なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はい、突然に始まりましたサッカーバトル!実況は私こと遠坂凛と、」
「みんなのアイドルキリトちゃんでお送りしまーす。……あいや、単なるノリだからそんな真顔で見つめて来ないで貰えると……」
「貴方って時々変な方向に振り切るわよね*1……まぁいいわ。キックオフと同時、ボールを持ってフィールドを駆け上がるのはレム選手です」
そんなわけで、唐突なサッカーバトル・アクセラレーションしたわけだけど。
先手?はこちら側でボールを持ったのはマシュもといレム。
パスされたボールを軽快にドリブルしながらフィールドを駆け上がっていくその姿は、これが単なるサッカーなのだと一瞬勘違いさせるもの。
……無論んなわけはなく、これから起こることがその常識?通念?をひっくり返すこととなるのであった。
「ではここは私が」
「むっ、ここで貴方が出てきますか」
レムの前に立ちはだかるはシュウさん。
普段通りの格好で、それってサッカーとか運動とかするのに向いてなくない?……なんてこちらが心配するのを他所に、彼は不敵な笑みを浮かべながら宣言をする。
……ところで、本来のサッカーにはポジションというプレイヤーの役割分担が存在する。
ゴールを守るゴールキーパー、攻撃に参加するフォワード、相手の攻撃を止めるディフェンダーなどなど……。
細かい役割分担にまで触れるとさらに細分化していくのでこの辺に留めておくが、まぁとにかく色んな役割がある、ということは間違いない。
その上で、四人対四人という形式だと細かく役割分担する意味が薄いというか、やる必要性がないというのもなんとなく理解できると思う。
何せ四人しかいないのだ。ゴールキーパーだけはどうしても外せないことを考えると、実質三人しか自由なメンバーがいない、ということになってしまう。
その辺り、フットサルの『全員で攻撃し全員で守る』がこの試合にも適用されるわけで、その結果この試合においてポジションというのは有名無実化してしまっている。
とはいえそれだと座りが悪いので、代わりに採用されているのが『デュエリストシステム』である。
……今『なに言ってるんだこいつ』って思ったでしょ?私もそう思う()
「そんなわけでこちらも解説させて頂きます!それではキリトちゃんどうぞー!」
「って言っても、キーアからカンペを貰ったからそれを読む……って感じなんだけどな。えーとなになに……『現在行われているサッカーバトルは、イナイレのそれを参考にして
「まぁ、私達が普通にサッカーするだけでも多分変な絵面になるから、その辺りは仕方ないわよね。能力とか魔法とか使わなくても多分単純な身体能力の面で派手になること受け合いよね?」
「ああ、その辺も触れられてるな。『私達がやるスポーツは基本無茶苦茶になります。単にテニスしてただけなのにラリーが見えなかったりしたシャナとアル君の試合とかがいい例です』、だって」
「そんなのいつやってたのよ……」
かなり最初の方ですが?*2
……まぁともかくである。
特に変なことをしよう……などと思わずとも、そもそもその優れた身体能力をちょっと使うだけで、ちょっとした異次元スポーツになってしまうことは言うまでもない。
あれだ、本来は咄嗟に反応できないことを前提にしたPK戦とかも、下手すると『打たれてから反応できます・追い付けます』とかになりかねないというか。
ゴールポストを蹴って反対側に飛ぶ、とかやれちゃうんですよマジで。*3
この話のなにが問題かというと、その辺は『別にやろうと思わなくてもやれてしまう』という点。
スペック上特に意識せずにできてしまうことなので、これがやれたからといって選手本人になにかしらの感慨がある、というわけではない点である。
「わかりやすく言うと、別にスカッとしたりはしない……みたいな感じって書いてあるな」
「あーうん、つまりは全力を尽くしてる感じがしない、ってことよね?普通にしてればできること、特段誇るようなことでもない……みたいな?」
「……なんか、一種のイキりみたいに聞こえるな、それ」
「事実なんだから仕方ないと思うけどね。……というか、これに関しては問題なのは別の点。特に意識せずともできることなら達成感はわかない、遊びであれ競うものである以上ある程度の真剣さは必要になるのに、そのままだと試合内容に対して選手の充実感が足りない……つまりは
外から見てどうなのか、って点は別としてね……と結ぶ凛ちゃんである。
……まぁ要するに、だ。
単純にスポーツをしても、正直なところ面白くないのである。
さっき言ったように、身体スペック的には『見てから反応できる』わけで。
そしてそれは相手も同じなので、例えば能力を禁止した状態でテニスなんかをさせると、いつまでも決着が付かないまま、延々とラリーを続ける羽目になったりするのである。
見てから反応できるんだから、普通のテニスの定石は大抵勝利……というかゲームの終わりに結び付かないというか?
なんなら体力・スタミナの面でも普通の人より優れているので、単純なラリー程度なら丸一日やってようが負担にならない……みたいなパターンさえありえてしまうのだ。
それでいて、ゲーム内容だけ見るとそこらのプレーヤーより遥かに高度な戦いになっている、なんてチグハグなことになったりするのである。
これはもう、普通のスポーツと『逆憑依』の相性が悪いと言わざるを得まい。
……今反論として『普通のスポーツ漫画だってあるし、そこから来たキャラなら現実的な話になるはずだ』みたいな
何度か言っているように、『逆憑依』とは一種のアバター・本来の姿の上に纏うものである。
この『纏うもの』というのが曲者で、実はそのキャラクターがどれほど(言い方は悪いけど)クソザコだったとしても、戦力的には
「これはあれだな、そこまで運動が得意ってわけじゃない私が意外と現実でも動けてる、ってのが理由になるんだろうな」
「キリトちゃん……もといキリト君って原作だとゲーム以外はそこまで、って感じだものね。まぁ、映画でARとか触れてたから、まったく動けないってわけでもないんでしょうけど。……『逆憑依』は中身の核となる人間と纏った外皮となるキャラクター、その両者の合計値を基礎パラメーターとするからこその感覚のずれ、ってことになるのかしら?」
「運動下手って描写が原作にあるキャラでも、こっちだと普通に動けて『あれ?』ってなることあるもんな」
あれだ、他のキャラも同じ様に『逆憑依』してきているのであれば、それらの力関係は原作に添う形になるけど……みたいな感じというか。
ある種の蹂躙要素にもなりかねないので、その辺はうまく使いましょう……みたいな感じというか?……多分だけど話がずれてるなこれ?
まぁともかく、普段の……もとい
じゃあどうするのかっていうのが、今回私が作ったフィールド効果──、
「では私は伏せていた速攻戦術、『部分召喚』を発動!これによりグランゾンの力を一部フィールドに発生させ、周囲に超重力による罠を発生させます。グラビティー・テリトリー!!」
「なんの!こちらも伏せていた速攻戦術『鬼化』を発動!これにより、私のステータスは一時的に増加!この増加分を持って、小癪な重力操作など無意味なのだと貴方に思い知らせてさしあげます!」
「ふふふ、小癪な重力操作かどうかはご自分の身を以て味わうといい、とだけ返させて頂きましょう」
「アクションデュエル……もとい、リアルソリッドビジョンシステムを下敷きにした『決戦のバトルフィールドシステム』よね」
「うーん、最終的にはみんな爆発しそうなシステムだ……」
……全体的に何言ってるのかよくわからないと思うので、もう少し説明すると。
実際にみんなが全力を出して戦っているのではなく、私というフィールドを介して
因みにこんなことをする意味は、私というフィルターを介することでみんなの危険度をひみつ道具に悟らせないこと……もとい、あくまでダメージを受けるのは私という
それから、体よくプレイヤーのできることを制限するため、ということになる。……私自身がルールになった、みたいな?
「まぁ確かに?ゲーム内とはいえ月光蝶とかやられたら色々影響出そうなのは確かだし?その辺の負担を受け持ってくれる分にはこっちも特に不満とかないけどね?」
「爽快感とかもキーアが演出をパワーアップする、って形で補填してるからなぁ。……そこまでするならゴールキーパーじゃなくて監督ポジでよかったんじゃないか、と思わなくもないけど」
現場にいないと不測の事態に対処できないでしょうが!
……とは言わず、曖昧に笑う私なのであった。そこら辺悟られても困るからね、仕方ないね!