なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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君は宇宙の星を見る

 正気に戻ったフリーレンをゆかりんのとこに放り投げ、改めてハロウィン武器探しに戻った私達。

 ……なのだけれど、彼女に追い掛けられた当事者の一人であるアスナさんは、一つ気になることがあるようで。

 

 

「──なんで下着姿のままだったのか、って?」

「本人も言ってたけど、目の前に人の裸が転がってたら流石に頭も冷える……っていうのはわからないでもないよ?……でもほら、向こうはこっちのこと魔族とかそれに連なるモノだと思っていたわけじゃない?だったら、例え人の裸に見えてもまったく別のもの──人を騙すための策の一つ、なんて風に考えるのが普通なんじゃないかな?」

「……ほむ」

 

 

 なるほど、アスナさんらしい鋭い視点である。

 あれかな、頼光さんも混じってるからフリーレンの考え方をある程度トレースできる……みたいなのもあるのかな?

 

 確かに、彼女の言う通りである。

 例え目の前に幼女の裸(同然の姿)が転がっているとはいえ、それが()()()()()()魔族であるのならば、フリーレンがそれにショックを受けるというのは少しおかしい話に思えてくる。

 

 向こうの言い分を借りるのなら、魔族というのは見た目が人間なだけの野生動物。

 獣が裸でうろついていたとして、それをおかしいと指摘する人はそうそういないだろう。

 ……というか、下手すると服を着てる方がおかしいというか?

 

 まぁ、扱いが近いというだけで本当に野生動物扱いしているわけじゃあないとは思うけど……。

 同時に、魔族が唐突に目の前で服を脱ぎ始めたとしても、単なる命乞いの一種であるとしか認識しないんじゃないのか……みたいな予想もそう間違いではないだろう、という予測も立ってしまうわけで。

 

 

「なんでまぁ、ぶっちゃけますとちょっとズルしました」

「やっぱり」

 

 

 結果的に、あんなにスムーズに話は進まなかったはず……ってことになるわけで。

 その辺を気にしたアスナさんはまさに慧眼と言いますか……。

 

 ええまぁはい、正直なところを言いますとちょっとズルしました。

 まぁ、ちょっとと言うようにホントにちょっとだけなんだけど。

 

 

「ホントにー?」

「ホントホント。そもそも『彼女にとって精一杯引っ張り出したセックスアピールが投げキッス』な時点で『目の前で真っ裸になる』のがクリティカルなのは変わらないし」

「確かに……」

「それで納得されるアイツがあまりに哀れじゃない……」

 

 

 まぁ、お色気で売ってる作品じゃないから、ってとこもあるんだろうけど。

 ……でも大抵の作品のエルフってそれだけでエッチとか言われるタイプのような気もげふんげふん。

 

 要するに、本来『魔族が裸になっても気にしないよ』ってなる部分を、『いやそいつ魔族じゃないしひん剥いたの君だよ?』って実感しやすくした、というのが正解になるというか。

 

 

「具体的には『神断流』使いました」

「……え?飛鷹式にそんな感じの技があるのか?」

「いやないよ?」

「おいこら」

 

 

 お前確か『飛鷹式以外の神断流を使うと飛鷹に拗ねられる』みたいなこと言ってたじゃねーか、とツッコミを入れてくるキリトちゃん。

 それに対して私は『そうだよ?』と返しておく。……はい、いつもの説明してないやつですね()

 

 

「はぁ?」

「さっき説明した六式以外にもう一つあるんだよ。で、それはそもそもが補助技──他の式と組み合わせること前提だから、飛鷹も別に拗ねないってわけ」

 

 

 というか、そこで拗ねられると飛鷹式の中に使えない技が出てくるし……。

 

 分かりやすく例を挙げると、『虎視眈々』とかは他の技と組み合わせること前提。

 極論相手から視線を外さない()()なので、これ単体では精々尾行が捗るくらいしか効果がないんだから当たり前と言えば当たり前なんだけど。

 

 ……ついでに言うと、飛鷹式の技の一つである『鷹狩』はこれ(虎視眈々)が半ば必須だったりする。

 

 

「……そうなの?」

「相手に向けて曲がるとか、相手をしっかり見てないと無理じゃない?」

「ん、んー……?」

 

 

 より正確に言うのなら、視線という相手との繋がりを矢の軌道として流用しているというか。

 ……まぁ、その辺の詳しい仕組みはちゃんと説明すると長くなるから割愛するとして。

 

 ともかく、飛鷹を持ってる状態でも使える別の『神断流』の技がある、というのは事実。

 今回はそれを使って、フリーレンの思考をちょっとばかり誘導したわけなのである。

 

 

「……洗脳?」

「人聞きの悪いこと言うんじゃないわよ?!……何度も言うけど、ちょっとだけ現実を見えるようにしたってだけ」

 

 

 例えば、『魔族側から脱ぎ出したんならそりゃ命乞いだけど、寧ろ今回に関してはこっちから脱がしに掛かってる』から始まり。

 相手が魔族だからってひん剥くのは普通になしだよ、っていうか相手を脱がすために使った魔法、よくよく考えたらうちのとこの魔法じゃないよ?

 ……みたいな感じに自身の思考に対する疑問を生じさせていったわけだ。

 

 で、最終的には『私が間違ってた、やらかした』まで思考を導いた、と。

 

 

「……うーん悪役のやり方」

「おかしい、なんで私が責められる流れになっているのか」

 

 

 その辺の事情を説明したところ、最終的に私が悪い、みたいな話になってしまいましたとさ。

 ……遺憾の意を発射してもいいカナ?

 

 

 

 

 

 

 はてさて、フリーレンの話はそれくらいにして。

 いい加減元の目的に戻り、ハロウィン武器の痕跡を探し始める私達である。

 

 

「ええと、何処まで話が進んでたんだっけ?」

「……怪しいカボチャヘッドがハロウィン武器を広めてる、みたいな話だったかと」

「ああそうそう。……そういえばその辺の話をフリーレンさんに聞くの忘れてたわね」

「まぁ、あの調子じゃあ聞いてもなにも答えられないと思うけど」

 

 

 ふとしたきっかけでまた「うおーん」しそうな精神状態というか?

 ……そこまでやらないと正気に戻りそうになかったのだから仕方ないんだけど、改めて考えると他になにかなかったのかと反省せざるを得ないような気もしてくる。

 

 

「実際他の手段とかあったのか?」

「うーん、コテンパンにとっちめる?まぁ、その場合は無駄に時間が掛かって次の日とかにずれ込みかねないけど」

「フリーレンちゃんはいいけど、私達は次の日も普通に予定があるから正直勘弁してほしいところだね……」

 

 

 ただまぁ、ショック療法以外だと単純に倒すしかないのもあり、別方向に面倒臭くなるだけという見方もできてしまうのだが。

 ……この辺はなんだかんだ言っても流石の人気作、流石のフリーレンと言ったところだろうか。

 

 とはいえ過ぎてしまったことをいつまでもぐちぐち言ってても仕方ない。

 思考を切り換え、改めてこれからすべきことを考えていこう。

 

 

「とりあえず、あのタイミングの良さからしてフリーレンも例の偽マフティーが用意したって考えてもいいと思う」

「明らかに追い掛けるのを妨害された感じだからなぁ……そういえばキーア、アイツに『虎視眈々』とか使ってないのか?」

「いくらなんでも単に話を聞いただけの相手に使わんよ……ストーカーじゃないんだから」

「それもそうか……」

 

 

 まず、今の私達がすべきは例の噂を聞かせてくれた人物を探すこと、になるんだけど……。

 うん、完全に見失ってるから今から探すのは無理筋だろう。

 

 キリトちゃんの言う通り、予め『虎視眈々』でも使っていれば追い掛けることも可能だったろうが……。

 流石にたまたま話し掛けただけの人に注目しておく、なんてことはしないしできないので机上の空論である。

 

 そうなると、あとは地道にまた痕跡を探すしかない、ってことになるんだけど……。

 

 

「正直話を聞いて武器の出所を探す、っていうのは手間が掛かりすぎだと思うわけ」

「まぁ、話の内容もわりとぼんやりしてるからなぁ……」

 

 

 あれだ、カモフラージュなのか火種なのかわからんので対処のしようがないというか。

 ……周囲に溢れるおもちゃの銃をぶら下げた人々、それら全てを疑ってたら日が暮れる、とも。

 

 彼らの中に偽マフティーが潜んでいると見るか、はたまたさっきのフリーレンみたいに突然こっちに襲い掛かってくる鉄砲玉予備軍だと見るか……。

 その二つだけでも大概だが、まったく無関係に()()()()()()()()()()()()()()銃をぶら下げている、みたいな人も紛れているから困るのである。

 あれだ、偽マフティーが直接関わったのは数人で、その数人が発信源となって銃を持ち歩く仮装が流行った、みたいなパターンだというか。

 

 周囲への聞き取りの結果がふわふわするのも当たり前、大抵の場合流行りに乗ってるだけで『何故そうなったのか』については知り得ていない人間がほとんどなんだもの。

 ……この状況で数少ない『偽マフティー本人からの接触を受けた人物』を探すのは、骨が折れるどころの話じゃないというか……。

 

 

「身構えている時に、死神は来ないものだよキアウェイ」

「誰がテロリストじゃい……って、誰だ今の」

 

 

 うーん、と唸る私達。

 そんな時、脳裏に聞こえたのはなにやら聞き覚えのある文言。*1

 

 思わず振り返った私が目撃したのは、

 

 

「アムロ……じゃねぇ!?

「ふふふ……僕こそが君たちを導くガンダムだよ」

 

 

 何故かどや顔をこちらに向けている、リボンズ・アルマークの姿なのであった。

 ……いや唐突な登場だな!?

 

 

*1
『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』におけるアムロ(想像)の台詞。作中タイミングではアムロはMIA(『Missing in Action』の略。『戦闘中の行方不明者』の意味だが、単純な行方不明者だけではなく『遺体も残らないような攻撃に巻き込まれた』場合も対象となる)になっているので、あくまでハサウェイにとっての都合の良い幻である

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