なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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天使のラブレターをポストにシュー!!

「結果としては問題ない、って感じかなぁ?」

「日系二世だけど完全に日本暮らし、って感じだものね。……まぁ介入云々に関しては完全に可能性をゼロにはできないけど……もしかしたら赤井さんとかの『逆憑依』理由になるかも、とポジティブに考えるしかないわね」

「それポジティブかなぁ?」

 

 

 元が非実在人物であるがゆえに、基本的に肩書きでしかないFBI所属が『逆憑依』のきっかけになるとか、それ嫌がらせ以外の何物でもなくない?*1

 ……なんてことを考えつつ、前方のやり取りに視線を戻す私。

 

 現在私達がいるのは訓練場。

 いつぞやかシュウさんがネオ・グランゾンを引っ張り出してはっちゃけてたあの場所である。

 もし仮にライネスがこの場にいたらここから繋がる色んな記憶にトラウマをぶり返しそうだが……生憎今は居ないので特に関係はない。

 

 なので、なんで私達がここにいるのか、というところに視点を絞って話をすると。

 今回のハロウィンの影響を受けた面々の戦力調査──という名目の健康診断みたいなものである。

 

 

「唐突に呼ばれた時には何事かと思ったが……なるほど、確かにここまでの変貌であるならば普段との比較は重要な確認作業となりうるな」

「そうなのよねー。特にハセヲ君なんかは別方向で確認しないとヤバイだろうし」

「ネトゲ中毒者に一月ネット禁止とか、そりゃ別方向に問題が出てもおかしくないわね」

「おいテメェら聞こえてるからな!?」

 

 

 現在訓練場内では、ハロウィン武器を用いた戦闘訓練の真っ最中。

 まぁ訓練と言っても簡単な模擬戦とかクレー射撃みたいな真っ当なやつとか、そこまで厳しめのものではないんだけど。

 

 とはいえ、こちらにがなりたてるハセヲ君の向こう──色々と凄いことになってるとある二人の模擬戦を見てると、その想定が正しいのかは少々疑問を挟みたくなるのも事実なのだが。

 

 

「くっ、キリトとはまた別の意味でやりにくいわね、貴方」

「そうですか?かの有名な黒の剣士と比べられるとは光栄ですね」

「おーい二人とも、俺こっちではその名前で呼ばれてないからなー?」

 

 

 で、件の二人と言うのが、この集団の中でも特異性を強く持っている人物──【星融体】であるシノちゃんと、それから特殊な【複合憑依】であるセフィアちゃんなのであった。

 セフィアちゃんの方は別のカテゴリーを作るか議論になったが、今のところ彼女一人だけが属するものなので保留中である。

 

 

「【継ぎ接ぎ】に近いが確かに【複合憑依】でもある、だったか。三つの要素を必要とするが、その実最終的な出力は【星融体】のそれに等しい……のであれば、【星融体】の亜種と定めるのが道理ではないか?」

「いやー、そもそも【星融体】自体がそんなぽんぽん出てくるはずのものじゃないことを考えると、寧ろ【星融体】の方が亜種なんじゃないかなーって気もするんだよねー」

「……それもそうか。『逆憑依』の派生と見た時、【星融体】のそれは寧ろ本来の意味を損なっているとも考えられるか……」

「二人とも、そっちの考察じゃなくて今は目の前の観察に集中しなさいよ」

「おっと」

 

 

 ブラックジャック先生との会話を切り上げ、改めて目の前で行われている戦闘に注意を戻す私。

 

 現在一番ド派手な戦闘を行っている二人だが……動き自体には特に問題点は見られない。

 いやまぁ、明確におかしなところは一つあるんだけど、それに関しては想定できてたのでそこまで驚くことでもないというか。

 ……え?なんのことを言ってるんだって?そりゃ勿論、セフィアちゃんが振り回している武器の話である。

 

 

ネクロバスター

悪しきものを清める為の特殊武装、種別はアサルトライフル。

使用者のテンションによって武器の外観が変化する機能を持つ。

具体的には通常時は普通のAR、ハイテンション時は十字架型のチェーンソー付きアサルトライフルになる。

その場合、後者は相手を殴り付けても問題ないほどに強度が向上する。

 

 

「……うん、色んな意味でなんじゃこりゃ、って感じよね」

「セピア要素全開、というべきなのかしらね?いやまぁ、セフィアちゃんのそれは『サクラコちゃんの状態で再現できる範疇』に限られるみたいだから、本来の彼女ほど多彩な攻撃を仕掛けてくるわけでもないみたいだけど」

 

 

 元々、セピア・ベルモンドというキャラクターはその名前の通り、悪魔城シリーズに登場するベルモンド家にその名を連ねる人物である。

 それゆえに──彼女の出身作であるゲーム本編内ではあまりそういう面を見せないが、他のベルモンド家の例に漏れず様々な武器を扱うウエポンマスターの一面も持ち合わせているのだ。

 具体的には投擲用の十字架だの、投げ付けると炎を発生させる聖水だの、色んな武器を複合的に使うことで魔なるもの達を殲滅する術に長ける、というか。

 

 

「急降下ジャンプキック……もといドゥエ系統の技術が使えることも家系の伝統みたいなところあるよね」

「あれはゲーム的な単なるテクニック……とも言いきれないのよね、生憎」

 

 

 そんな家系に名を連ねるセピアさん、なんとドゥエも使えちゃうそうで。

 ……なんというかこう、見た目の印象とは色々と違う面を持ち合わせすぎというかなんというか……。

 まぁ、今現在はサクラコちゃんの再現できる範囲、みたいな感じにスペックが制限されているらしく、大体の事情は『わっぴ~』で済まされているみたいだけど。

 

 

「……そういえば気になってたんだけど、わっぴ~ってどういう意味なの?」

「さぁねぇ?基本的には世間知らずの彼女が親しみやすさを求めて流行の挨拶を取り入れた、って以上の話はないみたいだし」

 

 

 まぁ、キャラソン的なものでも使ってる辺り、気に入ってるのかいないのか微妙なところなんだけど。

 ……ともかく、そんなわっぴーだが今現在はセピア要素の顕現時に出てくる口癖、みたいなノリであるらしい。

 

 

「わっぴ~で埋め尽くして~♪」

「チェーンソー繋がりとでも言いたいの?!」

「うーん、滅茶苦茶翻弄されてる……」

「色々と無茶苦茶だものねぇ……なんだったかしら、『歌住サクラコ』というキャラクターの持ち合わせる『勘違いされやすい』という性質が、セフィアちゃんの場合『セピア』というキャラクターを介することで勘違いとも言い難い、みたいな状態に昇華されている……という予想だったかしら?」

「うむ、その通り。……ああまで噛み合いが良かったのはちょっと驚きだけど」

 

 

 本来なら人格が分裂するような差異にも関わらず、今の彼女は一人の人物の二面性程度で納めているわけで。

 そりゃまぁ、色々と目算を見誤ってもおかしくないよなぁ、と思わずぼやいてしまう私である。

 

 ともかく。

 色々と特殊なセフィアちゃんは戦闘スタイルも特殊で、勇猛果敢に愛を歌いながら攻め込んだかと思えば、さっと引いて冷静に銃撃を当てに行く……みたいなムーブを決めている。

 その動きに翻弄されているため、現状動きに精彩を欠いているシノちゃんだが……こっちもこっちで大概おかしな動きをしていたり。

 

 

「というかあれだよねこれ、ビィ君ウイングがセフィアちゃんと相性悪いだけで、普通におかしいやつだよね」

()の翼だから相性面で不利、ってことよね」

 

 

 竜の子という意味のドラクルが吸血鬼という意味のドラキュラになったように、聖属性の相手と竜という存在はあまり相性が良くないというか。

 ……そんなわけで視点をシノちゃんに移して解説を続けると、こっちはヘカートⅤの持つビィ君要素を活かした戦闘が得意、みたいな感じになっている。

 

 具体的には副次効果である飛行能力を用いて高速離脱……からの遠距離戦の強要とか、はたまた変形機能を活かしてレイピアに変化させ、唐突に近距離戦を仕掛けに行くとか。

 本来のシノンならば近距離戦なんて積極的に仕掛けに行くものではないが、シノちゃんの場合はカタリナさん要素を持ち合わせるため近距離にも対応可能……だからこその奇策、とも言えるわけなのだが。

 

 

「……うん、相手が悪いよねこれは」

「相性面で不利がつく上に、相手はウエポンマスターであるセピア・ベルモンドの要素を引き継いでいる。使えてるのはチェーンソーとARだけだけど、それをセピアとしての自身の要素を全面に押し出した言動でカバーしてるから現状押される形になっている……と」

「まぁうん、愛の押し売りとか他人がやられているならともかく、面と向かって対応しろと言われてできるやつ何人居るんだって話だよね……」

 

 

 それも、良い笑顔でチェーンソーを振り回しながら囁かれる愛の言葉を、だ。

 ……どう考えても猟奇殺人鬼の言動です本当にありがとうございました。

 

 そんなわけなので、寧ろ早々に叩き落とされてないことを誇っても良いんじゃないかなー、とか思ってしまう私なのであります。

 ……え、私?早々に叩き落とされるのが関の山ですね()

 

 

「貴方の場合下手に叩き落とす方が悪手でしょうに……」

「いやいや、普通の模擬戦の範疇なら叩き落とせば勝てるよ?まぁ数千・数万回の模擬戦の中で()()()()()()、とかなら私も勝てる時があるかもだけど」

「うーん確率の収束……」*2

 

 

 なお、その後私も模擬戦に参加したけど……基本引き分けだった、ということをここに記しておきます。

 

 

*1
『名探偵コナン』のキャラクターの一人、FBI捜査官の赤井秀一のこと。見た目が不審者過ぎるが実は味方キャラで人気キャラ

*2
確率で表現される物事は得てして人の感覚と反するということ。八割当たると書かれている時に外れた場合の理不尽感、みたいなもの。原則的に確率というのは『膨大な検証回数の果てに全体を見ると大体それくらいの結果に落ち着いている』というものである為、実測値の一部だけ取り出すと全体の確率とは反する結果が現れることがある(例:全体の確率が九割当たりのもので、残り一割の外れ部分だけ取り出すと九割外れているように見える、みたいなもの)。なので、一万分の一の確率でもそのたった一つの正解をたまたま導きだせれば(かつ、同じ試行をその後行わないのであれば)確率とは反する現実を導き出すことも可能、ということになる

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