なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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どっちが悪いのか、って話

 はてさて、引き続きフリーレン戦の途中でございます。

 まぁ、今は煽られたフリーレンが立ち止まっているため、若干の膠着状態みたいになってるんだけども。

 

 ……ただまぁ、煽りが効いてるのかと言われればノーだと思われる。

 戦闘中のフリーレンって普段のわりと残念?なところが皆無で、寧ろフリーレンの方が魔族みたい……なんて風に言われてることもあるレベルの冷徹な魔法使いだし。

 なので、この場合の彼女は恐らく脳内で高速かつ迅速に勝つ方法を模索している段階だろう。

 

 

(……まぁそもそも、魔法使いがなんの策もなく戦士に近付かれるのはヤバイ、なんてのは彼女自身がよーく知ってる話だろうし)

 

 

 ほら、勇者とか英雄とかヒンメルとか。……全部同じだろうって?

 ともかく、本当は伝説の剣に選ばれてないのに魔王を倒すまで行ってしまったバグみたいな人物が身近にいるのだ、そりゃ近接職の怖さなんて知ってて当然だろう。

 

 ついでに言うと、流石に目の前の存在がそこまでの技量を持ってるとも思っていない……けど、『模倣する魔法(エアファーゼン)*1の存在から『それが全くありえない』とも思ってない、みたいな感じだろうか。

 

 なので、どう詰めるかを脳内でシミュレートしている真っ最中、と。

 ……もし私の(色んな意味で)嫌な予感が的中しているのなら、この場を切り抜けるために必要なのは恐らく彼女がやろうとしていることが鍵になる。

 

 願わくば、それがこちらの思惑通りであることを祈りつつ──もう一つ、布石を打っておく。

 やることは単純明快、腰に下げていた飛鷹を引き抜き無造作に撃つ、それだけである。

 無論、それはあっさりと躱されてしまうが──そこへ立て続けにアクションをぶち込む。具体的には、

 

 

「っ!?」

「『変化させる魔法(エンダーン)』」

 

 

 ()()()()()()()()相手に徐に矢を射掛ける、というもの。

 ……別に飛鷹を変化させたとて戦況が有利になるわけじゃあないんだけど、これがことフリーレン相手だと──特に『逆憑依』相手だと話は変わる。

 

 今しがた『変化させる魔法(エンダーン)』などとほざいたが、無論そんな魔法はない。

 これは、フリーレン作中の単語が基本ドイツ語に準拠したものである、ということから述べたいわゆるでまかせの一つである。

 

 そもそも『フリーレン』という名前自体が『凍っている(Frieren)』という意味合いの単語であるし、ヒンメルも『天国(Himmel)』という意味だったりする。

 なので、なにかしら新しいモノを作ったりだとか、オリジナルのキャラクターを登場させようとする時、ドイツ語のネーミングにすると違和感が減るというわけだ。

 

 今回の場合、飛鷹に標準搭載されている機能である『射撃系武器への変化』を私の魔法による効果である、とフリーレンに誤認させるために今みたいなことを呟いたわけだが……これがどういうことを意味するのか。

 

 

(……『変化させる魔法』か。聞いたことのない魔法だ、ということは恐らく魔族特有の魔法。それも銃から弓に、というようにその変化に制約はほぼないと見ていいだろうね。……やろうと思えば、今この場で宙に大質量の物体を出現させる、なんてこともできるかもしれない)

 

 

 まず、フリーレンというキャラクターは(少なくとも戦闘においては)冷静沈着な人物である。

 行きすぎて魔族のよう、とも言われる彼女の思考回路は魔族を殺すために高速回転しており、ゆえにこちらが出した一つの情報から複数の事実を導きだしてみせることだろう。

 

 言い換えると知識勝負に持ち込むと負ける可能性大、ということになるわけだが……同時に、別に彼女は全知全能の存在ではないということも事実。

 ゆえに唐突に与えられた情報に対して、それが彼女の知識の外にあるものである場合、最終的に答えを導き出せる可能性はあるものの、それを短期間で行うことは難しいだろう……という判断になる。

 

 何故かって?そりゃ勿論、幾ら頭が良かろうが自身の知識の外のモノにまでそれが反映されるとは限らないから、だ。

 今回の場合、彼女は自身の持つ情報──『葬送のフリーレン』の中で語られた設定を元に事態を考察しているはず。

 

 ということは、だ。

 彼女の知らない法則──他所の世界の概念で攻め立てると、それに対応するのに一手遅れることになるわけで。

 無論、そこからすぐさま立て直してくる相手も多いというか、フリーレンもそのタイプであるだろうから作れる隙など微々たるモノだろう。

 ──ゆえに、その隙を最大限に活かす。そのために必要なのが、()()()()()()()()()()()()()()()という部分。

 

 

(……しかし巨大質量か。仮にそんなものをここで出されたらひとたまりもないね。その辺を……気にするような手合いじゃないか、なにせ相手は魔王なんだから。──ふむ、あれがもし()()()()()()()()()()()()()()()であるなら……)

 

 

 例えば、本来の彼女が対処できる範囲以上の攻撃が飛んでくる、と仮定した時。

 通常の彼女なら逃げの一手を打ち、どこかに隠れたのち然るべきタイミングで闇討ちを敢行する、みたいなやり方に持っていくはず。

 

 仮にそのパターンになった場合は詰みである。

 いやまぁ、この場から離れてくれるのなら私も飛鷹に拘るというか、飛鷹に拘られる理由もなくなるからなんとかなりそうな気もするけど……。

 そのパターンの場合、最悪このなりきり郷から彼女が出ていってしまう、なんて展開もあり得ることになるわけで。

 そうなった場合色々と嫌な展開に繋がる可能性が飛躍的に多くなるため、可能であれば彼女がそんな行動を取る可能性は潰しておきたい。

 

 じゃあ、普通のフリーレン相手なら逃げの一手になりそうな対応をするのは不味いんじゃないのか、って話になりそうなのだが……ここでポイントとなるのが、相手が単純なフリーレンではないという部分。

 

 ご覧の通り、現在のフリーレンは通常のフリーレンと明らかに違うものになっている。

 具体的には移動手段と服装と武器。……彼女は杖なしで魔法を使えるタイプの人物だが、それでも基本的には杖を用いての魔法行使を基本としている。

 にも関わらず、ここの彼女は杖を移動手段に割り当てているわけで。……これは明確な変化点となるだろう。

 

 また、両手に持つ魔法銃もおかしな要素の一つだろう。

 そんなものフリーレン作中には無かったと思うし、また魔法を込めて撃てる銃などと言うものも、そこまで類似例の多くない武装の一つだと思われる。

 

 ……いやまぁ、なくはないんだけど正直わざわざ銃を使う必要性が薄いんだよね。

 一応、銃身内部に魔法式を刻み、マガジン部分に魔力電池的なモノでも仕込めば、一般人でも魔法が使えるように……というなんか悪徳商品のキャッチコピーみたいな物体として扱うことはできると思うけど。

 正直、魔法使いならその辺自分の魔力であれこれやった方が利便性上だろう、というか。

 ……一応、魔力電池式なら本人の魔力を使わずに済む、みたいな利点はあるだろうけど。

 それと刻む魔法式を自由に変えられる、とかだともっといい感じになるかな?

 

 ──というのが、通常の場合の考察。

 今回の場合は彼女の持つ魔法銃が恐らくハロウィン武器である、という時点でここまでの考察は半ば無意味となる。

 なんでかって?そりゃ勿論私の飛鷹とか見てればわかるでしょ、というか。

 

 ……うん、さっき述べた問題点とか無いようなものになってる可能性大なんだよね。

 なんなら本人の手足よりも動かすの楽、みたいなパターンすらあるかもしれない。

 

 ということは、だ。

 今の彼女にとって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()可能性が高い、ってことになるわけで。

 だって、メインウェポンとして扱ってるんだよ?

 最悪ないならないである程度魔法を使える彼女が、敢えて杖をサブに回すレベルで使いこなしているわけだ。

 

 つまり、今の彼女はあの武器に夢中だ、ってこと。

 ついでに言うと、応用が結構効きそうな感じだから思ったより無茶苦茶やってきかねないぞ、ってこと。

 ──とはいえ、そうであると先に知れているのなら話は別。

 相手のやってくることが少なからず予測できているのなら、こっちがやることは単純明快。

 それが予想通りのものであることを願いつつ、相手の動きを()()()()()()()()()ように誘導するのみだ。

 

 そして私は、その思考合戦に勝った。

 相手の裏を読みきり、ほぼ望み通りの情況に持ち込むことに成功した。

 ……したのはいいんだけど。

 

 

「……えっ、えっ」

「言いたいことは色々あるけど……頭、冷めた?」

 

 

 うん、予測できたとはいえ、予想通りに()()姿()()()()()とはなぁ、とちょっと恥ずかしくなってくる私なのであった。

 ……いや、ここまで含めないとフリーレンを大人しくはできなかっただろうから、必要経費なんだけどね?

 

 

*1
作中に登場する魔族の魔法の一つ。相手の動きを模倣するモノだが、戦士の動きを模倣することもできる

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