なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
まだなんとか立て直せるな……。
ってな風に現状を把握した私だが、とはいえ余裕があるかと言われればノーである。
ハクさんが爆発した時点で色々状況が進んだことは事実。
となればある程度無茶なことをする必要もある、ということになるだろう。
特に、ドラちゃん達の目を気にするのは止めにした方がいい、というのはほぼ間違いあるまい。
なんでかって?ハクさんが爆発した時普通にビックリしてたからだよ!
まぁ一応?演技としてビックリしてたって可能性もあるけども……。
「ひひひひ、人が爆発したぁ!?」
「どどどどドラえもぉん!?なんとかしてよぉー!?」
「落ち着いて二人とも!こういう時はタイムマシンで彼女が爆発する前に……」
「って、ボクらひみつ道具一つも持ってなかっただろう?!」
「あっ」
……とかやってたんだもん、あれが演技ならもう誰も見抜けんわ。
もし仮にドラえもんが少しでもひみつ道具を持っていたとすれば、恐らく映画でよく見る『あれでもないこれでもない』と道具をポケットからポイポイ放る彼の姿が見られただろう、ってくらいに慌ててたし。
一応、比較するとドラミちゃんの方は余裕があるように見えたけど……それでもやっぱり慌ててたってのは察せられる。
となれば、だ。ここから考えられることは二つ、彼らは偶然──本当に偶然ここに集まったか、はたまたひみつ道具によって生み出されたがその理由や意義などは一つも知らされていない、自覚なきスパイであるかだ。
少なくとも、やろうと思ってこちらの妨害をしようとはしていない……ということは確定的。
無論、だからといって彼らの前で迂闊なことができない、ってのは変わってないけど──
(……よくわかりませんが、せんぱいがなにか悪いことを考えている顔をしていますね)
(もしくはなにか解決策を思い付いたか。……海里さんでしたっけ?アバターが違っても癖って抜けないものなんですねぇ)
(そうですね)
なにやらひそひそ話し合っている後輩達には気付かぬまま、私は解決策を脳内で練り上げて行くのであった──。
「よし、みんな落ち着いたみたいだし聞いて欲しいんだけど」
「その口ぶりからすると……解決策が見つかった、ということか?」
「そんな大したものじゃないけどね。……さっきジェイドさんが『ひみつ道具に意思が芽生えた』みたいなこと言ってたじゃない?それと『その意思は目覚めたばかりなので、意思とは言っても反射に近い反応しかまだしてこない』とも」
「まぁ、そんな感じのことを言いましたねぇ」
はてさて、みんなが落ち着いたタイミングを見計らって声を上げた私である。
目的は勿論、これからの作戦をみんなと共有すること。
……なんだけど、無論馬鹿正直に全ての作戦を共有するわけではない。
今回の作戦は原則
BBちゃんがパーティに加わったことで多少は対応できるようになったけど、基本的に電脳空間において普通の人がなにかしら戦果を挙げるのは難しい。
その辺を踏まえると、寝首を掻くという単純な行動がどれほど難易度の高いものになっているのか、なんとなーく理解できるのではないだろうか?
FGOプレイヤー向けに言うのなら、『神殿内のオジマンディアスの首を斬る』難易度、ということになるか。……グランド級のアサシンの力がいる、と言い換えてもいい。
他、ゴルゴ13に頼まないとダメとかルパンなら盗めるとか、とにかく最上級の腕前を持つ人間がそのために専念してやっと、くらいの難易度なのだと思えばその作戦の無謀さはよく伝わるはず。*1
特に、相手の得意なフィールドが
真っ当な手段を使う限り、この状況下で相手の裏を掻くのは不可能である。
その上で監視まであったと思っていたのだから、そりゃもう不正すら封じられていたと解釈してもそう問題ではない。
──そう、
「逆に言うと、こっちが相手に触れられるような状態だと
「……どういうこと?」
「なに、簡単なことだ。反射を攻撃と解釈するのであれば、同時にそれは相手への干渉であるとも解釈できる。遠隔であろうが、そいつが攻撃というコマンドを選んだことは間違いないわけだからな」
「な、なるほど。攻撃する瞬間は一瞬であれ、相手と受けた側が繋がっているという風に解釈することもできます。つまりその瞬間だけは相手の位置を逆探知できるということ……」
「え゛、もしかしてせんぱい……?」
「その通り、申し訳ないんだけどBBちゃんには爆発して貰いたいんだよ」
「ヤダー!!?」
……表で卑劣なBB囮作戦を提案した結果、BBちゃんがちいかわみたいになったけどそれは置いといて。
正直なところ、さっきまでの状況で一番問題だったのは監視役の存在だった。
要するにドラえもん・もしくはドラミちゃんのことだが、彼らが自覚的にしろ無自覚的にしろ監視者であった場合、その視界の範囲内で迂闊なことをするのは即座にこちらの不利益になる可能性があった。
なので、彼らの視覚内にないところから解決策としてBBちゃんを持ってくる、という対応を選んだわけだが……それで少なくとも、彼らの視界の範囲が『この筐体の中』に留まっている、ということが判明したわけだ。
となると一番簡単なのは、外から目的のモノを確保することになるのだが……これはこのゲームを遊ぶ前に述べたように不可能である。
外からでは相手の位置が把握できないため、どう足掻いても相手の視界の内に入らざるをえなかったのだ。
で、相手の視界の中だと全ての判定が『こちらが後攻』すなわち後手にされてしまうため、捕まえる前に逃げられた挙げ句こちらの強制排除が発生する、と。
そして、仮に強制排除まで話が進んだ場合、この筐体自体が危険物だと判断され処分の憂き目に遭うため──即座にデッドエンドトラップが発動するわけだ。
要するに、相手を捕まえようとする行動が相手に脅威と判断された時点でゲームオーバー、というわけである。とんだクソゲーだな!
ともあれ、その前提があったからこそ迂闊なことができなかった、というのは間違いあるまい。
それが今回、監視者が監視者でない可能性が生まれた。
仮に監視者だとしても能動的に監視をさせているわけではない、という可能性が生まれたわけだ。
……いや、それが無自覚である可能性については常に意識してたやんけ、と思う人もいるかもしれないが、今回のそれは少し違う。
無自覚の監視者である可能性があるのではなく、ほぼほぼ無自覚の監視者であると判断できるくらいに可能性が高まったのである。
あれだ、そこまでは単なる推論だったけど、ここに来て物理的な証拠が出始めたというか。
机上の空論をそのまま実行することは躊躇われる。
確証のない・作れないそれでは結局策などなにもない、と言っているのと大差ないからだ。
けれど今回の場合、彼らの態度から確証らしきものを摂取できた。となれば、そこから無理を通すのもある程度可能になるのである。
……なに言ってるのかよくわからん?
じゃあまぁ、もっと簡潔に述べてみよう。
私という存在は、どういう存在であったか。キーアという人物が持つ能力とはなんであったか。
──それは【星の欠片】。微細数にして
数多の繰り返しによりどんなものであれ必ず『1』に引き上げるもの。
……そう、例え
さっきまでは小数点以下切り捨てすら行われていない0パーセントであり。
今は切り捨てられた小数が存在するのだとすれば、それはすなわち
それこそが【星の欠片】、すなわち私の能力である。
「だからまぁ、こういうこともできるってことさ。──ようやく捕まえたぞもしもボックス!」
「え?ええ?えええ???」
ようやく捕まえた相手を見ながら、私はそう宣言したのでありました。
……え?なにがどうなったかわからん?その辺は待てしか()