なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁ、そうならざるを得なかったってことは認めるわよ。認めた上で、これどうするの?」
「一応ハロウィンのせい、ってことにしてひっぺがすことは可能だと思うよ。その場合ハロウィンが来る度またこうなる、って可能性も高いけど」
「……完全に除去することは?」
「寧ろハロウィンのせいってことにして剥がせるだけ感謝しろ、としか」
「あちゃー」
はてさて、唐突なブルアカコラボと化したクリスだけど、生憎くっつき方がくっつき方なのでハロウィンのせいにしてごまかす、くらいしか対処法はなさげである。
先生側に持ってかれる方が面倒なので生徒側に振ったけど、それを成立させるためには結構な無茶が必要だった、と言い換えてもいいかもしれない。
なにせ、そのままなら成立していたであろう【継ぎ接ぎ】を別の【継ぎ接ぎ】で代替させたわけだ。
そりゃもう、単なる【継ぎ接ぎ】では無理があるというのは容易に想像ができることだろう。
「まぁうん、瞬間接着剤……ってわけじゃないけど、考え方としては似たようなものよね。無理矢理ひっぺがすのが難しいから先に他のものくっ付けて対処……なんて、言うは易し行うは難しの好例でしょうし」
「そうなのよ、お陰さまで今のクリスなんかちょっと幼くなっちゃってるし」
「……はい?」
「言っても一・二才程度だけどね。……こんなありがたみのない若返りもないでしょうよ」
その無理、というのはクリスの肉体年齢にも及んでいた。
地味に飛び級少女でもあるクリスは意外と若い(シュタゲ作中では十八歳)が、今の彼女は更にそこから若返って大体十六歳くらいの肉体年齢になっているのだ。
わかりやすく言うと、彼女の原作におけるもう一人のメインヒロインである椎名まゆりと同じ年齢になっている、というべきか。*1
まぁ正直パッと見ただけだと気付けないような差でもあるので、気にする意味があるのかと言われるとなんとも言えないけど……。
「年齢条件のなにかしらの問題に引っ掛かる確率が増えたとも減ったとも言えたりするし、どこまで影響が出るかはわかんないのよねー……」
「あー……十八は少女と言い張るにはちょっとって感じだけど、十六だと普通に含まれそう……みたいな?」
「間違ってはないけど……なんか如何わしい言い方じゃない、それ?」
「仕方ないでしょ、青年って言っても良かったけどそれだと別方向に違和感滲むんだから! 」
十八を越えると成人扱いだろう、みたいな感じが滲むのでその辺なにかあるかも……的なことを向こうも理解してくれたようで頷いていたわけだが、横のクリスが微妙な顔をしていたためちょっとだけ話題が紛糾したり。
……うん、成人というのも日本人的には二十歳越えのイメージが強いし、十八から二十までの呼び方が欲しい……みたいな気持ちはわからないでもない。
それに当たるのが『青年』だけど、なんか女性に使うのは違くね?……みたいな気分になるのも、だ。*2
とはいえその辺広げても特に得るものは無いのでなくなくカット。
話をクリスの今の状態についてのものに戻していく。
「というか、なんでそんな細かい年齢差に気付いたのよ?」
「それはほら、唐突にクリスの後頭部にヘイローが浮かんだから……」
「あーわかったわ、咄嗟に解析したのね、あとで怒られること前提で」
「パラメーターをオープンするタイプの解析だから、知られたくない個人情報まで明かしちゃうもんで非常事態でもないと使えないのよね……」
まず、どうして若返ったことを知ったのか。
これに関しては非常に単純、おかしなことになったクリスの状態を調べるために解析の魔法を使ったから、というのが理由になる。
勿論私が使う魔法が普通の魔法であるはずもなく、二進数レベルで相手を丸裸にしてしまう私のそれは、病気や隠れたデメリットを探る場合にはえげつないくらいの汎用性を発揮する。
……んだけど、あまりにも汎用的に使えすぎるせいで、余計なところまで明かしてしまうのだ。
具体的には何時何分何秒に○○を食べて○○キロ太った、みたいな本人も知らないような情報から。
はては『岡部はいつ来るのかしら……来ないのかしら……』とか言いながら部屋で大きなぬいぐるみに顔を
大小秘匿オープン問わずなにもかも丸裸にしてしまうわけだ。
……そりゃまぁ、迂闊に使うなそんなもんと警告されるのも宜なるかな。
今も余計なこと言わなくていいんだが?!……ってな感じに顔を真っ赤にしたクリスから執拗な脛蹴りが飛んできてるし。地味に痛ぇ。
「地味に痛いで済むのね……」
「そりゃまぁ、ある種の制裁だから受けないのは問題だし、かといってもろに受けて全治何週間とかになったら逆にクリスが気に病むしで、まともにダメージまで受ける理由がないからね」
「そこまで考えられるのなら検索範囲絞るとかできるようになって欲しいんだが!?」
「仕方がないでしょ、今回はあんまりにも唐突だったから『星解』使ってのほぼオーバーホール級の解析だったんだから」
「 」
「……あれ?クリス?クリスなんで固まったの?」
「単純な解析かと思ったらいつの間にか原子レベルでバラされてた、って言われたようなものなのだから寧ろ普通の反応じゃない?」
「あっ」
……い、いや別に悪気があったわけじゃなくて……。
手癖でやるとろくなことにならんな、なんて反省を胸に抱きつつ、されどあれは仕方がないって!
みたいな気分にもなりながら、クリスの意識を呼び戻すために声を掛け続ける私なのでありましたとさ。
「まぁうん、『星解』で調べてるのなら問題は無さそうだし、その結果色々と知らなくてもよさそうなことまで知れてしまっている……というのはなんとなくわかったわ。それで?問題としてはそれだけなの、その姿」
「いやその、実はまだ問題があって」
「なんですってー!?」
はてさて、ようやくクリスが正気を取り戻し、代わりに私への制裁としての頬をつねる行為が一段落したあと。
再び話を元に戻して今回のあれこれについての説明を再開したわけだけど。
……うん、姿形の変化と比べるとそこまでではないものの、どうやら無視できない問題が発生していることも事実のようなわけでして。
どういうことか説明しなさい、という視線を向けてくるゆかりんに対し、私は隣に座り直したクリスに合図を送り、問題の物を机の上に広げさせたのであった。
その問題の物というのは、ヴァイスリッターの得物を想起させるような説明を用いたクリスの得物。
いわゆる未来ガジェットのエクストラナンバーとなるその銃?は、ビームと火炎放射を射ち変えられるという微妙な性能の武器である。
「……まぁ、微妙といえば微妙よね。実体弾と非実体弾の射ち分けならともかく、どっちも非実体の弾頭ってことになるわけだし。……とはいえそれだけだとなにが問題なのかわからないんだけど?」
「あーうん、そりゃそうだ。だってそれ私が
「……ん?要約?」
とはいえ、それはあくまでもこの銃の基礎的な説明。
問題となるのは、いわゆるところの『フレーバーテキスト』の方になるのだ。
ゲームを嗜む人なら覚えがあるだろうが、ゲーム内に登場する武器やアイテムというのは単にそれらが持つ能力だけではなく、それらの物品自体に対しての説明文のようなものが設定されていることが多い。
フロム・ソフトウェア系列の作品に毎度存在する月光に纏わる武器だとか、ロールプレイング作品において最高の聖剣として設定されることの多いエクスカリバーだとか……。*3
それらのイメージと言うのは、ゲーム内における性能そのものとは厳密には無関係だが、されど伝説の武器という説明を付けられていれば強い武器である・それが期待されることも事実。
結果、説明文が
……え?モンハンの武器とかだと説明文の強さが別方向だったりするって?*4
まぁともかく、武器やアイテムには解説文が設定されていることがある、ということを理解していれば一先ずは問題ない。
その上で、さっきの『星解』の説明を思い出して貰うと、私が言いたいことも理解できてくることだろう。
「……あー、解析した結果なにか変なことが書いてあった、と?」
「変どころじゃないわよ、ある意味とんでもないことが書いてあったんだから」
「あらやだもう聞きたくなくなって来たわよ私」
「いいや、聞いて貰うね!内容はこれだ!」
……ってなわけで、私は正確な説明文を──この未来ガジェットに込められたメッセージを読み上げたのだった。
『とある男とはまったく関係がないが未来ガジェットとして認められた一品。
一瞬で一里以上の距離に届く光線と、近距離を焼き払う火炎を使い分けられる。
ハロウィンに託つけて発生した特殊武器のうちの一つでもある』