なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「な、なんとか無事に切り抜けられた……」
「その代わりと言ってはなんですが、試合の方は惜しくも負けてしまいましたね……」
いやまぁ、拮抗できてただけマシでしょ、マジで。
……ってな感じに、サッカーバトルをなんとか無事に終わらせた私達。
まさかマジで月光蝶とか縮退砲とか使ってくるとは思わなかった……とは言えないけど、それでもどんだけテンション上がってたのよと思わないでもない私である。
一応、あくまで私というフィールドを通すことでいわゆるスパロボの過剰演出である、みたいな判定にしたからなんとかなったけど……。
これ、もし仮になんの対処もなしにやらせてたら本気でこのゲーム吹っ飛んでたんじゃないかしら?
……その場合絶対もしもボックスが暴走してただろうから、ホントフィールド展開しててよかった、と思う私である。
(……まぁ、代わりに私への脅威度判定がやり直しになってるんだろうけどね!)
「……?せんぱい、なにやら渋い顔をされていますがなにかありましたか?……はっ?!やっぱり負けてしまったことが気に入らないとか……?!」
「いや、正直あれに関しては勝てるとは思ってなかったよ私」
思わず表情に出てしまったが、
うん、戦力的に警戒が必要な相手ではない、というのが先ほどまでの私へのひみつ道具からの評価だったろう。
実際その辺りは先の試合を経てもそう変化はないはず。
……ないはずなのだが、同時に相手に疑念の余地を与えてしまってもいる、というか。
どういうことかと言うと、さっきのあれこれは演出ということになったが、
あれだ、縮退砲で太陽系ごと吹き飛ぶのは(自分や自軍を巻き込むので)おかしいんだけど、
システム的におかしくなるのでやってないだけで、設定上描写されたことと同じことができるのか?……という問いについては寧ろ答えてない・映像に描写されたことを実際にできることだと解釈してもいいかどうかがわからない、というか。
要するに、判断を惑わせる存在として私のフィルターを疑い始めた、ということになるだろうか?
あれだ、これが誇張なら気にしなくていいけど、実際にできることをごまかしてるんであれば、それをした私も誇張対象である他の面々も、共に警戒すべき相手であることに代わりはない、みたいな。
あとはまぁ、描写の仕方が
どういうことかと言うと、だ。
さっきのフィールド、わかりやすく言うと『エネルギー供給・私、実際に事象を起こす人・私、コマンド入力・みんな』みたいな感じのモノであった。
あくまで私という世界の中で起きていること、という解釈にすることでそこでなにが起きても外の世界にはなんの影響もない……という形式にすることで、ゲーム世界への影響を極力抑えたというか。
言い換えると、一昔前の特撮みたいなものだったのである。*2
実際の現場では人死にの出るレベルの火薬がふんだんに使われていたりするけど、それをテレビの前で見る人達からは『安全性に考慮しているんだろうなー』なんて思われていたりだとか。
はたまた、実際に目の前で火薬が爆発してるわけじゃあないので、その危険性が理解しきれないとか。……まぁ、そういう感じ。
物語を読んでいる人と、その物語の中の人々との断絶みたいなもの、とも言えるかもしれない。
……これを今回の状況に当てはめると、演出として処理されているそれらの行動が、実際にどれくらい危険だったのか見ている側から判断し辛くなっている、となる。
私という
はたまた、実際には命の危険と隣り合わせの爆発のようなものだったのか、区別する術がない……みたいな感じだろうか?
いまいちわかり辛いかもしれないが、要するにひみつ道具側が深読みしている……とでも思えばわかりやすいかもしれない。
演出が派手なので、それがCGなのか実際に行われているのかがわからない、みたいな。
もしもこれがCGなのならば、まぁそこまで警戒する必要はないのだろう。
だがしかし、これが実際に起きたことであり、それを私がごまかしているだけなのであれば……自身が脅威度を低く見積もった相手はなにかしらの手段で実力をごまかしているのでは、ということになるわけだ。
……いやまぁ、実力をごまかしてなんかないというか、向こう側の判定方法だと低い実力としてしか扱われない、ってだけなんだけどね?
ともかく、あのままみんなの好きにやらせてたらヤバかったことは事実であり、その対処のために私が一肌脱ぐのは仕方のないことだったけど。
その結果、本来の目的である『ひみつ道具に素知らぬ顔で近付いて取っ捕まえる』という作戦が達成し辛くなったことに関しては、正直頭を痛めざるを得ないだろう。
「…………」
「せんぱいのお顔がさらに渋いものに!?やっぱり勝てなかったことがそこまでのストレスに……!!?」
「いや、多分そういうのじゃないと思うけど……あーうん、聞いてないわねこれは」
「その辺、マシュさんは暴走するとこっちの話聞かなくなるからなー」
……なんか外野が騒がしいですね?()
まぁ、気にしてもしょうがない。目の前の問題を解決できたことは喜ぶべきだろう。
ってなわけで気持ちを切り換え、改めてこれからのことに考えを向けると。
今回こうしてあれこれやったのは、このゲームの宣伝を兼ねてのもの。
ひみつ道具の目的がこのゲームの繁盛?であるのならば、それを手伝うのが一番近付くのに手っ取り早いから、ということになる。
……まぁ、今回のあれこれで私自体はちょっと近付きにくくなった気はするけど、その辺りはなんとかできなくもないので今は置いておく。
で、さっきの試合はネットを通してなりきり郷内に配信されていたため、話題作りとしては大成功の類いだろう。
その甲斐あってか、プレイヤーの期待値は高まっているとのこと。
……まぁ、筐体がここにしかない関係上、期待値が上がったからといってすぐにすぐプレイヤー数が上がるわけではないんだけども。
「最悪なにかしらのVR機器とかあれば、『逆憑依』なら姿がそのままであることさえ受け入れられるんなら遊ぶこと自体は可能だね」
「それはそうなんだけど……それ、『ブレイジング・デュエル』のいいとこの大半が無意味化してない?」
「その辺はほら、超次元サッカーしたい人には需要あるから……」
「それ貴方ありきの話よね!?」
オンラインアップデートが簡単な昨今のゲーム、筐体がなくてもゲーム自体にはログインできる……みたいな仕組みを作ればなんとかなるだろう、と判断した私なのでありました。
まぁ、『ブレイジング・デュエル』の一番の売りであるフルダイブ式ゲームとしての部分は、『逆憑依』としての特性で代替して貰うしかないけど。
……システム的に姿を変更しようとすると実際の筐体を通すしかないので、その辺も我慢して貰わないといけないのはあれかなー、って気もしないでもないけども。
その辺はほら、わざわざ私が試合を中継して貰った理由を思えば些事も些事、みたいな?
……確かにフルダイブゲームは珍しいし、それを売りにするのは間違ってないと思うけども。
同時にその危険性も知れ渡ってるわけだから、他の方向からの宣伝も必要でしょ?……みたいな。
「そんなわけだけど、貴方達はどうする?まだ遊んでいく?それとも次の人に譲る?」
「そうですね……貴方はどうですか、エー君」
「ん、ボクは満足したから次の人に譲るよー」
「……とのことですので、私達はここまでということにしておきますよ。悟空さんもそれでいいですね?」
「んー、オラとしては不完全燃焼なんだけど……まぁ、また遊びにくればいいか!なんならぶいあーる?で遊べばいいしな!」
「ははは……(悟空さに一番満足して欲しかったんだけどなぁ)」
主にこれから事あるごとにバトルを挑まれたくない、的な意味で。
……まぁ現実で挑んで来られなければいいか、と無理矢理納得し、ログアウトしていく三人を見送った私達なのでありましたとさ。