なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
新しいカボチャの準備はできたか?
「十月よ十月!一年で一番忙しい時期の始まりよ子ネコ!」
「うわっ」
「今うわって言った?今私のことを見てうわって言ったの子ネコ???」
泣くわよ、私泣くわよと言いながら詰め寄ってくるエリちゃんを宥めつつ、いつの間にやらもう十月か……と遠い目をする私。
今年も夏は暑く残暑も長く、秋はどこ行ったのさと文句を言いたくなるくらいの日々だが……だからといってハロウィンがなくなるわけでもない。
そもそも十月はなりきり郷としても重要な設立祭が重なることもあり、普段より遥かに忙しいことが約束されているわけで。
「なので、モモイ達も参加してもらうことになるのです」
「ねぇ、話の前後が微妙に繋がってない気がするのは私の気のせいかな?」
「気のせいだよ?そもそもなりきり郷の中は例年の気温で調節されてるから、今は普通に秋の気候だよってツッコミが飛んでくるくらいに気のせいだよ?」
「ねぇマシュさん、これって私はどう反応するのが正解なのかな?」
「諦めて流すのが一番かと思われます」
「そっかー……」
なお現在地私の家。
そのため他にも何人かこの場に居合わせている人もいるのだけれど……その内の一人であるモモイに関しては、そもそもハロウィンというイベントを知らない可能性もあり参加最優先対象になっていたりする。
「うぇ?!なんで?!私ハロウィンボイスあるよ?!」
「でもハロウィンイベントはやってないでしょう?ってことはつまりなりきり郷におけるハロウィンの危険性についての知識が足りない可能性がある、ってことになるんだよ!」
「ハロウィンの危険性ってなに!?」
なにやらモモイ本人から反論があったけど、イベントとして大々的にハロウィンを体感したことないんなら結局変わらんわ、と一蹴。
近年のハロウィンというイベントの肥大化と、それに伴う無茶苦茶さを味わったことがないのなら、それに対してどれほど備えなければならないのか、ということもわかるわけがない。
そういった点から、モモイの台詞は無視するほかないということになるのであったとさ。
「そういう意味では、うちもコーデこそあれハロウィンそのものをイベントにー、ってのは無かったわね」
「元々イベントとして浸透していた欧米諸国はともかく、アジア圏で広がりを見せたのはつい最近のことですからね。その辺り、ゲームのイベントとして取り入れるほどでは……ということなのかもしれません」
「ほ、ほらー!!スカジさんだってハロウィンよく知らないって言ってるけど!?私だけじゃないよ!?」
「スカジはそもそも去年巻き込まれてたからハロウィンの危険性はよく知ってるよ(死んだような目)」
「……ええまぁうん、私がここに滞在するようになったきっかけだものね、ハロウィンといえば(死んだような目)」
「……あ、あれ?なんか地雷踏んだ?」
ははは今年は去年と比べてまだマシになってくれればいいんだけどねー。
でも基本的に神は言っている、トラブルが起きてくれた方が話は進めやすいと……って感じだからどうにもならんのだろうなー、と思ってしまうキーアさんなのですよはい(遠い目)*1
……なお、去年のハロウィンの成果?である
「ちょっと!?さんばか扱いは流石に文句がありましてよ?!」
「そうですそうです、皆さんはもっと
「というかキーアさん、なんだか最近更に分身を増やしたとかなんとか聞いたんですけどその辺を詳しく」
「ええいやかましいわ!!あっちでやれー!!」
「「「にぎゃーっ!!?」」」
「……ここに同居してない私からすると、一番元気なのってキーアのような気がするんだけど」
「あははは……」
それを聞き付けたさんばかがこっちに突っ掛かってきたため、丁寧丁寧にそれぞれの居住区に叩き返しておく私である。
私家主、君ら居候。オーケー?
……一瞬『家主云々のことを言うなら私は土地なんですけどー!?』っていうなりきり郷ちゃんのツッコミが聞こえてきた気がするが無視だ無視。
ともかく、今年もみんな大好き()ハロウィンがやって来た、ってことになるわけだけど。
「去年のあれこれでハロウィンには懲りた、みたいなことにはならなかったんだね?」
「そりゃまぁ、パッと見たら失敗っぽい状況だったかもしれないけれど……あれ、一応成功の部類だもの」
「…………あれで?」
「あれで、よ。最終的には無事に終わったでしょう?まぁあの時の私も失敗だー、みたいな感じに話を終えちゃったんだけど」
確か去年のハロウィンの終わり際に『積極的なハロウィンへの参加はやっぱ止めよう』みたいな結論に至っていたような?
……みたいな疑問をエリちゃんにぶつけたところ、どうにもその辺の結論を思い直すような事態が幾つか発生していたらしい。
順に説明すると、まず一つ目がなりきり郷ちゃんとU-エリザマリーの成立。
これは端から見ると失敗以外の何物でもなかったが、よくよく調べてみると方向性的には成功の部類になるのだとか。
「本来なら周辺宙域ごとまとめて吹き飛ばしていた可能性大だったわけ。そんなエネルギーの塊が【顕象】とはいえ安定した状態で成立してる……っていうんだから成功したんだと捉えた方が正解だと思わない?」
「……あーうん、規模的に考えると間違いでもない……のかな?」
もしくは、元々の解決策──短期的な【継ぎ接ぎ】として消費しようとしたこと自体が間違いだった、とも。
……最初はそのつもりで話を進めていたけれど、やってるうちに色々おかしな方向に転がっていき、結果的にそれが怪我の功名だった……とでも言うべきか。
実際、なりきり郷ちゃんとU-エリザマリーの持つエネルギーの総量というのは、とてもではないが一個人の制御できるレベルではない。
なんならネオ・グランゾンを持ってきても困るかもしれない規模なのだ、それが人型の存在として安定しているのだから成功だ──と判断する方が正しく思えるのはそう間違った話でもあるまい。
「それと、実はこっちの方が重要なんだけど……ハロウィンゲージの伸びが去年ほど勢いがないのよね」
「ほう、ハロウィンゲージの?」
その次に語られたのが、なりきり郷内において傍若無人のハロウィンを成立させうる謎エネルギー・ハロウィンゲージの高まりがほとんど感じられないというもの。
……正直そういうものがある、ということは知っているものの極力認識しないようにしているこちらとしてはなんとも言えない*2が、ともあれハロウィンのプロ(?)であるエリちゃんが言うのだから間違いないのだろう。
「一昨年まで私はハロウィンを拒否してたじゃない?で、それを受け入れたのは去年が初めてのこと。……多分だけど、去年あれほど無茶苦茶なエネルギーが集まっていたのは、それまで拒絶されてたハロウィンの怨念みたいなものが混ざった結果だったんじゃないかなーって」
「……あれおかしいな、イベントそのものに意識があるって風に私には聞こえたんだけど?」
「?寧ろそっちの世界はそういうのないの?」
「あっダメだこれ私には理解不可能な類いの話だ?!」
途中、ハロウィンに意思があることにモモイが宇宙猫となったいたが……まぁ仕方ない。
「……そういえば、去年使ってた
「あああれ?あの後イデの意思が喧嘩売ってきたから、お望み通り返してあげたよ。──そのあと『星女神』様のところに直行させたけど」
「うわぁ」
無限力がなんぼのもんじゃい、これから貴様が戦うのは自分自身やぞ。
……とまぁ、そういうわけなので『星女神』様の【偽界包括】により完全凍結されてると思います。……ハロウィンゲージ内に残ってるのは知らなーい。
あと、ゲッター線の方は終始こっちに友好的だったので話し合いだけで穏便に終了しましたとさ。
……まぁ、こっちに魔獣戦線とかの設定が欠片も漏れ出てなかったから、っていう面もあるんだろうけども。
ともあれ、現状去年ほど酷くなる要素が見えないというのは確かな話らしい。
それがエリちゃんのハロウィンへの意欲による変化である……とするならばなるほど確かに、去年は張り切ってたのに今年はやらない──なんてことになると余計に酷い事態が転がり込んでくる可能性は高いとも言えてしまうわけだ。
そりゃまぁ、エリちゃんも張り切るってものである。
「ただまぁ、あくまでも今年は十月祭の一部としてのハロウィン……ってことになるのだけどね。下手に時間を置きすぎると酷いことになりそうだし、かといって一日に限定しちゃうと変に圧縮されてこれもこれで酷いことになりそうだし?」
「……ああなるほど、一月まるごと祝い続ける十月祭に混ぜることで、ハロウィン自体も毎日祝う──
「そういうこと!流石は子ネコ、よくわかってるじゃない」
なるほど、だから去年より遥かに早いこの時期に話をしにやってきた、と。
……ふむ、ということはこちらとしてやるべきことは一つ、ってことになるかな?
「せんぱい、それは?」
「エリちゃんを筆頭として、私達は祭の出し物にハロウィンを持っていこう──ってこと」
すなわち、局所的ハロウィンパーティを敢行することで、ハロウィンゲージの高まりも祭の出し物についての問題もまとめて解決しよう……ってことになるのだとみんなに告げたのであった。