なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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オレンジ畑で捕まえて

「……はっ、私は一体なにを!?」

「暫く気絶してたのよ貴方、っていうかどんだけショックだったのよゆかりん……」

 

 

 はてさて、それから数分後。

 てきぱき動くジェレミアさん達を横目に、さっきまでの話の報告書を一人で作ってた私は、ようやく再起動したゆかりんに対して小さく苦笑を向けたのだった。

 無論、ここで再度報告書についての話をするとまた気絶しかねないので、書類仕事は一旦ストップである。

 

 ……というか、暇だったから話が逸れたけど、そもそも今日私が手伝いに来たのは物書きではなく物売り。

 ハロウィンがちらつくせいで色々とややこしいことになったけど、やるべきことは本来別なのだ。

 なのでいい加減ちゃんと働かないと……って気分になっているわけである。

 いやまぁ、現状だとやることなさそうなのは変わってないんだけどね?

 

 

「でもそれはあくまで通常業務の話。見た目ロリの私達ならばやれることがある!」

「ほう、それは?」

「それは売り子よ!美少女による宣伝により購買意欲倍増って寸法よ!」

「ほう、なるほどなるほど。──ところでそれは、うちだけの専売特許(それを持ち出すだけで完勝できるほどのもの)なのかな?」

「正直すまんかった」

 

 

 ……うん、現実は非情である。

 可愛いロリっ子が二人居ようが三人居ようが、それだけで売上倍増できるほどなりきり郷は甘くない。

 ってか、私達は養殖(ごうほう)ロリなので本物には敵わんし?凛ちゃんとかかようちゃんとか。

 

 そんなわけなので、仮に売り子に出るとしても、やり方に関してはもうちょっと考えを纏める必要がある、ということになるのでしたとさ。

 

 

「というか、そもそもなんで売り子限定なのよ?」

「配達に関してはわざわざ明言する必要性がないもの。その上で暇を持て余してるならなにか別のことをすべきだけど、単純な運搬とか販売対応とかに関しては普通にあっちの二人で事足りてるんですもの」

 

 

 言い換えるとソコくらいしか頑張れそうなものが見えない、というか?

 ……いやまぁ、一応他にもやれそうなことはあるんですよ?

 この場で【虚無】を起動して、新しいオレンジ商品を開発するとかさー。

 

 ただまぁ、それに関してはできるけどあんまりやりたくない、やるべきではないことなので乗り気ではなかったり。

 何故かって?そりゃ勿論【星の欠片】を明確に起動する、ってことは遠回しにハロウィンを呼び寄せることになるから、である。

 

 ……うん、歪みの象徴みたいなものだからね、【星の欠片】って。

 普段はこのなりきり郷自体が歪んでる()からそこまで問題でもないけど、今みたいな時期にあんまり強度を高めて使うと()()()()()()()()()()()()()()()()()というか。

 

 

「うん?」

「なりきり郷におけるトラブルの発生起因は、そもそもの話この場所がトラブルを集めやすい構造になっているから。──重力による空間の歪みみたいに、運命の流れがここだけ窪地になってるから、他所から重い運命──トラブルが転がり込みやすくなってる、みたいな話があったでしょ?【星の欠片】も運命の流れとかもろに歪めるタイプのものだから、同じ様にトラブル誘因のきっかけになりやすいのよ」

「なるほど、キーアちゃんが問題に巻き込まれるのは必然だったと」

「……いやまぁ、その考えで間違ってないけどね?」

 

 

 でも今それを指摘する必要あったかな?

 いや私から言い出したようなものだけど、それでも他人から刺されるのと自分で切腹するのでは色々と違うんですよ?()

 

 ……まぁともかく、ハロウィン武器がどうのこうので警戒がどうのこうの、って時に【虚無】を起動するのは極力避けたい、というのは事実である。

 いや、相手を消し飛ばすつもりなら寧ろガンガン使ってもいいとは思うけどね?

 でも別に私は相手を消し飛ばしたいわけでもないというか、仮に私が【虚無】で消し飛ばすならそもそもハロウィンという概念自体吹っ飛ばすことになりかねないというか……。

 

 ともかく、色々問題があるのでやるべきではないしやるつもりはない、というのは間違いない。

 

 

「じゃあ他にできることは?……ってなると、【星の欠片】関連がなにも無しだとそこまでできること多くないのよね私」

「本来の身体スペックは見た目相応なんだっけ?」

「ゆかりんとは違ってね」

「私がゴリラみたいに言うの止めない?!」

 

 

 はっはっはっ、私(の本来のスペック)からしてみれば君って十分ゴリラやで?

 

 というのも、このゆかりん見た目こそ確かに幼女なのだけれど、種族はきっちり『妖怪:八雲紫』なのである。

 言い換えると、単独種族とはいえ妖怪であることには変わりがない、なので妖怪スペックなのも変わりがない……ってやつだ。

 

 

「ただの人間と比べると遥かに身体能力は上。……となると、普通に比較しても成人男性とかにも勝てるレベルになるって寸法よ」

「私そこの二人に負けるんですけど」

「人類の中でもトップクラスのスペック誇ってそうな相手を比較対象にすんな」

 

 

 特に蘭ちゃんの方。

 ……いや、原作的に考えると彼女より高スペックな人はいる*1けど、そういうことではなく。

 あれだ、上には上がいるからといってその人の凄さが薄れるわけでもないというか?

 

 ……ともかく、従者二人には確かに劣るかも知れないけど、少なくともはるかさんとかココアちゃんと比べると遥かに力持ちなのがこのゆかりんである、というのは間違いない。

 そんな彼女と一緒にされても困る、というのはなにもおかしな話ではないのではないでしょうか?

 

 

「能力ありきなら私よりおかしい方になるくせに……」

「その辺はこの話だと考慮の対象外だから問題ないの。……ってか、能力云々の話にしたら()()()()()ってだけでゆかりんも大概でしょうが」

いひゃいいひゃい(いたいいたい)ほっへをふへふほひゃへへ~(ほっぺをつねるのやめて~)

 

 

 なお、暫くこうして戯れてたら、いつの間にか売上は増えてました。……いや、なんでよ?

 

 

 

 

 

 

「ふぃー、やっと昼休憩ですわー」

「途中から普通に人手が足りなくなったわね……」

 

 

 いつもなら二人だけで回ってるんだけどなー、と愚痴をこぼすゆかりんである。

 

 ……うん、ゆかりんは確かになりきり郷の主人だけど、別に商魂逞しかったり商才があるわけでもないというか。

 わかりやすくいうと出した店が満員御礼になるようなパワーはないので、あくまで他の人達と条件的には同じ、みたいな話。

 

 なので、別にゆかりんのお店だから人が群がる、みたいなことはないはずなんだけど……なんか、今日に限っては忙しかったような?

 的なことを言われた私、その理由について少し考えてみるの巻。

 

 

「んー、素直に考えるといつもと違うもの……この場合だと手伝いにきた私のおかげもといせい、ってことになるんだけど……」

「そこまで自分を高く見積もるつもりはない、みたいな?」

「実際手伝いもしてないようなものだから余計にねー」

 

 

 招き猫でもないんだから、居ただけで売上に貢献なんてこともないだろう。

 ……いやまぁ、ゆかりんとイチャイチャしてたら売上増えた、みたいなこと言ったけどそれで増える量なんて微々たるものですし?

 っていうか普通に手伝いが必要になるくらいに人の波が増えたのは喧嘩(イチャ付き)を止めた後なので、似非百合営業は関係なかろうというか。

 

 

「なんで、素直に考えるならなんかバズったとかなんだけど……心当たりある?」

「いや、あればすぐに気付いてるわよ……」

「ですよねー」

 

 

 むぅ、これは困った。

 ……いやまぁ、売上が上がること自体は喜ばしいんだけど、その理由が不透明なのは嬉しくないというか引っ掛かるというか。

 理由なく売れた、と明言できるなら寧ろまだ納得できるんだけど、下手に理由があったとかだと後が怖いというか。

 

 いやだって、ねぇ?

 売ってる側に覚えがないのに売れるとか、あとあとなにかしらのしっぺ返しがくる前兆みたいなもんじゃん。

 そんな危うい橋は渡りたくないよ……ってんで、理由を探りたい気分でいっぱいなのですよ。

 

 

「そこまでですか……?」

「そこまでです。ってか、さっきも言いましたけどハロウィンの暗躍の可能性まったく消えてませんよ?」

「これがそうだと?」

「なくはないです」

(微妙だ……)

 

 

 ……なんか、あんまり危機感が共有できてない感があるな?

 いやまぁ、正直今の情報だとブルアカ化する武器がそこらに突然ポップする、みたいなノリでしかないからわからんでもないんだけど。

 

 でもね、私はこうしてその一部に触れることになって、理解したことがあるのです。

 

 

「それは?」

「【星の欠片】が含まれる武器がある以上、『星女神』様は静観の構えかも知れないってことですよ。積極的に止めることもしなければ、その反対に勧めるつもりもないってことになるのです」

「そうなるとなにか問題があるの?」

「大有りじゃい大有り、確実にあの人楽しんでるから、最終的に酷いことになるの確定じゃい!」

「ええ……」

 

 

 いやまぁ、()()酷くなるのかは議論の余地があるとは思うけどね?

 ……流石に滅亡級のあれこれはないとは思うけど、あの人的にはそれもまた一興というか、それに立ち向かうこっちの奮闘を楽しみにしてる節もあるしなぁ……。

 

 ついでにいうと、その事実を知っても知らなくても奮闘する人達の頑張りも楽しんで見てそう。

 具体的には琥珀さんとか琥珀さんとか()

 

 ……うん、琥珀さんが頑張ってるっぽいのが問題といえば問題なんだよね。

 あの人なんか変に勘が良くなってるから、ほっとくとヤベーって気付いて動いてるっぽいんだよね。

 その上で『星女神』様が静観してらっしゃるとか、最終的にとんでもねーことになるのはほば確定なんだわさ。

 

 

「というか、じゃないとうちに結界なんて張らないんだわさ」

「その心は?」

「一番酷くなるのが私の近辺なのは目に見えてるから」

「ああ……」

 

 

 巻き込まれのが確定してる、ってのは宜しくないよねマジで()

 

 

*1
言うまでもなく京極さんのこと

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