なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「私の爆死の話はもういい!もういいだろ!!」
「ではいい加減真面目な話に戻りますね。ひみつ道具の捜索、ということですが、ドラえもんさん達ならばある程度気配などを探れるのでは?……という期待も寄せてのことだったのですよね、お三方の同行というのは」
「え、あ、うん、そうね?」
「微妙な反応返ってきたんだけど」
「もしかして単なる成り行きだったり……?」
「そそそそんなことはないよ……?」
三人相手にろくに説明もせずに連れ回せる状況がこれくらいしかなかった、みたいな話なんてあるわけないじゃあないですかやだなぁアハハ……。
いやまぁ実際、この面々を連れ行くならそれくらいしかなかったんだよね。
だってさ、よく考えてご覧よ。……こいつらどっからログインしてるねん、というか。
一応、HMDとか持ってたら自宅のPCからログインすることもできる、って触れ込みではある。
とはいえその場合、必要なゲーム機・および性能は相応に高いものになるのだ。
極論、(一応小学生である)のび太君が持つには高すぎるガジェットになる、というか。
本来ならこういうのって原作スネ夫の役目で、スネ夫がなにかしら自慢する→それを羨ましがるも仲間外れ→ドラえもんに泣きつき代わりの道具を出して貰う、っていう黄金パターンなんだけど……。
はいそうですね、ここのドラちゃんはんな都合のいいもの持ってないのだから、必然のび太君のログインを助けてくれたのはドラミちゃん、ってことになるわけで。
それって要するに都合よくドラミちゃんがのび太君と知り合った、ってことになるんだけど……いや、そこまで都合よく話が進むか?……って疑問が発生してしまうわけで。
そうでなくとものび太君達周りは怪しいところがあり、その辺を指摘してしまう……もしくは周囲が指摘してしまうような状態に陥った場合、そのまま今回のラスボス戦始まりかねないわけで。
そりゃまぁ、なにも言わず聞かずに連れていく以外の選択肢ぬいじゃん?……というか。
そして勿論、その辺の話を周囲に悟られるのもよろしくない、ってのはさっきから述べてる通り。
すなわち、私はここから周囲の人間に奇妙に思われないよう話をなあなあにする必要がある、ってことになるわけで。
答え①:サイッコーにクレージーで天才なキーア様は突然解決策を思い付く
答え②:唐突に神の助け的なものが入って奇跡的になんとかなる
答え③:どうにもならない。現実は非情である。
……ってな感じの三択を突き付けられることになったのでありました。この間一秒!*1
「……あれ?せんぱいこんなところでどうしたんです?」
「ああいやちょっとみんなで散策を……いや待てなんでいるのBBちゃん???」
「なんでって……そんなの面白そうな匂いがしたからに決まってるじゃないですかー!」
その一秒の間に私は
「BBさん!?何故ここに……!?」
「それは勿論、この夏の視線を独り占めする掟破りの二枚目水着、それをみんなに見せびらかすため……なぁんてしょうもないことではありません!」*2
「なんだ違うのか、お前のことだから十二分に起きうる事態だと思っていたのだが」
「そんなことあるわけないじゃないですかぁ!!っていうかこの渋くて人生観が滲み出てて見た目とは裏腹な声、もしかしなくても持ち主はアンデルセンさんですね?ということはー、もしかしてこれってCCC同窓会だったりしますぅ?」
「は?なに言って……」
「……ええとその、初めましてでよろしいのでしょうか?」
「!?」
あ、デルセンが固まった。
無理もねぇや、だって彼の目の前に現れたの、まさかのこっちのキアラさんだったんだもん。
いわゆる『きれいなキアラ』ってやつ?
正真正銘本調子の彼なら、目にした途端相手がどういう存在なのか看破して大爆笑……からの、本来それによって返ってきそうな反応ではなく恥じ入るようなキアラさんの姿を見せられることになって、結果としてバツの悪い状態に陥る……みたいなこともあったのかもしれないけど。
生憎ここにいる彼はその辺の観察眼などが未熟・もとい上手く機能していない存在。
最初から観察しようとして見たのならともかく、唐突にお出しされた『きれいなキアラ』さんなんてものに耐性などあるはずもなかったのであった。
……まぁ、だからって人の顔を見た途端に宇宙猫状態になるのは失礼じゃない?……と思うのだけれど。
そんな感じに固まってしまったデルセンはともかくとして。
困ったように微笑んでいるキアラさんの背後をひょいっと確認したところ、今しがたのBBちゃんの台詞の意味を心の底から納得してしまった私である。
なんでかって?そりゃほら、ネロちゃまとエミヤんも同席してたんだからそういう感想になるのは当たり前でしょ、としか。
……玉藻の代わりに何故かハクさんが居たことには少々面食らったけど。
「それに関しては私からのお誘いです!基本的に出不精のハクさんですから、人類の健康管理AIであるBBちゃんとしては放っておけませんでしたので!」
「いや、ゲームの中で動いても実際の筋肉は付かんぞ、と断ったんだがの?結果はご覧の通りじゃよ」
「うむうむ。本来化生の類いにはそれほど食指の動かぬ余だが、ハクのボディを衆目に晒さぬのは寧ろ暴挙の類いである、ということはよくわかるぞ!」
「何故君は発言が一々親父臭いんだ……もう少し慎みというやつを持ちたまえ」
「なぁにを言う!これがもし相手がキャスターのやつめであったなら、余はこれほど心穏やかではいられなかったのだぞ!怪獣大行進待ったなし、というやつだな!」
「それは威張るような事なのかね?」
わぁ、一気に騒がしくなったぞ()
見てみなよ隣ののび太君達、あっという間に宇宙背負っちゃったぞぅ?
……いやホント、いつの間にか背景に宇宙を背負うの流行ったよねマジで()
それはともかく。
唐突に現れた似非CCC御一行様、実のところ全くの偶然と言うわけでもない。
どういうことかというと、このゲーム世界においても十二分に影響力を発揮できる存在であるBBちゃんを筆頭とした面々を投入することで、相手のひみつ道具の暴挙を押さえ込もう・なんなら彼女達に確保して貰おう……くらいまで考えた私の策略なのである。
(ひみつ道具、でしたか。確かに願望器としてのスペックは上々、本来であれば生半可なメンバーでは突破は不可能に等しいでしょう。──ですがそれがこと電脳世界の中での話というのなら、このBBちゃんの敵ではありません!……いえまぁ、本来のBBちゃんなら本当に敵じゃないんですけど、流石にそこまでの大言壮語は吐き出せませんのでこうして補助メンバー増し増しなんですけどね?)
とは私からの相談を受けたBBちゃんの言である。
裏でこっそり呼び寄せこうして偶然を装って合流し、そこから彼女ならやってくれる……と期待を煽ること。
それこそが、ここでの私の役目にして作戦なのであった。
……え?なんか言ってることが変?
それもそのはず、実は今回のBBちゃん達は囮なのである。本人には言ってないけど。
いや、冷静に考えてみてよ?
確かにBBちゃんは電脳空間において負けなしレベルの性能、さらにはダメだった時のために後詰めとなる面々まで連れてきているので、対策はバッチリ。
……そう、
というかだ、仮に彼女達の力を最大限に活かそうと思うなら、こうしてわざわざ合流する必要がない。
裏に隠れて相手をアサシン!……するのが一番簡単だろう。
ではそうしなかった理由は、というと……うん、BBちゃんでも無理だから、というところが大きい。いや、正確には
確かにBBちゃんはグレートデビルな後輩だけど、彼女の言う『なんでもできるラスボス系後輩』というのは、ムーンセルを掌握した状態のこと。
今のBBちゃんはムーンセルのバックアップとかのない単なる高性能AIにすぎないのだ。
……まぁ、それでもスペック的には十分すぎるくらいなんだけど、今回は相手が悪い。
もしもボックス電脳版、なんて正直ムーンセルバックアップ状態のBBちゃんと大差ないのである。
ってことはだ、AIにおいてスペック差は絶対不変。気合いで覆すとか不可能なので、仮に相対してしまった場合絶対に負けると。
……そうなると、彼女にできることというのは一つ。
囮となってひみつ道具の警戒を集め、その隙に手薄になったところを私が一直線に突く、というやり方である。
ある意味初心に返った作戦になるが、それでも初っぱなに比べれば遥かに作戦の成功率は上がっていることだろう。
まさにこれしかない、と言わんばかりの完璧な作戦だったんだけど。……だけど。
「なにがどうなればこうなるのか」
「?」
目の前で首を傾げる黒髪の少女を前に、私は『どうしてこうなった』とばかりに天を仰いだのでありました。
……いや、よくよく冷静に見ていけばフラグはあったんですけどね(白目)