なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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赤い服は視認性が高い

「それじゃあ行ってくるわね。クリスマスプレゼント、楽しみに待ってなさい!」

「へーい、行ってらっしゃいUちゃん」

 

 

 はてさて、今日はクリスマスの前日、クリスマスイブである。

 サンタに選ばれた面々は最終調整があるとのことで、うちでは唯一選ばれたUちゃんが、意気揚々と家を出ていくところをみんなで見送ることになったのでありました。

 

 ……ええと、今年は確か、他にもモモちゃんとかがサンタに選ばれてたんだっけ?

 

 

「そうですね。ですのでUさんはこの後、彼女と合流して集合場所に向かうのではないかと」

「ふむ。……モモちゃんに任せて大丈夫かなぁ?」

「だ、大丈夫……ではないかと……」

「めっちゃ不安そう!」

 

 

 いやまぁ、私も同じ気分なんだけども。

 

 モモちゃんと言えば、モモタロスに憑依された一般人……という体の『逆憑依』。

 どうにも見た目そのものは本人の──『逆憑依』になる前の本人のモノ、ということになるらしい。

 まぁ、調べてもどこの誰なのか判別出来なかった辺り、そういう設定の架空の人物であるか、もしくは()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということになるのだろうが。

 

 その辺はややこしいので一先ず脇に置くとして……モモちゃん自身が常識人かと言われれば微妙、というのは間違いあるまい。

 そもそもにイマジン──人ならぬ怪人の一種である。

 原作の経験をフィードバックしているので、一応やっちゃいけないこととかは弁えているだろうが……それで大人しくなるか、と言われれば微妙なところだろう。

 

 一応、純粋な『逆憑依』とは言い辛い──似ている存在として琥珀さんが上がるような特殊例であるため、その辺りから本人……憑依されている本人の常識感とかを引き継いでいる可能性はあるものの……。

 

 

「その上であの言動だから、正直あんまりあてにはできないよねー」

「その辺りは集合場所で合流したあと向こうの方がなんとかしてくれるのを祈るしかありませんね……」

「そうだねぇ……」

 

 

 Uちゃんスペック的には大概だけど、こっちの言うことは比較的聞いてくれる方だからその辺上手くやればなんとか……?

 これでサンタとトナカイ役をそのままあの二人にする、とかになったら目も当てられないが。

 ……ありそうなのが怖いな?モモちゃんほぼ確実にトナカイ側だろうし、デンライナーの操縦者(ライダー)的な意味で。

 

 

「そういえば、一度サンタになった人ってまた選ばれたりしないの?」

「無くはないらしいよ?まぁ、郷にいる人の内数パーセントの人が選ばれるって形なのと、原則経験者が当選する確率はほぼゼロって辺り、仮にそうなるにしても数年後の話らしいけど」

 

 

 実際、今しがたサンタの選定基準について疑問を呈してきた張本人であるクリスも、今のところサンタ未経験者だし。

 そもそも、郷の人口というのは日に日に増え続けている。

 一年通しての総増加量は『サンタに選ばれる人間の数』より多いって話だし、二度目のサンタというのはまず起こらないことなんじゃないだろうか?

 

 

「まぁ、裁判員に選ばれるよりは確率高いのも確かだけど」*1

「そういえばそんなのもあったわね……。うちには関係ない話でしょうけど」

「えっ?」

「……え?」

 

 

 滅多に仕事はないけど、一応なりきり郷内にも裁判所はあるし裁判員も選ばれてるみたいですよ?

 ……まぁ、郷内の裁判所もなりきりの範疇に含まれてしまうため、基本的にはとんでも法廷バトルが楽しめる場所……みたいなことになってるらしいが。

 

 

「この間は真島の兄さんの弁護を務めたナルホド君が相手の検事に『待った!』を突きつけて全治一ヶ月の骨折を負わせたとかなんとかで話題になってたわよ?」

「ちょっと待ってくれない情報量が多すぎるんだけど?」

「PXZとMVC混じってるから仕方ないね」

「止めて!その言葉自体ヤバい匂いしかしない!!」

 

 

 君もこの前格ゲーパワーに呑まれてたやん、似たようなもんやで?*2

 ……うん、この辺は真面目に考えると頭痛くなるので見なかったことにしよう、ね?

 

 

「まぁともかく。一回サンタになるともう一回選ばれる確率は限りなく低いってこと。一応、凄まじーくサンタとの相性が好い人とかは、ごく低確率で再度選ばれることもあるって話だけど」

「ほう?そっちは初耳だのぅ。具体的にはどういう人物が該当するのじゃ?」

「とりあえずずっとトナカイやってるシシガミ様とか」

「それトナカイではなくないか???」

 

 

 いや、アシタカさんの方と同じで再現度低いからあんまり役に立ててないとかなんとかで本人が望んでる、みたいな話もあるんだけどね?

 ……まぁ、本当にごく少数のレアパターンなのであまり気にする必要はないだろう。

 

 それはそれとして、だ。

 今日はクリスマス前日、ゆえにやらなきゃいけないことはとても多い。

 

 

「明日のパーティに向けて色々準備とかあるからね。特に今年は何時もより大規模に祝う予定だから忙しいし」

「プレゼントの話を聞いてたのがどういう伝わり方をしたのか、今年のクリスマスはうちが主催で盛大に祝う……みたいな話になってたみたいだもんね」

 

 

 料理の準備に大忙しだ、とやる気を見せるのはかようちゃんである。

 

 ……そう、今しがた彼女が触れたように、何故か今年はうちが中心となってクリスマスパーティをすることになっていたのだ。

 いつもなら前月の設立祭で大騒ぎした分、クリスマスパーティはそれぞれの家でこじんまりと祝うのが常なのだが……。

 

 

「今年は何故か大きなパーティを、って話になってたのよね」

「あれかな、新人を連れてあちこち聞いて回ってたから、歓迎会をさらに盛大にするぞ……みたいに受け取られたとか?」

 

 

 いや、歓迎会そのものは設立祭より前にやってるんだけどね?

 ただ周囲の噂を聞く限り、なんかその辺の話がごっちゃになってる気がするというか……。

 

 

「まぁ、どうせ今年のクリスマスもなにか起こるんだろうし、それをうちの近くに限定できるなら願ったり叶ったりなんだけど」

「そもそもパーティ以外も忙しい予定ですからね」

「おっとマシュが怖い。夜はちゃんとうちに居るから許してください()」

 

 

 五条さんに話を聞きに行った時にちょっと触れたけど、クリスマス当日は当日でちょっと忙しいんだよね私……。

 一応夜はちゃんと家に戻る予定だけど、その辺マシュから明確に『私不満です』ってか顔されてるんだよね……(白目)

 きっちり予定を終わらせてマシュの機嫌取りに奔走しないとなぁ、とため息を吐く私である。

 

 ……まぁ要するに、この日まで意外と暇だったけど、今日から二日間はかなり忙しいってこと。

 そんなわけなので、精々張り切って頑張ることにした私なのでした。

 

 

 

 

 

 

「……なんて悠長なことを言っていた時が私にもありました」

「私のせいじゃないわよ!?私なにもしてないからね!?」

 

 

 はい、私の一言目で察した人もいるんじゃないのかな。トラブルのお知らせだよ!!クソァ!!

 

 現場はサンタ役達が集まっている集合場所。

 空を飛ぶそりを前に集まったサンタ達が、不安そうにこちらを眺めている。

 その中の一人──Uちゃんが半ばヒステリックな叫びをあげているわけだが、別に彼女がなにかをしたわけではない。

 ……でもまぁ、それを疑われるような状況になっているため、そうして叫び出すのもわからないでもない。

 

 その辺のメンタルケアをマシュに任せつつ、目の前に鎮座する物体に改めて視線を戻す私。

 それは、サンタ達に支給されるサンタの袋。【兆し】の収集能力を併せ持ち、そうして得た【兆し】を使ってその場でプレゼントを生み出す優れものである。

 

 ……優れものなんだけど、実のところこの袋は誰かの発明品ってわけではないらしい。

 そりゃそうだ、こういうのを作りそうな琥珀さんは、そもそもクリスマスの習慣がなりきり郷に定着するより後に参加した人物。

 ゆえにこの袋、実は出所不明の品物であったらしい。

 

 

「それがこうなれば、そりゃみんな不安がるわよね……」

 

 

 滅茶苦茶慌てた声色のゆかりんに呼び出しを食らってやってきたわけだけど……うん、そりゃクリスマスのサンタ活動そのものに関わる重大なエラー、とかになりかねないんだからそりゃそんな声にもなるわ。

 

 ……で、いい加減話を引き伸ばすのも止めて、なにが起こったのかを端的に説明すると。

 

 

「……サンタの説明を受けたUちゃんが、モノの試しにプレゼントを取り出したところ、()()が出てきたと」

「そういうことになるな。……いやまぁ、俺からすりゃなんかのごっこ遊びのおもちゃにしか見えなかったんだが……」

「近くにいたアスナさんがこれを見て息を呑んだ、と?」

「まぁ、そういうことになるね。……まさか、()()出てくるとは思ってなかったから」

 

 

 Uちゃんがデモンストレーションとして、サンタの袋から取り出したもの。

 それは、ごてごてとしたおもちゃの銃……だったのだが。

 モモちゃんの言うような、特定のなにか──特撮作品に出てくるような武器ではなく。

 なにかの原作を持たない、謎のおもちゃの銃であった。

 

 ──そう、銃。

 このおもちゃの銃は、アスナさんが見咎めたことからわかるように──。

 

 

「……青春の話(ブルーアーカイブ)は終わってない、ってか?」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()なのであった。

 

 

*1
裁判員制度のこと。平成21年5月から始まった制度であり、通常の裁判官の他に十八歳以上の有権者から無作為に選ばれた人員を裁判員として裁判に参加させる、というもの。市民が裁判に参加することで判決の正当性を高めたり、市民にとって裁判に身近になり、その理解を助けるなどのメリットがあるとされる。なお、選ばれる確率はおおよそ0.01%くらいとのこと。地域によっては当選の確率が上がる場合もあるのだとか

*2
『プロジェクトクロスゾーン』および『マーベルバーサスカプコン』のこと。また、それらの作品に参戦していた『龍が如く』の真島吾朗、および『逆転裁判』の成歩堂龍一のこと。真島の兄貴の方はヤクザでありPXZで弁護をナルホド君に頼もうとしたことがあり、ナルホド君の方は格ゲーに参戦してマーブルのキャラ達や他のカプコン勢と戦った経験あり。戦う弁護士()

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