なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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ドラえもんに泣きつくのは止めよう

 はてさて、予想が間違いでなければこの筐体に秘められたひみつ道具からの使者であるはずのわさドラが、このゲームの仕様について詳しくなさそう……みたいな話になったのだけれど。

 

 この場合、考えられる理由は幾つかある。

 まず一つ目は、わざとなにも知らないように振る舞っている、というパターン。

 こちらに警戒をさせないため、もしくは警戒を解かせるためにわざと無知なフリをしているパターンというやつだ。

 

 仮にこちらであった場合、ドラえもんの言葉をそのまま受け取るのは危険である。

 なにせ()()()()()をしているのだ、少なからず情報を知った上でこちらを騙そうとしている、ということになる以上そのままでは相手の勝手を許す形になりかねない。

 ただでさえ(私の中で)想定されているひみつ道具の正体が『もしもボックス』なのだ、改変耐性のない他の面々はほぼ置物と化すことだろう。

 ……置物云々で思い出すのがいつぞやかの登頂*1なのはどういう思考の流れなんだろうね?

 まぁともかく、わざと知らないフリをしているのなら警戒せざるを得ない、ということは間違いない。

 

 そして考えられるパターンのうち、最悪なのが『ドラえもん本人は本当になにも知らない』パターン。

 この状況に対応するためだけに生み出された存在であり、必要最低限の記憶しか与えられていない……みたいな状態の時、ということになる。

 

 なんでこれが最悪なのかと言うと、ドラえもん本人を警戒してもなにも得られない……どころか、無闇に相手からの不信を買うだけなのにも関わらず。

 かといってまったく疑わずにいると、裏で手を引いている相手の思う壺になってしまう、という点にその理由がある。

 

 ……え?わかりにくい?んじゃまぁ、TRPGやってる人とか心理系の話を専攻している人に対してわかりやすいように述べると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、である。

 

 例えばTRPGにおいて心理学技能を用い相手の言葉が嘘か本当かを探る場合、ゲームの仕様上返ってくる答えというのは(あくまでその相手の知識において)嘘か本当か、である。

 その事実を心の底から嘘/本当と感じているのならば返ってくる答えはその通りになるし、またそれが嘘になる条件を知らない場合も答えは『本当』から変動しない、ということになるわけだ。

 

 ……え?やっぱりわかりにくい?

 んじゃまぁ、洗脳とかされてるパターンと近い、とでも思って貰えれば。

 

 心を読み解く技能と言うのは、原則読み取っている()()()挙動をするもの。

 正確な意味では相手の心を読めているわけではなく、ゆえに相手の心理に対する解釈というのは少なからず読み手の勝手な妄想が混じってしまうモノである、とでも言えばわかりやすいか。

 

 いやまぁ、この言い方だと絶対誤解を招くんだけども。

 相手の心を本当に読むことはできないってことを前提に置くと、こう言わざるを得ないというか。*2

 ……ともかく、例えどれほど優れた読心術者であれど、相手の知らない真実まで読み取ることは不可能である、ということは間違いない。

 

 そうなるとどうなるのかと言うと、相手を裏から動かしている存在がその意図を相手に説明してない場合に困るのである。

 例えば『とあるモノを盗むために潜入して欲しい』という指令を相手が受けていた場合、優れた読心術者なら『なにかを盗む』ために相手が潜入してきた、ということを察知することができる。

 相手が持っている情報によっては、盗もうとしている物品の子細についても手に入れることができるだろう。

 

 どっこい、例えば相手が受けた指令が『潜入せよ、成功した場合指示は追って知らせる』みたいなモノであった場合。

 潜入成功後に送られてくる指令に関しては、どう足掻いてもそのタイミングでは相手の知らない情報、ということになる。

 こうなると、どれほど優れた読心術者であれ、本当に知りたい『潜入してきた目的』について知ることはできない、ということになってしまう。

 結果、本当の目的について阻止することができなくなる、と。

 

 ……これはわかりやすいように条件を少なめにした話になるが、先述したように実際には『洗脳されているので答えを引き出せない』パターンや『現状の知識・及び与えられた指令から考えて動くことで自然と目的を達成してしまう』パターン*3なんてものもあるわけで。

 相手が目的となる知識を持たない・無知であることの恐ろしさというのは、そういうところにあるわけだ。

 

 これがサイコメトリー的な超能力なら、相手の記憶から別の相手の記憶を探る……みたいな間接検索ができることもあるんだけど、それもまぁ万能じゃないのでここでは割愛。

 ともかく、現状のわさドラの状態として一番困るのが()()()()()()()()()()()()()()()()状態である、ということに間違いはないだろう。

 

 じゃあその上でこっちがどうするべきなのか、というと。

 ……うん、ぶっちゃけると普通に相手するしかないんだよね。

 

 確かに、読心術というのは信頼性の低い技術になってしまう。

 ……なってしまうが、同時にそれは()()()使()()()()()()でもあるわけだ。

 どういうことかって?自分と相手では条件が違う、ってことになるかな?

 

 例えば、そもそもの性能が違うパターン。

 こっちの読心術レベルが1で、相手の方が2なら読める範囲が当然違ってくる。

 そうなると得られる情報の深度があからさまに変わるし、そこから想定できる相手の目的、ってのもより正確なモノに変化するわけだ。

 

 他にも、自身と相手の状況が違うパターン──相手は目的を知らないが、こっちは明確な目標を持って行動している場合──だとか。

 はたまた、技術体系が違うみたいなパターンだとか、ともかく彼我において得られるものがまったく違う場合、こっちは無意味に近いのに相手側は有意義に使えている……なんて状況も普通に起こりうるわけだ。

 

 気分としては、カードゲームで特定のカードが『相手に使われると強く見え、自分が使うと弱く見える』時みたいな。……え?多分それは違う?*4

 まぁともかく、相手側も読心術(ないしはそれに準ずる技術)を使えると仮定した場合、こっち側が気を付けるべき話というのは中々にややこしいことになる、というのは間違いないだろう。

 

 幸いにして、今回他の面々は目的となるひみつ道具が『絵本入り込みぐつ』であると勘違いしている。

 そうなると、他の面々の思考を読んだところで警戒の必要はない……と判断されこちらに有利な状況になることは必至。

 

 ……なのだが、例えばここで私が相手の不信を買うような行動をしたとしよう。

 本来ならば明らかに思考の読み辛い私より、他の面々から事情を読み取る方が遥かに容易いのは間違いない。

 どっこい、もし仮に不信な行動によって相手が『実はこいつ周囲に秘密を隠しているのでは?』と思ってしまった場合。

 本来なら面倒だから無視していいや、で終わっていたはずの話が()()()()()調()()()()()()()()()()()になってしまうわけだ。

 

 まぁ、仮にそうなっても私の思考を読むことはできないというか、読ませる気はさらさらないんだけども……ここで重要なのは本当に読心できたか否かではない。

 読めない相手がいる以上、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という点の方が遥かに不味い状態なのだ。

 

 ……要するに、この場での対処をこの『なにも知らないドラえもん』に全部丸投げして、自身は雲隠れするというプランが現実的に考えて一番に選ぶべき選択肢になってしまうってこと。

 言い換えると『キーアの敗けだよ』*5ってことである()

 

 

(そんなことにならないようにするためにも、結局普通に対応するしかないんだよなぁ……)

 

 

 げに悲しきは、ほぼほぼ孤立無援だってことか。

 内心で涙目になりつつ、『ブレイジング・デュエル』の仕様を詳しく知らないわさドラに説明をしていく私達なのでありましたとさ。

 

 

*1
山を登ること。……ではなく、山の名前を持つ喫茶店に行くこと。ここで述べているのはいつぞやかの正月の話であり、当時はそもそもキーア自身も『なんとなーくなんか起きてるぞ?』と認知するだけに留まっていた

*2
もしくは、自身の読んでいるモノが本当に相手の心である保証がないと言うべきか。どちらにせよ、読み手の解釈が無意識に混じることを避けられない、という面では大差ない

*3
目的は知らないが、行動の結果目的を達成してしまうパターン。成り行きで成功を納めてしまう、みたいなノリに近い

*4
カードゲームにおいて往々にして起こりうるもの。マストカウンターとしてしっかり機能するように使えているか否か、とも

*5
『Shadowverse』より、キャラクターの一人である『ルナ』の敗北時の台詞『ルナの負けだよ』から

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