なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、あらゆるところに見つかる琥珀さんの暗躍(?)の証を黒子ちゃんに見付からないようにごまかしつつ、そのまま見回りを続ける私達。
個人的にはなんで私がフォローに回ってるんだろうなぁ、と微妙に納得が行かない部分がないでもないのだが……なんだろうね、どこからか『それくらいやって当然やぞ』みたいなツッコミが聞こえてくる気がするのは。
……その辺はともかく。
ある程度人気の無い場所や、はたまた危険な場所を回ったこともあって、時刻はそろそろいい感じのタイミングに差し掛かろうとしていたのだった。
「カタトゥンボ、でしたか?……個人的には少々期待を伴っての見回りでしたが……結果は生憎、といった感じでしたわね」
「ははは……」
いやまぁ、黒子ちゃんがカタトゥンボ*1で駄々を捏ねてたから時間が無駄に経過した、って部分もなくはないんだけどね?
あそこって電気系能力者が集まるところだから……。
(ずーっと御坂さんがいないか探し続けてるんだもんなぁ……)
(どこかに隠れているはず、とでも思っていたのか大分しつこく探していたな……)
(他とは真剣さが違ったの……危うく関係ない方向から見つかっちゃうところだったの……)
どこかに自身のお姉さま──御坂美琴が隠れているのでは、と探し続けていたものだから余計に時間を浪費したというか。
いや、確かにカタトゥンボは電気系能力者には色々と過ごしやすい場所らしいけど、流石にあそこにずっと隠れてる……みたいなパターンはないと思うのよ私。
みたいにツッコんでみたものの、お姉さまの残り香(?)を前にした黒子ちゃんには聞く耳持たれず。
時々おもむろに電撃に突撃しては『うーん、これは御姉様の電撃ではありませんわね……』とか謎の電撃ソムリエ的台詞を呟く黒子ちゃんを前に、思わず目を点にしていたというわけなのである。
……言い換えると、本人の気の済むまでやらせるしかなかったというか?
まぁ、流石にお昼時になればお腹は空くようで、一旦諦めてカタトゥンボを離れることにしたみたいだけど。
……このままほっとくとカタトゥンボ中を粗探しした挙げ句琥珀さんの痕跡を発見する、みたいな重大事故を引き起こしかねないので、午後からは別のところに目を向けさせるようにしないとなぁ……とため息を吐く私でありました。
そういえば、翼さんとなのはちゃんもしかめっ面をしていたので、私と同じ様に苦々しい思いを抱えていたりしたのかもしれない。
口には出してないから、実際に二人がなにを考えてるかはわかんないけど。
……みたいなことを考えつつ、戻ってきたメインフロアで入る飯屋を探す私達。
近場には波旬さんのカレーショップとか、宿儺さんの洋食屋とかがあるけど、流石にこのテンションで入る店ではないのでスルー。
じゃあいつもの居酒屋は?……となりそうだが、こっちは流石に真っ昼間から酒を飲むわけにもいかないのでノー。
……え?酒を飲まずに普通の食事をしてればいいだろうって?バカ野郎居酒屋に行って酒飲まないとかあるかよ!
というかこのテンションだと飲まないとやってられないよ!
まぁそんな感じだったので、適当に近場のファミレスに入ることにした私達なのでありましたとさ。
「で、適当にそれぞれ食べたいものを選んで頼んだわけなんだけど……」
「その結果がこれ、ってことだよね……」
……うん、なんでこうなったのかなー、とか思わないでもない私です。
あれかなー、ファミレスってとこにあんまり頓着せず、適当に選んだのがよくなかったのかなー?
勿体ぶるのもあれだからなにがあったのかを端的に説明すると、頼んだ料理が運ばれてきた結果、いつの間にか面子が一人(?)増えていたのである。
さらに、増えた一人(?)はそれらの食事を一人(?)で食べ尽くしてしまったのだ。
その速度、まさに暴風……いなや
そんな光景を目の前で見せられてしまっては、私達としてもなんとも言えない状態になるわけで。
「わ、私のチーズリゾットが……」
「あーうん。……すみません店員さん、さっき頼んだのと同じのあるだけ持ってきて頂いても?あ、料金なら割増で払いますので」
食べようと思った自身の注文が、さっと増えたその人物(?)によって瞬く間に消えていく姿を見て、愕然とした表情を浮かべる黒子ちゃん。
……そのまま放置するのは可哀想なので、近くにいた店員さんに頼んで新しい料理を持ってきて貰えるように手配をしておく。
あと、単に頼んだだけだとまた同じようなことになりそうなので、可能な限り同じものを持ってきて貰えるように、と付け加えることも忘れない。
勿論、それを告げられた店員さんがなに言ってるのこの人、みたいな感じでこっちを見てきたけど……まぁうん、気持ちはわからなくもない。
今の私の発言、どう聞いても『店にある食べ物全部持ってこい』って言ってるようなものだからね。
なので、改めて付け加えておく。
「
「え、ええ?!」
驚く店員さんにもう一度言い聞かせ……ああいや、これだと真剣に聞いて貰えないか。
ならもう一度、今度は『なりきり郷の盟主である八雲紫の名前の元に再度要請・協力をお願いします』と付け加えておく。
……あとで文句を言われそうだけど、今の状況をゆかりんが知ったら恐らく速攻で許可を出してくれることだろう、と自己弁護をしておく。
そんなことを思いながら、私は慌てて厨房へと戻っていく店員さんを見送り、先ほどからスルーしていた件の人物──増えたもう一人の方へと視線を向け直す。
先ほどから、微妙に当人を描写することを避けるようなニュアンスを繰り返していた私だが……それもそのはず、どう考えてもその人物は厄物──厄介事の種としか思えなかった。
というのも、だ。その人物を一目見た瞬間から、嫌な予感というか予測というか最早予言というか、まぁそんな感じのことをビビっと受け取ってしまっていたのである。
ただ、正直なところこの感覚は
何故かと言えば、目の前のその人物は──少なくとも見た目だけならば単なる少女でしかなかったからである。
実際、突然現れたことに対しての警戒心こそあれ、彼女が危険人物であるなどと予測するものは誰もいなかった。
それこそ、危険察知に優れるアスナさんですら……である。
「……ちょっとキーアちゃん?」
「説明する前に、ちょっと確認させて貰える?」
「それは……別に構わないけど」
このように、寧ろ私がなにか無茶苦茶やってる、という風にしか思っていなさそうな様子だ。
……まぁでも、なんでそんな反応になるのかっていうのはわかる。
なにせ料理にがっついている彼女は、よっぽどお腹が空いているのかこちらに視線を向けることもない。
常に皿に顔を向けているため表情は窺い知れず、精々髪の色がピンク色である……ということくらいしかわからない始末だ。
正直、これだけだと『お腹を空かせたピンク髪の少女』なのだろうとしか認識できないだろう。
……あ、一応なにやら
正確には帽子ってよりはでっかいゴーグル、って感じだけど。
……うん、でっかいゴーグル。
具体的にはなんかこう
ただ、私の脳内ではあれこれと考察した結果、彼女の正体として可能な限り最悪なものが弾き出されているわけでして。
……可能なら間違っていればいいなー、と思いつつ九割がたあってるだろうなー、という諦めが胸中を締めているのでありました。
なんでかって?今回の私の役目を思い出してくださーいな()
……はい、このゴーグル、実は『ハロウィン武器』っぽいんですよねー。
ついでに言いますと、このピンク髪の子が誰なのかっていうのもなんとなく予測できているんですよねー。
違ってたらいいなーと思いながら、私はその少女に──恐らくはその少女が反応してくれるだろう呼び掛けをしてみたのであった。
「……なでしこちゃーん?」
「ぽよ?」
……あ、これダメですわ(白目)