なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「というか本当に必要なのかいこの場所……」
「無差別に襲ってきてくれるから修行になる、って五条さんとかダンテ君が褒めてましたよ?」
「わぁバトルジャンキー」
実際戦闘訓練したいだけなら大分有用なのよね、ここ。
どいつもこいつも(理由はどうあれ)戦いたい・自身の力を思う存分奮いたい、みたいなノリで動いてるのばっかりだし。
……ただこう、それに加えて『とりあえず勝ちたい』とか『とりあえず暴力奮いたい』みたいな、普通に考えてアカン思考・嗜好を発散する場所にもなってるものだから、下手にここの流儀に染まると外に出られない・出せないような類いの人になっちゃうのがねー。
まぁ、そういう場所もないと受け入れきれない人もいる、ってことで見逃されてる面もあるんだけど。ヤンキー・ヤクザモノ作品のキャラとか、外だと暮らせないみたいなの少なくないし。
「随分とガラが悪いというか規律に反しているというか……」
「まぁ、そういうのにありがちな話として、特に深く関わらないならいい人、みたいなのも多いんだけどね。そこのモヒカン達も外だと普通の人だし」
「!?」
……まぁ、人間生きてれば色々ある、ということで。
その辺の話は深く掘り進めるとややこしいのでこの辺で区切るとして、だ。
「祭期間中は余計のこと肩身の狭い思いをしている彼らのことだ、同じ気持ちを抱いているとでも告げてやればあっさり襟を開いて受け入れてくれたりするわけ。……隠れ場所として最適だと思わない?」
「あー……爪弾きにされているもの同士の共感を悪用されている、と?」
「……さ、さっきから黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがってぇ~~ッ!!」
「おい野郎共、構うこたぁねぇッ!!コイツら全員とっちめちまえ!!」
「アイアイサー!!」
「なんだその古典的な台詞!?」
はい、好き勝手言われたことを察してか、ぞろぞろと出てくるモヒカン達の山である。
……なお、漏れなくみんなモヒカンなのは、それがここでの正装だから。
言い換えると、『モヒカン状態の奴らは適当な理由で襲い掛かってくる奴なので注意してね♡』という暗黙の了解を周囲に視覚的に知らせるためのものである。
因みに、モヒカン側から
「なので、もし仮にこのフロアで喧嘩を売ってくるモヒカン以外の人がいたら違反者だから、その場合は黒子ちゃんとか近くの治安維持部隊の人に教えてあげてね」
「ゑ?」
「たまにいるんですのよ、このフロアの流儀を勘違いした人が。……参加したい場合はしっかりとルールブックを読み込んで、かつ
「地下闘技場的なものを黙認しているようで気分が悪い、だったかな?」
「今でもいい顔はしてない、と先に明言しましたわよ」
「……うん、ややこしいんだね本当に」
それもこれもなりきり郷の平穏のためなんや……。
そう納得して貰ったところで、ついにモヒカン達との戦端が開かれたのでありましたとさ。
はてさて、細かい『御鬼楽乱闘の間』のルールについて語るとしよう。
まず、このフロア内では外と違い、唐突な攻撃──暴力を奮うことが容認されている。
といってもここにも微妙にルールがあり、より明確に言うと『モヒカン姿の人間に先制攻撃権がある』という感じになるだろう。
先ほどもちょっと触れた通り、一般人──モヒカンじゃない人から攻撃するのはご法度である。
「ここ、新人さんがよく引っ掛かるから注意ね。もし仮に適当に喧嘩を売りたいのならまずモヒカンスタイル、これここの常識」
「……なんでそんな意味不明なことに?」
「
「普通の姿で適当に喧嘩を売ることに慣れてしまうと、必然的に外でも同じ事をしてしまう可能性が高くなるからな。……まったく暴力を奮わないのが一番望ましいわけだが、それはそれで問題となる人間もいるだろう」
「世の中には色んな作品・キャラクターがいるからねー。息を吸うように喧嘩を売らないと生きてけない、みたいな人も少なからずいるわけだ」
「はた迷惑過ぎるだろうそれは……」
まぁ、滅多にないことなのでそこまで気にするものでもないとは思うんだけど。
とはいえ少なくても確実に存在する、となると微妙に話はややこしくなる。
よく学校の校則が厳しすぎる、みたいな話を聞いたことはないだろうか?
化粧禁止ならわかるけどリップクリームも禁止になってるとか、服装のカラーについて細かく定められていたりするとか。
こういうものは端から見ると大分馬鹿馬鹿しいのだが、その実それらが定められた理由を紐解くと『そうするしかない』みたいな結論にならざるを得なかったりする。
「極端なことを言うと、人間って愚かなのよ。
「世の中の規則が何故大概厳しいのか、という理由の一つですわね。ガチガチに固めておかないと『ライフハック』などとふざけたことを宣いながら抜け道を探し始める者が跡を絶たない、と言いましょうか」
「性善説で物事を構築するのは難しい、というやつだね」
魔が差せば人なんて幾らでも悪くなれる、みたいな?
……この辺宗教観的に海外の方がすっ……と納得してくれそうな気がするな?*1
先の校則の場合、厳しく決めないことで逆に『決められてない部分は自由』なのだと解釈してしまい、結果としてさらに良くない・悪いことをしてしまうパターンがあるために厳しくならざるを得ない、みたいなことになってるわけだ。
例えばシャーペン。これは低学年・小学生は使用禁止となっていることが多いが、その理由として考えられるのは『芯を使って変な遊びをする』子供がいる、というものになる。
特に幼い子供は『何故それをしてはダメなのか』という部分が理解できないことが多い。
そのため、シャーペンの芯をそれが入りそうな穴に片っ端から詰めていく、なんて恐ろしいことを平気でやってしまったりするのだ。
埋めても問題ない場所ならともかく、例えばコンセントの穴にシャーペンを突っ込んで感電死……なんて笑えない事態に陥ることも普通にある。
なので、そもそも物理的にそういうところに入らない鉛筆を使わせる、みたいなことになるわけだ。
……これは危険性からの禁止だけど、他にも『他人が高級なシャーペンを持っている』ことによって起きる問題を回避するため、という考え方もできる。
いわゆる盗難・紛失に掛かる問題というやつだ。
これは例としてシャーペンを挙げたが、考え方としてはあらゆる規則に転用・応用することもできる。
自棄に厳しいルールは過去になにかやらかした奴がいるか、もしくはやらかしそうな奴を知っていたことによってそうなった……とも考えられるわけだ。
このフロアにおけるモヒカン頭も、ある意味では同じ。
この姿でない人間は一般的な・善良な人間であることを自覚しなければならない。
ゆえに身を脅かされても原則反撃のみしか認められない、と。
「……それはそれで片寄った考えじゃないかい?」
「そう?先制攻撃したいならモヒカンになればいいだけだよ?無論見た目的にデバフとしか言い様のないモヒカン姿を許容しないとダメ、っていうポイントはあるけど」
「……あ、一応モヒカンって悪いもの扱いだったんだね……」
そりゃまぁ、たまーに明らかになんらかのキャラなのにモヒカンになってるのが居るのを思えば、なんとなく理解できる範疇というか……。
そう、一応許されてはいるけど、これはあくまでも『そうしないと辛い』タイプの人間にだけ許可するとややこしいことになるから作られたルール。
モヒカン頭は皆平等、平等に暴力を奮うくそ野郎である……という自認を使用者にもたらす一種の枷なのである。
一般人側から攻撃できないのはまさにその延長。
身を守るためであれ他者に暴力を奮うことの意味を考えないとそのうちクズに落ちるよ、という戒めを視覚的にわかりやすくしたものなのだ。
「まぁそんなこと気にせずモヒカン頭で世紀末生活を謳歌してる人も居るのですが」
「そろそろツッコミどころしかなくて疲れてきたんだけど」
「その感性をいつまでもお大事に。……ストレス発散のためにモヒカンになるのって楽しいんだよね」
「ダメだ!こいつ(性根が)腐ってやがる!」
みんなもストレス発散のはずが目的と手段が逆転する、みたいなことにならないようにね!(モヒカンカツラを隠しながら)
……まぁうん、あれこれ言ったけどここの人たちの大半はモヒカンロールプレイしてるだけなのよね。
悪人ロールプレイってたまにやると楽しいよね、の延長というか。
その流れで悪人的行動も(許される範囲で)楽しんでるというか。
……いやまぁ、それでも遠くから隠れて芋砂してる奴らは許すな()になるんですが。
それもまた楽しみ方の一つではあるので禁止するのもなー、的な?
……うん、あれこれ語るよりこれ言った方が早いな!
「西暦二千X年、なりきり郷は核の炎に包まれた!だが人々は死滅していなかった……!!」
「なんだろう、急になにもかも許されるような気がしてくる……!」
つまりは世紀末だ!みんな地獄を楽しめ!(錯乱)