なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、もしもボックスのメイン人格が天童アリスであると断定した私達であるが。
「それがわかったからなんだ、って言われると困るんだよねぇ」
「まぁ、仮にアリスだったとしても、まだ本人が目覚めてないっぽいもんねぇ」
それと事態の解決は(微妙に)別問題、という壁にぶつかってしまったのであった。
いやだってねぇ?
サブ人格──ブルアカ的に言うなら『KEI』相当のサファイアさんは起動してるとはいえ、メインのアリスはまだすやすや?と寝ているんだもの。
それはつまり、起きたアリスが原作みたく起動したてのAI挙動をする可能性を示しており、それゆえに事態の沈静化のため原作をなぞる──彼女にクソゲーを遊ばせる必要がある、という風に話が繋がっていきかねないのだもの。
「テイルズ・サガ・クロニクル!決してクソゲーなんかじゃないよ!!」*1
「いやー、名前から溢れ出る『あー、多分あれもこれもと色々要素継ぎ足してったんだろなーカッコいいと思うもの全部盛りしたんだろうなー』みたいなタイトルから良ゲー臭を感じるのは不可能じゃないかなー……」
「
「怖いからその叫び方は止めない?!」
いやまぁ君ってば正確にはモモイそのものじゃなくデスモモイなんだから、そっちの方が正常ではあるんだけども。
……まぁその辺の話はともかく、眠っている天童アリスが原作初期のままであれば、そこからまた厄介事が待っていると判断してもそうおかしくはない。
一応、こっちに端から
いや、正直ここからさらに彼女の情操教育までってなると、流石に辛くね?
無論、やらずに原作初期状態のままの彼女を顕現させる方が問題ではあるんだけども。*3
「それについては御安心を」
「はい?サファイアさん、なにか対策でも?」
「既にここまでのあれこれは彼女の記憶にインプットされておりますので。迂闊なことをすると酷い目に遭うと理解しているので大丈夫かと思われます」
「……それはなんというか」
ゲーム内の反応だけとはいえ、今までの私達のあれこれを全部記憶しているのか……。
それって半ば拷問みたいなもんなのではなかろうか、それを受けた彼女が寧ろこの世界は間違っている、とか言い出さないだろうか?
……なんて風に疑問に思ったものの、正直ここからさらに問題を深掘りするのもあれなので華麗にスルーした私なのでありましたとさ。
「で、その辺の話を報告として受けた琥珀さんの姿がこちらです」
「_(:3 」∠ )_」
「し、死んでる……」
はい、ってなわけで次の日。
小規模歓迎会は無事?終わったのでその辺の報告を兼ねてゆかりんに話をしに来ていたのだけれど。
ついでだしってことで琥珀さんにも何があったのかを知らせたところ、こうしてソファーに死んだように寝転がる彼女の姿が発生することになったのでありました。さもありなん()
「……おかしいですねー本当におかしい。翡翠ちゃんもといサファイアちゃんが発生してるのもおかしいですし、なんならそこからアリスさんでしたっけ?その方が発生してるのも意味不明です……」
「それを言うならそもそももしもボックスなんて作るんじゃないよ、ってツッコむべきかと思うんだけど」
ステッキを持った研究者の女性が死んだ顔でソファーに倒れている……などという色々とヤバい絵面を続けさせるのもなぁ、と思いながらツッコミを返したところ、彼女は死んだような顔をこちらに向けて、こう返してきたのであった。
「というかですね、そもそももしもボックスってところに疑問を呈したいところなんですよ私は」
「……はい?」
「確かに私はあのゲームを成立させるため、ブラックボックス部分の処理のために試作品のひみつ道具を組み込みましたよ?でもそれは決してもしもボックスではなかったのですよ」
「なん……だと……?じゃあ一体なにを組み込んだので?」
「ひみつ道具の種ですがなにか?」
「……種?」
「ええはい。電脳空間ゆえに様々な制約から解放される、というのは既に御伺いしていましたので。でしたらその環境を活かし成長するタイプの道具として設定しておけばいい感じになるんじゃないかなーと」
「単なる自業自得じゃねーか。……あいやこれ違ぇ、この人また寝てないよゆかりん!?」
「……本当だわ!?今回のことで死にそうな顔になっていたのかと思ったけど、これあれだわ単純に体調不良なんだわこの子?!」
いやなんやねんひみつ道具の種って(真顔)。
正直意味不明にもほどがあったが、よくよく彼女の様子を確認したところ確信した。
この子ってばまーた徹夜やらなにやらで心身ぶっ壊れてるのだわ!?
なんでそんなことに……って思いながら改めて確認したところ、その答えはとてもわかりやすいものなのであった。
「……あーうん、私だけかと思ってたけど琥珀さんも違和感を覚えてたのね……」
「うーん、あの子本人には悪いところは見えないみたいだけど……話を聞いてるとどこから現れたのか不明だった、ってことになるのよね?」
そう、その理由というのは突如としてなりきり郷の仲間となっていたデスモモイの存在にあったのである。
……すっかり仲良くなってしまったから失念してたけど、そういえば確かにあの子いつから居るのかよくわかんねぇや。
横で首を傾げてるゆかりんみたいに、他の面々は彼女がここの一員になったイベントを記憶しているらしいんだけど。
生憎それを聞いても私には理解ができないというか、認識ができないわけで。
……これ、てっきり私だけなのかと思っていたんだけど、どうやら琥珀さんも理解できない組だったらしい。
それも、どうやら私が彼女に会うより前からその違和感に悩まされていたようで……その結果気分転換?気晴らし?に作ったのがあの『ブレイジング・デュエル』だった、と。
「で、その流れで件の『ひみつ道具の種』とかも組み込んじゃったと。……というか、その種ってのもいつ作ったかよくわかんないってことになるのよね?」
「ええはい、今しがたキーアさんに無理矢理正気に戻された結果理解しましたけど、あの種?とやらを作った覚えがないんですよね、私」
「一気にホラー味が増してきたわね……」
ふむ、ここまでの情報を纏めると、だ。
まずいつから居たのかどこから来たのか全く不明(但し他の面々はその辺りに疑問を持たない・持てない)なデスモモイが居て。
彼女の存在によって正気度の削れた琥珀さんは、これまたいつ作ったのかそもそも自分が作ったのかもわからない『ひみつ道具の種』を用いて気晴らし()として『ブレイジング・デュエル』を作り。
最後に、私達がデスモモイを連れて『ブレイジング・デュエル』を遊んだことで、『ひみつ道具の種』は天童アリスとして成立した……と。
「……素直に考えると、誰かが天童アリスという個人をこのなりきり郷に成立させようとした結果、ってことになるのかな?」
「まぁ、捻らずに考えるとそうなるわよね。モモイちゃんがいることもTSCの代わりとなるゲームが出来上がったことも、彼女をここに招くためのあれこれだとすると一応筋が通るというか」
「……仮にそうだとして、誰がそんなことを?」
「さぁ?『星女神』様辺りに聞けばわかるかもだけど……そこまでする必要があるかは謎かなぁ」
絶対に答えが出せる人に聞かないとわからない、って時点で本来なら『謎』として終わるもののはず、というか。
そんな感じに二人と話しながら、脳内では別のことを考えていた私である。
それは、この一連の流れを作ったのが誰なのかっていうことと、天童アリスが真に成立したのがどのタイミングなのか、という部分。
種から
……それは私達がゲームを始めたタイミングではなく、恐らくは最後の最後・サファイアさんが説明を始めた時。
それまでの逃げの一手は恐らくサファイアさんがやってたことであり、またその時点では
(……まぁうん、
自身が姿を借りた人物の仕業なのだろうな、と思いながら苦笑を浮かべたのであった。
……その結果他の二人から変なものを見るような視線を向けられたけど、理由を語って変に不安にさせても問題なので笑ってごまかした私である。