なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、結果的にわさドラと合流したわけだけど、表面上こちらがやることに変わりはない。
一応、わさドラ本人から【星の欠片】の実際の運用を見たい、みたいなリクエストは貰ったけど……。
「相手が来ないと話にならんのだわ」
「時間が時間ですからね……」
あれこれ話し込んだ結果、現在時刻は朝の五時。
……流石にこの時間からゲーセンに入り浸る人というのはそう多くはなく、更にその多くない面々から『ブレイジング・デュエル』を遊びに来る人間は更に少ないということになるわけで。
結果、誰か遊びに来ないかなーと待ちぼうけを受ける私達、という光景が繰り広げられることとなったのでありました。
「ここでログアウトするとまた一日待たされるー、とかになりかねないから止めるに止められないってのも問題だよねー」
「なりかねないって言うか実際にそうなるわよ?今回は事情があれだから長期ログインを許してるけど、再ログインに関しては生体認証で一日待って貰うようになってるみたいだし」
「なんでそんな面倒な仕様に……」
「より多くの人に遊んでほしい、という琥珀の願いによるものだろうな」
「……なるほど?」
はい、今しがた話したように長期間のログインは(状況的に)許されてるけど、流石にログアウトしてからの再ログインに関しては融通が効かないそうで。
ゲーム自体についている生体認証の仕様上、同一人物によるプレイは一日以上日を開けることを強制されてしまうそうな。
なので、こっからログアウトして反対側の筐体に飛び込み、敵対相手として再ログインする……みたいなのは不可能、ってことになるのであった。
いやまぁ、そもそも現状ここにいるみんなが私の補助の影響下なので、そっから離れると暫く休養がいるためあんまり現実的な話でもないのだけれど。
「え?」
「え?って……いやさっきも言ったでしょ、食事とか生理的反応とかの抑制をしてるって。生憎だけどまったくなんの反動もない、ってわけじゃないのよ。停止ボケとか停滞ボケとか、大きめの反動はちゃんと抑制してるけど」
「その言い分だと、代わりに小さな反動はしっかりやってくるということか?」
「そういうこと。具体的にはこっから出て私の補助の影響から外れると滅茶苦茶眠くなると思うわよ?」
その言葉に何故か返ってきた疑問の言葉に、寧ろこちらが疑問を覚えるところであったが……そういえば話の途中でわさドラが現れたから話が飛んだんだったっけ。
そんなことを思い出しながら、伝え忘れた部分を付け加える私であった。
まぁ、伝え忘れたといってもそう難しい話でもない。
単に細かな反動としてやってくるもの──
「停滞ボケは確かに発生しないようにしてるけど、そこから正常な状態に戻った際に
「気分的には寝ないといけないと思うし実際にも眠気が襲ってくる。そうして起きたのなら、いつもより多めの朝食やら昼食やらを食べたくなる……と?」
「そういうことー」
時間系の技能の副作用として、正常な時間軸に戻る際に少なくない反動がその人を襲う、というものがある。
特に自身を加減速させる系の技能に多いものだが……自身に反動が出るのではなく、周囲にそれを伝播させるタイプもあったりするのでその辺は能力による、というか。*1
まぁともかく、本来であれば周囲と違う時間の流れに身を置く、というのはリスクの高い行動であるということに違いはない。
その際の反動の大半を今回は私が受け持っているわけだが……これが中々面倒臭いもので、
「はい?」
「まぁなんていうのかな、反動とは別方向で負債が溜まるというか。……その辺はややこしいから説明は省くけど、とりあえず時間の加減速をしておいてなんの影響もなし、ってのは後々良くないことになる可能性がある、ってことは覚えておいて」
「は、はぁ……」
まぁあれだ、ティンダロスの猟犬*2みたいに時間を操作すると反応して襲ってくる相手がいるのと同じように、
それに対する対処として、形だけでも負債を背負っておく必要があるので、大きな反動を生むものではなく小さな反動を生むものを見繕ってみんなに背負って貰っている……みたいな?
で、今回のそれは『停滞していたモノを取り戻そうとする心の動き』ってことになる、と言うわけだ。
「そんなわけで、こっからログアウトするのは色んな意味で全部終わってから、ってことになるわけだけど……」
「それじゃあ、このまま敵味方に別れてー、ってのはできないのかな?」
「……なんて疑問が出てくるのは当然の結果だよね」
その話を聞いたわさドラから、わざわざ
……という疑問が出てきたのだけれど、それに関しては不可能であると明言させて貰う。
「あれ?そうなの?」
「そうなんです。一度団体でログインすると、基本的に設定を──グループ登録を解消できんのですよ。多分だけどこのゲーム対戦形式で負けた相手は原則ログアウト待機になって、仲間がみんな負けたらそのままログアウトさせられるって感じになってるんだけど……」
「あー、筐体の仕様的に同じ筐体内で敵対者がいると他の人がログインしてるのに一人だけログアウトしちゃう、みたいな?」
「あとはまぁ、最初の方に問題点として語ったやつと合わせれば完璧だね」
あれだ、フルダイブ状態の人はリアルの肉体が無防備なので色々危ない、ってやつ。
……なんでこんなややこしいことになっているのかというと、『ブレイジング・デュエル』がまがりなりにもアーケードゲームだから、というところが大きい。
多くの人にプレイして欲しいという思いと、それからアーケードゲームなんだから回転率が高くないと現場に負担を掛ける……というポイント、その二つが合わさった結果というか。*3
そこに安全面の話も付け加えると、『負けた方はログアウトして次の人に回す(店舗利益)』『再ログインは丸一日経過してからじゃないと認められない(プレイ人数の拡大)』『同一筐体内での敵味方戦の厳禁(安全面)』……なんて仕様になるというわけだ。
……ところで、この辺の話は私よりもわさドラの方が詳しいはずだと思われるのだが、これは一体どういうことなのだろうか?