なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はてさて、それじゃあ次の相手を待とうかと思うんだけど……次は誰が来ると思う?」
「そうですね……先ほどの試合を見た方が増える、というのは間違いないのではないでしょうか?」
「あの試合を見て、となると……サッカーしにくる感じ?」
「フルダイブスポーツもなんだかんだ需要ありそうよねー」
実際、リアルで本気出し辛い面々からするとスポーツであれ変なことになる、ってのはよくある話だろうし。
……安直にテニヌになるみたいな懸念だけじゃなくて、ラケットとかゴールポストとかの破損を気にする必要がでてくるというか。
なんならラリーするタイプのスポーツだったら、受ける相手の安全を気にする必要もあるだろうし。
ってなわけで、実のところフルダイブ形式の需要はスポーツゲームとかにもあるのかもしれないなぁ、と思う私である。
フルダイブゲームはなんでもできるけど、そのなんでもの中にスポーツがあっても問題ないでしょ、みたいな?
それこそさっきの試合がそんな感じだったし、これから来る
「……人来ないんだけど?」
「あれー!?」
なぜか、先ほどまでの人足すらパッタリと途絶えてしまったため、思わず困惑してしまう私達である。
あれ?商売繁盛は??千客万来は???
「いや当たり前でしょ、今何時だと思ってるのよ」
「ゑ?」
「朝の三時なの。普通の人は寝てるの」
「そん なに」
などと困惑していた私たちに無情にも告げられたのは、なのはちゃん達からの現在時刻の話。
……いつの間にやら再び一日経過してたみたいで、現在時刻は草木も眠る丑三つ時*1……を、さらに一時間もオーバーしているとのこと。
二十四時間店舗だから余計の事わかり辛いが、本来ならみんなゲームなんて止めて家に戻ってる・ないしは寝ている時間であるとのことであった。
……いや、それならそうと早く言って欲しかったんだが???
などと思いながら声を掛けてみたところ、凛ちゃんからは『だってなんか必死だったし』などと返されてしまったのであった。
これには流石のキーアさんも沈黙である()
「まぁ、言っても仕方ないからってとこもなくはないけど。だってほら、目的のひみつ道具見つかってないじゃない?」
「……ああはい、そうですね……」
ついでに飛んできた言葉で、今度こそなにも言えなくなる私なのでありました。
……うん、現状こっからログアウトとかすると、それこそ相手を見付けられなくなる可能性大というか。
相手を絵本入り込みぐつとして
それからもしもボックスとして見た時には、尻尾も捕まえずにここから去ったらそれこそ何処に隠れたかわからなくなるし、再び相手を油断させる必要が出てくるから面倒臭過ぎる、という意味で。
なんにせよ、解決の糸口すら掴めていないうちにこのゲームからログアウトする、という選択肢はないとしか言いようがないだろう。
なんなら今現在ここにいるメンバーは姿を変えている≒『逆憑依』としての効果を可能な限り抑えた状態である、ということになる。
……つまり、ゲーム内に感覚を残したままログアウトするという、ある種の裏技が使えない状態なのだ。
そのため、一時休憩という形で外に出る、ということもできない。
……いやまぁ、本来ならログアウト……もとい、ゲームを止めて次の人に順番を譲るべきなんだけどね?
ゲームの流行を願うのならフルダイブ形式のゲームそのものに触れされる必要があるのも間違いないし、筐体数が少ないんだから一つのグループが占拠しているって状況は宜しくないわけだし。
その辺は宣伝担当として
「……そういえば、休憩という言葉で思い出しましたが……私達、お腹が空いたりおトイレに行きたくなったりしていませんね?」
「あれ、そういえば。……はっ!?まさかこれがこのゲームの異常性……っ!?」
「ちゃうわい。最初にログインした時から【星の欠片】で保護しとるだけじゃい」
「あ、そういう?」
そうして考えているうちに、話題は変な方向へとずれていく。
具体的には『なんで丸一日以上ぶっ続けでゲームやってるのにお腹が空いたりトイレに行きたくなったり眠くなったりだのの生理現象が発生しないのか』、というもの。
その辺はSAOでも問題視されてた部分なので、彼女達の疑問も当たり前の話になるわけだが……当たり前の話だからこそ、私がその辺りの対処をしていないはずがないわけで。
具体的には現実世界の彼らの身体の方に【星の欠片】による保持を掛けている、という形になる。
具体的にどういう効果を付与しているのか?……というのを説明すると長くなるので、とりあえず時間停止に近い状態になっていると思って貰えばそう間違いではないだろう。
「じ、時間停止?」
「不安なら生理現象の停滞、って認識でもいいわよ。完全な停止だと色々と問題が起きてこないか、とか思ってるんでしょ?」
まぁ、そもそも『逆憑依』自体が中身となった格に対して停止というか停滞というか、とにかく人物の保護を行ってる時点でその心配は『今さら』ってやつなのだが。
……ともかく、現状無防備になっている現実世界の身体は、周囲に【
脳……というか魂?だけが稼働状態になっているようなもので、肉体への負担は限りなくゼロになっているというわけだ。
完全に停止しているわけじゃあないので、停止ボケを生む余地もないってわけである。
「……当たり前のように出てきたけど『停止ボケ』ってなに?」
「え、その辺はご存じの上で疑問に思われていたのではないのですか?」
「いや知らないわよ!?私なんにも知らないわよ?!単に口をついて出た疑問ってだけで!!」
「おぜうさまェ……」
大丈夫かこのかりちゅま()
……なお、一応説明しておくと『停止ボケ』というのはいわゆる『固有時制御』*2のような停止・停滞・加速などの機能を持つ時間操作系技能を使った際の反動のことである。
本来『固有時制御』に反動が発生するのはその原理によるものなのだが、この世界では『他とは違う時間の流れ』を発生させる際、色々な反動が懸念されるのでそれの対処が必要……みたいな話になる。
ささらさん達の世界とこっちの世界を同期するとヤベーことになる、みたいなのと話としては同じ感じだ。
その辺の負担は全部【星の欠片】に押し付ける、って感じで回避もできるんだけど……今回はそもそもの反動が極小になるように操作する、という形で対処させて貰っている。
なんでかって?そうしないとひみつ道具に色々と怪しまれるからさ!()……既に色々怪しまれてそう、とか言ってはいけない。
なお、わざわざ『停止』ボケと呼んだことからわかるように、時間系技能の使用に伴う反動には幾つか種類があり、例えば長時間の停止による反動は文字通り『停止ボケ』と。
またそれが停滞なら『停滞ボケ』になるし『加速ボケ』なら加速したことによる反動、ということになる。
「……具体的にはどういう症状が現れるの?」
「まず『停止ボケ』だけど、これは停止状態が長引くほど通常の動作状態に悪影響が発生する可能性が上がるね。わかりやすく言うと不整脈*3とか一時的な脈拍停止とかに繋がる感じ」
「ひぇっ」
まぁ『ボケ』ってぐらいなので、基本的には命に関わるような影響にはならないんだけど。
……でも現代医療的には『原因不明の脈拍停止・ないしは不整脈』ってことになるので、滅茶苦茶不安がられること間違いなしなので可能な限り発生しないように努めるべきというか。
なお一番ヤバいのが『停止ボケ』だが、『停滞ボケ』『加速ボケ』は共に動作が重くなる・軽くなる(本人的には通常通り)という、周囲に違和感を抱かせる方面の副作用なので、そこまで重篤ではない……と言い張るにはちょっと微妙な話になるのであった。
「ふんふん、なるほどなるほど。そんな感じに使われているんだねぇ」
「そうそう、【星の欠片】は便利だけど厄介なものでもあ……なんだお前!?」
「やぁ、ボクドラえもんです」
「ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑっ???!!!」
なおそうして説明している最中、唐突に現れた青狸……もといドラえもんの姿に思わず警戒態勢をとる羽目になったが問題しかありません。
……いやマジでどっから現れた貴様?!