なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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そういうパターンもあるよね、という諦め

「……まぁ、キーアさんのところの対処を流用するのは難しい、ということはよーく理解できましたわ」

「わかって貰えたなら嬉しいよ」

 

 

 というか、一般人系『逆憑依』がそんなにいない、ってのが一番の問題というか、そういう本来『日常系』の人達を戦闘に巻き込むようなノリでないと無理がある、ってのが一番の問題なんだろうなーとは思うんだけどね。

 でもしゃーないんや、そもそも『神断流』ってその名前の通り、神を断じるためのものやから……。

 

 

「対神戦闘が基本、ということですわよね?……でもそれが何故、扱うものが一般人である方がいい、などということに?」

「そもそもの【星の欠片】自体がそうなんだけど……基本弱者が()()()()()()()()()()ためのもの、みたいな感じなんだよね」

「ふむ……?」

 

 

 根本的な技能としての成り立ちが、『弱者の牙』なのでそんなことになっている……というか。

 強者に勝つためというよりは弱者を守るための技術なので、それに沿うように使う分には強者であれど使えるが、そこから外れると使えなくなる……みたいな感じ?

 

 ……ややこしいのでジャイアントキリング前提、とでも思って貰えばいいや。

 スキルっぽく言うなら『彼我の実力差が大きいほど効果アップ』みたいな?

 

 

「そんな感じの技術だから、例えばさっきの結界を無理なく使える人でも()()()()()()場合効果が落ちるんだよね」

「……ええと、特殊能力無しに強いってなると、格闘家の人とか?」

「その通り。例えば範馬勇次郎*1が作った結界と、ココアちゃんが作った結界だと後者の方が効果が高くなるってわけ」

 

 

 一応、どちらも純粋な人間ではあるため、基礎的な効果はちゃんと発揮されるんだけど……。

 生き物としての強さが結界の隙を作ってしまうわけだ。

 

 そうだなぁ……例えばさっきの『特殊な能力は遮断します』って条件に加えて、そのあとに注意書きとして『※但し術者のレベルより低い存在の特殊能力は遮断しません』って書いてあるようなもの、みたいな?

 仮に勇次郎がレベル百扱いなら大抵の相手には意味がないってなるし、ココアちゃんが身体的強度が二桁レベルってことも早々無いだろうから、大抵の存在は結界に引っかかるってわけだ。

 

 ……まぁ、あくまで結界として使うとそんな感じ、ってだけで攻撃用の術式に関してはその限りではないけど。

 でもその辺まで語ってるとさらに長くなるので今回は割愛。

 ここで重要なのは、ぶっちゃけると『ココアちゃんとかに覚えて貰った方がいい』ってなる部分である。

 

 

「……そこが問題なの?」

「いや、問題でしょ。基本的に癒し役である人を積極的に前線に出せ、って言ってるようなものなんだもの」

「あー……」

 

 

 この話の一番厄介なところは、『神断流』使って勝っても別に術者のレベルとかにはなーんにも寄与しないってこと。

 ……いやまぁ、『神断流』のスキルレベル的なものは上がるんだけど、代わりに本体性能の恒常的な強化、みたいな部分にはなーんの変化もないのである。

 極論、その辺のスペックは寧ろ()()()()()()()()()()()わけだから。

 

 

「……あー、さっきの」

「そう、『彼我の実力差が大きいほどうんぬん』ってやつ。……これ、『神断流』を使っているうちはいいんだけど、使ってないタイミングでの事故死に関してはまっったく考慮されてないんだよね」

「ええ……?」

 

 

 まぁ、人の真価は代を越えて知識や技能を伝えること……みたいに考えているからって部分がそうさせるわけだが、それにしたってなんというかあれだなぁ、と思わないでもない。

 ……え?この術式考えたのお前だろうって?はてなんのことやら。『神断流』はどこか遠くの世界からやってきた技法、私の考えた設定とは偶然にも似通ってるだけですがなにか?

 

 ……周囲のみんなから凄い目を向けられたので平謝りしつつ、一応の弁解をば。

 

 

「本来勝つどころか勝負の土台に上がることすら不可能な相手に立ち向かうためのものなんだから、これくらいのデメリットはあって然るべきじゃない?」

「言いたいことはわかるけど、この場でそれが肯定される可能性は低いと思うの……」

「ぎゃふん」

 

 

 ……まぁとりあえず、『神断流』が普通に使えるのはそこら辺のデメリットもしっかりしてるからであって、一から百まで便利なだけの技能だったら多分この世界で使用できるようにはなってないだろう、ってな感じで話を締める私である。別に言い負かされたとかじゃないぞ(白目)

 

 ともかく。

 結界の技能を十全に保つのなら【星の欠片】か、もしくは非戦闘キャラの『逆憑依』に覚えさせるしかない、というのが現在の結論。

 そして仮にそのパターンに当てはまりそうな相手でも、【星の欠片】なら【星融体】とか、『逆憑依』なら非戦闘キャラだけど身体スペックは高いとか、そういう例外枠に収まるタイプには任せられない……ってのも付記事項になるだろうか。

 

 

「後者はともかく、前者もダメなの?」

「いや、冷静に考えて貰ったらわかるんだけど……【星融体】って絶対弱くないでしょあれ」

「それを言ったらキーアお姉さんも……」

「私のはシンプルな【星の欠片】だから別なの!」

「えー」

 

 

 いやまぁ、純粋に今郷にいる【星融体】の構成要素となっている【星の欠片】が、こっちの基準(強弱逆転)であんまり(つよ)くないってのも理由にはなるんだけど。

 ……単純に混ざってる要素が(普通の基準で)強いよ、って部分もあるというか。カイオーガとかカタリナさんとかだし。

 

 そういう意味では、ささらさんなんかが良さげに見えてくるかもだが……あの人【星の欠片】的には(よわ)い部類だからなー。

 え?はるかさん?本気の一般人だと『逆憑依』と違ってマジに死にかねないからダメです(真顔)

 相手が『逆憑依』だからギャグで済んでるけど、その実一般人を巻き込んだら普通に死んでる案件いっぱいあるからなぁ……そもそも郷の『非殺傷判定』の効果範囲外だし。

 

 

「ってなわけで、長々語ったけどうちの対処法は早々広められないというのが結論です。広められるんなら広めたいんだけどね!今回限り必要な対処、って感じで終わるとも限らんし!」

「まぁ、ですわね。ここまで聞いた感じであれば、ミーム汚染*2などにも応用できるのでしょう?」

「まぁうん。ちゃんと効果を発揮できるならどこぞの鳥も安全ですよ?」

 

 

 まぁ、あれはあれでコンビニチキンを食べたくなる、という別のミームでなんとかできるかもだけど。

 

 ……その辺は今語るところではないのでスルーするとして、確かに認識系の攻撃にもしっかり応用できる技術なので、広められるものなら広めたいというのも事実。

 なんだけど、さっきから言ってる通り『有用な結界術を使おうとすると色々面倒』ってことになるのでありましたとさ。

 

 ……いやまぁ、それ以外にも迂闊に広められない理由はあるんですけどね?

 

 

「?……どういうことですの?」

「十分な効果を持った結界を作るのが面倒、ってだけで普通の人が普通に使う分には問題ないわけよ。そもそも『神断流』って覚えるだけならそこまで難解ってわけでもないし」

「ふむふむ」

「となると、よ。……普通の人に教えたら幾らでも覚えて貰えるってわけで」

「……んん?」

「最終的に変なことになる予感しかしねぇのよ……」

 

 

 いやまぁ、権力争いとかには使えないんだけどね?

 こう、人の世を繁栄させる方向とか、人だけど人ならざる相手なら普通に使えたりもするから……うん。

 端的に言いますと、下手に広めて外にまで広がると、これを使ってのわけのわからん()行為が横行しかねないというか。

 

 

「具体的には?」

「まず悪徳企業は潰れるでしょう。人ならざる、ってのは人として正しい倫理から背いている相手って意味でもあるから」

「勧善懲悪、ということですの?それは喜ばしいことなのでは……?」

「それがそうでもない。『神断流』の基準って意外と難しくて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

「……ん?」

「結果、今度は元々悪人側の方が強くなる」

「……それ、意味ないのでは?」

「善悪は糾えるものだからね、仕方ないね」

 

 

 切っても切り離せないので全滅させるようなことはできないというか?

 相手が神仏とかならいいんだけどねー。

 ……いやまぁ、この神仏相手なら、ってのも大概なんだけど。宗教とかとぶつかる可能性大だし。

 

 

「他にも『人』の区分を理解しないと酷い目に遭う、みたいなのもあるし」

「と、いうと?」

「熊に襲われて撃退するのはいいけど、そこから熊を全滅させようとすると効果が裏返る」

「あー……?」

 

 

 人の世のことを一番に考えた技術だが、だからといって世界のバランスを大きく崩すことは許されないというか。

 ……それって回り回って『人の世を乱す』ものだから当たり前なんだけど、この辺の感覚は先達に教わったりしながら磨いていくしかないので、その辺怠ると酷いことになるというか。

 何度も言うけど、『神断流』は本人の実力ではなくあくまでも武器。

 ゆえに時に本人に牙を剥くこともあるってわけだ。

 

 

「ただ、その辺の話って適当に広まったパターンだと伝わりにくいでしょ?なんでちゃんと教えてから広めないとってなるんだけど……真面目にやると今回の話より遥かに長い説明と一緒に教えないといけないから……」

「大分効率悪いね……」

「そうなんだよね……」

 

 

 便利な道具であるからこそ、ちゃんと説明をしておかなければならない……というか。

 まぁそんなわけで、色んな面から見ても『神断流』そのものを広めるのは中々にハードルが高いなー、となるのでしたとさ。

 ……一部の技をちょっと教える、くらいならなんとかなるんだけどね。

 生憎件の結界術はその辺ちゃんと説明してないと使えないというか使わせられないというか……。

 

 ……あ、一応こうして話してる最中もあちこち見て回って仕事はしっかりやってました、と最後に付け加えておきます、はい。

 

 

*1
『刃牙』シリーズに登場するキャラクター。主人公の父にして地上最強の生物

*2
いわゆるネットスラングだが、ここではSCP的な用法のこと。情報災害とも

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