なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーんこれはとても凄いゲームだ。未来デパートで売りだしたなら、もの凄い評判になるかも」
「またまたー、お世辞が上手なんだからドラちゃんはー」
「いやお世辞じゃないよ?ボクは本当にそう思ってるんだからね?聞いてる海里ちゃん???」
はてさて、説明を重ねる内に仲良く?なれた感じのわさドラ……もといドラちゃん。
同時に話を長引かせることで時間を効率よく経過させる、という裏目標もなんだかんだ達成されたため、現在時刻は朝の10時頃となっていたのだった。
流石にこの時間帯になればゲームをプレイしにやってくる一般層も増えてくるため、いい加減【星の欠片】の実演についても果たせるはず、なんだけども。
果たして情報をあげてもいいものか、あげるにしてもどれくらいあげるべきなのか……みたいなところでの判断が未だに決まっていないのでありました。
……うん、ドラちゃんが自覚のない間者みたいなものなら、そこまで教えることを警戒する必要もないんだけどねー。
確かに、彼の背後にひみつ道具がいるのなら、ここで実演することは同時にひみつ道具の前で実演するのに等しいこと、という風に解釈もできるかもだけど。
逆にいうと、相手とドラちゃんが直接繋がってないならごまかしようは幾らかあるんだよね。
情報の共有がないのならその違いを精査することもできないわけだし?
ただその辺調べようとすると、確実に相手にバレるからなー。
今の段階──相手がこちらの脅威度を見誤ってる段階なら、幾らか対処も思い付くんだけど……それって相手がドラちゃんの思考を読んでないこと前提だからなー。
心理学のあれこれの話もあるし、なんというか対応に苦慮させられる案件である。
(まぁ、あれこれ勘案すると普通に対応するのが比較的マシ、ってことになるんだけど……あくまでマシなだけであって、解決しなきゃいけない問題自体は普通に残ってるんだよなぁ)
「せんぱい?」
「ああはいはい。もしかして対戦相手がやって来たりしたかな?それならお迎えの準備しないと……」
「いえその、どうやらどこからか噂を聞き付けてのび太さんが再び遊びに来たみたいで……」
「
「?今なんか変なニュアンスのこと言わなかった貴方?」
「言ってないですよー?」
いやなにトラブル一つ増やしてくれてんのあの子???
いやね?確かに『ドラえもんがいる』って話を聞いてのび太君が動かないはずがない、ってのはわからんでもないよ?
でもほら、相手がこの
……いやまぁ、見方によっては助かるってのも間違いじゃあないのよ。
流石にのび太君が見れば、このドラえもんが自然発生したタイプなのかはたまた
……うん、ほぼ確実に見抜いちゃうんだよね、相手の状態。
それってつまり、連鎖的に相手側にも『自分が違うと気付かれた』と自覚させちゃうわけでして。
そうなると、当初の懸念である『相手の裏に隠れている黒幕が身を隠してしまう』ってやつがそのまま現実になるわけで。
……はい、どう考えてもこっちの邪魔にしかなってないですね?
思わず『邪魔してんじゃないわよ……』って殺気が漏れそうになるのを堪えつつ、はてどうしたものかと内心頭を抱える私。
これがドラちゃんに聞こえてなかったのなら、秘密裏にとっとと帰れとばかりにのび太君を送り返すこともできるんだけど。
……はい、教えてくれたのがマシュもといレムちゃんって時点で、普通にドラちゃんにも知られちゃってるわけでしてね?
ほら、この時点でこっそり送り返すのは不可能、ってことになるわけじゃん?
「のび太君がいるのかい?それは楽しみだなぁ」
(表面上は問題無さそうだけど……なんかボロが出たら即座に消える、とかになる可能性はまだ消えてないからなぁ……)
話を聞いたドラちゃんの反応はご覧の通り。
……ざっと見る限り、のび太君と顔を合わせることに忌避感はないみたいだけど……これが虚勢なのか単なる事実なのか、こちらからは判別することはできない。
お願いだからこれ以上面倒なことにはならないでね、とばかりに脳内でお祈りしていた私は。
「おーいドラえもーん!」
「わぁ、本当にお兄ちゃんだったのね!」
「あれぇ、ドラミまでいるよ?」
「 」
「なんかキーアが固まっちゃったんだけど」
「ドラえもんさんに引き続きドラミさんですからね、せんぱい的にもびっくり……ということなのかもしれませんね」
のび太君が一緒に連れてきた相手を見て、思わずフリーズする羽目になったのでした。
……びっくりどころかふざけんな、って叫びだしたい気分なんだが???
「ふぅん、お兄ちゃんはここに来るまでのことが記憶にないのね」
「そうなんだよねぇ。まぁ別に困ってはいないんだけどさ」
流石は兄妹ということなのか、あっという間に仲良くなった(?)ドラちゃんとドラミちゃん。
その様子を横目で見ながら私は、のび太君相手に【星の欠片】
「ねぇー!?気のせいかなー!?なんか昨日より色々激しくなーいー!?」
「あっはっはっはっ気のせいじゃないかなーもしくはのび太君を格上と認めてちょっと張り切らせて貰ってるかかなー?」
「自分のことなのに他人事みたいな言い方ぁ!?」
はっはっはっ、とりあえず『神断流』も【星の欠片】だし他のよりわかりやすいし説明には持ってこいだよね!
……という言い訳のようななんとも言えない結論からのび太君に対し昨日より過激な技の応酬を繰り返してる私である。
しゃあねぇ、色んな予定とか思惑とか全部ぶち壊されたんだからこうされる理由が君にはあるんや、私の八つ当たりを受けて逝け()
……逝けは冗談としても、色々予定をぶち壊されたのは事実。
ってうか、余計な問題をさらに増やしてくれたとも、解決策を持ってきてくれたのだとも解釈できるため、余計にイライラさせられている感は否めないのであった。
どういうことかって?さっきまでの話が全部単なる憶測で終わる可能性とその憶測がスライドする可能性、どっちもまとめて持ってきやがったからだよ()
どういうことかというと、さっきまでの憶測というのは基本的に、『相手がひみつ道具であること』および『ドラちゃんの出てきたタイミングが良すぎた』ことが前提となっていた。
相手がひみつ道具なのだから、こちらへの干渉・ないし偵察用に生み出すのはひみつ道具に関わるもの──すなわちドラえもんであることが自然であるというのと、実際にドラちゃんが現れたタイミングが『偵察を決定した』とこちらが判断するのもそうおかしくない状況だった、というのが大きいわけだ。
ゆえに、私はドラちゃんを『ひみつ道具の生み出した存在』として扱い、同時にそんな存在に対してどういう反応をすべきか対応を苦慮していたわけだけど。
……うん、その前提が全部今しがた現れたドラミちゃんに対しても当てはまっちゃうんだよね。
というか、なんならドラミちゃんの方がドラえもんより高性能って辺り、そっちの方が疑うべき度合いが上になっているというか。
いやまぁ、そういう風に考えさせるためだけの相手として生み出されたのがドラミちゃんである、みたいなのとか。
はたまた、どっちも無関係・ないしはどっちも関係者なんていう可能性も捨て置けない。
……要するに、率直に言って状況を掻き乱すための要素として余りに適しているのだ、ドラミちゃんという存在は。
そりゃまぁ、そんな厄介事の種以外の何者でもない相手を連れてきた、って時点でのび太君への好感度駄々下がりもやむなしっていうか。
……っていうか、その辺怪しみだすとそもそもこののび太君自体
そういう意味でも、この状況に混迷をもたらした罪深き相手として、のび太君へ遠慮する理由が一つも無くなっていくというか。
「他ならぬドラちゃんからの頼みだからね!私は私の役目を果たすとするよ!!」
「絶対それだけじゃないよこれ!?助けてぇー!!ドラえもぉーんっ!!」
「んー、よくわかんないけど……なんとなくのび太君が悪いってことはボクにもわかるよ。あとあんな感じだけど海里ちゃんはしっかり手加減してくれてるみたいだから、ここは素直にスパルタ教育に身を任せるべきじゃないかな?多分これを越えればのび太君もカッコいい男になれるよ!たぶん」
「そぉんなぁ~!!?」
「のび太さんはここでも変わらないのね」
そんな感じに保護者からのお許しも頂けたので、スパルタ教育開始じゃオラー!
これが鷹狩、これが白鷹狩、んでもってこれが速鷹狩でこっちが落鷹狩に締めの群鷹狩じゃー!!*1
ぎゃーぎゃー言うのび太君に向かって、ひたすらに矢を放ち続ける私なのでありました。
結果?なんかデスモモイにドン引きされましたがなにか?
私としては、君にそこまで引かれるのは正直納得いかないんだけどねぇー。
というかのび太君本人はぎゃーぎゃー言いつつしっかり避けてたし、なんならこっちの技をしっかり見てたし。
……あれ絶対覚えてこっちの鼻を明かしてやるってやつでしょ、怖いわー。