なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
どう見てもハロウィンの悪影響を受けてるフリーレン戦、もう始まってる!
……はい、冗談言ってる場合じゃないですね普通にキッツいです。
なにが問題って、杖が移動用の足として機能してるのと何故か二丁拳銃で攻撃してきてるのが、ね?
高速飛行する杖に乗ってるせいで動きを捉え辛く、二丁拳銃なので攻撃を避け辛い。
結果として滅茶苦茶ぼこぼこに撃ちまくられてるわけでして、死なないとはいえこの状況が続くのは色々辛いとしか言いようがない。
というかなんで杖が空飛んでるんだよ教えはどうなってんだ教えは()
……いやまぁ、多分だけどフリーレンの服装が学生服っぽいのになってる、ってのがその理由なんだろうけどね?
うん、ほぼ間違いなくこのフリーレン、ハロウィン武器に影響を受けてる。
じゃなきゃ二丁拳銃で魔法をドカン、なんてやれるはずがないのだ。
ただこう、そうなってくると気になることが一つ。
あれ、なにが混ざった結果よ?
「と、言うと?」
「杖で空を飛ぶ、みたいなのは魔法使いものならわりとありがちな話だけど、確かフリーレン世界の飛行魔法って人類が作ったものじゃなくて、魔族が作ったものを原理が不明なまま使ってる……みたいな話があったから、あんまり応用が効かないとかなんとか?」
隣を駆けるアスナさんが不思議そうに問い掛けてきたため、その辺の解説を挟みつつフリーレンから逃げる私。
まず、『葬送のフリーレン』の世界における魔法というのは、とかく術者のイメージに縛られるものであるらしい。
術式などの上部だけ知っていても使えはするが、応用や精度などを気にするのであれば子細な仕組みを知っている必要があると。
これは、術者が『この魔法がこれこれこういう過程で結果を出力する』ということを理解していなければそれを洗練させることも、はたまたなにかに応用することもできないという意味合いのモノなのだが……。
その前提からすると、フリーレンがあれほど縦横無尽に空を飛んでいること自体がおかしい、ってことになるわけだ。
一応、『
何故かといえば、それこそイメージの問題になるからである。
……空中移動に用いることができるのなら、魔族が作った魔法をわざわざ原理もわからないままに使い続ける必要もないだろう。
要するに、フリーレン作中の人々と言うのは基本的に『人は空を飛べない』と思っている、というわけである。
その思考がある限り、真の意味で飛行魔法を使いこなすことは難しいのではないか、みたいな話になるわけだ。
「実際、音速飛行戦闘レベルのことをやってる人はいなさそうだし?……いやまぁ、魔族側もそこまで高速飛行できるのかよく知らんのだけど」
「そこまでする必要が基本的にない、みたいな話もあるかもしれないよ?」
「あーうん、一応バトルはするけど主題じゃないって感じの作品だし、高速機動戦闘までは考えてないってのはあるかも」
まぁうん、フリーレンが高速で空を飛び回るのはおかしい、くらいに思って貰えればいいや。
とはいえ、それだけであの動きが不可能になるのかと言われると実のところ否、だったりもする。
その理由が、飛行魔法とは似て非なるもの──操作魔法の存在にある。
「水とか大地とかに限定したタイプの操作魔法ってやつね。このタイプの魔法って、対象にさえ当てはまっていればかなり自由にモノを操作できるっぽいのよね」
「なるほど、その類いで『杖を高速で飛ばす魔法』みたいなものがあればあの動きも可能だと?」
「雑に言うとそうなるね。……まぁ、作中で出てきてないものを作中のキャラが使えるのか、っていう別の疑問も出てきちゃうけど」
個人的には飛行魔法がダメで、操作魔法ならわりと無茶苦茶できる……ってのもよくわからんのだけど。
特に大きなモノとか相手だと想像力的な意味で『一人で浮かすのは無理』ってなりそうな気がするというか。
いやまぁ、作中ではできてる辺りそういう問題じゃないのかもだけど。
ともあれ、杖の上に張り付いたかの如く仁王立ちしながら高速飛行をキメてるフリーレンが色んな意味でおかしい、というのはわかって貰えたと思う。
ゆえに、彼女は単なるフリーレンではなくなにかしら混ざったタイプの存在である可能性が高い、ってことになるんだけど。
「……なんかこう、脳裏を過るものが嫌な予感しかしなくて」
「嫌な予感?それってどういう……」
「高速飛行する杖に乗って銃ぶっぱ、っていう絵面に少々既視感があるんだよな、っと!」
「私の前でお喋りとは余裕だね。それとも私程度なら警戒する意味もないということかな、魔王」
「話を聞いてくれませんかねぇ!?」
脳裏を過った彼女に混ざっているもの。
……成立の過程がセフィアちゃんと類似しているとするなら、彼女は恐らく【複合憑依】Verハロウィンということになるのだろう。
その場合、構成要素のうち二つは『フリーレン』と『ハロウィン』で間違いあるまい。
そして、セフィアちゃんを例として挙げるのであれば、もう一つの構成要素は武器を見ればなんとなく予測できるはず。
……まぁ、彼女の場合その本質を見るためにはある程度の勘違い──武器の変質を確かめなければならないので、微妙に確認しづらいんだけども。
とはいえ本来の歌住サクラコというキャラクターが持つものとも違う、という部分から『それでも強調されている部分』をもう一つの存在の予測に充てることは不可能ではないだろう。
これを目の前のフリーレンに当てはめた場合、脳裏を過るものが一つ。
……いやまぁ、杖の上で立ってたかどうかはあやふやなんだけど、杖に乗って魔法銃を使う……という点だけなら思い付くものがあったり。
ただ、その思い付いた相手はその戦法をずっと使っていたわけじゃあないので、今の彼女に混ざっているものとして正解かどうかわからんのよなー、というか。
もしかしたら単に私が今回頭が回ってないだけで、直球ど真ん中に当てはまるキャラがいるのかも知れないけど……。
もし仮に、
そしてその片鱗は無いでもなく、ゆえに私は対処に困っているのであった。
「小声で聞くけど、なんで?」
「今の私は飛鷹式しか使えないからかな……」
「……?……あっ、飛び道具の技だっけ?」
うん、一瞬なに言ってるのみたいな顔してたけど、この間説明したことを思い出したらしい。
現在私が携行しているハロウィン武器・飛鷹はその名前の通り『神断流・飛鷹式』に最適化された特殊なアイテムである。
それが飛鷹の技であるならばなんでも使えるという特異性を持つこれは、それゆえ下手に他人に持たせると危ないにもほどのある武器だとして私が持っている必要のあるモノになっていた。
まぁ、それ自体は仕方のないことなので文句とかはない。
ないんだけど、実はそれはそれとして困ったことになっていたりもするのだ。
それが、
……わかりにくいと思うのでもう少し簡単に言うと、
「……はい?拗ねる?」
「飛鷹は【星の欠片】でもあるっぽいから、言い換えると武器に意思があるってことになるんだよね。……で、『神断流』の流派って元々はライバルみたいなものだから……」
「なるほど、他の流派……もとい式の技を使うと他所に浮気した、みたいな扱いになるじゃない」
「そういうこと」
一刀流の『虎空式』、二刀流系統の『双龍式』。
長柄武器系統の『蛇影式』に遠距離武器系の『飛鷹式』。
それから短柄武器の『翔鴉式』に素手戦闘の『零禅式』が主な神断龍の流派になるわけだが、扱う武器種の違いがそのまま派閥みたいになってる部分もあるわけで。
その辺をこの飛鷹も反映してるのか、他の流派の技を使うと滅茶苦茶拗ねるのである。
……え?拗ねるだけなら問題ないんじゃないかって?
いやいや、これが滅茶苦茶問題なのよ。何故かって言うと、あんまり拗ねられると最悪私の手元からどこかに逃げ出しかねないんだから。
「……逃げるの?!」
「うん逃げる。綺麗に私の手元から居なくなる。……それがヤバイことってのはこの前から言い続けてるからわかるよね?」
「う、うーん……それは確かに問題だね。でもそれって今話す必要あった?」
「あるよー、虎空式使えたらフリーレンを完封するのも楽だったし」
「はい?」
「……さっきからごちゃごちゃ言ってるなと思ってたけど、本気で私のことを嘗めてるんだねお前」
おっとなんかオーラが見えるぞ、怖い怖い。
……とはいえ、実際虎空式が使えるならフリーレンを完封できる、というのはふかしでもなんでもない。
何故なら、虎空式は魔法使い殺し的な技がいっぱいあるのだ。具体的には『特定範囲内で自然現象以外の異常を全て無効化する』結界を作る技とか、そもそも直接的に『相手の魔法を斬る』みたいな技もあるんだもの。
そもそも魔法使いは近くに近接職が寄ってくると対応に困るもの。
その辺の相性を思いっきり押し付けて行くのが神断流・虎空式なので、そりゃまぁ大言壮語じゃないよとしか言いようがないというか。
無論、この辺をわざと主張することでフリーレンを挑発する目的もある。
……あるけど、これうまく行くかなぁって気もしてる私なのだった。