なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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琥珀色の空に願うように

 はてさて、あーだこーだと話しながら見て回ったものの、特に怪しげなものは見当たらず。

 ……変なこと話してたら寄ってくるかなー、なんて思ってたんだけどそっち方面でも空振りである。

 

 こうなると今日はもう新しい情報とかは得られないかなー、そもそもさっきなでしこちゃんっていう爆弾がでてきたばかりだしなー……と脳内で推測する次第。

 個人的にはさっさと琥珀さんにことを起こして欲しいんだけど、向こうも事態の解決にあたり確証が持てないと動けないとかあるだろうしなー、って感じである。

 

 

(そういう意味でもなにかしらトラブルに巻き込まれに行くのが正解なんだけど……うん、その気配はないねぇ)

 

 

 端的に言えば情報が足りないというか?

 ……いや、私にとってだけじゃなくて琥珀さんにとっても、というか。

 その辺閃きの起点にならないかなーと『神断流』の話もそれとなく流してみたんだけど、こっちもこっちで空振りというか。

 

 

(……え、さっきのって適当に話してたんじゃなかったんだ)

(一応近くに琥珀さんが設置したっぽいブツがあったから、それにも聞こえるように話してたんだよ)

(意外と色々考えてるの)

 

 

 まぁ、黒子ちゃんに気付かれないように、って前提の上でのことだから、大したことはできないんだけど。

 ……いや真面目に、黒子ちゃんに聞かれてもいいんならここから琥珀さんのとこに乗り込んでなんの情報が足りてないんじゃわれぇ、って聞いてみれば終わる話なんだけどね?

 ただこう、こういう時の琥珀さんがやることって規模がデカいから、まず間違いなく秩序を保つ側の黒子ちゃんは動くだろうなぁというか。

 

 

(無論そうなった場合もこっちが琥珀さんに味方すればなんとでもなると思うけど……その場合後々角が立つというか、黒子ちゃんからの協力を今後一切得られなくなる可能性があるというか)

(あれだね、クリア速度だけならもっと早い手段はあるけど、それを使ったあとの話をまったく気にしてないパターンだから実際には採用できない……みたいな)

(まぁ、そんな感じ)

 

 

 ……というか、仮に黒子ちゃんのことを一旦脇に置くとしても、こういう時の琥珀さんって倫理的にも常識的にも()()な対処を選びかねないので……。

 うん、他のとこからも文句やら非難やらが飛んできそうな感じがするというか。

 

 その兆候は私が絡むと余計に強くなるので、とりあえずこっちからは干渉せず向こうが勝手に案を作り上げたところを、ダメな箇所の指摘をしつつやり遂げるのが一番楽だろうなー、って話になるわけで。

 ……うん、正直面倒くさいなこれ?

 

 

(でも私がなにかやって……みたいなのもよくないから解決策そのものは他の人に見付けて貰いたいというジレンマ)

(ふむ、その言いぶりだと解決策自体は見付けている、ということなのかしら?)

(ハロウィンが悪いんだからハロウィンを無くせばいい、というスーパー脳筋解決策でよろしければ)

(……一瞬の考察すら必要なく却下と言っておくわね)

 

 

 ですよねー。

 ……まぁ、これ以上あれこれ言ってもあれなので、とりあえず元の仕事に戻るとしよう。

 

 やることは常に単純、なにかしらのトラブルが発生してないかを確認するのみ。

 とはいえなりきり郷は広大、チームで手分けして見回っているとはいえ、そうそうトラブルなんて見つからないのも事実。

 

 ……いや、細かいトラブルは幾つか解決してたんだけどね?

 例えばそこの料理屋で開かれた大食い大会の場合だと、途中でオグリや悟空さ*1が参戦しようとしていたので丁寧にお断りしたりだとか。

 二人は『なんでダメなんだ』『そうだそうだー!横暴だぞー!』とか言っていたけど、『明日から食べた分だけご飯抜きでもいいんなら食べていいよ?』と返したところ、大人しく引き下がってくれたのだった。

 

 ……すまんな二人とも、明日ならともかく今日は先になでしこちゃんが暴飲暴食(?)してたから色々とキャパが足りてないんや。

 明日以降なら増えた人間のことを考えた上で食糧生産が行われるようになるから、それまで待ってくれ……。

 

 細かいトラブルはそれだけではない。

 他にあったのが、はるかさんが行く先々で店に取っ捕まってる姿であった。

 ……あの人、郷の中でも珍しい純粋な一般人だから、他の人からの人気が凄い……みたいな話はどこか別の場所でもしていたと思う。

 

 その流れは祭中だとさらに加速するため、結果色んなお店に『うちを見てってよ』と取っ捕まりまくる原因となっているわけだ。

 ……はるかさんも別に暇してるわけじゃないので、ほどほどに離してあげなさいと店員たちに注意をすることになるのもまぁ当たり前というか?

 え、はるかさん本人が『たすけてー』みたいな顔してたって?

 ……祭期間中は常にそんな感じだろうから諦めてもろて。

 

 とまぁ、そんな感じでちょこちょことした問題の解決を行ったりしていた、というわけなのです。

 ……本命には出会えてない感じなんだけどね!

 

 

「本当ですわね……なでしこさんが現れてから早数時間。次なるハロウィン武器の気配はまったくと言っていいほど感じられませんわ」

「いやまぁ、トラブルの重要性からするとそんなポンポン起きて貰っても困るんだけどね?……でも起きないと起きないで解決までの道が遠退くという」

「難儀な話なの」

 

 

 トラブルに巻き込まれる、という点からすると起こって欲しくはないが、かといってそれが事態の解決に繋がるかというとまた別の話。

 特に、件のカボチャ頭の行方がわかっていない以上、仮に今起きずとも後々どこかでドカンと頻発する……などという『明らかにそっちの方が面倒くさい』状態になる可能性も否定はできまい。

 

 なので、個人的には『トラブルは起きるけどほどほどにして欲しい』なんて舐め腐った思考に突き当たるわけでして。

 ……これ、口にすると黒子ちゃんに怒られそうだなぁ。

 

 

「ええ、勿論怒りますが?」

「……あやべ口に出てた」

「そこにお直りなさいキルフィッシュ・アーティレイヤー!今日という今日はその腐った根性を叩き直して差し上げます!」

「……?」

「そこで首を傾げるんじゃありませんわ貴方の正式名称でしょうが!?」

 

 あ、ああそうだったそうだった。

 基本的にフルネームでは呼ばれず愛称の『キーア』としか呼ばれないから微妙に脳裏から情報が消えてたよあはは。

 

 

「……あ待って冗談だって本気じゃなイッタイメガー!?

 

 

 

 

 

 

「悪は滅びた、ですの」

「人の眼窩の隙間にわさびの粉末転移させるのはやっていいことの範疇越えてると思うの……」

「ひぇっ」

 

 

 いや、相手が私だからこそやったことなんだろうけども。

 ……え?どこかの二次創作で敵相手にやってた黒子(わたし)がいたから真似した?

 それ多分学園都市における凶悪犯相手に、ってやつだよね?明らかにオーバーキルなやつだよね?

 え、それくらいしないと貴方は懲りないでしょうって?へへ……。

 

 

「そこで褒められたかのような反応を返すからこうなる、ということをいい加減理解して欲しいのですが」

「~~~~~ッ!!」*2

「粘膜に直接刺激物塗布、は正直真似できないの」

「凶悪犯を死傷せずに止めるって前提だとわりと有用だ、って前提は置いといて……って話だよね」

「……あ、あら?皆さんドン引いていらっしゃいます?」

 

 

 相手はキーアさんですわよ、という黒子ちゃんの言葉にいやそれでもこれは中々……と半笑いを返しているらしい周囲の面々である。

 ……そんなことより私の心配してくれない???

 

 

「いや、そこに関してはなんというか……反省の意味も込めてわざと受けてる部分もあるでしょう、貴方」

「はははよく見てらっしゃる仕方ないので暫く転がってますね」

「そこで止めずに転がり続けるのは色んな意味で流石だと思うの」

 

 

 まぁ、はい。

 いい加減なにごとだってばかりに人だかりができてきたのでいい加減わさび粉末を分解して立ち上がる私である。

 ……え?体験した感想?普通に死にそうな目に遭いましたがなにか?

 言ってしまうと自業自得なのでこれ以上は触れないけども。

 

 ……ってなわけで、この騒動に集まってきた面々をそれとなーく確認する私。

 なにか変なことが起きてれば琥珀さんなりカボチャ頭なり呼び寄せられないかなー、なんて思ってたんだけど……うむ、一目見た限りだと完全に野次馬だなこれ!

 

 

「ほら、ほらご覧なさい貴方達!この人こういう人ですのよ!ただでは起きないというか人を小馬鹿にしているというか!」

「でも正直これ以上地道に探すのは無理があったの。火種をこっちから作るくらいじゃないともう誘い込めないの。定時も近いし」

「ぐぬっ」

 

 

 はいなのはちゃんの言った通り。

 なんやかんやしてるうちに見回りのタイムリミットがもうすぐそこなのです。

 一応なでしこちゃんという成果はあげられているけども、できればもう一つか二つ、なにかしらの手柄をあげておきたいのも事実なのです。

 正直な話、なでしこちゃんに関してはトラブル解決の糸口、って類いではなかったし。

 

 

「その点では、例のカボチャ頭の尻尾を捕まえられればそれが一番ってことになるんだけど……今のところその気配もないし」

「なるほど。マフティ性の発露と言うわけだねキーア・F・刹永」

「誰がガンダムバカじゃい……って何故ここにいるリボンズ・アルマーク!?」

 

 

 などとバカなことを言っていると、唐突に会話に加わってくる人間が一人。

 思わず言い返しながらそちらを見れば、そこには何故かリボンズがこちらに笑みを浮かべている姿があったのでありましたとさ。

 

 ……いや、ホントになんでいるんだ貴様!?

 そんな風に困惑する私達を見て笑うリボンズの後ろでは、ブラックジャック先生が頭痛を堪えるように顰めっ面を浮かべていたのであった──。

 

 

*1
『ドラゴンボール』において、作中のキャラクター・チチが悟空を呼ぶ時の呼称。恐らくは『悟空さん』が訛ったもので、ファンからもこう呼ばれることがある

*2
※痛みを堪えるように声にならない悲鳴をあげながらあちこち転がるキーアの図

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