なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はい、そんなわけで仮称歌住サクラコちゃんが本当はどういう人物なのか、それを考察&解説していく話がはーじまーるよー。
まず考察要素として必要なのは、『逆憑依』として成立する場合被せられる要素は本来一つ、っていうある意味いつものやつである。
「その人に該当しうる要素が複数ある場合、それが三つとかなら素直に【複合憑依】になったりして終わるんだけど、それが二つとか四つ以上だと膠着状態になったり変な状態になったりする、ってやつだね」
「なんだっけ、人一人の器に過不足なく要素を埋めようとすると一つか三つじゃないと無理があるんだっけ?」
「正確には二つでも問題はないはずなんだけどね。太極図みたいな感じで釣り合うはず、ってのも間違いじゃないし」
でもまぁ、実際にはそうなってない辺り、こちらの知らない条件があったりするのだろう。
……とはいえその辺は今回の話には関係ない、わけじゃないけどややこしいので置いておくとして。
先ほどまでの彼女の状態が以前のシノちゃんと同じだったと仮定する場合、あの時点で乗っていた【兆し】は少なくとも二つあった、ということになる。
じゃないと拮抗作用が生じて『逆憑依』にならない、なんてことはありえないからね。
「一応、あの時の見立てであったロベルタさんが既に他の人に『逆憑依』してる、みたいなパターンだったらありえなくもないのかもだけど……」
「そうだと断言できるわけじゃない、みたいな?」
「外見だけ見てそうなのかもって思ってたけど、寧ろ外見からそのまま似ているキャラが『逆憑依』する、ってパターンの方が少ないというか……」
「あー……?」
なお、『逆憑依』の特徴の一つに
何故かというと、そうなる前の見た目とそうなった後の見た目が共通している、というパターンが寧ろ少ないからである。
類似している例として挙げられそうなのは、琥珀さんとシノちゃんくらいのものなのも、その事実を後押ししていると言えるだろう。
……というか、明確な反例がここにいるからね。
「反例?」
「私だよ、私。元々の私はそもそも男性、今の私は(見た目は)幼女。この時点で似ているもなにもないでしょ?」
「そういうことなら、キリトちゃんも当てはまるね」
「あー……性別とか年齢とか、普通に違うパターンの方が多いのか……」
そう、見た目が原因で『逆憑依』が起きるパターンと言うのは、実のところかなり少ないのである。
いやまぁ、なくはないんだけどそれが理由で絶対そうなる、みたいなレベルではないというか。
……というか、仮にそうだった場合コスプレイベントとか全部中止にしなきゃいけなくなるやんけ、というか。
なので、見た目から感じる印象だけが『逆憑依』の対象を決めるわけではない、というのはほぼ間違いあるまい。
そういう意味で、あの時『ロベルタさんっぽいなー』と感じたのは寧ろ彼女が『逆憑依』する可能性を否定していたようなものだった、と考えるべきだったというか。
……いやまぁ、シノちゃんみたくそのイメージが加速すればまた違った話になってたんだろうけどね?
ただまぁ、どこかでロベルタさんの『逆憑依』を見た覚えがあるような、っていうのと彼女がロベルタさんの『逆憑依』にならなかったのは必ずしも関連する事柄ではない、というのも事実というか。
「ふむ……仮にそれが
「まぁそんな感じ。……ついでに言うとシノちゃんが【揺れない天秤】を既に持ってっちゃってるから、【星の欠片】由来の【星融体】にも派生し辛くなってた、ってのも理由の一つになるかも?」
いやまぁ、ゆかりんの説明の際に天秤系の【星の欠片】については幾つか触れていたように、場合によっては【星融体】になってた可能性もなくはないんだけどね?
ただ、
……まぁ、小難しいことを抜きにすると、彼女はロベルタさん以外で、かつサクラコちゃんに似ている部分と
「サクラコちゃんに似ている部分、というと……」
「まぁ、パッと目に付くのは『誤解のされやすさ』だよね。ロベルタさんの格好も、言ってみればその誤解から来るものだから【継ぎ接ぎ】としても処理されてないというか」
で、彼女が持っていた『キャラクターと似ている要素』の一つが、さっきから本人も触れていた『周囲からの誤解のされやすさ』である。
……笑顔が怖いとか発言が一々裏を感じさせるとか、まぁ色々とあるけれど……ともあれ歌住サクラコというキャラクターが周囲からの勘違い、というものに縁深いキャラクターとして造形されていることはほぼ間違いあるまい。
ゆえに、こうして『逆憑依』して歌住サクラコの姿になっているということは、彼女自身に勘違いされやすい素養がある、ということの裏付けであるとも言えるわけである。
「なるほど……じゃあもう一方のほうは?」
「それに触れる前に、今回【複合憑依】になってしまった理由──三つ目の要素について触れていきましょう」
「はぁ、三つ目の要素?」
ではその勘違いされやすい部分と釣り合っていた、彼女の持つもう一つの要素がなんなのかという話だが……そこに触れる前に、彼女が【複合憑依】になってしまった理由である
彼女が
言い換えると、この武器に触れるまで彼女の要素は完全に釣り合っていた、ということになる。
「……ああなるほど、きっかけになったのがこの銃である以上、これ自体になにかしらの意味が──俺たちにはわからずとも、二つの要素を結びつけるなにかがあったってことか」
「うむ。大抵の【複合憑依】は、無関係そうに見える二つの要素を残る一つが結んでいる、ってパターンが多いからね」
いやまぁ、全部が全部そうってわけでもないんだけども。
成立しやすい三要素、という点では比較的そんな感じのものが多いのである。
大抵は三つ全てに相互関係があるけど、全く無関係の二つを一つの要素で結ぶ、って形でも成立自体はするというか。
この辺の話は特に【星融体】に多い……って言えるほどパターンはないけど、まぁ大体その系列であるのも事実だったり。
「アクアの場合一応海って単語で繋げれなくはないけど、それだけだと【複合憑依】にはならないだろうなーというか」
「私の場合もそうね。声繋がりとは言えるけど、それ以上繋がりがあるかと言えば微妙だし」
「つまり、この人の場合もそんな感じの繋ぎ方だと?」
「そ。少なくとも単純に歌住サクラコに繋がる・繋げられるタイプの相手が釣り合ってたわけじゃない、ってわけ」
私達の言葉を聞いて、サクラコちゃんは相も変わらず薄く笑みを浮かべている。
私達の発言を静かに聞いているのか、はたまた見当違いなことを言っていると嘲笑しているのか、どのパターンなのか確信できない感じの表情だ。
……そういうのが勘違いを加速させるので止めた方がいいんだけど、これから先の話によってはそう単純な話で終わらない可能性もあるのでなんとも言いがたいというか……。
「……はい?」
「さて、私は今彼女は【複合憑依】だって言ったけど、実のところこれって微妙に間違ってる可能性が高いのよね」
「はい?!」
「だってそうじゃない?武器を持ったことで成立したっていうけど、それ実際にありえると思う?」
「と、言うと?」
「無機物かつ心のないものはまず【複合憑依】の要素には選ばれない、ってこと。三つのキャラクターが揃うことで成立するものだから、このパターンだと
「……なるほど?」
なんでそうなるのかというと、そもそもこの成立の仕方が色々とおかしいから。
二つの要素を結ぶ残りの一つで成立するパターンもある、とは言ってもそれは
なので、銃器を握っただけでそれが満たされるというのが正直意味不明なのである。
……一応、ハロウィンに託つけた話なので『ハロウィン』が両者を取り持っている、という風に解釈してもいいけど……。
「ぶっちゃけるとね、その成立の仕方って【星融体】そのものなのよ、【星の欠片】が『ハロウィン』に置き換わっただけのね」
「「!?」」
そう、このパターンにおいて三人目というのは存在していない。
あくまで三枠目が埋まっているだけなのだ。ゆえにこう、真っ当な【複合憑依】と見なし辛い感じになっているというか……。
「そしてその事実こそが、彼女に宿るもう一人の存在がどういうものなのか、というのを示してるってわけ」
「はい?」
「それはどういう……」
「なに、簡単な話よ。要素要素だけを抜き出せば似ているけど、その実両者を似ていると単純に評すことはできないような関係。……すなわち、彼女に宿ったもう一人のキャラクターは、サクラコというキャラクターとは
「ば、爆弾?」
敢えて分かりやすくいうのなら、
勘違いされることがもしストレスになっていたのなら。──
すなわち、
ハロウィンという要素は、恐らくそれらを別側面として成立させるために必要とされた接着剤。
ゆえに、彼女は【星融体】のような【複合憑依】と化した。
本来別れるべき人格も溶け合い、
ならば実のところ、今の彼女は大層危険な人物である可能性が否定できず──、
「なるほど、なるほど。……貴方の説明で理解できました。何故こうなったのか、何故こうまで変わってしまったのか。……ですがなるほど、これが愛ならば殉教者として、私はそれに従う他ありませんね!」
「……はい?」
などと警戒していた私は、次に彼女が吐いた言葉により呆気に取られる羽目になったのでした。
…………あれ、間違ったかな?(冷や汗)