なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁでもこのまま放置するのはありえないし、一応今さっきのシャルちゃんの様子から見ても他の【継ぎ接ぎ】で再現度を掠めとるのは上手く行ってそうだし、どっちみちこのままやるしかないんだよね」
「うへぇ……」
下手するとハロウィン終わっても今の姿のまま、なんて可能性もあるわけですし?
無論、その姿のままで構わない、というのならそのまんまでもいいのだろうけど。
……現在再現度を補給しているのはハロウィンという行事そのものだけど、それが続くと
そうなったら最後、メインとサブの関係は二度と元に戻らないだろう。
モモンガさんは最初からシャルティアで、銀ちゃんも最初から響ちゃんだった、という扱いになるわけだ。
「『逆憑依』というシステム的にはそれでも全然構わない、ってのがポイントだよね。要するに世界が否定するどころか手伝ってしまう素地が整ってる、ってことになるわけだから」
「守ると言うなら、心までしっかり守って欲しいものでありんす」
「心とかエラーの温床だからなぁ」
バグの根源だしそもそも他者のそれを証明できない時点で欠陥品だし?
……まぁともかく、だ。
シャルちゃんに関しては引き続きシャロちゃんっぽいことをして貰うとして、問題は響ちゃんの方である。
「おや、今度は私の方か。……結局どっちの方が厄介な状態なんだい?」
「二人とも別ベクトルに厄介なんだよ。モモンガさんは属性・作品被りしてたから普通の対処は不可能、だから変則的な対処が必要だったんだもの」
「私の場合は?」
「再現度判定の引っかかる範囲が広すぎて厄介」
「ええ……?」
ギャグの住人は基本理不尽なんだよ……。
ただでさえ元となるキャラもギャグの住人なのに、今の彼女はまさしくフリーダム響の片鱗を見せ始めた状態。
そこに銀ちゃんの再現要素となるギャグ系統の話なんてツッコんでみろ、あっという間にマイティーストライクフリーダム響の完成だよ!*1
そうなったが最後、本当にもう二度と元の銀時に戻ることはないだろう。
その状態の響ちゃんなら、仮に銀ちゃんの動きしててもキャライメージ崩さない状態になってるだろうからね!
「マジか」
「
(……なんでオーマジオウみたいに言ったんだ今?)
それくらい圧倒的ってことだよ言わせんな恥ずかしい。
……ともかく、ギャグというのは不条理なもの。
元から不条理に慣れ親しんでいたりでもしない限り、ボーボボとか投げられても普通の人は困惑するしかないのだ。*2
無論元から
「なんでそんな面倒なことに……」
「あえて悪い言い方をすると、ギャグ漫画ってなろうみたいなものだから……?」
「はい?」
「
シリアスな笑いに代表されるようなモノと違い、相手を笑わせることを狙って描かれたり起こされたりする
敢えて言うならエゴ、ということになるのだろうか?
「そもそもの話、『面白くて笑う』のって相手と自身の認知が噛み合わないと生まれないものでしょ?単に笑顔にしたいってだけならやり方は他にあるけど」
安心・安堵から漏れる笑みとか。
……そうではない、面白いと思ったから出てくる笑みというのは、極端なことを言うと相手と自身の認知のすり合わせなのである。
ゆえに、時に
「まぁ、そのせいで色々厄介なことになったりするわけだけど……今回の話にその辺は関係ないから割愛。ここで重要なのは、
「……つまり?」
「理不尽な描写の方が面白いと言われやすい」
「元も子もねぇ!?」
認知のすり合わせ、という点では
まぁ、ギャグ漫画の全てがそうというわけではなく、とりあえず笑わせようとするなら不条理な方が受けやすい、くらいの雑な認識でいいと思う。
その前提を共有した上で言うと、ギャグ漫画は『そうはならんやろ』が『なっとるやろがい!』するものである、と解釈することができる。*3
爆発に巻き込まれたのにアフロになって耐えるだとか、高所から落ちる際に暫くその場で耐えるだとか。
そういう描写は
「その辺が『主人公の都合のいいことが起こる』タイプの典型的ななろうに似てる、ってわけ」
「……いや、大分暴論では?」
「いいのよ暴論で、そもそもこの話響ちゃんの対応に苦慮してることに対しての愚痴よ?」
「……そういえばそうだった」
酒飲みの愚痴なんて理不尽なもんでしょ、ということである。
……お前今呑んでないだろ、というツッコミは聞きません。
「そんなわけでどうしようかと考えた結果」
「はい」
「響ちゃんには酒も甘いものも断って貰うことにしました」
「そんなバカな」
いや、これでもわりと熟慮した結果なんだよ?
さっきも言ったように、基本ギャグ展開とは不条理なもの。
ゆえにどこからでも『なっとるやろがい!』に繋げられてしまうので、再現度の停滞を起こし辛いのである。
なんならこの断酒・甘いもの断ちすら、下手すると再現度に関わるかもしれんのだから。
「制限のあとに来るものと言えば?そうだね反動だね。響ちゃんが望月さんのような形相で暴飲暴食し始めたらもはやギャグじゃない?」
「ぼ、暴論以外の何物でもないのに否定できない……」
「当たり判定デカすぎないかい???」
それくらいフリーダムってのは重いんだよ……。
文字通り
「そんなわけで、下手に第三の【継ぎ接ぎ】なんてくっつけた方がヤバそうな予感がするので、響ちゃんだけは特別対応です」
「な、なにをするつもりなんだい?」
「うむ、ギャグ展開とはインド神話に比べられるほどに不条理なもの。ゆえに私も私という不条理を以てことに当たろうと思います」
「えっ」
ギャグのキャラは(色んな意味で)最強、という言葉がある。
なにをしても『それが面白いのなら』なんとでもなる、という恐ろしさは
「ならばどうするか?ギャグ補正ごとぶっ壊すしかないですね。それができるのが【星の欠片】の良いところです」
「待て!私は気付いたぞ、これ別方向にギャグ落ちしてるやつだ!」
「そりゃまぁ、幾ら【星の欠片】でも方向性をねじ曲げるのは無理がありますので」
というか、勝って自由にするんじゃなくて
……ってなわけで、敏い響ちゃんには制約で雁字搦めになって貰おう。
大丈夫、終わった頃には銀ちゃんに戻ってるし、なんなら真人間にもなってるよ!
「それ来週元に戻ってるやつー!!」
やつー!やつー!やつー……。
みたいな感じに、響ちゃんの悲鳴は周囲へ虚しく響いて行ったのでした……。