なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はて、一緒にいたら疲れるのは当たり前、こういうのは外から見てるのが一番よい……みたいな存在であることにほぼ確証が取れたリボンズ氏を前に、なんとも言えない表情で立ち尽くす私たちである。
さっき私のどどん波で黒焦げになってたじゃん?
今はもうケロッとしてるんですよねこの人。……完全にギャグ世界の住人だこれ!
「だからっていきなりどどん波は酷いと思うんだが……」
「いや逝き顔見せて貰うんならそれが一番早いかと」
「君は大概悪人だな!?」
いやまぁ曲がりなりにも魔王ですし……。
冗談はともかく……とも言い切れないのがなりきり郷である。
今回のことはその洗礼だとでも思って貰えれば……。
「いやいやおかしなことを。いきなり攻撃されるだなんてあまりにも蛮族すぎ……待ってくれないかなんでみんな視線を逸らすんだい???」
「その……郷の中にも治安が悪いというか、変なルールが罷り通っているところもあるの」
「うむ。全ては拳で語れ、とでも言わんばかりの場所がね」
「……正直彼処に関しては私、今でも閉鎖派なのですけど」
「とはいえ、あそこに屯する連中を外に放つわけにもいくまい。郷全体の安寧のためにも必要な処置だよ」
「君達だけで勝手に通じあった会話をするのは止めてくれないか!?」
僕
……とかなんとか悲鳴をあげるリボンズ氏である。
ええと、ニュータイプ的な存在の僕に察せられない話題を続けるんじゃないよ、的なツッコミかな?
じゃあ仕方ない、伝える意味はあまりないんだけど一応教えてあげるとしよう。
「リボンズさん」
「な、なんだい改まって……君が真剣な口調になるのはなんだか嫌な予感がするんだが」
「ええその通り、流石はイノベイターですね。……行く気はなかったんですけど次の行き先は確定です」
「「「「「ヤダーッ!!」」」」」
「……ゑ?」
仕方がねぇ、彼処に関しては実体験するのが一番なんだもの。
っていうか冷静に考えると、こうしてこっちが探索先として除外してること自体が今回の黒幕に好都合……みたいなパターンもあるだろうし。
いつぞやかのマーリンとか、絶対気配を消して隠れてただろうというか?
ってなわけで、残業確定の中次に向かう目的地は、みんな大好き()『おきらくリンチ』……じゃなかった、『御鬼楽乱闘の間』。
そんなわけでー……レッツゴー!(マリオ風のイントネーションで)*1
はてさて、道すがらちょっとばかりお勉強の時間である。
おきらく乱闘……いや、あえてここではおきらく
この名称は元々スマブラXにおける対戦環境の杜撰さ的なものを表す言葉である。
本来スマブラというのはプレイヤー達が入り乱れて戦うゲームなのだが、このおきらく乱闘においては『乱闘を行わない』者達が蔓延していたのである。
いわゆる馴れ合い、というやつだが……乱闘をしたくてプレイしているものからすればなにやってるんだこいつら、となること必至だろう。
ゆえに他のプレイヤーに攻撃しに行くのだが……それを確認した途端、さっきまで動かなかったプレイヤー達が豹変する。
最初に他者を攻撃したプレイヤーを、それ以外のプレイヤーが執拗に攻撃し始めるのである。
その様、まさにリンチ。
ゆえに付いた蔑称がおきらく
なお、最新作SPにおいては放置状態だと切断されたり、また馴れ合い行為としてよく使われるアピールの回数に制限がある……などの対処が取られているため、こういう馴れ合い的行為はかなり数を減らしたとか。
「まぁ、気持ちはわからないでもないけどね、馴れ合い的な行為に対しては」
「家で友達と集まってやる、というプレイスタイルを思い出せば自ずと理解はできるからな。根本的には見ず知らずの相手にやるな、ということに収束するのだろう」*2
「……その名前を冠しているということは、これから向かう先もそんな感じの場所なのかい?」
「いや全然?」
「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
うーん、いちいち反応がギャグキャラ……。
そんなリボンズさんの反応うんぬんについてはともかく。
件の『おきらくリンチ』が
「
「え、なにが来たっていうん工エエェェ(´д`;)ェェエエ工」
そんなわけで、フロアに入った途端バイクに乗って跳んでくるモヒカン達の群れ。
……あ、一応なんかハロウィンっぽい服装になってるねー、まぁドクロの首飾りとかそういうやや物騒なものばかりだけど。
「ヒャッハー!!ここは通さねぇぜぇ~~!」
「通りたきゃあお菓子を置いて行きなぁ!まぁお菓子のお礼にボコるんだけどなぁ~~!」
「ここは地獄だぜフゥハハー!!」
「……なに これ」
「これで心折れてたらこの先しんどいよ。……あ、あと常に後頭部に注意してね」
「なんで?」
「常に人の頭をヘッドショットしようとしている芋砂がそこら中に隠れてるから」
「なんで???」
なんでって……そういう場所だから?
ここは『御鬼楽乱闘の間』、みんなの中での通り名は『キチゲ発散の間』。
日々のストレスを暴力性に変えて吐き出すために誰もが世紀末と化す、色んな意味でおぞましい()フロアである。
「なんでそんなものが必要に!?」
「いやまぁ、『逆憑依』だからって鬱憤が溜まらないわけでもないというか、時々無性に暴れたくなる人もいるというか……。ここでの殺った殺られたは外に持ち出して引き摺るの禁止、あくまでここでは誰もが心のモヒカンを解放する社交場なんだよ」
「すまない、この人がなにを言ってるのかまったく理解できない」
「無理に理解しなくてもいいの。これが理解できるということは現代社会に蔓延するストレスに色々とヤられてる人ってことになるの」
「あ、はい」
酷い言われようだぜ……。
まぁ実のところ、今現在いるメンバーでここを利用したことが無さそうなの、正直黒子ちゃんと先生くらいのものだと思うんで、なのはちゃんの発言もちょっと後ろめたいというか煤けているというか、そんな感じの微妙に後ろ向きなモノになってるんだけども。
……ここでのなのはちゃんがどうかはともかく、本来のなのはちゃんって色々ストレス溜めてそうなタイプだからなー。
「……あれ?先生なんで視線を逸らし……先生ッ!?」
「……若気の至りだ、申し開きもない」
なんて言ってたら、視線の端に引っ掛かる先生の態度。
……露骨に視線を逸らしてたけど、まさか先生もここを利用したことが……?!
いやでも、よく考えたらそりゃそうか。先生も大概溜め込みそうな感じだしなー。
「その点黒子ちゃんはお利口さんやね。秩序を預かるもんとしての心構えがちゃんとして……すっごい渋面!?」
「……体験もせずに反論することほど愚かしいこともないとは思いませんこと?」
「アッハイ」
哀れキーアさんはしめやかに失禁、生命活動も停止……死んだのだ。
……いやミームの追突事故みたいな戯れ言はともかく、言われてみればまぁ確かに。
反対するにしても、相手の実情を知らないままに行われるそれは単なる差別でしかない。
ゆえに相手のことを知ってからあれこれしよう、という彼女の理念そのものは否定されるようなものではないだろう。
……うん、そういうことにしておこう。
みこっちゃんにいつまで経っても会えないことに腹を立て、そのストレス解消のためにトリガーハッピーになってただなんてことは多分ない。恐らくないのだ……。
「……彼女は常に失言をしないと生きていけない質なのかい?」
「そ、そんなことは多分ない……と思うよ?」
「今回のに関しては君へのどどん波分のダメージを他所から貰って禊にしているだけだと思うぞ」
「冷静に分析するの止めてくれませんかね先生」
なおその後の黒子ちゃん()
……はい、思いっきりドロップキックが飛んできた上、現在エビぞり固めされてますねぎぶぎぶ()
あと周囲の人々、好き勝手言ってなくていいから黒子ちゃんを落ち着かせるの手伝って?()
……なお、一連のやり取り中モヒカン達はずっと黙ってこっちを待ってました。
変なところでマナーがいいね君達?