なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「いやー、いいものを頂いちゃったわねぇ」
「……いやまぁ、ゆかりんがいいならいいんだけどさ」
つやつやとした様子でるんるんと歩くゆかりんに、先程まで折り重なるように漂っていた、酷く濃い疲れの色は見えない。
……妖怪って精神的な面が強いらしいし、そういう意味では(精神が立ち直れば肉体も快復するという理屈は)納得できなくはないのだけれど……。
なんかこう、見てはいけないものを見たというか、それで良いのかゆかりんというか。
……いやまぁ、元気になったんなら構わないんだけどさ。
なんというかこう、こちらに変に疲れが襲い掛かって来ているような気がする……というかですね?
『おやおやぁ~?これは寧ろせんぱいの方にこそ癒しが必要、なのでは?BBちゃん本領発揮の流れなのでは?』
「やめぃ、ここで当初の目的をぶれさせるんじゃあないッ」
『おやおや、残念ですねぇ』
そうして私が微妙な顔をしていると、いつの間にかゆかりんのスマホから私のスマホに戻ってきていたBBちゃんが、こちらを覗き込むようにして見ている。
……一応、純然たる好意というか、単なる善意というかから声を掛けてくれている……というのはわかっているのだが。
発する言葉が全てBBちゃんナイズされてしまう*1関係上、非常に胡散臭くなってしまっているのはなんというか……。
その辺り、本人は最早開き直っているようだけれども。
……なんというかこう、本編に負けず劣らずにほんのりと香る苦労人臭に、思わず心の汗がほろりと溢れ落ちるキーアさんなのです……。
『ちょっとせんぱい、勝手にBBちゃんを可哀想なモノ扱いするのはやめて貰えますかぁ?BBちゃんはBBちゃんとして、胸を張って生きているんですから!』
「……こういう時って張る胸もないのに、って返すのがお約束な気がするんだけど。……BBちゃんには、とてもじゃないけど言えた台詞じゃないなぁ」
『ちょっ、いきなりのセクハラ発言はどうかと思いま……あの、せんぱい?言った自分の目が死ぬほどに凹むのなら、その話題に触らなきゃよかったじゃないですか……流石のBBちゃんもドン引きですよ……?』
幾らBBちゃんとは言え、セクハラ発言は聞き捨てならなかったのか、一瞬激昂していたのだが……。
うん、ははは。こっちの様子を見て言葉尻が下がるあたり、この子は良い子だなぁははは(死んだ魚のような瞳)
……自分で
自身の胸部装甲に意識が行くと、途端に死にそうな気分になるのって。……どうやって回避したら良いんだろうねぇ?
……そもそも成長するのかな、私。
「ふふふ、(嘲)笑えよベジータ。所詮私は戦闘力五のゴミでしかないんだからな……」*2
『せんぱいのことは嫌いじゃないですけど、それでも言わせて頂きますね?……ぶっちゃけめんどくさ~い!!性自認やらなにやらでややこしいのはわかりますが、もうちょっと泰然としていてくださ~い!!』
「……ちょっと目を離した隙になにがあったのよ、貴方達?」
私の沈む様子に、心底うんざりとばかりに声を吐くBBちゃんと、ようやく戻ってきた(?)ゆかりん。
……状況に全く収拾が付かなさそうですが、それでも私は絶不調です()
「胸なんて大きかったら大きかったで、デメリット満載だって分かってるっていうのに……」*3
「閃乱カグラとか、あの年齢であの大きさだと後々怖いわよね……」*4
『……BBちゃん困っちゃいました。よくよく考えたら、八雲さんも持たざる者側だったので、何一つ状況が好転していません……』
(年齢が)大きい方の八雲さんなら、話は別なんでしょうけど。
というBBちゃんの言葉を八割がた聞き流しつつ、公園のベンチに座ってたそがれる
見た目の年齢とと中身の年齢が釣り合わないせいで、状況がなんとも混沌としているが……私は悪くない。だって、私は悪くないんだから。
……この間から、なんだか球磨川君成分が溢れ出てない?
未来が全く明るくなくて、現実と虚構が切り離せていないからこうなってるんですねわかります。*5
「……仮に彼女が逆憑依とかしてきたらどうなるんだろう?」
「いーちゃん一人でもわりと大概なのに、更に面倒なものをぶち込もうとするの止めなさいよ、貴方……。まぁ元々彼女、全世界に七億人居るとかなんとか言ってたみたいだし、今更一人増えたところでなんということもないでしょ」
「いやー、逆憑依って一応第四の壁を越えちゃうからなぁ。……公式でシミュレーテッド・リアリティな彼女が、一体どんな反応するものやら……」
「あっ……」
『……いや、なんで途中から『安心院さんがこっちに来たらどうなるんだろう?』みたいな話になってるんですか?……実は暇なんですかお二人とも?』*6
ゆかりんと二人して、ぐだぐだと中身のない話を語っていたら、幾分か調子が戻ってきたような気がしてきた。
……うん、ありがとう安心院さん、貴方のおかげで生きる気力を取り戻すことができたよ!
え?向こうはありがた迷惑だって思ってそうですって?
ともあれ、低くなってしまっていたテンションも、だいぶ戻ってきたし。
現在の時刻も、まだ一時をちょっと過ぎたくらいとかだし。
ゆかりんの貴重なお休みを浪費するわけにもいかないので、張りきって次の場所に……。
「おっ、久しぶりじゃないかキーア、それに紫も!……ってあれ?どうした二人共、この世の終わりみたいな顔して」
「神が歩いて来やがった!」
「歩いて帰れっ!!」
「ええっ!!?開口一番なにを言い出すんだ君達はっ!!?」
『ああもう、またややこしいことに……』
──行こうとしたら、久しぶりに知り合いに会った、みたいな感じに近付いてきたヘスティア様のせいで頓挫する(それを見たBBちゃんは、やれやれと額を押さえていた)。
……私達と
おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれっ!!*8
ロリ巨乳とかいう自然界じゃ絶対に発生しないようなもの*9を、己の欲望のままに生み出す欲深き作者共め、ゆ゛る゛ぜん゛!!
世の中に真の平和をもたらすためには、巨乳は撲滅させなきゃいけないんだァーーーッ!!!
「どわぁっ!!?いやちょっ、落ち着け二人共っていうか誰か助けてぇーっ!!?」
『こらぁっ!!お二人とも、いい加減にしてくださぁーいっ!!!』
ふはははは!見ろ、巨乳共がゴミのようだぁっ!!!
知れば誰もが望むだろう、
だから私は滅ぼすのさ、この世から!争いの糧となる全ての
……くっくっくっ、はっはっはっ、ふわぁーっはっはっはっ!!!*10
「──で?たまたま近くを歩いていた私に、突然興奮し始めた魔王*11討伐のための救援要請が入った───と」
『はい、まったくもってその通りです。いやホントに助かりましたシャナさん。せんぱいの悪ノリを止められるような人は、このなりきり郷の中でも数少ない上澄みのようなものですから』
「……いや、確かに私が悪かったけどさ。なにも本気で
「わりと本気でやったのに、結局黒焦げになってるだけの貴方には言われたくはないわね」
……あのあと。
結果、あたり一面は完全に真っ黒焦げになってしまったのであった。……やったのはシャナだけど、その責任自体は私に飛んでくる、というのがとても痛い。
能力で直せばいいので懐は痛まないものの、なんというか個人の尊厳とか威厳とか、そういうものに傷が付きまくりな気がしてならないわけで。
……おかしいなぁ、今回はゆかりんのお休みをプロデュースするだけの、とても簡単なお仕事のはずだったんだけどなぁ……?どこで選択肢を間違えたかなぁ……?
そんな感じに静かに涙していると、一時避難していた紐神様……もといヘスティア様が、これまた久しぶりな感じのするエウロペ様を引き連れて、こちらに戻ってくるのが視界の端に写った。
「いや、どうしたんだい君。ストレスかなにかを溜め込んでたとか?」
「まぁまぁ、それは可哀想に。おばあちゃまが、いいこいいこして差し上げましょう」
「いや、その、優しくしないで下さい……申し訳なさで死にそうなので……」
「あらあら」
いやホントに。
直接被害を受けていないエウロペ様が、いつも通りあらあらうふふしてるのはわからないでもないけど。
ヘスティア様に関しては、こっちからかなり理不尽な理由で喧嘩を売ったようなものなのにも関わらず、全然気にしてなさそうな様子を見せられているため、申し訳なさとか情けなさとか諸々の感情が襲い掛かってきて死にたくなってくるのである。
誰だよこんな善神をこの世の争いの根源……とかふざけたこと抜かした奴は。……私だよ!!
「おいは恥ずかしか!生きておられんごっ!」
『なんなんですかぁっ!?せんぱいもお疲れだったりするんですかぁ?!流石のBBちゃんもカバーしきれませーん!!』
さっきからBBちゃんには気を使わせっ放しだし、おいは恥ずかしか!*12
……とかなんとか、話は余計にぐちゃぐちゃになっていくのであった……。