なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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車内でも事故は起きるさ

「いかんいかん、今の仕事中に次の仕事の心配してどうするんじゃい」

「でも、それが心配になるのは仕方ない気もするのだ」

 

 

 ボクもそのうちお手伝いに行くから、その時はどんな感じだったか教えて欲しいのだ!

 ……と笑うゴジハム君に手を振りつつ、車内販売から離れて別の場所へ向かう準備をする私。

 

 次に手伝いに行くのは、ゴジハム君以外の車内で働く人達……もとい、銀ちゃんなどの他のメンバー。

 具体的には桃香さんの様子を見たのちにXちゃんを、そのあとはモモちゃん、銀ちゃんの順番で手伝う感じになる……はずだ。

 

 

「手伝うと言っても、一番大変なのは多分銀ちゃんのとこなのだ」

「まぁ、モモちゃんの代わりに運転してるはずだからねぇ」

 

 

 本来の人間が運転してないこともあって、色々と不便なことになっているはず……というような話だったか。

 いやまぁ、本来の新幹線も実際に車両に乗って運転するのは車掌一人だけのような気もするけど、デンライナーの場合は管制とかも全部現場でやるからその辺面倒なことになってるとかなんとか。

 

 具体的には主軸で運転するのが銀ちゃん、その補助の副運転手がモモちゃん。

 それから現場管制官としてXちゃん、周囲の状態の確認をするのが桃香さん……みたいな感じだったかな?

 

 副運転手はともかくとして、その他二人──Xちゃんと桃香さんがなにをしているのか、というのがいまいち分かりにくいと思うのでそこをもう少し深堀りすると。

 

 

「周囲の状況の確認、というのはその言葉通りの仕事なのだ。デンライナーは空を飛ぶ電車だから、普通の車両に比べて自由度が段違いなのだ」

「だから、普通の電車と違って注意するべきところが多い、ってことだよね」

 

 

 まず桃香さんのやっていることだが、これはデンライナーの特殊性により必要となった仕事である。

 デンライナーがどういう車両なのかを思い出せば自ずと導き出されるが……この車両は明確に空を飛ぶ。

 それも単に飛ぶ──飛んでいるように進むわけではなく、自由自在に空を舞うように進むタイプに該当するわけだ。

 

 鳥のような小さな生き物が空を飛ぶくらいならともかく、デンライナーは普通の列車よりも大きな新幹線。

 全長も長いのだから、必然空を専有する時間も空間も大きくなる。

 そうなると、同時に空を飛ぶ()()()()()にぶつかる可能性も出てくるわけだ。

 桃香さんの仕事は、そういった『デンライナーの運行の際ぶつかるような可能性のある障害物の把握』、ということになる。

 

 

「原作通りなら多少の障害物は避けられるんだけど……今運転してるのは銀ちゃんだからね。好きにやらせると無茶な運転をするって点では大差ない気もするけど、本来の運転手ほど無理ができるわけじゃあない、って点で問題は山積みだよね」

 

 

 本来この『障害物の把握』というのは管制の方に一纏めにされているものなのだけれど、銀ちゃんが本来の運転手ではない≒トラブルへの対応に難がある、という理由からかなり広範囲の障害物を把握する必要があることもあって、こうして別枠になったのだとかなんとか。

 ……いやまぁ、線路の状態の把握とかは確かに管制の仕事のうちだけど、本来なら管制は一人でやるもんじゃない……みたいな部分もあるのでなんとも言えないところもあるんだけどね?

 

 まぁともかく、私は一番最初に桃香さんの障害物把握を手伝ってある程度仕事を減らしたのち、そこからそれらの情報を纏めて銀ちゃんに伝えるために働いているXちゃんの仕事を手伝うことになるわけだ。

 

 

「Xの方の仕事がよくわからないんだけど、なにをしているのだ?」

「Xちゃんはこの中だと一番忙しいんじゃないかなぁ……いや、運転に気を尖らせてる銀ちゃんを除いて、ね?」

 

 

 ゴジハム君の疑問に、予め聞いておいた説明を思いだしつつ答えていく私。

 ……先ほど本来なら線路状態の把握、もとい障害物の把握は管制の仕事の一つである、と言ったと思う。

 それが桃香さんに回されたのは、それが仕事として肥大化したから、というところが大きい。

 空を飛ぶということがどれほど負担を増やすのか、という話だが……それを踏まえた上で考えると、桃香さんの負担とXちゃんの負担は似たようなもの、ということになるだろう。

 

 

「じゃないとなんか不平感でるでしょ?」

「わからないでもないのだ。どっちもその辺気にしそうにないけど、それはあくまで自分が抱える場合の話で相手が自分より忙しそうなのは嫌がりそうなのだ」

「そうそう。だからまぁ、全体的に見ると若干桃香さんの方が楽かなー、くらいの比率になってるんだよね」

 

 

 そして、その調整をすると桃香さんが受け持てるのは状態の把握だけだった、と。

 ……Xちゃんの話をすると言いつつ桃香さんの話になっているので軌道修正すると、要するに『空を飛んでいる状況で刻一刻と変わる状態の把握』と同じくらい、もしくは少し多めの仕事が割り振られている、ということになる。

 

 それが具体的にどういう仕事になるのか、というと……。

 まず『どこを飛ぶのか』を決める、というのが一番大きいものになるだろう。

 

 

「Xちゃんが装備の関係で演算能力が高いからこその仕事だね。貰った線路状況と客の要望とを勘案して、現状どこを目指して飛ぶのがいいのかを銀ちゃんに指示する……みたいな感じ」

「自由に飛べるからこそ、ちゃんと目的地は定めないとダメなのだ」

 

 

 好き勝手飛んでたらそれこそ事故るからね。

 そうでなくとも、事前に桃香さんから危険な場所やモノについては報告が上がっているのだ、だったら急にそれらを避けるより余裕を持って避けられるように制御する方が遥かに簡単だろう。

 ……つまり、銀ちゃんの運転に対しての負担を極力下げるための仕事、というわけである。

 

 

「それから、運行速度とか角度とかの細かい指定もする必要があるね」

「それってさっきのと違うのだ?」

「さっきのは大まかな誘導だけど、こっちは細かい誘導だね。特に運行速度はお客さんが景色を楽しむためにも調整必須だし」

 

 

 ついで誘導対象になるのが、運行速度や車体の向き・角度の調整について。

 これらは最悪守らなくても運行そのものはできるが、守らないとお客さんに不快な思いをさせる可能性がある、ということで気にせず進むのは非推奨となる部分である。

 

 特に角度は気を付ける必要があるもので、変に傾いていると人によっては体調不良に繋がることもあると留意すべきだろう。

 その他、運行速度は不調にこそ繋がらないものの、お客さんの満足度には繋がるので疎かにすべきでないものの一つだと言えるはずだ。

 

 

「それからあんまりないけど──桃香さんから急を要する情報が上がってきた場合に即座にそれを銀ちゃんに伝え、必要な対処を提案する必要もあるね」

「滅多にないけど一番重要かもしれないのだ」

 

 

 それから、滅多に起こることではないだろうが急になにかが飛び出してきた場合にどうするか、というのを考え伝える必要もある。

 これに関しては本当にまず起きるものではないけど……だからといって疎かにしていいものではあるまい。

 起こってないというのは()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 

 ……とまぁ、他にも仕事はあるだろうけど、特に重要視されるのはその辺りのはず。

 他に挙げるとすれば、銀ちゃんとデンライナーの同調率が下がりすぎてないか、みたいなことを気にすることとかだろうか?

 

 

「本来の運転手じゃないからある程度騙し騙し運転してるんだけど……時々誤魔化し直さないと下手すると落ちるんだよね」

「冷静に考えると恐ろしすぎるのだ。まぁその辺をなんとかできるからこそ、こうして出し物にしてるわけなのだけど」

「そこに関しては寧ろ、銀ちゃんが一番楽なくらいだからね」

 

 

 もとい、そこを気にする余裕がないというか、その余裕がなくてもなんとかなるようにしているからこそというか。

 副運転手であるモモちゃんは、基本的にその部分の解消のために先頭車両にいることになる。

 運転こそしないが、時々席を変わることでデンライナーを騙しているというか?

 

 ……騙さないと運転できないのか、って感じだがそこに関しては『そうでもあるし、そうでもない』と言ったところ。

 というのも、普通に運転する分には別にそんなことをする必要はないのだ。

 地面の上を単に走らせるだけなら、別にモモちゃん以外の誰が運転席にいたとしても問題なく動くというか。

 

 ……裏を返すと、()()()()()()()()()()()()()()()()

 空を飛ぶとか時代を越えるとかは正式な搭乗者であることを求められるため、今回みたいに客を乗せて空を飛ぶ、となるとモモちゃん以外の運転は難しくなるのだ。

 

 じゃあ普通の運行でよかったのでは、となりそうなものだが……誤魔化せば銀ちゃんは運転できたこと、それからそもそもデンライナーを走らせられるような鉄道線が存在しないことなどが今の状況を許容する理由になっていたり。

 特にまともに走れる路線がない、というのは大問題。

 デンライナーは普通の電車よりも大きいため、仮に地面を走らせるとなっても運行が難しいのだ。

 原作で見られる『自身の前に線路を作って動く』というのも、実のところ正式な搭乗者だけが使える機能だから他の人は使えないし。

 ……いやまぁ、空を飛ぶためのギミックがそれなんだから、当たり前といえば当たり前なんだけどね?

 

 

「ともかく、そんな感じで問題山積み、でも頑張れば解決できる……って感じだから、なんとか頑張ってやってみようってなったんだよね」

「まぁ、それでも無理があるから毎日ずっと、とは行かないのだ」

 

 

 なおこのデンライナークルーズ、負担が大きいので期間限定である、というオチがつくのでしたとさ。

 祭コインを一気に稼ぐって面では中々うまいけどね。

 

 

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