると珍しいものなんだね。

 探せば遊園地がある異世界もあったような気もするけど、基本的にはわざわざ遊園地なんて建てなくても、ちょっと遠出すれば刺激的な体験をすることなんてわけない……みたいなところの方が多いだろうから、敢えて遊園地という形式で場所を取る必要性もない、と。

 

 そりゃそうだ。

 わざわざジェットコースターに乗らずとも、ペガサスだとかグリフォンだとかの空を飛べる生き物の背に乗って、遥か上空から急降下すればいいし。

 わざわざお化け屋敷に行かずとも、近くの墓地に行けば運動会やら追いかけっこやらをしているお化け達にすぐに出会えるだろうし。

 ……遊園地の意義に『非日常を演出する』というものが含まれている以上、非日常がそこらに溢れている異世界では、その存在意義は危ぶまれてしまうわけだ。……意外な盲点である。

 

 そんなこっちの思考はお構いなしに、話はどんどん先に進んでいく。

 その話によると、遊ぶのにも不慣れなアルトリアに、観光ガイドが一人同行させてくれることになるらしい。

 ……なんか、この時点で当初の目的(親交を深める)からずれてきている気がしないでもないが、実際ガイドが居てくれるというのは(負担分散的な意味で)とても有難いので、積極的に反対もし辛い。

 なので、こちらからは特に口も挟まずに、件の二人が呼んだというガイドを、静かに待っていたのだけれど。

 

 

「はーい、それではここから先は、私『魔界発現世行きデスガイド』が務めさせて頂きますデス!あ、長くて呼び辛いようでしたらアンナって呼んでもいいデスよ?」

「黒い方だこれっ!!?」

 

 

 そうしてやって来たのは、カードとしてのパワーがとても強くて、一時期エグい値段してた『魔界発現世行きデスガイド』さんだった。*5……名前長ぇ!!*6

 ……カードのなりきりとか一体どうすんねん、と思わなくもないのだが、どうやら見た目がほぼ同一(黒いか白いかの違い)な存在である出須案奈(ですあんな)を、性格の主体にしているらしい。*7

 こっちとしてはデスデス言われる続けているせいで、脳裏に別のキャラがちらついてくるのが困り者なのだけれども。*8

 

 まぁ、彼女も一応ガイドであることに違いはないので、任せてしまっても大丈夫だろう、多分。……冥界(禁止制限)行きになったら無理矢理にでも帰る*9とだけ決心し、マカオとジョマに向かって皆で別れの挨拶をする。

 

 彼女達は経営陣……いわゆる社長なので、わりと忙しいのだ。

 こちらから遊びに行くと連絡をしたところ、快く出迎えに来てくれたのだからなんというか、頭の下がる思いである。

 

 

「リアルマジカルプリンセス*10に、うちのアトラクションがどれくらいウケるのか」

「興味がないわけでもないけど、そこについては今度のお茶会で、改めて聞かせてもらうわね」

「ほーい、マーちゃんもジョーちゃんもおたっしゃで~」

 

 

 手を振る二人に、同じように手を振り返しながら、デスガイド……もとい、アンナさんの背を追って歩く私達。

 

 ……()()()って名前で、冥土だデスだなんだと聞いていると、なんというか『よみがーえーれー♪』ってフレーズが過るよね。*11

 

 

「死者蘇生でも使いますデス?」

「誰を蘇らせる気だ貴様」

 

 

 なお、そんな内心を彼女に語ったところ、返ってきたのはそんな反応だった。

 ……いや、ホントに誰を蘇らせる気なんだ一体?

 

 

 

 

 

 

「魔法のテーマパーク、ですか。……魔法が見世物になっているのですか?」

「人聞きが悪いデスね。皆に夢を与えている(魔法を掛けている)だけデスよ?」

「……間違ってないのに胡散臭ーい」

 

 

 デートコースならいざ知らず、友達と遊びに来てるんだからルール無用だろ?(順番とか関係ねぇ!)*12

 ……みたいな感じに、とりあえず名物らしきものを節操なく回っている私達。

 

 アルトリアの反応は……んー、微妙。

 そもそもここが魔法のテーマパークなのもあって、魔法圏から来ている彼女的にはあまり心踊らない、というような感じらしい。

 オグリの方は目を輝かせているので、それに付き合う彼女も完全に冷めている……というわけではないようだけれども。

 でも……うーん。彼女が楽しめそうなもの、というのが意外と……ってお?

 

 

「……アルトリアって、馬車の運転経験とかある?」

「はい?……えっと、一度もないですね。……それがどうかしたのですか?」

「まぁ、ちょっと待って。……オグリ、自分の足を使わない競走、やろうって気はある?」

「私の足を使わない競走?……ああ、なるほど。つまりは彼女と()()ということだな?」

 

 

 察しがよくてなにより。

 勝手に話が進むので困惑しているアルトリアと、彼女を挟んで両サイドで笑う私とオグリ。

 足元のしんちゃんが不思議そうにこちらを見上げてくるが……あー、うん?しんちゃんが勝っちゃいそうだし、どうかなー?

 ……まぁ、遊びに来たんだし、誰が勝ってもいいか。

 

 そんな感じに一つ頷いて、離れたところに居たゆかりんやマシュも呼び寄せ、皆で()()に向かう。

 ──そう、熱い競走が待つ決戦の舞台、ゴーカートへと!

 

 

*1
(アーマード)(・コア)(フォー)(アンサー)』に登場する男性リンクスメルツェルの台詞。彼を代表する台詞として有名。『リンクス』は、『アーマード・コア4』などに登場する『アーマードコア・ネクスト』の操縦者のこと

*2
レズビアン(Lesbian)』『ゲイ(Gay)』『バイセクシャル(Bisexual)』そして『トランスジェンダー(Transgender)』の頭文字を取って作られた頭字語。それぞれ『同性愛者(女性)』『同性愛者(男性)』『両性愛者』それから『心体の性が一致しない者』のこと、性的マイノリティ(少数派)。なお、これらに含まれない者も存在する(例:無性愛者(asexual)など)ため、名前は長くなる一方だったりする(lgbt+()などと表記されたりするが、+として纏められるのが差別では、とされて嫌われることもある。現在一番長い書き方は『LGBTQQIAAPPO2s』。『クイア(Queer)(少数派に対しての肯定者)』『クエスチョニング(Questioning)(性別を決めていない・決められない者)』『インターセックス(Inter-sex)(肉体的な意味で性別が定められない者、正式名称DSD)』『アセクシュアル(Asexual)(無性愛者)』『アライ(Ally)(性的マイノリティを助ける活動をしている者)』『パンセクシュアル(pansexual)(『相手の性に縛られない』全性愛者)』『ポリアモラス(Polyamorous)(多性愛者)』『オムニセクシャル(Omnisexual)(『相手の性的嗜好を理解した上での』全性愛者)』『トゥー(Two)スピリット(Spirit)(第三の性)』を追加したもの)。ゲイなどに関しては侮蔑語扱いだった時期があるため、正直この呼び方も宜しくないのでは、とも思わなくもないが、だったらどう呼べば良いのか、という感じにもなるので難しい。現在では、ゲイという言葉には侮辱の意味はないそうだが……

*3
多くの人に浸透している思い込み・固定観念。『常識』ではなく『先入観』と捉えるのが正解

*4
改めて考えてみればわかるのだが、俗に言うオカマ(ここでは敢えてそう記す)は、『性的自認』などの面から、単純にLGBTの区分に直すのが難しいカテゴリの人々である(『性自認が男性であり、男性を好きになる』というのがゲイの区分であるため。トランスジェンダーに関しても、『他者から思われている性と自身の性自認が違う』人の事なので、厳密には異なる場合もあるだろう)。無論、オカマという言葉が侮辱として使われていたのも事実なので、一般的な場所では使わない方がいい、というのも確かな話である

*5
初出は『EXTRA PACK 2012』だが、出辛いカードだった為一時期3000円くらいした。今現在では(レアリティに拘らなければ)もっと安く買える。なおレアリティに拘ると同じくらいの値段になる

*6
因みに、『遊戯王OCG』において名前が長いのは『CNo.(カオスナンバーズ)92 偽骸虚龍(ぎがいきょりゅう) Heart(ハート)eartH(アース) ()Chaos(カオス) ()Dragon(ドラゴン)』(文字数・32文字)『CiNo.(カオスイマジナリーナンバーズ)1000 夢幻虚光神(むげんきょこうしん)ヌメロニアス・ヌメロニア』(発音数・35文字、『神』は本当は旧字体の方の『神』だが、機種依存文字のため『神』で表記)の二種。逆に短いものは文字数1文字に読みが2文字のカードが複数存在している(例:『(やま)』『(うみ)』など)

*7
ゲームソフト『遊戯王 最強カードバトル!』が初出のキャラクター、名前に関しては『遊戯王OCGストラクチャーズ』が初出、語尾の『~デス』は『遊戯王デュエルリンクス』のデスガイドの台詞から。見た目は『白いデスガイド』。……光の結社に洗脳されたとかではない、念のため。一応、カードの精霊とかではない普通の人間、らしい

*8
『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズから暁切歌、『うみねこのなく頃に』からドラノール・A・ノックスなどが該当

*9
『魔界発冥界行きバス』のイラストに描かれているキャラクターが、当時の禁止制限カード達が描かれていたことから派生したもの。絵の描写から、『禁止制限』を『冥界』と呼んでいるものと思われる

*10
アニメ『赤ずきんチャチャ』のオリジナルキャラクターの名前と同じだが、特に関係はない。なおそちらは原作がギャグ漫画なのに対し、アニメ開始当初は『美少女戦士セーラームーン』が放送していたため、原作から路線変更して変身ヒロインものにするために、主人公が変身する姿として設定された。……かなりの原作改変だが、当時は普通に好評だったらしい。なお、声優には元SMAPのメンバーの一人、香取慎吾が参加していたりする(しかもメインキャラ)

*11
『シャーマンキング』より、恐山アンナ。気性の荒い美少女。しかしながら主人公の麻倉葉に対する愛は本物である

*12
『ルール無用だろ』は『TOUGH(タフ)』のキャラクター、山本トレーナーの台詞『ヤクザはルール無用だろ』から。『関係ねぇ』は芸人小島よしお氏の持ちネタ『そんなの関係ねぇ』から

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