なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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所詮は全て前座、この戦いこそが本命なれば

 はてさて、マシュ(レム)を中心としたお叱り部隊からの説教攻勢を正座で聞き届けた私でございます。

 ……ゲーム内で正座しても意味ないだろうって?この辺は気持ちの問題だから……。

 

 とはいえ本題がまだ残っている以上、こんなところでへこたれてられない私である。

 この先は、さっきまでの話より遥かに問題まみれなのだから。

 

 

「なにせ次はエー君相手だからね!個人的にはこんなこと止めて花でも眺めてようよと言いたい気分なんだけども!」

「よぉーし、ボクも頑張らなくっちゃ」

「こんな感じで張り切ってて、私の話全然聞いてくれないんだよね!詰みかなこれ!」

「お、落ち着いてくださいせんぱい?!」

 

 

 はっはっはっ、やる気が有り余ってるのかこっちの話聞いてくれないでやんの。……なんの嫌がらせだこれは?

 

 ともかく、口で止まらない以上は実力行使しかないのだけれど、これもこれで対処が難しいのだからやってられない。

 ……なんでって、陥穽使用禁止例が出たからですね!

 そりゃまぁ危険物っぽいのは間違いないけど、実際には問題ないっぽかったんだから別にいいじゃんかぁ!!

 ……え?あそこまで詳しく聞かされて使用許可を出すやつの方が稀?それはごもっとも。

 

 それもこれも、何故かエー君と一緒になってやってきたシュウさんが悪い、マジで。

 ……ゲーム原作だからゲーム環境と相性抜群なうえ、普通に危険物なグランゾンを電脳空間に持ち込もうとするとかそんなん許されるはずがないやんけ!

 いやまぁ、その内試す必要とかはあったと思うけど、それを今!この場でやんなとしか!!

 

 

「はっはっはっ。なにやら知りませんが熱い視線が私を焼いていますねぇ」

「白々し過ぎて草だわ」ピキピキ(#^ω^)

 

 

 あの野郎いつか真正面からそのネオグランゾン粉砕してやるからな……。

 唐突にメタ台詞を吐かせてやるからな、覚えとけこんちきしょうめ……!!*1

 

 ……とまぁ、いい加減現実逃避は止めて、だ。

 

 

「真面目にどうしようかなこれ」

 

 

 思わずそうぼやく私である。

 ……いや、これがぼやかずにいられるかってんですよ。

 

 さっきも言ったように、ターンエーに搭載されている月光蝶の根幹を為すナノマシンというのは、ひみつ道具との相性が良すぎるわけで。

 共に『魔法のような科学』の類いになるわけだから、その辺の相性は先ほどのグランゾンすら越えているのだ。

 その上で、ターンエー自体もグランゾンに負けず劣らずのチート機体であるのだから、それがこの世界で暴れ回ることの危険性は言うまでもないというか。

 

 ……なにがあれって、本人にそのつもりはなくても場合によってはひみつ道具による干渉を受ける可能性があるというか。

 

 具体的にどういうことかというと。

 まず、このゲーム世界においてエー君は明確な脅威である。

 それは、ともすればこのゲームそのものを解体してしまいかねない──言い換えるとハセヲ君のスケィスとかと同類かそれ以上の危険物、ネットワークごと破壊しかねない存在であると判断されかねないのだ。

 

 ……え?当のハセヲ君はチョコレートの人になった挙げ句、特になにをするでもなく出ていかされたって?

 それに関しては考え方が逆、彼はなにも問題を起こさずに出ていったから、特に対処を必要としなかった……というのが答えである。

 

 もし仮に、彼がさっきまでの面々と同じく、元の自分の姿と違うゲーム内のアバターの姿を選ばなかったら。

 すなわちハセヲ君の姿のままでこのゲームに挑んでいたらどうなっていたか。

 ……恐らくだが、ひみつ道具が危険を察知して暴走、ハセヲ君からスケィスを写し取ってスケィスゼロとか生み出す……みたいな、明らかに収拾の付かない事態に陥っていた可能性が非常に高い。

 というかスケィスゼロならまだマシで、最悪G.U.の方のクビアが出てくる、みたいな明らかにヤベーことになっていた可能性もあったのだ。*2

 

 そういう意味ではある種のファインプレー、ということになるのかもしれない。

 ……え?お前は危険物扱いされないのかって?その辺は【星の欠片】特有のあれこれでなんとでもなるので……。

 

 ともかく、である。

 そういった危険物と大差ないのがエー君である、ということは間違いあるまい。

 ……いやまぁ本人の気質的にはまったくそんなことはないんだけども、その辺【星の欠片】が危険度的にすり抜けられる以上どうしようもないというか。

 

 どういうことかと言うと、さっきの陥穽が答えである。

 他の面々は技の内容を聞いて危険だ、と禁止令を出したが。

 それに対してひみつ道具の方はなんの反応も示していない。明らかに周囲が危険だと述べているにも関わらず、である。

 

 これがなにを意味するのかと言うと、例えひみつ道具であろうが判断の仕方は機械のそれである、ということになる。

 わかりやすく言えば、あくまで数値しか見ていない……ということになるだろうか?

 

 私の使った陥穽は、『神断流』の技の一つ。

 ……言い換えると【星の欠片】の発露である。

 それゆえ、最終的に引き起こされる結果はともかく、脅威度査定をすると明らかに大したことのない、大局に影響を与えるべくもない微少なきっかけ、という風にしか判定されないのである。

 一回一回は微少、されどその試行回数が膨大であるためおかしくなる……というのが【星の欠片】の基本原理だが、これを機械的に判断しようとするとどう足掻いてもエラー落ちするのだ。

 まぁ、無限を数式に放り込むことは本来できないことなのだから仕方のない話だが。

 

 なんにせよ、機械的に判断すると私はなんの危険もない……どころか、その辺の小石に引っ掛かって転んだだけで死亡するか弱い存在、としてしか認識されないのでスルーされる、というわけである。

 ……いやまぁ、実際そうなんだけどね?

 

 

「それを踏まえてナノマシンも査定してくれれば良かったんだけどなぁ……」

「どうしたんだいお姉さん、もう始めてもいいのかい?」

「ごめんけどもう少し待ってねー」

「はーい」

 

 

 同じ様に微少な世界を由来に持つナノマシンも、同じ様に危険度を低く見積もってくれてれば楽なんだけどなぁ……。

 いや、実際今は低く見積もってるのでなにもアクションを起こしていないんだけども。

 

 ナノマシン……もとい、小さな物体ができることと言うのは本来たかが知れている。

 なので、特に情報が無ければナノマシンが無数に使えるからと言って脅威度が上がったりはしない。

 

 エー君が問題なのは、その無数のナノマシンでできることが異常だから、というところがとても大きい。

 文明を一夜にして滅ぼす、それもあらゆる全てを風化させるが如く……なんていうのは、普通にやろうとしても不可能に近い所業。

 詰まるところ、一個体が出せる出力として桁がおかしいのである。

 

 そして、もう一つ【星の欠片】と違って彼が警戒されるに足る理由がある。

 それは、月光蝶などのシステムはあくまでも()()()()()()()()、という部分。

 私たち【星の欠片】は微細なそれ一つ一つが個体であるため、個別の脅威度評価は低くなってしまうが。

 エー君の場合はあくまでも武装であるため、それが無数にあるというのは最終的に彼そのものの脅威度に加算されるのである。

 

 今はまだ、ナノマシンだなんだと言ってもそれを戦闘に使っていないため、脅威度の見直しは発生してないけれど。

 もし仮に、なにかの弾みで彼がナノマシンを使うことになれば、その際改めて彼の脅威度は見直され……。

 

 最悪、『黒歴史(SYSTEM-∀99)』状態のターンエーをもしもボックスが複製する、なんて意味のわからない状態に落着する可能性もゼロではない。

 

 そんなことになったらまさしくこの世の終わりなので、まかり間違ってもそんなことにならないように細心の注意を払わないといけないんだけども……。

 

 

(……わりと賢い方ではあるとはいえ、エー君ってぼいぼい系の性格なんだよなぁ)

 

 

 それも、太歳星君要素も混じった感じの。

 ……この太歳星君要素が曲者で、場合によっては大人モード的な本気状態が制定されてる可能性がゼロじゃない。

 んで、基本的には幼子であるわけだから、時にエスカレートして大人モードが飛び出す、なんて可能性もまたゼロじゃないわけで。

 

 ……ターンエーで大人モードとか普通に『黒歴史(SYSTEM-∀99)』状態でしょ、流石に問答無用ってことはないだろうけどどっちにしろアカンのは変わらんってば。

 

 ということは、だ。

 これから私がすべきことは、ほどほどにエー君を満足させつつ、それなりの戦いをやって見せて脅威度査定は今のままで大丈夫、とひみつ道具に誤認させること。

 まかり間違っても『黒歴史(SYSTEM-∀99)』を発動させてはならず、その片鱗すら感じさせてはいけない。

 あくまでも、子供達の遊びの延長線上であることを主張しつつ、エー君を納得させるような戦いをこなさなければならない……ということになるんだけれども。

 

 あれかな、もしかして私を過労死させようとしてます今回の時の流れ?

 まさかとは思うけど、この姿特有の運の無さまで発揮されてたりとか……しないよね?

 

 などと、かなり不敬なことが脳裏に過る私なのでありました。

 ……いやだってねぇ、この状況ならそんなこと考えても仕方なくないかなぁ???

 多分だけど今回私ほとんど悪くないよ?事態解決に動いてるよ?

 ……心の中で愚痴るしかないのが悲しいところである。

 

 

*1
『スーパーロボット大戦OG2』、及び『スーパーロボット大戦original generation』内の該当シーンから。具体的には一週目だと絶対に勝てないし周回しててもキツいような状況で、本来逃げることでも勝利になるのを敢えて敵を全滅させることに成功した際、敵キャラのはずの相手が唐突に話し始めるメタ台詞のこと。明らかにプレイヤーに向けて放たれているその言葉はこちらを褒め称えるモノであり、その上でさらに強力なパーツ類まで大盤振る舞いしてくれる

*2
スケィスゼロもクビアも『.hack//』シリーズのキャラクター。スケィスゼロは八相の元となった存在、クビアは腕輪などネットワークにおける異常な力の反存在。共にとてつもない強敵だが、ネットワークに対しての危険度という意味では全世界中のネットワークを丸ごと破壊しかねないクビアの方がヤバい

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