なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

1203 / 1297
正気を失う時ってあるよね

「で、そこからみんなが食べ終わったらこの子も満足したと」

「まだ食べられるみたいだけど、とりあえずみんなごちそうさましたから終わりにしたみたいだね」

「……流石はカービィ、食材が無限にあっても油断ができないわね……」

 

 

 いやホントにね!

 身体的疲労は私持ちになるにも関わらず、なでしこちゃんがごちそうさました途端分身がくず折れるようにして消えた辺り、遠隔操作してたエミヤんと小松君向こうでぶっ倒れてるんじゃないかな!

 ……変なことになってないか確認して貰うように伝言して、改めて下手人に向かい合う私達である。

 

 なお、当のなでしこちゃんはなにやら頭を抱えて踞って(カリスマガードして)いた。

 ……穴があったら入りたい、典型的な羞恥の主張である。

 

 

「いやちがうのちがうんですはなしをきいてくださいそんなつもりはなかったんです」

「おお、流暢な日本語」

「ちゃんと話せたのね、貴方」

「ああああああああ~……」

 

 

 これはひどい。

 我を失うほどに強い衝動に晒されていたってことなんだろうけど、それにしたってそんなに頭を抱えるほどかー。

 ……どうでもいいけど、なんか雰囲気も違うね?

 そんな風に私が疑問に思っていることを悟ったのか、彼女は顔を上げておずおずと口を開いたのだった。

 

 

「その……私の場合、明確に三人分に別れてるわけじゃないので……」

「なるほど、【複合憑依】だけど【星融体】のが近いと。……って、ん?」

 

 

 ええと、三人分の意識がハッキリしてるのが本来の【複合憑依】。

 それに対して【星融体】は三つの要素が混ざり合って最早別物みたいになっている、というのが基本的な状態だったはず。

 ……そこまで言って気付いたんだけど、もしかしてこの子もサクラコさんもといセフィアちゃんと同じタイプだったり?

 

 

「というと?」

「【星の欠片】関連じゃないのにそれに関わったのと同じ状態になってる、みたいな。……っていうか、今改めてこの子のハロウィン武器解析してみたんだけどそれが正解だと思われれれ」

「後半おかしくなってるの……」

 

 

 いやだってねぇ、こんなの見せられたら頭も抱えますよって。

 ってなわけで、唐突に彼女のハロウィン武器の説明オープン!

 

 

グラビティ・ブラスター

とある戦艦のシステムを流用・応用した装備。

重力波(グラビティ・ブラスト)とか撃てるけど個人装備。

相転移砲とか撃てるけど個人用装備である。

()が関わっているのだ、細かいことを気にしてはいけない。*1

 

 

「うわぁ」

「きゃー!?ゆかりんが倒れた!?」

「流石にキャパオーバーだったか……ジェレミア氏を呼べー!!」

 

 

 はい、説明を聞いたゆかりんが笑顔のまま倒れましたね、予想通りです()

 

 ……いやまぁ、これでもなでしこちゃん本人よりも脅威度は低い……いやホントに低いのか?

 彼女がこんな感じになったのもこいつのせいっぽいけど、本当にこいつは危険度比較的低なのか?

 疑問は尽きないが、一応現状の話だけ聞いて判断する分にはまだマシ、となるのは間違いないだろう、多分。

 

 ともかく、ここに記された説明からすると、なでしこちゃんが【星融体】みたいになっているのはほぼこいつのせいだろう。

 というか、この短期間で【星融体】っぽいけど【星融体】ではない人が多発してるのはなにかのフラグなのかな?

 仮にそうだとするとなにも見なかったことにしてふて寝したい気分でいっぱいなんだけど如何か。

 

 ……などと誰に向けたのかもよく分からない愚痴を溢しつつ、改めてなでしこちゃんに向き直る。

 セフィアちゃんもそうだったが、【星融体】っぽいノリのわりに最初の方のシノちゃんみたいな不安定性が見られないというか。

 いやまぁ不安定なまま現れるより安定した状態で現れてくれる方がありがたいけど、なんかどうにも引っかかるというか。

 ……あれだ、【星融体】っていうカテゴリを可能な限り無害にしつつ有効活用したい……みたいなことを考えている人が居そうな気がするというか。

 

 

「まぁ杞憂だとは思うんだけど。……琥珀さんがこれを見たら変な方向に吹っ切れそうだなぁ」

「?何故ここで彼女の名前が?」

「いやほらマッドサイエンティストって言ったら琥珀さんって感じでしょ?」

「……敢えてノーコメントとさせて頂きますけど、後でなにか言われても知りませんわよ?」

 

 

 はははあっぶねぇ思わず口から言わなくてもいい言葉が漏れちゃったんだぜ……。

 とはいえそれも仕方のない話、セフィアちゃんに続いてなでしこちゃんについてまで話を聞いてしまったら、変な方向になにかを思い付いてしまう可能性大である。

 

 なにせ、現状出力の面だけに視点を絞ると、【星融体】ならびにその関連系と思わしき面々の再現度出力はかなり高めでかつ安定もしてるのだもの。

 ……後々に起こる『なにか』に対して備えておこうと画策する時、これほど使い手のありそうなものもなかろうって感じというか。

 

 いやまぁ、冷静に考えたら止めとけ感しかないんだけどね?

 そもそもの【星融体】自体が【星の欠片】案件だから止めとけってのと同じく、その類似例二人はハロウィン武器によるもの……すなわちハロウィン関連ってことになるわけだし。

 

 パッと見なにかに使える技術のように見えて、ハロウィン関連であることから離れられないからあとから酷いことになるのが見えてるし。

 

 

「……ただまぁ、一時的な【継ぎ接ぎ】で済む私達と比べると、色々大変そうなのも確かなんだよなぁ……」

「確か、武器による変化は一種の変身として処理できる……という話でしたわね。けれどこの二人はそうではない、と?」

「ああうん、そんな感じ」

 

 

 話を逸らすためにも黒子ちゃんに聞かせたまま話を続けることにしつつ、そのまま説明をすると。

 

 私やアスナさんに起きている変化は、あくまでハロウィン武器由来の()()()()変化であるとされる。

 それと比べると、セフィアちゃんやなでしこちゃんのそれは、どうにも不可逆の変化であるとしか判断できない。

 ……ので、これを見たら琥珀さんが発狂した挙げ句吹っ切れそうだなぁ、みたいな話をしていたと説明を繋げるわけだ。

 まぁ、実際に起きる可能性が高いのはこれを見て発狂じゃなくて、これを見て狂喜乱舞なんだけども()

 その辺を黒子ちゃんに説明するとややこしくなるので、あくまで表向きの説明だけに留めておくわけだ。

 

 

「ふむ……貴方の認識としてはどうなっていますの?」

「は、はい?」

「貴方ですわよ貴方。……ええと、なでしこさんで宜しいのでしょうか?」

「あ、はい。星野なでしことでも呼んでください」

「名前が混じっとる……」

 

 

 なんならメダロットの名前とも被っとる……。

 ……と、ともかく彼女を呼ぶ時はなでしこちゃん、で問題ないらしい。

 ならばそれに甘えるとして、黒子ちゃんは引き続き彼女への聞き取りを続けている。

 

 曰く、貴方の自認はどのようなことになっているのか、と。

 さっきまでの話はあくまでも私の予想なので、その辺があっているかどうかを確認するために話を聞いている、というわけだ。

 なお、返ってきた答えは「そ、それであってます。……正直どれとも言い辛い感じかもしれませんが」との言葉。

 

 ……まぁ、うん。

 なんかこう、三人のうち誰にも微妙に引っ掛からない感じの敬語なのは間違いないというか?

 一応、気分が高揚していたり切羽詰まっていたりすると、三人のどれかに寄った性格が出てきやすいみたいだけど。

 

 

「さっきの『ぽよ?』とか?」

それは忘れてください……

「あ、はい」

 

 

 なお、本人的にはそういうのは恥ずかしい模様。

 ……まぁ、我を忘れて暴走しているようなものだし、そりゃそうかって感じ。

 

 ただ、そうなると一つ気になることが。

 

 

「【星融体】もどき?な人達って自身の精神的な状態にかなり影響されやすい感じ?気分屋ってのとは違うけど」

「……セフィアちゃんもそんな感じだったね、そういえば。でもそれを言うならシノちゃんも似たようなモノじゃない?」

「あ、そっか」

「お二人だけで納得されても困るのですが?」

 

 

 こう、【星融体】じゃないけどそれに似ているタイプの面々って、なんか自分の気分に大分振り回されてるような気が?

 ……なんて呟いたところで、即アスナさんから反論が飛んできたんだけど。

 あれかな、どっちかというと【星融体】的な人はみんなそんな感じ、っていう話だったり?

 

 なお、セフィアちゃんとかと顔を合わせたことのない他の面々は、私とアスナさんの会話の意味がよくわからなかったのか首を傾げていた。

 ……ええと、なんとなーく気になったというか思い付いただけで、(一応)大したことじゃないから気にしないでいいと思うよ……?

 

 

「いいえ、貴方の思う『大したことはない』は大抵あてになりませんので、素直に思ったこと感じたことはこちらと共有してくださいまし」

「……流石にその扱いは酷くない?」

「この扱いで丁度いいくらいだと言うことにいい加減気付いてくださいまし」

「……ぎゃふん」

 

 

 黒子ちゃんは容赦ないなぁ!

 などとぶつぶつぼやいていると、なにやらくすくす笑いが。

 見れば、なでしこちゃんが小さく笑っているではないか。

 ……こっちに見られていることに気付いてすぐに姿勢を改めていたけど、そんな姿を見せられてはこちらも毒気が抜かれるというもので。

 

 

「……とりあえず、なでしこちゃんはゆかりんルームに行って貰うとして、私達はいい加減仕事に戻ろっか」

「そうですわね。昼食も当に終わっていることですし」

 

 

 一先ず彼女についての話を終え、私達は元の仕事に戻ることにしたのであった。

 ……問題の先送り?知らんな()

 

 

*1
グラビティ・ブラストは『機動戦艦ナデシコ』において、旗艦であるナデシコが装備している武装。重力波を束ねて放つ砲撃であり、基本的に防御不可。重力制御型のバリアなどならば防ぐことができる(作中ではディストーション・フィールドなどが該当)。相転移砲はそのグラビティ・ブラストを撃つ為の膨大なエネルギーを生み出す為の現象・相転移を攻撃に応用したもの。こちらはグラビティ・ブラストよりさらに強力

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。