なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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祭が始まれば上も下もないぞ!多分!

「これよりも設立祭開始の宣言をしまーす!皆のもの準備万端できてるかー!?」

「「「いえーっ!!!」」」

「盛大な歓声センキュー!!そのノリの良さ愛してるぜー!!」

 

 

 ってなわけで、郷内の全土に響き渡る開始の宣言と同時、設立祭の開幕となった朝八時である。

 え、なんでそんな時間なのかって?そりゃもうみんなして完璧に文化祭気分だからですがなにか?

 

 ……なお、何故か知らんけど今年の開幕の挨拶の役目は私に回ってきていた。なんでそんな重要なこと私に頼むん?(困惑)

 まぁ、そう返したら心底不思議そうな顔で『貴方以外に頼むべき相手、いる?』ってゆかりん達に返されたんだけど。

 ……なんでもいいけど、酒呑みーずのみんな凄んだら怖いんで止めて欲しい。

 

 

「まぁ、挨拶以降は普通に自由時間……もとい、他の作業とかの時間になるから別にいいんだけど」

「お、ヤッホーキーアちゃーん!」

「おっとその声はユッキ。なんか久しぶり?」

「そだねー、久しぶりー!」

 

 

 壇上から首をこきこきと鳴らしつつ降りてきた私に、真っ先に声を掛けてきたのはユッキこと姫川友紀。

 野球大好きお姉さんかつアイドルである彼女は、今日もいつか見た時と同じ様に他の酒飲みアイドルを引き連れていた。

 具体的には楓さんと……んん?

 

 

「……なんでいるのゴコちゃん」

「なんでとはお言葉ですね!私はゴコですのでなにをしたとしてもサンゴちゃんの風評を汚すことはないのですよ!」

「……そのわりに変装してるじゃねーか」

「へぇ、そう。ふふっ」

「あっダメだ楓さんの方はもう出来上がってる!?」

「この人達と一緒にいると変装しないとヤバイのは理解して貰えましたか(真顔)」

「お、おう……」

 

 

 大変だと認識してるんなら絡まなきゃよいのでは?

 ……などと思ったりもしたけどここでは言及しない私である。

 ほら、こっちが知らんだけでなんか複雑な経緯があるのかも知れんし?

 

 ともあれ、今日の私はこれから用事があるってこともあり、出し物を見に郷内へと繰り出していく三人を見送って別方向へ。

 ……正直ちょぴっとだけついていった方がいいような気配もしたのだけれど、その辺は子供じゃないんだし……って感じにある程度は放任する方向で進める私なのであった。

 

 で、今日の用事というのは。

 

 

──代表挨拶お疲れさまでした。堂々としてかつ気負いのないよい挨拶でした──

「それはどーもでーす」

「  」

 

 

 ……はい、貴賓の案内ですね(白目)

 最近は基本引きこもって表に出てくることのなかった『星女神』様だが、流石にこの規模の大騒ぎともなると気になる……もとい顔を見せる気になったようで。

 とはいえ常に自身が見て回っていると要らぬ問題を引き起こすだろう……ってことで、具体的なタイミングを定めてその時だけ見て回る、というスタイルにしたらしい。

 具体的には初日と最終日、それから月の真ん中くらいの三回に分けて、って感じになるんだけど……。

 

 

──今日はお願いするわね、三人とも──

「お任せくださーい。今日は大雑把に見て回るだけ、ってことで良かったですよね?」

──ええそうね。本格的に見て回るのは次回ということになるかしら──

「なるほど事前の予定通り、と。……そういうわけだからささらさん、ジーク君。今日の内容を参考にして貰う、って感じで次の案内は任せるけど……大丈夫?」

「   」

「……あー、すまない。一緒に行動をしていれば流石に慣れる、と思う」

「そっかー(諦感)」

 

 

 ……はい、なんとなく予想できるかも知れませんが、一応解説しておきましょう。

 

 大方の予想通りというか、これまでの話を覚えていれば理解できるというか……今回の私、基本的に余裕と言うものがございません。

 祭期間中に分身使うのは禁止になった(オーバーワーク常態化の理由として大きすぎるため)ので、流石に今こうしている私以外の私が忙しくしている、ということこそなくなったものの。

 裏を返すと今まで抱えていた案件がそのまま祭期間中の予定として組み込まれる、ということになってしまっているわけで。

 

 ……うん、何日か完全なフリーの日もあるにはあるんだけど、基本的に忙しいのよね、私。

 今日はその数少ないフリーの日に該当し、それを利用して『星女神』様の案内に充てているわけだけど……。

 逆に言うと、次の案内である月半ばの話に関しては、私は付き合う余裕がないのである。

 

 ……いや、最初はなんとか捻出するつもりだったんですよ、『星女神』様を案内する余裕を。

 ところがどっこい、案内する相手その本人である『星女神』様自身から──私のことは別に気にせずとも構いませんよ?──と断りがあったのである。

 いやそんなわけにはいかんでしょ、と言おうとしたのも束の間、彼女から返ってきたのは──代わりの人間に案内をして貰う予定ですので──との言葉。

 

 はて、代わりの人間とな?そんな人居たかなー?

 ……と首を傾げた私が、一体誰のことを述べているのか気付いたのはその次の瞬間のこと。

 気付いた瞬間そこには『星女神』様に肩を抱かれ、なにごとかわかってない様子のささらさんと。

 それから、彼女と一緒に召喚されたのだろうジーク君の『よくはわからないけど面倒ごとなんだな、多分』という顔が存在していたのでした。

 

 ……とまぁ、そんなことがあったのが九月の某日。

 十月に入って件の日になった今日、早速呼び出されることとなった私達【星の欠片】組は、『星女神』様の案内のため今日一日を使うことと相成ったのでしたとさ。

 

 ……いやまぁ、実を言うと私は呼ばれてないんだけどね、さっきの話を聞いてりゃわかるけど。

 だってねぇ、見てごらんよこの完全に固まってるささらさんの様子を。

 この状態で案内なんてできるわけないじゃんね?

 一応ジーク君の方は持ち前の性格?であんまり緊張してないから、彼を中心にして案内を始めればなんとかなるだろうけど……その場合『星女神』様が満足する案内になるか、って問題があってだね?

 

 ……なんとなく予想は付くかもしれないけど、今回の『星女神』様のわがままはささらさんへの査定ようなものなのである。

 曰く、この世界にやって来て貴方はなにを学んだのか示せ、的な?

 あれだ、無為に日々を過ごしてないでしょうね、という確認を含んでいるというべきか。

 

 そんなわけなので、ジーク君が主導で案内を頼んだとしても、それを半ば無視……はしないだろうから執拗にささらさんに話をトスするスタイルで進めるつもりなんじゃないかなー、というか。

 例えば、

 

 

「ここがラットハウスだ。マシュ達が働いているところで、コーヒーなんかが美味しい店、ということになるらしい」

──なるほど、コーヒーが。……ささら、オススメのブレンドなどはありますか?──

「ふぇげぇ?!?ええええとおすすすめのぶぶぶぶブレンドででですかぁ?!?」

 

 

 ──みたいな感じで話題を振られる可能性大、というか?

 内容としては大したことではないんだけど、それを受け取るささらさんからしてみると大事も大事、余裕なんぞ一欠片もない状態が続くかも……みたいな。

 そんなわけなので、今日一日はあくまで予行演習扱いとし、次の案内で本格的な査定をする方向でお願いするように私から頼み込んだわけである。

 

 

(……って風にささらさんには説明したんだけども)

 

 

 なおこの説明、真っ赤な嘘である。

 ……いやまぁ、徹頭徹尾嘘ってわけでもないんだけど、百パーセント真実を話しているわけでもないというか?

 どういうことかというと、査定という部分は間違い……もとい嘘だが、ささらさんの様子を見るという話は本当のことなのである。

 

 

──私は思いました。彼女は私に対して怯えすぎではないかと。貴方やジークはそうでもないのに──

「……いや、多分ささらさんの反応が一番普通だと思うんですけど。一般的な【星の欠片】的に考えて」

──仮にそうだとしても、聖女二人や狙撃主の子なんかもそこまで恐れていないでしょう?──

「いやー、【星融体】はちょっと毛色が違うというか……」

──それを言うなら貴方が一番気安いではありませんか──

「気安くならざるを得なかったんだよなぁ……」

 

 

 そうならざるを得ない領域まで引っ張り込まれただけなんだよなぁ……(遠い目)

 まぁともかく、である。『星女神』様的にささらさんの反応が過剰である、という風に感じるのは間違いないらしい。

 ゆえに、彼女としてはその反応をなんとかマイルドなものに変じさせたいとのことなのであった。

 

 で、そのための作戦がこちら、『いっしょに祭を見て回って仲良くなろう』作戦である。……率直に言っていい?バカみたいな作戦名だな!

 バカとはなんですかバカとは、と抗議してくる『星女神』様はスルーするとしても、上司と回る祭なんて今の時代の人真っ先にお断りでしょとしか言えないんだけど。

 そのことを当の彼女に告げたところ、返ってきたのは次のような言葉であった。

 

 

──え?区分的には部下なの私の方では?──

「一般的な考え方ですとそうですねー(やけくそ)」

──でしょう?──

 

 

 ええはい、一般常識に照らし合わせるとブルーカラー*1よりもさらに下に付く感じの私達【星の欠片】は、間違っても上司になるような存在ではありませんねー。

 でもそれってあくまでも現実の話に照らし合わせた結果そうなるってだけで、【星の欠片】としての常識に合わせると普通に会社でのバーベキューとかと同列なんですよ、明らかにパワハラとかの類いなんですよ。

 

 ……とは流石に言えない私である。

 なんでかって?パワハラ云々の話をすると本気でパワハラされる可能性が高いからですね、言い換えると今が最善他のパターンに流すな、というか。

 そもそも相手は丸くなっても破滅の神、基本的には関わることイコール破滅という感じのバッドエンドの化身。

 今はこうしてニコニコしているからといっても、その辺の感覚を忘れたわけでもないので()()()()()()即座にその通りの存在に戻ってくれることでしょう(白目)

 

 ……そういうわけなので、余計なことは言わず上手いこと回るようにセッティングするしかない、という話に帰結するのでしたとさ。

 ああ接待ゴルフに向かうサラリーマンの悲哀……。

 まぁ実際にその気分を味わう羽目になるのはささらさんなんだけども()

 

 

*1
作業着の青い襟を由来とする、肉体労働に従事する人を表す言葉。いわゆる現場作業者のこと。デスクワークを主体とする人を意味する『ホワイトカラー』の対義語

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