なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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第三十六章 終わったと思っても終わらないものがあるのよ~サンタカムバックリターンズ~
サンタが今年もやってくる


 はてさて、喉に骨でも引っ掛かったような、なんとも言い切れない祭の終わりから早数週間。

 街はすっかりクリスマスムードに包まれ、私達もその準備に追われていたりしたのであった。

 

 ……いやまぁ、祭の始まる時とかに言ってたように、郷のイベント的には続きものみたいな感じでそこまで変化があるってわけでもないんだけどね?

 

 

「設立祭にハロウィン、クリスマスに年越し……イベントが連続で続いているのもあって、わざわざ区切る必要性があまりないですからね」

「特にお店とかだとねぇ。まぁ、流石に住民主催のイベントってよりは、企業側のイベントって感じの空気感だけど」

 

 

 一応、サンタとかは住民から選ばれるのでまるっきり企業のイベント、ってわけでもないんだけどね?

 

 なお、今年はうちの面子からはU-エリザマリーがサンタに選ばれていた。

 ……色々キナ臭い感凄いなこれ?

 あれだ、ハロウィンの権化みたいな子がサンタってなんのネタだよ、的な。

 

 

「その辺りも踏まえて要警戒、ということですね」

「せやねぇ。……まぁ、イベントは続いてるけど私達は暇なのも事実だし、適当に過ごそうかねぇ」

 

 

 こたつの上のミカンを向きつつ、マシュと駄弁る昼下がりである。

 ……今年のミカンは甘いな?

 それにしても……改めてハロウィンの終わりを思い出すとなんというか、色々ツッコミどころの多い感じだったというか。

 

 

「私は別所にいましたし、せんぱいもエリザさんと一緒にいらっしゃいましたから又聞きになりますが……確か少し目を離した瞬間に元に戻っていらっしゃった、とのことでしたよね?」

「うむ。それを確認したのは主にゆかりんだね」

 

 

 あとはブラックジャック先生。

 ……この二人が同時に目を離す瞬間が一瞬であれ存在した、というのもなんとなくキナ臭いが……それよりなにより、モモンガさんと銀ちゃんの【継ぎ接ぎ】がサクッと戻ったのも意味不明である。

 

 アウラちゃん……もといハセヲ君なんかは手を加えたのが私だったからか、ハロウィンが終わっても暫くあの姿のままだったし。

 なんなら私やアスナさんみたいな普通(?)のハロウィン武器持ち達も、暫く変化した姿のままだったのだから。

 ……日が変わっても学生状態だったクリスが涙目だった、とかようちゃんから聞いたっけ。

 

 まぁ、その辺の人達は当初の予定通り、ハロウィン限定の変身という扱いの【継ぎ接ぎ】にして解除したんだけども。

 ……うん、件の二人に限ってはそういうのも無しに戻ってたんだよね。

 

 

「確か……【継ぎ接ぎ】によるごまかし無しに切り離せる余地はない、と判断されたとか?」

「そうなんだよねぇ……。それが間違ってたとは思わんのだけど、実際は元に戻ってるんだよねぇ……」

 

 

 それに、私達のハロウィン武器は手元に残ったのに、彼らの持ってたモノはどこにも存在してなかった、というのも疑問点である。

 ……ちょっと裏技使って探してみようかと思ったんだけど、どうにも因果が途切れてるみたいで探しようがなかった。

 いやまぁ、正確には探そうと思えば探せるんだけど……どうにもいやな予感しかしなかったので止めておいた次第である。

 

 

「いやな予感?」

「そのまま別のトラブルに巻き込まれそうな予感。それも結構大変なやつ」

 

 

 あの人(『星女神』様)とかあの人(『月の君』様)とかと関わるようなレベルのトラブル、みたいな?

 

 ……というか、因果を断つのに使われたモノについてなんとなく予測が付くのも問題というか?

 あれを確保してどうするつもりなのよ琥珀さん……。

 

 

「……まぁともかく、キナ臭いことばっかりだから今年のクリスマスも大変なことになりそうだなー、って感じよね」

「いつものこと、と思考停止をしてしまいたくなってしまいますね……」

「まぁ、それをすると後が大変だから頑張るしかないんだけどね」

 

 

 そんなことを言いながら、私は小さくため息を吐いたのでしたとさ。

 

 

 

 

 

 

「今年のクリスマスにサンタさんに頼むものを決めるん!」

「あんまり大変そうなもの頼んじゃダメだよー。……って、別にいいんだったっけ?」

「んんー?……そうだね、買ったり自作したりしてプレゼントを用意してるわけじゃなくて、サンタの概念を使ってお願いを叶えてる……みたいな方が近いから別にサンタさんが大変、ってことはないかなー」

「なるほど」

 

 

 日付は変わって別の日。

 

 昼食を食べ終わった面々が居間から去っていく中で、れんげちゃんが画用紙とクレヨンを手になにやら書いている。

 どうにも、子供仲間達とサンタさんへのリクエストを見せあう予定があるとかなんとかで、張り切って欲しいものを描いているようだ。

 ……ええと、テトリスのゲーム?なんで?

 

 

「くるくる回るん、世間は世知辛いん」

「んーよくわからんけどなんとなくそこの(ミク)さんが関わってるんじゃないかなーって気分にはなってきたぞー」

 

 

 知り合い?の三十一歳さんの話だなこれ?*1

 

 ……とまぁそんなネタはともかく。

 

 

「クリスマス、ですか」

「サンタがいる、ってわけじゃないのよね?」

「サンタ役になる人はいるけど、サンタの『逆憑依』とかは居ないね」

 

 

 今年初めてなりきり郷のクリスマスを迎える、という組が帰る足を止めてこちらに近付いてくる。

 主にシノちゃんとセフィアちゃん、それからおぜうさまとかである。

 

 

「クリスマス!そんなに盛大に祝うんだ」

「うむ。盛大に祝いすぎてサンタが阿呆みたいに必要になるんだ。その数……数万人とか?」

「パッと想像できない人数だ!?」

「吸血鬼が聖者の誕生日を祝うのってロックよね!」

「……ええと、そのクリスマスとかいうイベントは聖人の誕生日関連の話、ということなの?」

「はい?……ってあ、そうかパチェさんハルケギニアの人だからクリスマス知らんのか」

 

 

 ふむ、ならば丁度いいし今年のクリスマスについての共有を済ませておこうか。

 ってなわけで、去年のクリスマスより後に加わったメンバーを集め直して、クリスマスについての諸注意の伝達のお時間である。

 講師役は私、それから補助にれんげちゃんとかようちゃん(と、暇そうにしてたクリス)でお送りします。

 

 

「いや私はこれから用事があるから暇じゃないんだが?」

「なるほどだがこっちの方が重要だ」

「横暴か貴様!?」

 

 

 いやだって、この人数相手だと流石に人手が足りてないわ……。

 ビィ君とかコブロンとかゴマちゃんとかもおるんやぞ。その辺はれんげちゃん達が相手してくれるみたいだけど。

 

 

「うち達は欲しいものを書き出すん。基本的にはそれで十分なん」

「欲しいものならなんでも貰えるのかぁ?だったらオイラは平穏な日々をお願いしたいんだぜぇ」

「そういうのは自分で頑張って欲しいん」

「……普通に流されると辛いんだぜぇ」

 

「うーむ、なにを欲しがるべきかしら。パチェはどう思う?」

「魔導書とか望んでもいいのかしら?」

「え?……えーと、その辺どうなのよキーア」

「いやなんで私に聞いたし?まぁ願ってみてもいいとは思うよ。さっきも触れたけど、ここのクリスマスはある意味願望器の類いにお願いするのに近いし」

 

 

 無論、あんまりとんでもないものとかは頼んでも出てこないとは思うけど。

 今回の場合だと魔導書ってことになるけど、正直あんまりわけのわからんやつは出てこないだろうし。

 

 

「具体的には?」

「危険なものとかは出てこないと思うよ。この場合の危険ってのは『中身が危険』『読んだら危険』とかも含むけど」

「むきゅー、それだとあんまり期待はできなさそうね」

「なに頼む気だったんだこの人」

 

 

 あれか?自分が見たことも聞いたこともないタイプの魔法が書いてあるようなものを頼もうとしてた、とかかな?

 

 ……はい、そんな風にパチェさん達に言葉を返した上で、改めてクリスに向き直って一言。

 

 

「こんな感じでちょっと話しただけで問題の欠片が見え隠れするわけですよ。これを放置してどっか他所に行けると言うのなら君は鬼畜だよ」

「だから、私じゃなくてマシュさんとかに頼めばよかろーが!?」

「生憎だったな、マシュは午後用事があるから居ないぞ!」

「なんと!?いつの間に……?!」

 

 

 まさか逃げたのか!?……とか凄まじく失礼なことを口走るクリスである。どんだけ嫌やねん。

 なおマシュの名誉のために一応説明しておくと、普通に彼女は別の用事──それもわりと重要な話を別で請け負っているだけである。

 

 

「ゆかりん肝いりの用事だ、どうだ参ったか」

「ぐぬぬ……私もそれなりに重要な用事なのに……」

「ほう、その用事を頼んでいる人は?」

「…………いや、よく考えたら急がなくてもよかったわ。喜んで手伝わせて貰うわね」

 

 

 露骨~。

 ……これあれやろ、用事を頼んでるの琥珀さんでしょ。

 それをこっちに知られたくないので前言撤回したでしょ。

 ただ、それをこっちに気付かせてもいるような感じである辺り、ややこしそうなので言及はしないけど。

 ……言及して欲しいのかもしれんが私が思い通りに動くと思うなよ!

 

 

「……よくわからないけど、それに関しては私は無関係だからスルーするわね。それはそれとして、他のクリスマスの諸注意について聞きたいんだけど」

「おっとシノちゃん勉強熱心だね!今年のサンタ公募は終わったけど来年はその熱意があればサンタに選ばれそうだね!」

「そんな感じなのサンタって?!」

 

 

 そんな感じだよサンタって。

 ……ってなわけで、そこから暫く新メンバーへのクリスマス説明会が続いたのでしたとさ。

 これが終われば君もサンタマスターだ!

 

 

*1
重音テト、および柊マグネタイト氏の楽曲『テトリス』のこと。タイトルからわかるかも知れないが、曲のフレーズにゲームの方の『テトリス』が使われている。なお歌詞の内容はわりと重め。どうしてこんな目に。……話は変わるが、元々テトはとある掲示板で生まれた釣りキャラクターであり、本来声も何もない存在だった。……それがここまで流行することになるのだから、世の中というのは不思議である。三十一歳というのは、その釣りネタの時に彼女に設定された年齢

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