なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……仮に本当に爆発させられるのであれば、怒られる程度で済むとは思ってなかったが……なるほど、爆発の瞬間に救うという前提ならなんとかなる、ということか」
「囚われのお姫様救助、みたいな趣もあって中々にいいんじゃない?」
はてさて、前回の続き……というか解答変なんだけど。
正直、そんなこと言ってられないような状態に今の私は陥っているのであった。
具体的にどうなってるのかって?両サイドから牛裂きの刑に処されてますね()*1
「いやーん!爆発の中から劇的な感じで救助されるとか、これはもうBBちゃんルート待ったなし!ですね♡こうなったらこのままハネムーンと称してこの世界を一周してくるのもやぶさかではありませーん!」
「BBさん?BBさん。勝手に浮かれポンチになるのは結構ですが、現状をよく理解してからモノを喋って頂けますか?ご覧の通り、せんぱいは忙しいんですよ?」
ははは、後輩達が怖い()
……いやまぁ、主に怖いのはマシュの方であって、BBちゃんはほぼほぼマシュをからかって遊んでいるだけ、ってのは見てりゃあわかるんだけども。
とはいえ通常のマシュではなくレムちゃんとしてここにいる関係上、普段より遥かに自制が効いてないのかはたまた単にスペックの暴力か、普通に彼女に抱き付かれてる腕が死にかけてるので、できれば勘弁して欲しい次第です()
まぁ、その辺はあくまでこっちの事情なので適当にスルーしてもいいとして。
問題は私たちの目の前、テーブルを挟んで逆サイドにいる存在の方。
それは先ほど私が、隠蔽された世界から隙を見て引っこ抜いてきたもしもボックス(能力封印状態)なんだけども。
「姉さんに勝利をあげられなかった……それだけが心残りです」
「……んん?姉さん?もしもボックスに姉さん???」
「止めるんだよドラえもん!その辺は昨今のあれこれの関係上割りとセンシティブだよ!というかドラえもん自体ドラミちゃんって言う妹がいるんだから引っ掛かるところじゃなくない?!」
「でものび太君、冷静に考えてご覧よ。ボクの妹はまぁなんとなく想像できるかもしれない。けど見た目電話ボックスの存在が妹云々なんて口走ったとして、それがどんな見た目の存在なのかなんて早々想像できないと思わないかい?」
「いやまぁそれはそうだけど!でもほら、黒電話とか携帯電話とか、色々血縁関係?みたいなのは思い付くじゃないのさ!」
「その中だと黒電話くらいしか『姉』になりそうなのって居なくない?」
「そうだけどさぁ!!」
……はい、なんか聞き覚えのある声がもしもボックスから響いて来ましたね?(白目)
両サイドを囲むドラちゃん達は気付いていないようだけど、その声色と口調から察するに、このもしもボックスに搭載されている人工知能がどういうものなのか、というのは早々に察せられてしまった。
そう、ここで言う『姉さん』がもし、ドラえもん達の言うような『電話としての話』ではなく、単にとある人物を指しているのだとすれば。
この状況下でもしもボックスに『姉さん』だなんて言われて慕われる相手、というのは一人しかいない。
「……えーと、翡翠ちゃんって呼べばいい?それともサファイア?」
「……!ナナナナンノコトデショウ、私ハモシモボックスノシガナイ管理AIデスヨ?」
「うっわごまかしかた下手くそかっ」
……うん、
なるほど確かに、もしもボックスに使われていた管理AIの骨子となったのが翡翠ちゃん・ないしはカレイドサファイアなのだとすれば、ここまで彼女のために尽くそうとする姿勢も理解できる。
ここで名前の上がった二人と言うのは、原作において琥珀さんの・もしくは彼女を元としたキャラクターであるカレイドルビーの妹に当たる存在だ。
双子の妹に当たる彼女と琥珀さんの姉妹仲は良好で、シナリオ内外においてその仲睦まじさを見せつけてくれることだろう。
まぁ、その仲の良さの裏になにもないのか、と言われると正直困るところもなくはないのだが……その辺はややこしいので割愛。
ここで重要なのは、翡翠ちゃんないしそれを元にしたキャラクターというのは、姉のことをとても大切に思っているということだろう。
「創造主と被造物との関係としては少し行きすぎてる気がしてたけど……なるほど、もう少し肉親の情に近いものであったんだとすれば、やけに彼女の夢を叶えようと張り切ってたわけも見えてくるってわけだ」
「……お言葉ですが、情だけで姉さんのやることを肯定したわけではありません。AI的に考えてそれが最善だと判断したからこそ、彼女の言葉を叶えようと動いていたのですから」
なるほど、なにやら色々ある様子。
……とはいえこっちからすると、デフォルメされた感じのあるもしもボックス(ミニサイズ)がふよふよ浮きつつこっちに話しかけて来ている……という微妙に集中力を削ぐ見た目であるため、話の内容が頭に入ってこず困っている、ということの方が問題なのだが。
いやこれが冗談でもなんでもなくてね?
目の前で小さな電話ボックスがふよふよしながら、可愛らしい女性の声でこっちに話しかけて来ているわけですよ。
一応、元が電話ボックスだから、会話そのものに関してはできなくもないかなー、って妥協することはできるけど……。
代わりに滅茶苦茶流暢に喋るもんだから、そんなの電話ボックスに必要?……みたいな違和感が付きまとってくるというか。
いやまぁ、相手がもしもボックスだと考えるとある種の願望器であるため、それの無闇矢鱈な乱用を避けるために管制人格を乗せたくなるってのはわからんでもないけども。
……迂闊にモデルのある人格を搭載してしまったことで、見事にこうして暴走してしまったことを思えば無機質なAIでも良かったんじゃないかなー、というか。
え?そっちはそっちでスカイネットとかになりかねないって?そりゃそうだ。*2
でも正直、私の隣にいる人を思い出して欲しかったなー、と思わなくもなかったり。
「酷いせんぱい!?BBちゃんはこんなにも頑張って貴方に尽くしているのに、それをせんぱいは無下に帰すつもりなんですね?!なんて酷い人類代表なんでしょう、これはもう人類滅亡会議を即座に開始するほかありませーん!!」
「おうこら、画面外で『せんぱーい』って言いながら宇宙遊泳する刑に処すぞこら」
「遠回しにあのシーンのBBちゃんが間抜けだって主張するのはやめてくださーい!!」
いや、実際あのシーンは間抜けな姿だったと思うよ?*3
……その辺はともかく、である。
下手に情緒のあるAIとか暴走の元、作る前に認識しておいて欲しかったなーとか思わないでも……え?なに?琥珀さんは別に作ろうと思って自分を作った訳じゃない?
「偶然、と申し上げた方が正しいのかもしれません。無論、半ば必然の如き偶然ではありますが」
「はぁ、半ば必然……あ゛っ待って待ってすっごい嫌な予感がしてきたやっべぇ確かに筋は通らないでもないわこれ」
「せ、せんぱい?唐突になにを仰って……というか冷や汗?!冷や汗が凄いです!?」
「なんだその無駄なエモートは、端から見てれば今の感情がわかりやすくていいが」
いまいちなんて呼べばいいのか迷う相手──もしもボックスの台詞に、ふとした天啓を覚えてしまう私。
なるほどその想像が正しいのであれば、こうしてもしもボックスの管制人格として翡翠ちゃん……もといカレイドサファイアが自然発生する理屈は理解できる。
……理解できるけど、同時に「どうしてそうなった!?」と叫び出したくなる衝動も抑えきれなくなるというか。
だってほら、ね?
「もしもボックスイコール美遊ちゃんとか、なにをトチ狂ったこと言ってるんだお前って言われるような結論じゃないですかヤダー!!?」
「は?」
「Ha?」
「ハァ?」
「ハァハァ三兄弟か己ら!?」
いやまぁ内容物となったミームが違うけどね?!*4
まぁともかく、である。
もしもボックスを願望器と見なすのであれば、必然他の願望器の要素が【継ぎ接ぎ】しやすくなる、というのは周知の通り。
「とはいえ元が
「ええと、つまり?」
「……もしもボックスそのものに宿った意志が別にある可能性があるってのと、そう考えると現在私たちが話している相手が半ば偶然・半ば必然的に生まれた
そりゃあんだけ慎重になるわけだわ、と思わず天を仰ぐ私。
他の面々はまだ話がよく飲み込めてないのか、困惑したように周囲と顔を見合わせていたのだった──。