なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「で、そのまま色んな人にプレゼントの話を聞くことになったんだけど……新人さん達、参考になってる?」
「まぁ、一応は。……セフィアの方はどう?」
「…………」
「まだ宇宙から意識が戻ってきてないみたいだね……」
あれかな、一応は彼女って聖職者の類いだから、なりきり郷におけるクリスマスの扱いに思考がエラーを起こしたのかな?
……かと思えば『サクラコちゃんがよくやる顔』*1で呻き出したし。
「これは……神より与えられし私への試練……?いやでもこのレベルのものを改善するのは普通に無理なのでは……?」
「もしもーし?……ダメだ聞いてねぇ。しゃあないクリスよ、悪いんだけどセフィアちゃんを連れて先に戻って貰える?」
「なんで私が!?」
「いやだって、こっちの面倒ごとに巻き込まれたくない、みたいな顔してたじゃん……」
「……いやまぁ、それはそうなんだが……」
最悪こっちは私が増えるから、引率者についてはなんとかなるだろうし。
……それがありならさっさと増えろ?この間のハロウィンから引き続き『緊急性もないのに増えないように』ってゆかりんに言い含められてるんですよこっちは……。
今回はまぁ、わりと緊急性を認められそうだからなんとかなるというか。
まぁそんなわけなので、さっきこっちのトラブルに巻き込まれたくない……みたいな顔をしていたクリスを監視役……保護者役?としてセフィアちゃんに付け、一足先に家に戻って貰うことに。
こういうのは本人が自分で復帰しないとなんともならんので、そのまま経過観察でもしてて貰うとしよう。
「そういえば、クリスお姉ちゃんと別行動なんは珍しいん」
「まぁ、基本的にかようちゃん達の引率はクリスだもんねぇ」
「イベントごとの時は、ってだけだから毎回引率して貰ってる、ってわけでもないんだけどね」
お買い物とかは普通に私だけとかれんげと一緒にとか、そういうパターンもあるし。……とはかようちゃんの言。
まぁ、初加入が同時期だからこその縁、みたいなものなのだろう。
なんてことを言っていたら、シノちゃんが不思議そうな声をあげたのだった。
「そうなの?」
「あー、そういえばその辺を語ったことはなかったね。一応説明しておくと、そこのかようちゃんはね」
「はいはい?」
「なりきり郷内でもトップクラスのヤバい子です」
「はぁなるほど、トップクラスにヤバい……って、はい???」
「キーアお姉さん、色々はしょりすぎでしょ……」
「いやでも、ヤバいの意味が多岐に渡ってるってのは確かな話じゃない?」
「それはそうだけど……」
元ビーストの関係者、実は死者の類い、ロリおかん力マックス……。
うん、箇条書きにするとワケわからんなこの子?
というか元ビーストなんて属性持ちなせいで、なりきり郷内の強さというかヤバさというかのランキングでも普通に上位だし。
「いやちょっと待ちなさい。今ビーストって言った?」
「うん言いましたね。……いやまぁ、本来のそれより数段階存在規模が小さいから、そこまで無茶苦茶ってわけでもないけどね?」
「でもそれは他の人達も同じってお姉さん前に説明してたん」
「結果的な戦力差は変わらないよねぇ」
「おおっと当事者達からツッコミが」
うんまぁ、結局ギミックで無茶苦茶してくるのは変わらんし、大変さもそこまで変わらんのかもしれんが。
……単純な戦力比だと下手すりゃマシュより強いかも知れん?それはまぁ、フルパワー状態の時の話だし。
ともかく、見た目だけで判断すると酷い目に遭うよ、とだけ言わせて貰っておく私である。
「そういう意味ではイッスン君とかも見た目で判断しない方がいい好例かなぁ。かようちゃんは元『Ⅱ』で、彼は元『Ⅳ』だから」
「……頭が痛くなってきたんだけど」
「ん、んんー?ねぇねぇシノー、ビーストってなんのこと?」
「ええと、それはね……」
その結果、シノちゃんが頭を抑えて呻き出したが……まぁ、仕方ないね。
それと、モモイが話についていけなかったのか、詳しい説明を(何故か)シノちゃんに聞き始めたりもした。
……いや、なんで私に聞かないし。あれか?私に話を聞いたらまた長々と説明されるとでも思ったのか?……正解だよ!
「年寄りは話が長い、みたいな話やなー」
「誰が年寄りじゃい!……ってんぉ?タマモじゃん」
「よっすー。なんや忙しそうやなー」
そんなことを言っているうちに、タマモを筆頭としたウマ娘組とも合流して話はさらにややこしく?なっていくのでしたとさ。
「おお、自分がビィとかいうドラゴンか。なんやスペとかが世話になっとるみたいやな、これからもよろしゅう」
「お、おぅ。……今のオイラその辺よくわかんねぇんだよなぁ……」*3
うーんコラボが多い作品特有の謎交遊関係……。
そんなわけで、シノちゃんから離れて飛んでいたビィ君に挨拶をしているタマモである。
その横では、オグリがかようちゃんに交渉している姿も見られたりした。
「え、おせちを?」
「ああ、そうだ。かようの作るおせちはとても絶品だと聞く。毎回キーアに自慢されるから私も食べてみたくなったんだ」
「んー、別に構わないけど……それだったら、普通にうちに食べにくればよくない?別に断ったりはしないし」
「む、いいのか?」
「オグリお姉さんはよく食べるんだっけ?だから遠慮してるのかも知れないけど……そもそもうち、一回に作る量かなり多いからそこまで負担も変わらないし?」
「オグリお姉さんが遊びにくるん。来年のお正月はみんなでカルタとかするん」
「あ、あの、それは私もご一緒しても構いませんか……?」
「ん、全然大丈夫。マックお姉さんも含めて待ってるね」
うーむ、なんだか話がトントン拍子に進んでるぞ?
……というか、クリスマスも終わってないうちから正月の話です?
まぁともかく、そうこうしているうちにシノちゃんからモモイへの説明も終わったようで、二人がこちらに戻ってくる。
それに合わせるかのようにウマ娘組と、彼女達と話していた面々も戻ってきたのだけれど……。
「……ってゴマちゃんやないかい!滅茶苦茶なつかしー!」
「きゅー?」
「おやこの子が懐かしいということは中の人は相当お年を召されて」
「ちゃいますぅー!うちが見たのは新しい方ですぅー!」
「……タマ、古いとか新しいとかツッコんでしまう方が墓穴じゃないか?」
「…………はっ!?」
知らなかったのか、とか言いそうなオグリにツッコまれ撃沈するタマモ、憐れ。
「ふぅん、クリスマスにお願いするもん、なぁ」
「そうそう、新人さん達の参考になるように色んな人に聞いて回ってるのよ。タマモ達はどんな感じ?」
「つぅてもなぁ、別にうちサンタに頼んでまで欲しいもの、なんてそうそうあらへんし」
はてさて、気を取り直してクリスマスの話。
タマモは特に頼むものはない、とありがちかつあまり面白味のない返答をこちらに返してきたため、早々に参考相手としては失格となっていた。
「いや悪いことみたいに言うなや!別に頼まんかったかて問題とかあらへんやろ!」
「それがあるかも、って言い出したらどうするつもりなんよ君ぃ?」
「あぁん?」
「確か……サンタのプレゼントを製作するための原料は【兆し】──それもそのまま放置するとよくないことになるような、悪しきものを物に変換して浄化する……というような仕組みになっていると伺ったことがありますけど」
「うむ、マッキーの言う通りだね。だから頼まない人が一人や二人ならともかく、それが複数人になると困るかも」
「な、なるほど?」
「まぁ、タマモ一人だけなら問題ないってのは確かなんだけどね。でもそれを参考にすると他の人達も真似する可能性があるから、できればこういう時は嘘でもなにを貰うのか語って欲しいというか」
「うむぅ……」
つっても、うち本当に頼むもんないんやけど?
欲しいもんは自分で買うし……と困ったような顔をするタマモ。
いや、別にそんな困ることなくない?
「うん?」
「あくまで参考なんだから、適当に欲しいものとかやりたいこととか語るだけでもいいのに、ってこと。うちのサンタは原則形のあるものしかくれないけど、別にこういう時は形のないものでもいいんだよというか?」
「……うーん?」
せやったら、オグリが仰山食べすぎんように、とでも願うかなぁと呟くタマモ。
それに驚いたのは隣のオグリ本人である。
「な、なんでそんなことを頼むんだタマモ。私はそんなに食べてないぞ」
「せやな、本来のオグリから比べたら屁みたいなもんや。……せやかて普通と比べたら明らかに食っとる言うんも間違いやあらへん。うちは知っとるで、この間悟空と一緒にまーた出禁になりかねんレベルで食べてたやろ?」
「で、出禁にはなってない、ぞ?」
「それは単にどの店もおかわり自由やからやろがい!他所でやったら普通に出禁になるわ!ちったぁ加減を覚えんかいっ!!」
慌てて弁明するものの、それを聞いたタマモは寧ろエスカレート。
あくまで今現在暴飲暴食が許されているのは、偏になりきり郷における食糧事情が他所とは違うから。
ゆえにそのままのノリを他所で出したら普通に出禁になるようなレベルであることは変わらない、と説教を始める始末である。
無論、そんな話を聞かされてはオグリもたじたじ、『いやでも』とかなんとか弁明しようとするも、タマモの剣幕に押されっぱなしである。
となると、だ。
この空気を払拭できるのはただ一人、隣で話を聞いているマッキーってことになるんだけど。
「…………」
(説教に巻き込まれないように黙って気配を消してやがる……)
これはあれだな、マッキーもオグリほどかはわからないけど、結構食べてるやつだな?
……触らぬ神に祟りなし、とばかりに口を閉ざす彼女の様子に、私達は思わず肩を竦めることになるのでありましたとさ。