なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、唐突に完成してしまった未来ガジェットEX号。
同時にクリスの後頭部に浮かんだヘイロー。……これは事件じゃな?
ってなわけで、やらかした私達は反省の意を込めて現在正座中、というわけである。
「……というかクリスちゃん、なんで貴方まで一緒になってやらかしてるのよ……」
「面目ない……一応言い訳させて貰うと、下手に先生属性持たされるよりはいいかなーって面もなくはなく……」
「……そこを突かれるとなんとも言えなくなるわね」
で、いつもやらかす()みたいな扱いの私はともかくとして……みたいな流れでクリスへとゆかりんの呆れの眼差しが突き刺さったわけなんだけど。
それによって返ってきた彼女の言葉に、ゆかりん本人は小さく唸る羽目にもなったのでした。
その理由であるところの『先生』。
これはブルーアーカイブにおける主人公……もといプレイヤーの代役となる存在になるわけだが、ともあれそれがわりと劇物であるという意見には、多分大抵の人間が頷くことになるはずである。
「えーなんで?先生って確かに変なところもあるけど、基本的にはいい人だと思うけど」
「そりゃまぁいい人だろうけど……それが自分になるのは話が別だよ」
「えー?」
モモイは不満そうにしているが……とはいえこれは大抵の人間の共通認識である。
……いや、ソシャゲの主人公はその大半が同じ認識になる、と言い換えた方がわかりやすいか。
ソシャゲというのは、原則終わらない物語である。
ストーリーに注力するように各運営が力を入れ始めたのはわりと最近のことだが、ともあれ拘れば拘るだけ主人公像がヤバイことになる、というのはほとんどのプレイヤーが体験したことのある話になるだろう。
何故かって?
終わらない物語とはすなわち
……もっと端的に言うと
「要するに、色んなキャラが──多種多様な性質・性格を持つキャラクターが仲間になる可能性があるってこと。そしてそれらは、本来であれば同じ空間に一秒でも一緒に居られないような不倶戴天の間柄のキャラであれ仲間にできる、ということでもある」
「それらの仲を取り持つなり、問題にならないように鉢合わせないように調整したりするのも主人公の役目、ってわけ」
「ほへー」
例えばFGOだとイシュタルとエルキドゥの二人が揃う状況だとか。
例えばグラブルのサンダルフォンや黒騎士、アークナイツのWとかプリコネの覇瞳皇帝とかのような敵対関係にあったキャラ達だとか。*1
そういう、普通に考えると仲間になることなんてあり得ないような相手でさえ、長く続いたソシャゲでは当たり前のように仲間になっていくし、冷静に考えると一触即発みたいな状況が乱立する羽目になるはず。
特に、戦闘規模の大きい作品だと下手すれば見えないところの小競り合いで世界が滅亡……みたいなことになる可能性も捨てきれまい。
けれどそれらの問題は、少なくともプレイヤーには見えては来ない。
単にそういうもんだから、とゲームをしている間は流せてしまうが……これがこと『逆憑依』に関わる物事になると、そんな悠長なことも言っていられなくなる。
「なんでかって?現実において物事を省略する、なんてことは出来ないからだね!ゲーム内ならあくまでこちらがその部分にフォーカスを向けないと・もしくはゲーム内のイベントとして存在しないのなら問題は表層化しないけど、現実ではそんなことはあり得ない!いきなり爆発して周囲を焦土化なんて当たり前、最悪の場合延々と延焼し続ける嫌がらせのような状態に成ることだってあるわけだからね!」
「……これらのことを包括した状態でソシャゲの主人公という存在を『逆憑依』として解釈すると、
「…………それって悪いことなの?」
「悪いよ悪い、滅茶苦茶悪い。だってその人によって周囲の状況が操作されてるってことだからね、それ」
そう、現実において悪いことも良いことも共に起こり得るもの。
それが主人公の前では起こらない・起こさせない・起こりにくいなんてことになるわけだ。
とてもじゃないが健全な状況だとは言えないだろう。
まぁ、ソシャゲの主人公という存在の問題点としては他にも色々あるのだが……その辺は今回とは関係のない話に逸れていくのでここでは割愛。
そもそも『逆憑依』としてソシャゲの主人公が顕現することはほぼあり得ないのだし、気にする必要は
……はい、本来はと言うように、今回はある程度気にする必要ができたから問題になったわけだが。
ってなわけで話を『先生』に戻すと。
実のところ、『先生』という人物そのものに問題はない。
作中描写を見る限りは生徒を最優先とする人格者、みたいなキャラ付けなので問題になることはほぼあり得ない……というような評価に落ち着くのが普通だろうし。
じゃあなにが問題なのかと言うと……
「特攻?」
「うら若き乙女には色んな意味で刺激が強すぎるってこと。若い女の子は特に同年代より歳上の相手を好む、みたいな話があるでしょ?女子は精神の成熟が同年代の男子より早い傾向があるから話が合うのが歳上になる……みたいな過程によって生まれるものらしいけど、その辺はまた話がとっちらかるだろうからここでは割愛するわね。ポイントになるのは、あの作品の『先生』が色んな意味で強すぎるってこと。多少?のやらかしなら許すどころか、手を差しのべ助けてまでくれる……まるで王子様のようなことまでやってくれるけど、そこまでしておいてあくまでも先生であることを崩さない……いや、貴様本当に人間か、って反応してもおかしくないというか」
「言いすぎじゃないそれ?」
「ソシャゲ主人公普通の感性じゃない説は寧ろ色んな作品で取り沙汰されてるから今更感すらあるわね」
「えー……」
まぁ、大雑把に纏めると今しがたクリスの述べた通りなのである。
そう、理想的な性格だったり意味のわからない性格だったりと多少の差はあれ、どちらにせよ『普通の人間の感性ではない』となるというか。
特に『先生』の場合は生徒に対してかなり甘いので、現実的な普通から見るとおかしすぎるというか。
「いやまぁ、誰でも彼でも生徒相手なら全般的に甘い、ってわけでもないけど……でも一般的な感性だとそこは許さない、みたいなところも許したりするわけだから、プレイヤーとの乖離を感じるのは仕方ないとこあるよね」
「……まぁ、先生が色々凄いことは認めるけど、でもそれがなりたくないって話に繋がるとは思えないんだけど?」
「いやいや繋がるよ、なにせ今回議題に上がってるのは【継ぎ接ぎ】だもん。相も変わらず原理の良くわかってない不思議現象相手なんだから、そりゃ嫌だってなるのも当たり前さね」
「ええー?」
で、話を更に戻してなんで『先生』もといソシャゲ主人公達を【継ぎ接ぎ】したくないのか、ってことになるんだけど。
理由としては大きく分けて二つ、フィードバックと付随する関係性、ということになる。
関係性云々の話はとりあえず今回は関係ないので割愛するとして、フィードバックの方だけど……そもそもソシャゲの主人公というのは、強烈な個性を持ちつつも一応は
無論、スターレイルとかヘブバンみたいに*2名目上の主人公とプレイヤーが明確に別、みたいな作品も最近は多いけど……。
それでもまだまだ、主人公が作中で会話文が表示されない・もしくは主張の際にプレイヤーが選択肢を選ぶという形で介入する必要のあるタイプも多いわけで。
「それはつまり、どんな人間であれソシャゲの主人公ってのは【継ぎ接ぎ】になる可能性があるってこと。もっと言えばそれが加速する可能性が非常に高いってことでもあるわけ」
「……あーなるほど、極端なことを言うと私が先生、なんてパターンも普通に許容されちゃうんだね」
「
そう、ソシャゲの主人公の一番面倒なことは、それが誰にとってもアバターであるために、『逆憑依』として個別の存在として成立してない限りはここにいる誰であってもそれが【継ぎ接ぎ】になりうるという可能性を──なんならそこから悪化して【継ぎ接ぎ】が完全に癒着してしまう可能性すら秘めている、というところにあるのだ。
それこそ、今モモイが述べたように彼女が『
その上で、仮に『先生』になってしまった場合、そこから侵食が急激に進む可能性も否定できないのだ。
何故かと言えば、ソシャゲの主人公は基本的に
わかりやすく言うと【継ぎ接ぎ】としてくっついただけでも、再現度のパーセンテージが最初から高い判定になってしまうのだ。
なにもしてなくても勝手に上がる再現度ともなれば、それがどういうことになるのかなど容易に想像が付く。
まるで二次創作・クロスオーバー作品かの如く『先生』になったクリスが爆誕していたことだろう。
その上で『先生』の奇行まで本人のもの、なんてことになるわけだから目も当てられない。*3
「そりゃまぁ、そういうのの【継ぎ接ぎ】はお断りよねぇ……」
「主人公よりかはコラボキャラみたいなノリの方が遥かにマシだった、ってなるのはおかしくないわよね?」
……はい、そんなわけでクリスの方は無罪放免になりましたとさ。
え、私?そうなる前に止めろや、ってことで反省続行ですね(白目)